リハビリ職は怪我や病気によって損なわれた機能の回復や、日々の生活を快適にするための身体機能の向上をサポートする 職種です。
リハビリと聞くと、怪我や病気をした人のためのものと考える方もいるかもしれませんが、日々の違和感や生まれつきの特性、年齢とともに現れる症状など、さまざまな機能の回復に関わります。
リハビリの仕事を通じて楽しいと感じることや、やりがいを感じることはどのような点なのでしょうか。
リハビリ職をめざしている方や興味がある方はぜひチェックしておきましょう。
目次
リハビリ職の仕事で感じられるやりがいとは?
リハビリ職でやりがいを感じるのは、患者さんの身体機能が回復して健康になっていく姿を見たときや感謝されたときでしょう。
患者さんと密接に関わり、一緒にリハビリに取り組むからこそ感じられるやりがいです。
患者さんの体が健康になっていく過程を見た とき
リハビリはマニュアルどおりに進むものではありません。
患者さんの症状や状態、身体機能の現状など、一人ひとりに合わせてリハビリ内容を決め、進めていきます。
患者さんとリハビリ職、医師や看護師と一丸となって進めていくからこそ、健康になっていく過程や成長にうれしさや喜びを感じます。
今までできなかったことができるようになったり、損なわれた機能が回復してリハビリが終了したりするとき、自分やチームのサポートによって患者さんのより良い生活や日常に貢献できたことが大きな喜びになります。
患者さんに感謝されたとき
リハビリ職は患者さんと関わる時間が長いことも特徴です。
症状やリハビリ内容の話だけでなく、患者さんと日常的な会話をすることもあるでしょう。
患者さんと距離が近くなる分、感謝の言葉を直接もらえる機会も増えます。
感謝の言葉を直接もらえる職業は、実はあまり多いわけではありません。
そのため、患者さんから感謝の言葉をもらい喜びを共有できるリハビリ職は、満足感ややりがい、充実感を感じやすい仕事といえます。
リハビリ職の種類
ここではリハビリ職と呼ばれる職業の中から理学療法士、作業療法士、言語聴覚士について詳しく紹介します。
名前は知っているけれど仕事内容は知らない、違いについて理解していない方も多いかもしれません。
この機会に仕事内容の違いややりがいについて知っておきましょう。
理学療法士
理学療法士はリハビリだけでなく、スポーツ選手のトレーナーとして働くことも可能で、幅広い活躍の場があります。
Physical Therapist(PT)と呼ばれ、人間の基本動作といわれている歩く、寝返る、立ち上がるなどの動作や身体能力の回復に努めています。
理学療法士の仕事内容
理学療法士は、身体機能の回復によって日常的な動作をできるようにする、つまり病気などによって損なわれた身体機能を取り戻させる ことが仕事内容です。
運動療法と呼ばれる自身の身体を使って回復させる方法と、物理療法と呼ばれる外部刺激による治療方法を用います。
また、日常生活でも取り入れられる方法をアドバイスすることで回復を図ります。
患者さんによって症状や回復のスピード、効果があるかどうかは異なります。
人によって感じ方が異なるからこそ、理学療法士のきめ細やかなサポートや、より快適な生活ができるよう提案することが重要です。
患者さんがリハビリの場だけでなく日常生活でもリハビリの効果を発揮できるよう、患者さんの日常に寄り添うことが大切です。
理学療法士のやりがい
理学療法士のやりがいは、患者さんの症状や回復スピードに合わせてリハビリ案を提案し、実際に患者さんと向き合って進めていく過程や、自分が立てた計画によって患者さんが良くなることにあります。
理学療法士を始めリハビリ職は、患者さんと接する時間が長いことから、治ったときの感謝や実感も直接的に感じられます。
身体機能回復だけでなく、スポーツトレーナーのように予防的な身体作りのサポートといった仕事もあるため、業務内容によってやりがいもさまざまなものがあるでしょう。
作業療法士
作業療法士は、Occupational Therapist(OT)と呼ばれ、日常的動作のための身体機能だけでなく、精神面の回復にも努めることが特徴です。
