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休職中に退職は可能?退職の伝え方や方法、必要な手続きについて解説

この記事の監修者
西岡 秀泰
【資格】
社会保険労務士

【プロフィール】
同志社大学法学部卒業後、生命保険会社に25年勤務しFPとして保険販売を行う。2017年4月に西岡社会保険労務士事務所を開設し、労働保険・社会保険を中心に労務全般について企業サポート。日本年金機構にて年金相談員を兼務。

働いている人にとって、休職は精神的にも肉体的にも大きな負担となるものです。
休職期間中は会社と自分の状況を相談しながら、復職に向けて準備を進めていくことが一般的ですが、休職中にさまざまな事情から退職を考える人もいるでしょう。

休職からそのまま退職することは可能なのでしょうか。
また、休職中の退職の伝え方や必要な手続きについて知りたい人も多いのではないでしょうか。
本記事では、休職中の退職について解説します。
休職中に退職を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

休職中に復職せずに退職はできる?

休職中に復職せずに退職はできる?

結論からいうと、休職中に退職することは法律上可能です。
民法627条では、雇用期間の定めがない労働者はいつでも退職の申し出ができると定められています。
また、民法628条では、雇用期間に定めがある労働者であっても、やむを得ない事情がある場合には退職が認められると規定されています。

ただし、休職に関する規定は会社ごとに異なるため、事前に就業規則を確認して、休職期間中の退職が認められているのかや、退職の申し出に必要な書類や手続きがあるのかなどを把握しておきましょう。

休職中にそのまま退職する方法

休職中に退職を決意した場合、どのように会社に伝え、どのような手続きを踏めば良いのでしょうか。
ここからは、休職中の退職の具体的な方法について見ていきましょう。

上司へ退職したい旨を連絡する

休職中に退職を決めたら、まず上司に退職の意思を伝える必要があります。
普段から上司とコミュニケーションを取っている場合は、上司に直接連絡を入れましょう。

一方、上司との関係があまり良好ではない場合や、直接伝えづらい事情がある場合は、人事担当者に相談するのも一つの方法です。

上司に退職を伝える方法

一般的に、退職の意思は対面で伝えるのが望ましいとされています。
しかし、休職中で会社に行けない場合は、電話やメールで伝えても問題ありません。
その際は、退職希望日と退職理由を明確に伝えることを心がけましょう。

また、休職させてもらったことへの感謝の気持ちを伝え、業務でお世話になった人へのお礼も忘れずに述べるようにしましょう。
丁寧な言葉遣いを心がけ、上司に対する感謝と配慮を示すことが大切です。

上司へ退職を伝えるタイミング

退職を決意したら、できるだけ早いタイミングで上司に伝えるのが望ましいでしょう。
企業によっては、1ヵ月以上前に退職の申し出を行うよう就業規則で定めているケースもあります。
休職中の場合、上司との連絡が疎遠になりがちなため、早めに連絡を入れることを心がけましょう。

復職の見込みについて会社側と協議している最中に退職の意思を伝える場合は、これまでの経緯を丁寧に説明することが求められます。
状況を説明したうえで、今後の見通しについて上司の意見を聞くことも大切です。

退職に必要な書類を提出する

多くの企業では、退職の際に所定の書類の提出が求められます。
代表的なのが退職届や退職願です。

所定のフォーマットがあるかどうか、必要な記載事項は何かを事前に確認しておきましょう。
会社指定のフォーマットがない場合は、インターネット上の雛形などを参考に作成すると良いでしょう。

会社の備品を返却する

会社から貸与されていた備品がある場合は、退職の際に返却する必要があります。
また、貸与品ではありませんが健康保険証の返却も必要です。
パソコン、制服、社員証、名刺など、自分が借りていたものがないか確認しましょう。

休職中で出社が難しい場合は、郵送や宅配便での返却も可能です。
会社と相談のうえ、スムーズに返却できる方法を選ぶと良いでしょう。

退職後に発行される書類を受け取る

退職後、会社からはいくつかの重要な書類が発行されます。
これらの書類は、失業保険の申請や再就職の際に必要になるため、漏れなく受け取り、大切に保管しておく必要があります。
会社から交付される主な書類は以下のとおりです。

