転職情報かる・ける転職者の声医療従事者の働き方を見つけるインタビューVol.3|男性看護師として働くお二人のホンネ【前編】
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医療従事者の働き方を見つけるインタビューVol.3|男性看護師として働くお二人のホンネ【前編】

お話を伺った人
ヤマヒロさん

ヤマヒロさん

准看護師で療養型病棟を経験。正看護師から総合病院のICU配属。プリセプター〜教育委員を経験。主任に就任後、新人看護師研修の責任者となる。34歳で、家族との時間を第一に考え有料老人ホームへ転職。現在は有料老人ホームで働きながら、SNS・ブログなどの活動をおこなっている。

キャリアアップナース / Twitter

お話を伺った人
しろさん

しろさん

現役看護師15年目。総合病院に12年間勤務し、消化器内科に6年、救急外来に1年、慢性期の内科や脳外科の混合病棟に5年勤務。看護師ブログをきっかけに、看護の本を商業出版した経験がある。その後、1年間はフリーランスとしてライターを中心に複数の企業と仕事を行う。現在は、施設看護師として日勤のみの仕事をしながら、ブログやYouTubeなどの活動をしている。

看護LIFE.com / Twitter

医療・介護業界で働いたことがある人に仕事のホンネを伺うインタビュー企画。第2回目の今回は、現役で看護師として働いているヤマヒロさん、しろさんにお話を伺いました。近年、注目度が高まっている「男性看護師」についてのお話もたくさんお聞きしてきました。

看護師の道に進んだきっかけは?

――今日はよろしくお願いします。まずはお二人がなぜ看護師の道に進んだかを教えてください。

 
正直、自分は看護師をめざす気はあまりなかったんですよね。母親が看護師だったこともあり高校生の時にはむしろ「なりたくないな〜」なんて思っていました。だけど、自分が卒業するタイミングで母親から「大学行くお金ないよ」って突然言われて(笑)

ーー衝撃の告白ですね。なぜ、お金がないというきっかけから看護師の道に?

 
その時「自分の力でお金を稼がないといけない」という強い意志が芽生えました。母親は、若い頃から病院で働いてお金を稼ぎながら准看護師→正看護師とキャリアアップしていました。両親には、一切金銭的負担をかけていなかったようです。ふと、そのことを思い出して母親のキャリアを追うような形で、看護の世界に飛び込むことを決意しました。
 
自分は、幼少期〜中学生まで気管支喘息でよく病院にお世話になっていました。それこそ「呼吸をするのも辛い」ぐらいまで症状がひどかった時期もあります。当時は、色々な病院にお世話になっていました。その時、漠然と「自分も”人をケアできる存在”になりたい」と考えるようになりました。

ーー幼少期から医療従事者の方にお世話になっていたことが進路の背景にあったんですね。

 
ほかにも、自分が高校生の時に祖母が体調を崩してしまったこと、叔父が膵臓がんになったことも看護師をめざそうと思ったことに影響していますね。進路を考えていた高校2年生の冬「看護師になるぞ」という気持ちが固まった感じです。

――ヤマヒロさんは「手に職をつけて経済的に自立したいという思い」、しろさんは「”人をケアできる存在”になりたい」という思いから看護師をめざすようになったようです。

「男性看護師」への注目度の高まりを感じる場面はある?

男性看護師は増加傾向にあり、平成22年から令和2年の10年間でおよそ倍増しています。お二人とも「男性看護師の注目度の高まりを感じる」とお答えいただきました。

 
男性看護師への注目度の高まりは感じますね。「介護職・医療事務から看護師をめざすケース」をよく耳にします。自分自身、実際にそういった相談を受けることが多いんですよ。ほかにも、患者さんのご家族から「息子が看護師をめざしてるんですよ」という相談を受けたこともあります。ただ、最近だと先に挙げたケースが多いですかね。

ーーヤマヒロさんの周りでは「医療系の職種から看護師をめざすパターン」が多いんですね。

 
大学の入学試験とは違って、看護師になるための試験は「看護学」の学習内容が主です。だから「ヨシ、挑戦してみよう」ってなりやすいのかも(笑)学生時代、あまり勉強が得意ではなかった方でも、一念発起して挑戦しやすいと思います。当時、自分もあまり勉強が得意なタイプではなかったけど、必死に勉強してなんとか合格することができました。

ーーほかに注目度の高まりを感じるシーンはありますか?