身体面のみの場合は理学療法士、精神面も含まれる場合は作業療法士と覚えておきましょう。
作業療法士の仕事内容
作業療法士は、身体的機能の回復と精神的機能の回復を同時に進めていきます。
心と体の問題に向き合って、どのようにリハビリを進めていくか、機能向上に向けたスケジュールはどうするかなどを考案します。
子どもからお年寄りまで幅広い患者さんが対象で、怪我や事故だけでなく、障がいの有無によっても関わり方が変わります。
リハビリ職としてイメージしやすい医療関係施設で働くことはもちろん、介護や教育関係の施設で働くこともあります。
作業療法士の仕事内容を詳しく知りたい方は、次の記事を読んでみてください。
作業療法士のやりがい
作業療法士は、身体的機能と精神的機能の両方を向上、または回復させることが目的なので、よりきめ細やかなサポートが必要です。
リハビリスケジュールの組み立てや、本人だけでなくご家族や関連機関との連携が大切になります。
そのため多くの人と関わりながら、機能回復に向けて一緒にサポートしていることが特徴です。
身体的な回復はもちろんですが、精神的な回復は特に、患者さん本人とご家族にとって喜ばしいことです。
教育関係の施設では、低年齢時にリハビリをしていた子どもが大きくなって挨拶に来てくれたり、本人から感謝の言葉をもらえることがやりがいにつながります。
サポートしている仲間が多いことから、情報共有をしたり、間接的に回復の情報が聞けたりすることもうれしいことです。
作業療法士と理学療法士の違いについて詳しく知りたい人は、以下の記事を読んでみてください。
言語聴覚士
言語聴覚士は、Speech Therapist(ST)と呼ばれています。
言語とつくこともあり、喋ることによるコミュニケーションや嚥下障害などの回復に向けてサポートするのが仕事です。
理学療法士や作業療法士よりも、より専門的なサポートといえるでしょう。
言語聴覚士の仕事内容
言語聴覚士は、言葉や発声など言語によるコミュニケーション機能を高めたり回復させるために、リハビリスケジュールや内容を決めて、患者さんのサポートをしていきます。
発声や発音だけでなく、聴き取る能力でもある聴覚や認知について、そして嚥下に関しても専門的にサポートすることが仕事です。
先天性のものから後天性のものまでさまざまな症状があり、症例やサポート方法などは多岐にわたります。
機能回復のサポートだけでなく訓練も必要となってくるため、自分だけでなく医療関係の職員、福祉や教育関係、心理関係を専門としている人など、さまざまな職種の人と協力して回復に向けたサポート体制を整えます。
言語聴覚士のやりがい
言語聴覚士のやりがいは、できることがわかりやすいところがポイントでしょう。
例えば発声がうまくできない人が喋れるようになったり、嚥下障害のあった人がうまく飲み込めるようになったりして、患者さんが自分や周囲のサポートによって回復していることが目に見えて現れてきます。
定期的な評価や検査を実施するからこそ、感覚的な回復だけでなく数値的な回復も見ることができます。
自分のサポートによって回復した人、生活が豊かになった人たちの様子を見て、やりがいや仕事の満足感を得られます。
また、専門的な分野だからこそ他業種のスタッフなどからアドバイスを求められることもあり、自分の知識によって相手から感謝されることもあります。
患者さんに感謝されるリハビリ職でやりがいを得よう
リハビリ職は、患者さんと長い時間ともに過ごすこともあり、直接感謝されたり回復や成長を実感できたりする職業です。
自分や周囲のサポートによって回復した人や、以前の生活よりもより快適な生活を送れるようになった人から感謝の言葉をもらうことは、なにものにも代えがたいやりがいになるでしょう。
患者さんの身体や精神と向き合って、個人の特徴や回復スピード、周辺環境についても把握したうえで、関連機関と協力してサポートすることが重要です。
理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などリハビリ職に興味がある方は、ぜひめざしてみましょう。