
女性がキャリアアップをしたいと考えても、さまざまな悩みが立ちはだかることが少なくありません。
結婚・出産などのライフイベントとの両立に悩んだり、給与や昇進の男女差に悩んだりと、男性と比べるとキャリアアップのハードルは高めなのです。
しかし、最近は女性の活躍を後押しする動きも活発になり、状況は変わりつつあります。
女性のキャリアアップは本当に難しいのでしょうか。
女性のキャリアアップが難しいとされる理由と、キャリアアップをめざすための方法を探っていきましょう。
目次
女性が抱えるキャリアアップに関する悩み
女性がキャリアアップをしたいと考えていても、さまざまな悩みが立ちはだかります。
結婚や出産などのライフイベントと両立することが難しかったり、給与や昇進に男女差があったりなど、男性と比べてハードルが高いのが現状なのです。
まずは、キャリアアップをめざす女性が直面しがちな悩みについて見ていきましょう。
ライフイベントとの両立が困難
女性は、結婚や出産といったライフイベントによって、生活環境が大きく変化しやすいものです。
この点が、キャリア形成にも大きな影響を及ぼしています。
共働きで夫婦ともにフルタイムで働いているにも関わらず、ほとんどの家事や育児を女性が担うケースも少なくありません。
給与や昇進に男女差がある
日本では、男女間の賃金格差が大きいという問題があります。
厚生労働省が公開している令和5年賃金構造基本統計調査 の「性別賃金の推移」によると、一般労働者の男性の平均月収が約34万円なのに対して、女性の場合は約26万円となっています。
また、社内の昇格制度でも、男性のキャリアのほうが女性よりも進みやすいのが現状です。
こうした男女差の存在が、女性のキャリアアップへの意欲を削いでしまうこともあるでしょう。
女性のキャリアアップは難しい?
女性がキャリアプランを考え始めると、どうしてもこれまでに挙げたような現実的な問題に直面します。
しかし、女性のキャリアアップは難しい印象があるかもしれませんが、課題は確かにあるもののそれを乗り越えるための選択肢は増えてきています。
女性活躍推進法の成立などにより、働く女性の活躍を推進する流れが出てきています。
厚生労働省が公開している令和5年度雇用均等基本調査 の結果によると、女性管理職等(係長相当職以上)を有する企業の割合は62.7%です。
令和4年の女性活躍推進法に関する制度改正で、常時雇用労働者が301人以上の事業主に対して女性活躍に関する情報公開が義務化されました。
厚生労働省が行った令和5年度「女性活躍に関する調査」によると、一般事業主行動計画を作成した企業は、企業規模に関わらず増加の傾向が見られており、女性が活躍できる職場環境は着実に増加しているのです。
女性がキャリアアップをめざす方法
では、具体的に女性がキャリアアップをめざすにはどのような方法があるでしょうか。
専門領域を極める、管理職になる、転職するなど、いくつかの方法があります。
専門領域を極める
専門性がある仕事に就いている場合は、他のジャンルをめざそうとせず、その道を極めるのが王道です。
職種の最新情報を把握して関連資格を取得することなどで専門性を高めると同時に、その分野で責任のある仕事の経験を積極的に積み、スペシャリストとしての道を切り開くことが可能になります。
得意分野で力を発揮してその分野のプロとして認められれば、キャリアアップのチャンスがさらに広がるでしょう。
管理職になる
働く女性が理想のキャリアを実現するには、女性管理職をめざすことも非常に有効かつ重要な選択肢の一つです。
会社の方針決定に関われる立場になることで、自分のキャリアビジョンを実現できる可能性と選択肢が増えるでしょう。
政府は女性の管理職を増やすことを奨励しており、えるぼし認定企業の増加 とともに、女性管理職をめざせる職場が広がっていることから、以前と比べて全体に占める女性管理職の割合は増えてきています。
転職する
女性のキャリアアップ支援に積極的な企業もあれば、逆に消極的な企業もあります。
現在の職場で望むキャリアの実現が難しそうであれば、転職も視野に入れましょう。
現在の職場が女性のキャリア形成や多様な働き方に消極的なのであれば、男女間のキャリア差が比較的小さな企業へ転職することをおすすめします。
自分のキャリアビジョンを実現できる環境を求めて、積極的に動くことが大切です。
ただし、現在の職場に対する不満に対処する方法は転職だけではありません。
現状では社内でのキャリアアップが難しいと感じる場合でも、人事や経営幹部が女性管理職を育てたいと考えている場合もあります。
まずは上司に相談したり、経営層に進言したりして自ら社内キャリアパスを開拓するという道も探ってみましょう。
転職するのはそれからでも遅くはありません。
女性がキャリアアップを実現するためのプラン
自分が進みたいキャリアアップの方法がわかったら、次は自分の状況に合わせたプランを立てましょう。
仕事に集中したい場合や、仕事と家庭の両立をめざす場合など、状況に適したプランを考えることが重要です。
仕事に集中したい場合
ライフステージに影響されずに仕事に集中してキャリアアップをめざしたい場合、専門性を高める方法が有効でしょう。
自分の得意分野のスキルを磨き、その分野のスペシャリストとして認められることを目標とします。
また、管理職をめざしてマネジメントスキルを学ぶことを視野に入れても良いかもしれません。