 
自分の場合は、病院の外来で男性看護師を見かけることが以前と比べて多くなった気がします。自分が看護の世界に飛び込んだ頃は、外来で男性看護師を見かけることはほとんどなかったです。以前だと、男性看護師は比較的力仕事を必要とする「整形外科」や「精神科」に配属されるパターンが多かったです。最近は内科だったり、ほかの科でも見かけることが多くなっていますね。
 
たしかに……。そう言われてみると、内科とかに配属されているパターンも最近増えてますね。
 
ただ「爆発的に増えていますか?」と聞かれたら、それに対する答えは「NO」です。先ほどの外来の話に戻りますが、男性は見かけても1,2人程度かな……。病棟にいる看護師の多くは女性のほうがもちろん多いですし、今よりもさらにグッと増えるのは、正直まだまだ先の未来のように感じます。

男性看護師のキャリアパスについて

看護師には、専門性を高め医療分野におけるスペシャリストをめざす方やこれまでの経験を活かして管理職をめざす方など、多様なキャリアパスがあります。

 
まず挙げられるのは、専門看護師・認定看護師・診療看護師になって医療のスペシャリストをめざすパターン。ほかには、管理職になってマネジメントを極めるパターン。このように看護師には多様なキャリアパスが存在しています。

ーー描いていくキャリアパスは十人十色ということですね。

 
「選択肢が多岐にわたる」という意見には同意です。キャリアパス以外にも「定年退職まで同じ職場で働こう」「日勤のみの求人で働いて、家族との時間を大切にしたい」「ブログなどで収入の柱を増やそう」など、働き方に対するそれぞれの考え方があると思います。自分の場合は、30代になってから不規則な勤務をしていると朝方に突然動悸がしたり、激しい疲労感を覚えることが多くありました。直感的に「これじゃ体がもたないだろう」と感じ、働き方について考え直す機会が増えましたね。

ーーそのような経験から、日勤のみの求人に目を向けるようになったんですね。

 
そうですね。当時は、日勤でも長時間の残業があった日には、すでに子どもはぐっすり寝ていて、丸一日子どもと会えないなんて日もありましたね。病棟勤務時代は「子供に24時間会えない現象」が月に何度も発生していたんですよ…このような経験からも、働き方について考えることは本当に大切なことだと自覚しました。今は8時〜17時の日勤のみの「施設看護師」で働いていますが、有給全消化と残業がほぼ0で、自分にとっての「仕事と家族のバランス」が良い感じになりました。

ーー職場環境を変えることにより、ライフスタイルも好転したと。

 
ヤマヒロさんが話してくれたように、男性看護師を続けていくと認定看護師や専門看護師をめざした方が良いのか?どういう方向性でキャリアを積み上げたら良いのだろうか?という悩みが生まれてくるかと思います。結論からいうと「自分が大切にしたいと思うことを最優先でやったら良い」が自分の導き出した答えです。自分の場合は、家族優先で仕事とバランスを保ちながら「今」を大切にしたかったんです。これは決して、認定看護師や専門看護師を否定しているのではなく、自分が大切にしたいことを突き進んだら良いのかなって考えています。

ーーキャリアパスももちろん大切ですが、”働き方”に目を向けることは本当に大切なことですよね。

現役で活躍する男性看護師も注目度の高まりを感じていた

若くして看護の道に進んだお二人。やはり年次推移通り、男性看護師の活躍を見ることが現場でも多くなっているようです。「男性看護師をめざす方の転職相談を受けることが多くなった」というお話では注目度の高まりを直に感じることができました。

前編では、お二人が看護師として働く道を選んだきっかけや男性看護師のキャリアパスについて伺いました。

【後編】では、男性が看護師として働くことの強み、看護師のやりがい・面白さについて、お二人にお話いただきます。

執筆者について

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