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薬剤師のキャリアプランとは?プランの立て方やポイントを紹介

この記事の監修者
五十嵐美貴
五十嵐美貴
【資格】
2級キャリア・コンサルティング技能士(国家資格) /キャリアコンサルタント(国家資格) /CDA(career development adviser) /ハラスメント対策認定アドバイザー

【プロフィール】
フリーランスのキャリアコンサルタントとして、高校生から中高年までの幅広い年齢層の就職・転職支援、相談業務に従事。高校や大学での面接指導、職業訓練校や就労移行支援事業所での講師兼キャリアコンサルタント、就職・転職フェアでの相談コーナーにて、求職者を支援。 新卒・中途採用、次世代リーダー選別のアセスメント業務歴25年。適性診断テスト(文章完成法テスト)を用いての人物像把握など、これまで10数社の判定に携わる。

薬剤師のキャリアプランには、自身の将来の目標や理想とする薬剤師像を明確にし、それに向かって必要なスキルや経験を積んでいくための計画が求められます。
薬剤師の働き方が多様化し、専門性の高い分野も増えてきた今、早い段階から自分の将来像を描いて行動することが、理想の実現につながります。
将来的な薬剤師の需要と供給のバランスから、飽和状態になることも予測されているため、キャリアプランを立てることは非常に重要です。

薬剤師にキャリアプランが必要な理由とは?

薬剤師にキャリアプランが必要な理由とは?

薬剤師がキャリアプランを立てることには、大きく分けて2つの理由があります。
1つは自身の理想とする薬剤師像を明確にし、そこに向かって着実にステップアップしていくためです。
もう1つは、将来的な薬剤師の需要と供給のバランスを見据え、自身のキャリアを安定させるためです。

以下では、それぞれの理由について詳しく説明します。

理想の薬剤師像が明確になる

近年、薬剤師の働き方は多様化し、がん薬物療法や感染制御など専門性の高い分野も増えてきました。
こうした状況下で、早い段階から自分の将来像を描いて行動したほうが、理想の薬剤師像を実現しやすくなります

自身のキャリアプランを明確にすることで、目標に向かって必要なスキルを身につけ、着実にステップアップしていくことができるでしょう。

将来の薬剤師飽和状態に備える

日本の薬剤師の需要は、今後も増加し続け、2045年には40.8万人程度になると予測されています。
一方で、日本の総人口は減少傾向です。

薬剤師の供給は、人口減少を考慮しても2045年に43.2万人へ推移すると考えられ、将来的には薬剤師が飽和状態になることが予測できます。
こうした状況を見据え、自身のキャリアプランを立てることは、将来のキャリアの安定につながります。

専門性を高めたり、管理職をめざしたりと、自身の強みを生かせる道を模索することが重要です。

薬剤師のキャリアプランの立て方【職場別】

薬剤師のキャリアプランは、職場環境や自身の目標によって異なります。
病院薬剤師、調剤薬局薬剤師、ドラッグストア薬剤師、製薬会社薬剤師など、それぞれの職場に合わせたキャリアプランを立てることが大切です。

ここからは、職場別のキャリアプランの立て方について説明します。

病院薬剤師のキャリアプラン

病院薬剤師のキャリアプランとしては、薬局長や薬剤部長などの管理職をめざす道があります。
また、チーム医療のなかで自身の専門性を高めていくことも重要です。

がん薬物療法認定薬剤師や感染制御専門薬剤師など、認定薬剤師や専門薬剤師の資格を取得し、専門性を高めていくことも有効な方法の一つでしょう。

病院薬剤師としてのスキルアップと同時に、管理職としてのマネジメント能力を身につけることが、キャリアアップにつながります。

調剤薬局薬剤師のキャリアプラン

調剤薬局薬剤師のキャリアプランとしては、管理薬剤師やエリアマネージャーをめざす道があります。
また、認定薬剤師や専門薬剤師の資格を取得し、特定の分野で専門性を高めていくことも可能です。

在宅医療や地域医療に関わりながら、地域の薬剤師全体や医療のことを考える視点を持つことも大切でしょう。

さらに、独立して自分の調剤薬局を開業するという選択肢もあります。
調剤薬局薬剤師としての経験を積みながら、将来的な目標を見据えてキャリアプランを立てましょう。

ドラッグストア薬剤師のキャリアプラン

ドラッグストア薬剤師のキャリアプランも、調剤薬局薬剤師と同様に、管理薬剤師やエリアマネージャーをめざす道があります。

ただし、調剤薬局とは異なりドラッグストアでは、一般用医薬品や医薬部外品を多く扱っているため、それらの知識も欠かせません。
また、医薬品の知識が少ないパートやアルバイトなどの従業員との連携も必要になってきます。

