正社員の給与形態は、月給制や年俸制であるケースが一般的です。
では正社員の方がこれらの形で受け取っている給与額を時給換算した場合、いくらになるのでしょうか。
また、自身の時給換算額と正社員の平均額にどのくらいの差があるのかも気になります。
本記事では、正社員の給与を時給換算するために必要な情報と、具体的な計算方法を解説しています。
時給換算した結果、最低賃金を下回っていた場合の対処法についても見てみましょう。
目次
正社員の給料を時間換算する方法
正社員の月給を時給換算するには、いくつかの情報を集めておく必要があります。
計算方法自体はそれほど難しくないため、まずは情報集めから取りかかってみましょう。
時給換算するときに必要な情報
時給換算する際に必要となる情報は、以下の4つです。
- 基本給
- 時給換算で除外する各手当の金額
- 年間の所定労働日数
- 1日の所定労働時間
これらの情報は、毎月の給与明細や源泉徴収票に記載されています。
時給換算で除外する正社員の各手当に該当するものは、以下の6つです。
- 精勤手当、皆勤手当
- 家族手当
- 通勤手当
- 時間外勤務手当
- 休日出勤手当
- 深夜勤務手当
手当以外に、臨時で発生する賃金や賞与も除外します。
これらが確認できたら、計算に移っていきましょう。
時給換算するための計算方法
正社員の時給換算の計算方法は、次の4ステップです。
- 基本給-除外する各手当の金額
- 1で出た金額×12
- 2で出た金額÷1年間の所定労働日数
- 3で出た金額÷所定労働時間
例を挙げて見てみましょう。
【例】
- 基本給……220,000円
- 除外する各手当の金額……32,000円
- 年間の所定労働日数……244日
- 1日の所定労働時間……8時間
- 220,000-32,000=188,000
- 188,000×12=2,256,000
- 2,256,00÷244=9,246
- 9,246÷8=1,156
この場合、時給換算すると約1,156円ということになります。
給料を時給換算したときに確認しておくと良いこと
給料を時給換算できたら、次の2点を確認してみましょう。
- 最低賃金を下回っていないか
- 平均よりも金額が低くないか
それぞれ詳しく解説します。
最低賃金を下回っていないか
まずは、時給換算した金額が最低賃金を下回っていないかチェックしましょう。
最低賃金を下回っている場合、最低賃金法と労働基準法の定めるところにより、違法と判断できるためです。
最低賃金には2種類あります。
- 地域別最低賃金
- 特定最低賃金
地域別最低賃金とは、地域ごとに定められた最低賃金のことです。
特定最低賃金は、特定産業に従事する人にあてはまり、地域別最低賃金と比較して高めに設定してあります。
月給の額面は十分であっても、残業が多かったり休日出勤があったりと勤務時間が長い職場では、最低賃金を下回っているケースも珍しくありません。
この機会にしっかり確認しておきましょう。
最低賃金を下回っていたときの対処法
時給換算した結果最低賃金を下回っていた場合、会社側との話し合いが必要です。
人事制度を確認のうえで、昇給を打診してみるのも一案といえます。
話をしたうえで何も変化が見受けられない場合は、お近くの労働基準監督署へ相談してみてください。
ただし上述のとおり最低賃金を下回ることは違法でも、労働基準監督署からのサポートを仰ぐには証拠の準備が必要になるほか、解決までに時間もかかります。
その後の働きづらさも考えると、より給与が高い職場への転職も検討して良いでしょう。
平均よりも金額が低くないか
自身の時給換算額が最低賃金は超えていたものの、正社員の平均額より安い場合にも注意が必要です。
給与が低い原因の一つに、会社の利益が十分ではないことが考えられます。
会社の利益が出ない限り、従業員に給与として還元することはできません。
一時的な経営難であれば状況は良くなるかもしれませんが、従業員のがんばりと給料が見合っていない会社は、昇給しても大幅に上がる見込みは少ないでしょう。
もし問題なく利益が出ている会社で働いているにもかかわらず給与が低い場合は、自分の持っているスキルを十分に活かせていない可能性もあります。
場合によっては、より自分の強みを発揮しやすい企業への転職も視野に入れて良いかもしれません。
平均時給は1,300円~2,000円台
正社員の給与を時給換算した平均額は、年代別にみると1,300円~2,500円ほどです。
厚生労働省が発表した「令和2年度版 厚生労働白書」によると、20~24歳の正社員・正職員の平均時給換算額は約1,300円、40代からは2,000円を超え、50代は2,500円弱でした。
ただし地域や業種、企業の規模によって差があるほか、専門性の高い仕事やマネジメントに関わる役職になるとさらに時給は上がるでしょう。
全国平均は年代によって差があり、1,300円〜2,500円ほどです。
これらと比較して大幅な差がある場合、キャリアアップのために資格の取得をめざすのも一つの方法といえます。
自分の市場価値や同業種の相場とも比較する
時給という数字だけで給与の良し悪しを判断するのではなく、自分の市場価値や同業種の相場とのバランスも確認してみましょう。
業種別の平均給与や性別・年代別の平均年収は、インターネットで調べることが可能です。
また転職サイトでは、今の自分のスキル・経験に見合った企業を探せます。
サイト上でおすすめされた企業の傾向から、自分の市場価値を判断できるでしょう。
これらの相場と比較して自身の時給換算額が低かった場合、先述のとおり企業の売り上げや業績があまり良くない可能性もあります。
給与が上がるのをただ待つよりは、昇給してほしい旨を会社に相談する、もしくは副業や転職の選択肢も視野に入れてみてください。
正社員の給与を時給換算し、自分の市場価値と見合っているか確認しよう
正社員の給与を時給換算するために必要な情報は、給与明細や源泉徴収票から確認できます。
計算の結果、最低賃金や同年代の平均と比べてどれだけ差があるのか確認してみましょう。
このとき、最低賃金を下回っていないかや、自分の市場価値に見合った給与をきちんと得られているかを正確に判断することが大切です。
明らかに給与が低かった場合、現状を維持することにはリスクがあるかもしれません。
年齢が上がるほど転職のハードルは高くなりやすいため、昇給が見込めない場合は早めに行動へ移すことをおすすめします。