2級キャリア・コンサルティング技能士(国家資格） ／キャリアコンサルタント(国家資格） ／CDA（career development adviser） ／ハラスメント対策認定アドバイザー
【プロフィール】
フリーランスのキャリアコンサルタントとして、高校生から中高年までの幅広い年齢層の就職・転職支援、相談業務に従事。高校や大学での面接指導、職業訓練校や就労移行支援事業所での講師兼キャリアコンサルタント、就職・転職フェアでの相談コーナーにて、求職者を支援。 新卒・中途採用、次世代リーダー選別のアセスメント業務歴25年。適性診断テスト（文章完成法テスト）を用いての人物像把握など、これまで10数社の判定に携わる。
就職活動や転職において、企業研究は必要不可欠なステップです。
しかし「どのように始めれば良いのか」「何を調べれば良いのか」と悩む人も多いのではないでしょうか。
この記事では、企業研究の基本的な考え方から具体的な方法、効率的に進めるコツまで、詳しく解説していきます。
これから就活を始める人はもちろん、転職を考えている人にも役立つ内容となっています。
目次
企業研究とは？
企業研究とは、自分のキャリアプランや価値観に合った企業を見つけるために、さまざまな角度から企業について理解を深める活動です。
単に企業の基本情報を集めるだけでなく、その企業の理念や文化、将来性、業界での位置づけなど、多角的な視点で分析することが重要です。
企業研究の目的
企業研究の主な目的は、自分と企業との適切なマッチングを図ることにあります。
具体的には、企業の事業内容や経営方針、求められる人材像、社風などを詳しく調べることで、自分の強みや価値観、働き方との相性が見極められます。
また、業界内での競争力や市場での立ち位置を理解することで、その企業の将来性も判断材料となるでしょう。
企業研究を行うメリット
企業研究で得た情報や知識をもとに、具体的で説得力のある志望動機を作ることができるようになります。
その結果、面接でも自信を持って質問に答えられるようになるでしょう。
企業の実際の取り組みや成果を踏まえて、自分がどの仕事にどのような力を発揮して、貢献できるのかを回答できるようになるためです。
また、企業の将来性や成長戦略を理解することで、長期的なキャリアプランを描きやすくなります。
さらに、企業の社風や働き方を事前に把握することによって、入社後のギャップを感じにくくなることもメリットです。
企業研究のやり方
企業研究を効果的に進めるためには、計画的に取り組むことが必要です。
ここでは、企業研究を始めるべきタイミングや必要な期間、活用すべき情報源について詳しく説明していきます。
これらの基本を押さえることで、効率的な企業研究が可能となります。
いつやれば良い？
企業研究は、就職活動本番に入る前から、計画的に始めることをおすすめします。
一般的な新卒採用スケジュールでは、卒業・修了前年である大学3年生や短大1年生、大学院1年生の6月頃からインターンシップが始まります。
この時期に合わせて企業研究をスタートし、卒業年次の大学4年生、短大2年生、大学院2年生の2月までには基本的な企業研究を終えておくのが望ましいでしょう。
特に、インターンシップへの参加を検討している場合は、参加企業の選定にも企業研究が役立ちます。
学生生活では学業やサークル活動、アルバイトなどに加え、特に就活が始まる頃には学部によっては卒論や卒業作品制作、研究成果のまとめなども重なり、多忙になる時期です。
余裕をもって就活に臨めるように、可能な限り早めに企業研究に取り組むことをおすすめします。
どのくらいやれば良い？
企業研究は、その企業の本質を理解できる期間と深さで続けることが大切です。
誰にどのような商品やサービスを提供し、どのようなビジネスモデルを展開しているのかといった本質的な部分を自分なりに理解できるまでは、調査を続けましょう。
ただし、面接で目立つ情報の収集や、必要以上に細かい数字を暗記する必要はありません。
あくまで自分なりの理解と、判断ができる水準まで到達できれば十分です。
何を使ってやれば良い？
企業研究には、さまざまな情報源を組み合わせて活用することが効果的です。
企業の公式ホームページや就職情報サイトで基本情報を押さえたうえで、新聞やニュースサイト、業界専門誌などで最新動向を確認しましょう。
さらに、会社説明会や合同説明会に参加することで、企業の雰囲気を直接感じることができます。
また、OB・OGへのインタビューやインターンシップへの参加は、より実践的な情報を得る機会となります。
企業研究のやり方【具体的に何をする？】
企業研究は、具体的な方法を理解したうえで、効率的に進めていきましょう。
ここでは、各情報源の特徴と活用方法について、実践的なアプローチを解説していきます。
企業のホームページをチェックする
企業の公式ホームページは、企業に関する基本的な情報源です。
企業理念やビジョン、主力商品やサービスの詳細、最新のプレスリリースなど、企業が最も伝えたい情報が凝縮されています。
特に採用情報ページには、企業が求める人材像や具体的な仕事内容が詳しく掲載されていることが多いため、じっくりと確認することをおすすめします。
会社説明会に参加する
会社説明会は、企業の生の情報を得られる貴重な機会です。
現場で働く社員の声を直接聞けることはもちろん、企業の今後の展望や戦略についても詳しく知ることができます。
質疑応答の時間では、公開情報だけではわからない実務的な内容も質問することができます。
また、説明会での企業担当者の受け答えや態度からも、その企業の文化や雰囲気を感じ取ることができるでしょう。
書籍を購入する
『業界地図』や『会社四季報』などの専門書籍は、客観的な企業分析に役立ちます。