認定薬剤師や専門薬剤師の資格を取得し、特定の分野で専門性を高めていくことも有効です。
ドラッグストアでの経験を生かし、地域に密着した調剤薬局経営をめざすのも一つの選択肢でしょう。
ドラッグストア薬剤師としてのスキルを磨きながら、自身のキャリアプランを描いていきましょう。

製薬会社薬剤師のキャリアプラン

製薬会社薬剤師のキャリアプランとしては、研究、営業、開発など各専門職で専門性を高めていく道があります。
また、管理職をめざすことも可能です。

異動などを通じて他職を経験し、幅広い知識とスキルを身につけることもできるでしょう。
製薬会社のなかで薬剤師としての専門性を生かしつつ、会社全体の発展に貢献できる人材をめざすことが求められます。

自身の強みを生かせる分野を見極め、専門性を磨いていくことがキャリアアップにつながります。

薬剤師のキャリアプランの例

薬剤師のキャリアプランの例

ここからは、薬剤師のキャリアプランの具体的な例をいくつか紹介します。
管理職をめざす、専門性を高める、独立するなど、自身の目標に合ったプランを参考にしてください。
キャリアプランは一つではなく、さまざまな可能性があることを知っておくことが大切です。

管理職をめざす

管理職をめざすキャリアプランとしては、管理薬剤師やエリアマネージャー、薬局長や企業の管理職などがあります。
一般的な薬剤師の仕事と比べて、年収アップも見込めるでしょう。

方法としては、現在の職場で管理職をめざすか、転職して管理職をめざすという選択肢があります。
すでに管理職である場合には、より規模の大きい企業をめざすという選択肢もあるでしょう。
薬剤師としての管理職にとどまらず、病院経営など組織のより広い範囲に関与できる可能性もあります。

キャリアパスの一例としては、管理薬剤師から薬局長、事業部長などとステップアップし、最終的に企業の経営層に関わるというものがあります。
管理職として求められるコミュニケーションスキルやマネジメントスキルを身につけながら、組織の発展に貢献できる人材をめざしましょう。

専門性を高める

専門性を高めるキャリアプランとしては、学会や研究会に参加して最新の薬物療法の研究成果を学ぶなど、日々研鑚に励むことが重要です。
がん薬物療法認定薬剤師や感染制御専門薬剤師など、認定薬剤師や専門薬剤師の資格を取得することも専門性を示すために効果的です。

なかには、資格取得支援制度やスキルアップのための研修制度を整えている企業もあります。

キャリアパスの一例としては、専門薬剤師から学会発表者、そして臨床薬剤師リーダーとして病院やクリニックでの薬物治療を主導するなどが考えられます。
専門性を高めることで、患者さんにより良い医療を提供できるだけでなく、薬剤師としてのやりがいも感じられるでしょう。
自分の興味や強みを生かせる分野で、専門性を追求していきましょう。

独立する

独立の方法としては、自分の調剤薬局を開業する以外に、業務委託で働く個人事業主薬剤師になる道もあります。
薬剤師が独立をめざす場合、まずは勤務薬剤師として十分な経験を積み、調剤業務や服薬指導を実践的に学ぶことが大切です。
また、経営に必要な財務管理やマーケティングの知識、経営スキルの習得も欠かせません。

独立することで、自分の理想とする薬剤師像を追求し、患者さんにより良い医療サービスを提供できるでしょう。
独立をめざす場合は、長期的な視点で準備を進め、自身の強みを生かせる経営スタイルを模索することが重要です。

薬剤師のキャリアプランを考える際のポイント

薬剤師のキャリアプランを考える際には、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
新卒者の就活の場合は、自己分析と業界・企業研究、具体的な業務内容の確認、長期的な視点、自分に合った働き方の模索、そして周囲の意見を聞くことなどの情報収集が重要なポイントとなります。
これらを踏まえて、自分のキャリアプランを考えていきましょう。

自己分析とキャリアの棚卸しをする

キャリアプランを考えることは、新卒者の就活に限ったことではありません。
入社後も定期的に見直し、修正していくことは自分にマッチする、より良いキャリアを築いていくためには欠かせない作業です。