将来に必要なスキルを身につけるためのリスキリングや、社会人大学や大学院で新しい知識を得ることも選択肢になるでしょう。
仕事と家庭を両立して働く場合
仕事と家庭を両立させながら働き続けたい場合は、環境が整った業種や職場を選択する必要があります。
在籍している会社で育児休暇や時短勤務、フレックスタイム制やリモートワークなど、柔軟な働き方に対応している場合は、積極的に活用しましょう。
両立のハードルを下げることで、キャリアアップに向けて動きやすくなるはずです。
子育てに注力しながら働く場合
出産を機に退職し、子育てに注力しながら可能な範囲で働きたい場合は、派遣社員やパートタイムなどの働き方を選ぶのも一つの方法です。
産休育休制度をどのように活用するか、家庭内で話し合い、会社とも相談しましょう。
長時間の拘束は育児の妨げになりやすいため、契約社員やパート・アルバイト、業務委託といった、時間の融通が利く雇用形態へ切り替えることをおすすめします。
現時点では子育てとの両立を優先しつつ、将来的なキャリアアップの道を模索していきましょう。
女性がキャリアアップを成功させるためのポイント
女性がキャリアアップを成功させるには、以下のポイントを押さえておく必要があります。
- 理想のキャリアを明確にする
- 将来的なライフイベントを予測する
- アクションプランを作成する
理想のキャリアを明確にする
「昇進したい」「フレキシブルに働きたい」など、人それぞれで理想のキャリアが異なります。
まずは自分が進むべき方向を明らかにしましょう。
5年後、10年後、20年後といった長期的な目線で、なるべく具体的に計画することが大切です。
自分のキャリアビジョンが明確になることによって、目標に向かって着実に歩みを進められるでしょう。
キャリアビジョンは、一度描いたらそれで終わりではなく、今後変わる可能性もあることを前提で考えます。
今は世情が変わるスピードが速いため、1、2年単位で自分のキャリアビジョンを見直すつもりで描いても良いでしょう。
将来的なライフイベントを予測する
女性がフルタイムの仕事と家庭を両立させるのは難しいケースもあるため、ライフイベントのタイミングによって、キャリアの進め方が変わってきます。
結婚や出産をするつもりか、引越しの予定はあるかなど、将来的なライフイベントを考慮に入れてキャリアプランを立てましょう。
人生の節目でキャリアプランを柔軟に変更できるよう、あらかじめ準備をしておくことが重要です。
アクションプランを作成する
女性がキャリアアップを考える際は、理想の働き方を参考に、アクションプランを作成することが重要です。
どのような仕事をしていたいか、どのようなポジションに就いていたいかなど、時期ごとに具体的な行動計画を考えておきましょう。
将来像をイメージして、そこに至るまでのステップを明確にすることで、着実にキャリアアップへの道を歩めるはずです。
女性がキャリアアップをめざす際に注意すべきこと
キャリアアップをめざす女性が注意すべきこととして、以下の3つが挙げられます。
- 仕事に対する認識をパートナーとすり合わせておく
- ロールモデルを探しておく
- キャリアカウンセリングを受けておく
仕事に対する認識をパートナーとすり合わせておく
昇進をめざして働きたい、仕事と育児を両立させたいなど、自身が理想とする働き方をパートナーに伝えておくことが大切です。
特に結婚している場合は、互いが理想とするキャリアプランについてパートナーと話し合い、認識をすり合わせておきましょう。
パートナーの理解と協力があれば、キャリアアップへの道のりはよりスムーズになるはずです。
ロールモデルを探しておく
女性が自分のキャリアを考える際には、ロールモデルを持つことでキャリアビジョンを具体的にイメージでき、方向性を決めやすくなるでしょう。
働くうえでお手本となるロールモデルを設定すると、理想的なキャリアを実現するために何が必要かが明確になります。
自分のめざすべき姿を具体的に想像できれば、そこに近づくための行動も取りやすくなります。
ロールモデルを持つ場合の注意点として、ロールモデルはあくまでも参考にするだけにしましょう。
どんなに素晴らしいロールモデルが見つかっても、自分とその人とは別人です。
ロールモデルと自分を比較しすぎて執着すると、自信を失ったり自分らしさをなくしてしまったりする恐れがありますので、注意しましょう。
キャリアカウンセリングを受けておく
キャリアだけでなく、結婚や出産、育児といった女性特有の働き方に関する問題も専門家に相談できます。
キャリアアップやワークライフバランスといった中長期的な悩みを解決したいのであれば、女性のキャリアサポートを得意とするカウンセラーに相談する方法も良いでしょう。
客観的な視点からアドバイスを受けることで、新たな気付きが得られるはずです。
女性がキャリアアップをめざす方法を具体的に考えてみよう
女性がキャリアアップをめざすには、専門領域を極める、管理職になる、転職するといった方法があります。
また、キャリアアップを成功させるためには、理想のキャリアを明確にしたり、将来的なライフイベントを見据えたりすることがポイントです。
女性特有の事情を考慮する必要はあるものの、工夫次第でキャリアアップは十分に可能なのです。
キャリアアップの道は一つではありません。
人生100年時代なのですから、キャリア変更はいつでもできる、と思いながら理想のキャリアアップをめざしてください。