  • 離職票(雇用保険被保険者離職票)
    離職票は、離職したことを証明する公的な書類です。
    失業保険を受給する際、ハローワークへの提出が求められます。
  • 雇用保険被保険者証
    雇用保険の加入者に交付されるものです。
    原則従業員が保管するものですが、紛失防止のために勤務先で保管しているケースもあります。
    失業手当を受給する際はハローワークに、転職先が決まっている場合は新しい勤務先に提出する必要があります。
  • 源泉徴収票
    1年間の給与所得や差し引かれた所得税の額などが記載された書類です。
    確定申告が必要な場合や、転職先に提出を求められる場合に必要となります。

退職後の手続きを行う

退職後、再就職までに一定の期間がある場合は、年金や健康保険など、各種手続きが必要になります。
退職後の手続きを滞りなく進めることが、生活の安定につながります。

失業保険の申請

退職後、失業保険を受給するためには、離職票をもとにハローワークで手続きを行う必要があります。
離職票が交付されたら、速やかにハローワークを訪れましょう。
失業認定を受けることで、失業保険を受給しながら再就職活動を行うことができます。

健康保険の申請

退職した場合、健康保険の扶養に入るか国民健康保険に加入する必要があります。
扶養に入る場合は、扶養者の勤務先での手続きが必要です。

一方、国民健康保険は、住んでいる市区町村の窓口で手続きを行います。
退職後14日以内の手続きが原則とされていますが、病院で受診するときに必要となるため早めに手続きを済ませましょう。

国民年金への変更

会社員の間は厚生年金に加入しますが、退職後は国民年金に切り替える必要があります。
国民年金は、20歳以上60歳未満のすべての人が加入する公的年金制度です。
退職日の翌日に転職先に入社する場合を除き、住んでいる市区町村の窓口や年金事務所で国民年金の加入手続きを行い、保険料を納めなくてはいけません。

退職できないときの対処法

休職中の退職は、会社との合意を得られないケースもあるかもしれません。
そのような場合でも、あきらめる必要はありません。
退職できないときの対処法を見ていきましょう。

配達証明付き内容証明郵便で退職届を会社に送る

会社から退職を拒否された場合は、配達証明付き内容証明郵便で退職届を送ることを検討しましょう。
内容証明郵便は、いつ、誰から誰に、どのような内容の文書を送ったのかを第三者である郵便局に証明してもらえるサービスです。

内容証明郵便に「配達証明」のオプションを付けることで、会社が受け取った日時や受け取った事実を記録として残すことができ、「受け取っていない」「退職届は入っていなかった」などと主張されることを防ぐことができます。

配達証明付き内容証明郵便で退職届を送れば、会社が退職届の受領を拒否することは難しくなります。

トラブルを避けつつ、退職の強い意思を伝えることができるでしょう。

労働基準監督署に相談する

会社との話し合いが平行線をたどる場合は、労働基準監督署に相談するのも一つの方法です。
労働基準監督署には、労働問題に関する相談窓口があり、労働者と会社との間のトラブルについて無料で相談できます。
労働基準監督署では、労働関連法規に基づいたアドバイスを受けることができ、適切な解決策を見出せるかもしれません。

退職代行サービスを活用する

退職代行サービスを利用するのも、選択肢の一つです。
退職代行サービスでは、依頼者に代わって退職に関する交渉や手続きを行ってくれます。

会社とのやり取りに不安がある場合や、パワハラなどで精神的に疲弊している場合は、プロに任せることで円滑に退職を進められる可能性があります。
ただし、費用がかかるサービスであることを理解したうえで利用を検討しましょう。

休職中に退職する場合は会社に意向を伝えよう

休職中に退職を考えている人は、まずは会社に退職の意思を伝えることが大切です。
その際は、上司や人事担当者に丁寧に事情を説明し、円満な退職を心がけましょう。

退職に必要な書類の提出や備品の返却なども、滞りなく行う必要があります。
また、退職後の生活を見据え、雇用保険や健康保険、年金の手続きを適切に進めることも重要です。

休職中の退職は、会社との合意形成が難しいケースもあるかもしれません。
それでも、粘り強く交渉を重ね、労働基準監督署や退職代行サービスを活用することで、望む形での退職が実現できるかもしれません。

執筆者について

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