キャリアプランを再考する第一歩は、自己分析とキャリアの棚卸しです。
これは在職中でも転職活動をする際にも行う必要があります。

自身のスキル、知識、経験、実績、取得資格、得意分野などを洗い出し、未経験の分野や苦手なことについても書き出して見える化しましょう。
また、原点に返って、薬剤師をめざしたきっかけや理想の薬剤師像を振り返ることで、自分のめざすべき方向性が明確になることがあります。

自分自身を深く知ることが、キャリアプラン作成の基盤となります。
自身の強みや弱み、価値観などを整理し、あらためて将来の目標を具体的にイメージしていきましょう。

長期的な視点で考える

キャリアプランは長期的な視点で考えることが重要です。
やりたいことが明確な場合にはプランを立てやすいですが、そうでない場合には目の前のことをしっかりこなし、業務経験を積んでいくことから始めましょう。
5年後、10年後にどのように働いていたいかをイメージし、半年から1年ごとの具体的な行動計画を立てることが効果的です。

長期的な目的を見据えつつ、そこから逆算して、いつまでに何をすると短期的な目標を何段階に分けて設定したうえで行動計画を立てることによって、着実にステップアップしていくことができるでしょう。
自身のペースで、無理のない計画を立てることも自らが描いたキャリアプランを実現に導くポイントです。

今の職場で目標達成可能かを確認する

在職中の方は、現在の職場で自分のキャリアプランの実現が可能かどうかを客観的に確認することが重要です。
自己研鑽のための制度や休暇制度などの環境が整っているかも、具体的に確認しましょう。

もし現在の職場で自分のキャリアプランの達成が難しいと判断した場合には、転職も視野に入れて考えていく必要があります。
自分のキャリアプランに合った職場環境を選ぶことが、目標達成への近道となります。
現在の職場や転職希望先でのキャリアプランの実現可能性を冷静に検討したうえで、転職するかどうかを判断するようにしましょう。

キャリアアップだけにとらわれず自分の働き方を考える

キャリアプランを考える際には、キャリアアップだけにとらわれず、自分の働き方についても考えることが大切です。
薬剤師は、パートやアルバイトでも経験が考慮される職種です。

また、自分の知識や経験を生かして患者さんに貢献できるだけでなく、長く続けられる仕事でもあります。
自分のライフスタイルや価値観に合った働き方を選択することが、キャリアプランの実現につながります。

キャリアアップと同時に、ワークライフバランスも考慮に入れて、自分に合った働き方を模索しましょう。
女性の場合は、結婚や出産、育児も念頭に置いたキャリアプランを考えると良いでしょう。

友人や転職エージェントの話・意見も聴いてみる

キャリアプランを考える際には、大学のOG・OB、友人や先輩薬剤師の話を聞くことも有益です。
職場の雰囲気や環境を知ることができたり、仕事への理解が深まるなど、参考になる情報やアドバイスが得られるかもしれません。

また、薬剤師に特化した就活・転職エージェントを活用することで、求人票だけでは知ることができない志望先企業の情報を得られたり、非公開の求人の紹介もしてもらえます。

薬剤師の就活や転職に精通したキャリアアドバイザーが、自己分析やキャリアの棚卸しのサポートもしてくれるので、自分では気付かなかった強みや可能性を発見できる場合もあります。
多様な意見を聞くことで、視野を広げ、より良いキャリアプランを立てられるでしょう。
自分の考えに固執せず、周囲の意見に耳を傾けることが、キャリアプラン作成に役立ちます。

キャリアプランを立て、自分の理想の薬剤師になろう

薬剤師のキャリアプランは、自身の将来像を明確にし、それに向かって着実に歩んでいくための指針となります。
職場別のキャリアプランの例や、管理職、専門性の追求、独立など具体的なプランを参考に、自分に合ったプランを考えましょう。
その際、自己分析とキャリアの棚卸し、長期的視点、職場環境の確認、働き方の検討、周囲の意見を取り入れることがポイントです。

理想の薬剤師像をめざして、自分のペースでステップアップしていきましょう。
キャリアプランを通じて、薬剤師としてのやりがいを感じながら、患者さんにより良い医療を提供できる喜びを実感できるはずです。
自分の目標に向かって粘り強く取り組み、理想の薬剤師になれるよう、日々努力を重ねていきましょう。

執筆者について

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