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キャリアプランの意味や目的とは?職種別の具体例も紹介

この記事の監修者
綿引 亜衣
【資格】
国家資格キャリアコンサルタント

【プロフィール】
総合人材サービス企業にて法人企業の採用支援、キャリアアドバイザー職に10年間携わる。名古屋での勤務経験があり、地域特性を踏まえた面接対策や、Uターン転職支援にも強みを持つ。これまで採用支援経験のある業界は広告・不動産・建設・消費財・通販業界など。その後求人サイトのマーケティング職を経て、現在は 総合人材サービス企業の広報業務に従事。

キャリアプランはこれからの人生における仕事の方向性を明確にし、目標に向かって計画的にスキルを向上させたり、経験を積んだりするためのものです。
キャリアの指針となるキャリアプランを立てることで、将来の不確実性が高い現代社会においても、自分のキャリアを主体的に選び、歩んでいくことができます。

この記事では、キャリアプランの意味や目的、立て方のポイントについて詳しく説明し、さらに職種別に実際のキャリアプラン例も紹介します。

キャリアプランとは

キャリアプランとは

キャリアプランとは、自分の強みや価値観を活かし、将来に向けて自分らしい仕事人生をデザインすることです。
ただ会社が提供する昇進ルートに従うのではなく、自分が本当にやりたいことやめざす働き方を中心に、キャリアの方向性を定めていきましょう。
キャリアプランをしっかりと立てることで、より充実した職業人生を歩むことができます。

キャリアプランの意味

キャリアプランとは、これからの職歴をどのように積んでいくかを考え、計画することです。
理想とする仕事や働き方を目標に定め、それを実現するためにどのようなスキルを身につけ、どのような経験を積むかを考えていきます。

現在の会社でキャリアを積み上げていくのか、転職を検討するのか、あるいは独立や起業も視野に入れるのかなど、人生全体を見据えたトータルな設計としてキャリアプランを立てることが大切です。

キャリアに関する似た単語との違い

キャリアに関連する言葉には、キャリアプランの他にも以下のようなものがあります。

  • キャリアデザイン
  • キャリアパス
  • キャリアアップ
  • キャリアビジョン

よく似た用語ですが、それぞれの意味合いは少しずつ異なります。
以下は、キャリアに関連する言葉とその解説です。

キャリアに関する言葉 解説
キャリアデザイン プライベートも含めてどのようなキャリアを歩みたいのかを考えることです。
社内での昇進だけでなく、仕事が自分の人生においてどのような意味を持つのか、また、ワークライフバランスや余暇の過ごし方など、人生全体を考慮に入れてキャリアをデザインします。
キャリアパス 企業内での昇進や昇給のステップを指します。
将来的に社内のどこのポジションで働きたいかを思い描き、その目標を達成するために必要な資格や実務経験を明確にすることが重要です。
キャリアアップ 高い能力を身につけて、自分の経歴を高めます。
アルバイトから正社員になることや、平社員から課長になるなど、今よりも裁量の大きなポジションを得ることです。
より責任のある仕事を任されるようになり、自己成長とともに新たな挑戦が増えていく過程を意味します。
キャリアビジョン 将来的にキャリアにおいて達成したい理想像を描くことです。
自分がどのような立場でどのような仕事をしているかを具体的にイメージし、理想的なキャリアを明確にします。
キャリアビジョンはあくまで理想的な目標であり、現実的な障害を考慮する必要は特にありません。
このビジョンを持つことで、長期的なモチベーションが高まり、キャリアを積むための方向性が明確になります。

キャリアプランの目的

キャリアプランを立てる目的は、自分のキャリアの軸を明確にすることです。

かつて日本では終身雇用制度が主流でしたが、近年では転職を選択する人が増え、働き方の多様化が進んでいます。
さらに、AIやテクノロジーの発達などにより、将来の予測がますます難しくなっています。
このような時代背景のなかで、会社が提供する型にはまったキャリアプランだけでは、もはや十分に通用しなくなってきているのです。

そのため、今の時代においては、個人が自分でスキルを磨き、仕事を選び取る力が求められます。
自分が将来何をしたいのかを明確にし、それを実現するために必要な経験やスキルを具体的に計画することが重要です。
主体的にキャリアを選択し、学び続けることこそが、先行き不透明な社会を生き抜くための鍵となります。

また、転職活動においてもキャリアプランは非常に役立ちます。
自分のめざす方向性と、会社が用意するキャリアパスが一致しているかどうかを見極める基準になるためです。

もし、十分にキャリアプランを考慮せずに入社すると、自分の理想と現実のギャップから早期退職のリスクが高まる可能性があります。
そのため、企業側も面接時に応募者のキャリアプランについて尋ねることが多いのです。

キャリアプランはどう考える?