『業界地図』では、業界全体の構造や企業間の競争関係、市場の成長性などを俯瞰的に理解することが可能です。
会社四季報からは、財務状況や株価動向など、企業の経営状態を示す客観的なデータを確認できます。
これらの情報は、企業の安定性や将来性を判断するうえでの指標となるでしょう。
OBやOGの話を聞く
実際に企業で働くOB・OGからは、具体的な仕事内容や職場環境、キャリアの成長過程、入社後に感じたギャップなど、公式の場では得られない生の声を聞くことができます。
そのため、自分自身がその企業で働く姿をイメージすることに役立つことでしょう。
一対一での対話なので、公式の場では聞きづらい内容も質問しやすいのもメリットです。
ただし、個人の経験や主観に基づく情報であることを念頭に置いて、判断材料の一つとして活用しましょう。
企業研究のやり方・方法【企業を見るポイント】
効果的な企業研究を行うためには、具体的にどのような観点で企業を見ていけば良いのでしょうか。
ここでは、企業を多角的に分析するためのポイントを詳しく解説していきます。
企業概要を学ぶ
まずは企業の基本情報をしっかりと押さえましょう。
企業規模や事業内容、企業理念、沿革などの基本情報は、その後の詳細な分析を進めるうえでの土台となります。
また、事業所や拠点の場所を確認することで、将来的な勤務地の可能性も把握することが可能です。
これらの情報を整理することで、企業の全体像をつかむことができるでしょう。
企業の強みを知る
企業の強みを理解することは、その企業の市場での競争力を知る手掛かりになります。
独自の技術やノウハウ、市場シェア、顧客層など、その企業ならではの特徴を把握しましょう。
また、同業他社との比較分析を行うことで、その企業の差別化が明確になります。
業界専門紙や企業情報誌を活用することで、より客観的な視点からこれらの情報を得ることが可能です。
企業の動向を把握する
企業の最新の動きや市場での位置づけを理解することは、将来性を判断するうえで役に立ちます。
業界ニュースやプレスリリース、サスティナビリティへの取り組み、IR情報から、新規事業の展開状況や技術開発の方向性を確認しましょう。
特に、業界全体の動向と照らし合わせながら、企業の戦略的な位置づけを理解することが大切です。
このような分析により、その企業の成長可能性や将来的な課題も見えてくるでしょう。
経営者の考え方を知る
企業のトップマネジメントの考え方は、その企業の方向性を大きく左右します。
ホームページ上の経営者のあいさつやメッセージ、インタビュー記事や講演内容、中期経営計画などから、経営者の価値観や経営方針、経営哲学を読み取りましょう。
これらは企業文化の形成にも大きな影響を与えており、将来の事業展開や成長戦略を理解するうえでも重要な要素となります。
社風を知る
企業の社風は、実際に働く際の環境や雰囲気を左右します。
人材育成の方針や評価制度、社内コミュニケーションのスタイルなどから、その企業の文化的な特徴を理解することができます。
福利厚生制度の充実度や社内イベントの様子も、働く環境を知るうえでは欠かせない情報です。
企業の実態を知るうえで、実際に働いている社員の声を聞くことも有効です。
インターンシップや企業説明会での交流、OB・OG訪問などを通じて、現場の生の声を集めましょう。
これらの要素と自分の価値観や希望する働き方を照らし合わせて、相性を見極めることが大切です。
競合他社と比較する
企業の特徴をより深く理解するためには、競合他社との比較分析が欠かせません。
市場シェアや事業領域、サービスの特徴など、さまざまな観点から競合他社との違いを明確にしていきましょう。
このような比較分析を通じて、その企業ならではの強みや、今後の課題も見えてきます。
志望動機を作成する際には、他社ではなく、なぜその企業でなければならないのかという説得力あるアピールにつながることでしょう。
企業研究のコツ・大事なことは？
より効果的な企業研究を行うためには、いくつかのポイントがあります。
ここでは、企業研究を成功に導くためのコツと注意点について解説していきます。
自分が企業に何を求めるのかを明確にする
効果的な企業研究のためには、まず自己分析によって自分自身の軸を明確にすることが重要です。
キャリアプランや価値観、働き方への希望など、自分が企業に求めるものを整理しましょう。
この軸があることで、企業の特徴や特色を、自分との相性という観点から評価することができます。
得た情報をいつでもチェックできるように見やすくまとめる
企業研究で得た情報は、ノートやテンプレートを用いて、必ずいつでも見ることができるように整理して記録しましょう。
エントリーシートの作成や面接準備の際に、企業の魅力や志望動機を再確認する必要が出てきます。
志望度の高い順に企業研究ノートを作成しておくと、あとあとの対策にも効率的に活用できるでしょう。
また、新たな情報を得た場合は、その都度追加記入していきましょう。
情報を記録せず放置してしまうと、重要なポイントを見落としたり、採用情報の見直しに時間を取られたりする可能性があります。
企業研究のやり方やコツを知って参考にしよう
企業研究は、就職活動や転職において欠くことのできない準備過程です。
卒業・修了前年次の6月頃からインターンシップと並行して開始し、計画的に進めていくことが望ましいでしょう。
企業研究を丁寧に行うことで、企業との相性が見極めやすくなり、志望動機も具体的になります。
入社後のミスマッチを防ぎ、長期的なキャリア形成につながる企業選びが可能となるのです。
この記事で紹介した方法やポイントを参考に、効果的な企業研究を進めていきましょう。
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