では、具体的にキャリアプランをどのように作成するかについて見ていきましょう。
まずは、自分自身の現状を把握するために自己分析を行うことから始めます。
そのうえで、将来なりたい姿や目標を明確に描き、その実現に向けた道筋を逆算して考えていくことが大切です。
このプロセスを通じて、現実的かつ効果的なキャリアプランを作り上げることができます。

自己分析をする

キャリアプランを立てるための第一歩は、自己分析です。

まずは現在の自分を正確に把握するために、これまでのキャリアを振り返りましょう。どのような仕事をしてきたのか、何を成し遂げたのか、どのような経験やスキルを得たのかをリストアップします。
この過程で、客観的に自分の歩みを整理することが重要です。

自己分析を行うことで、自分の強みや課題が浮き彫りになり、将来の方向性を定めるための基盤が整います。
自己分析は、キャリアプラン作成のための土台となる作業です。

将来なりたい像を具体化して考える

次に、自己分析をふまえて将来のキャリアイメージを描きます。

「製造部門から品質管理への異動」「部長への昇進」「年収800万円の達成」など、役職や職種、年収などの具体的な切り口から、自分の理想のキャリアを考えましょう。
さらに、それぞれの目標を実現するために必要なスキルや経験を洗い出します。
漠然とした目標ではなく、具体的なイメージを持つことで、キャリアプランはより明確になり、実現に向けたステップが見えてきます。

現在から将来像までの道のりを逆算する

最後に、現在の地点から将来の理想に至る道筋を逆算して考えます。

まずは、5年後、3年後、1年後の目標をそれぞれ設定しましょう。
将来必要なスキルが不足している場合は、いつまでにどのように習得するかを計画に落とし込みます。
例えば、「3年後の目標を達成するために1年目に取り組むべきことは何か」というように、具体的なステップを描いていきます。

キャリアプランを実行に移すためには、この逆算のプロセスが非常に重要です。
ロードマップをしっかりと描くことで、目標達成への道が明確になり、計画的に行動することができます。

キャリアプランの立て方のポイント

続いて、キャリアプランを立てるうえでの留意点を解説します。
性別や年代によってポイントが異なるので、自分に合ったプランを考えることが肝要です。
ここでは特に、性別ごと年代ごとのキャリアプラン作成のポイントを取り上げ、具体的なアドバイスを紹介します。

性別ごとのポイント

キャリアプランは性別によって、考慮すべき点が異なることがあります。

特に女性の場合、結婚や出産といったライフイベントを見据えたプランニングが重要です。
出産後のキャリアチェンジや転職にはさまざまな困難がともなうため、あらかじめ準備を進める必要があるでしょう。

また、企業は即戦力となる人材を求めているため、入社直後の休暇取得は好まれないこともあります。
そのため、ライフプランを考慮しつつ、戦略的にキャリアを積み重ねていくことが重要です。

さらに、仕事と家庭の両立を実現できる企業かどうかも、就職先を選ぶ際の大切な判断基準となります。
自分のライフスタイルに合った環境を選ぶことが、長期的なキャリア形成につながります。

年代ごとのポイント

キャリアプランの内容は、年代によって大きく変化します。
企業が求める人材像が年代ごとに異なるため、それに合わせて柔軟にプランを考えることが大切です。

各年代において求められるスキルや役割を理解し、適応することで、自身のキャリアをより効果的に築くことができます。
以下に、年代ごとに考えるべきポイントをまとめました。

年代 キャリアプランのポイント
20代 ■ポテンシャルと成長意欲が重要:
過去の経験よりもポテンシャルが重要視されます。
新しいスキルや分野に挑戦する姿勢を見せることで、将来性をアピールできます。
30代 ■実績を活かし、具体的なプランを提示:
ある程度の経験とスキルを身につけており、今後の仕事にどのように活かせるかを示す必要があります。
実現可能な具体的なキャリアプランを立て、自分の強みをどのように組織や仕事に活かしていくかを明確に伝えることが大切です。
40代 ■経験を活かし、リーダーシップを発揮:
積み上げてきた経験やスキルを企業にどう活かして貢献するかを示す必要があります。
キャリアプランにおいても、管理職やリーダーとして活躍したい旨を伝え、自分の強みをどのように組織や仕事に活かしていくかを明確に伝えることが大切です。
50代 ■強みを再確認し、差別化を図る:
これまでの豊富な経験やスキルに加え、キャリアのなかで培った強みや人脈を活かすことが重要です。
また、リスキリング(スキルの再習得)や自己研鑽も重要な要素となります。

キャリアプランの例文

キャリアプランの例文

ここからは、職種別のキャリアプランの例を見ていきましょう。
事務職、営業職、企画職のそれぞれについて、参考となるキャリアプランの例を紹介します。
自分の職種に近いものを参考にしながら、あなた自身の職種に合わせてキャリアプランを考えてみてください。

事務職

現在は経理事務として勤務しており、今後は経理のスペシャリストをめざしたいと考えています。

【短期目標(1〜3年後)】

  • まずは簿記1級の資格を取得し、経理業務の専門知識を深める。
    これにより、日々の経理業務の幅を広げ、より高度な業務にも対応できるようになる。

【中期目標(3〜5年後)】

  • 経理業務において、さらに経験を積み、決算業務や税務業務など、より専門的な分野にも携わりたい。
  • 経理財務部門内でリーダーシップを発揮し、チームの業務を円滑に進める役割を担いたい。

【長期目標(5年以上)】

  • 将来的には経理財務部のマネージャーとして、会社の経営判断をサポートする立場になり、経営層と連携して経営戦略に貢献できるようになることが目標。
  • 経理の知識だけでなく、経営全般に関する知識も深め、経営戦略や財務計画などにも携わることで、組織全体の成長に貢献する人材をめざす。

営業職

入社から3年、個人営業としてトップクラスの成績をあげてきました。
今後は営業チームのリーダーをめざし、部下の育成を通じて組織の売上拡大に貢献したいです。

【短期目標(1〜3年後)】

  • 営業チームのリーダーとして、チーム全体の成績向上を図りながら、部下の育成にも注力したい。
  • チームメンバー一人ひとりの強みを引き出し、個々のパフォーマンス向上に貢献することで、組織全体の売上拡大につなげていく。

【中期目標(3〜5年後)】

  • 5年後にはマネージャーに昇進し、新規事業の立ち上げにも積極的に関わりたい。
  • 事業戦略の立案や実行を通じて、営業部門をより強化し、会社全体の成長に貢献する役割を果たすことが目標。

【長期目標(5年以上)】

  • 将来的には営業本部長として、会社の成長を牽引する存在になりたい。
  • 経営戦略や市場分析、全社的な意思決定に関わることをめざし、さらに経営に関する知識やスキルを深めていく。

企画職

広告代理店の販促企画部門に所属して2年が経ちました。
今後は、Web広告やSNSマーケティングに重点を置き、デジタル時代の販促企画のプロフェッショナルをめざします。

【短期目標(1〜3年後)】

  • 3年以内にキャンペーンの企画リーダーを任され、チームを牽引する役割を果たしたい。
  • デジタル広告やSNSを活用した新しい販促手法を積極的に取り入れ、効果的なキャンペーンを実施することで、売上やブランド認知の向上に貢献する。

【中期目標(3〜5年後)】

  • 5年後には、既存のプロモーション手法にとらわれず、新しいプロモーション手法を開発し、革新的なマーケティング戦略を提案できるようになりたい。
  • データ分析を駆使してキャンペーンの効果を高め、よりターゲットに訴求力のある企画を実現する。

【長期目標(5年以上)】

  • 将来的には、企画部門の責任者として、会社全体のブランド価値向上に寄与できる人材になりたい。
  • 部門全体の戦略立案や、組織のマーケティング活動を総括し、会社の成長に大きく貢献する役割を果たす。

キャリアプランは自分のキャリア実現の基礎

キャリアプランは、自身の理想とするキャリアを描き、それを実現するための羅針盤です。
企業の用意したレールにただ乗るのではなく、主体的に自分の将来像を考え、それに向かって進んでいくことが何より重要です。

まずは現在の自分を見つめ直し、どのような目標を達成したいのかを明確にしましょう。
そして、その目標に到達するために必要なステップを逆算して考え、計画的に実行に移すことが求められます。

性別や年代によってキャリアプランの留意点は異なるかもしれませんが、重要なのは「自分に合った方法でプランを練ること」です。
他人と比較するのではなく、自分の強みやライフスタイルに合った目標を設定し、それに向かって着実に進んでいきましょう。

転職を考える際にも、キャリアプランは強力な武器となります。
自分のキャリアの方向性を明確にしておくことで、転職先でも自分にとって最適なポジションを見つけやすくなりますし、面接でも説得力を持ってアピールできるでしょう。

不確実な時代だからこそ、キャリアプランを基盤にして、自分自身の力でキャリアを切り拓いていくことがますます重要になっています。
自分の未来を積極的に描き、実現に向けた行動を起こしていきましょう。

執筆者について

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