就職活動をする際、正規雇用以外にも非正規雇用での働き方があると知り、どちらが自分に合っているのか悩んだことがある人も少なくないでしょう。
子育て中の方や、プライベートを重視している方は、特にぶつかったことのある悩みだと思います。
非正規雇用は全体の何割なのか、非正規雇用と正規雇用の割合はどのくらいなのか、非正規雇用が選ばれている理由にはどのようなものがあるのかなどを、以下で解説していきます。
ぜひ最後までお読みください。
目次
非正規雇用の割合は?
日本の労働者における非正規雇用の割合は、全体の約4割を占めています。
また非正規雇用は年々増加傾向にあり、その理由として「自分の都合のよい時間に働きたいから」という意見があり、プライベートを重視する方などに選ばれています。
詳細を以下で解説します。
非正規雇用の割合は37.2%
総務省の労働力調査(詳細集計)2023年(令和5年)1~3月期平均の結果では、役員を除く雇用者のうち、非正規雇用の割合は37.2%とされています。
以下の表にそれぞれの人数を示しますので、ご確認ください。
全体 (割合%) |
5,680万人 (100) |
男性 | 3,003万人 (52.9) |
女性 | 2,677万人 (47.1) |
||
正規雇用 | 3,568万人 (62.8) |
男性 | 2,329万人 (65.3) |
女性 | 1,239万人 (34.7) |
||
非正規雇用 | 2,112万人 (37.2) |
男性 | 675万人 (32) |
女性 | 1,437万人 (68) |
非正規雇用は男女別でみると、男性が675万人、女性が1,437万人と、7割近くを女性が占めています。
非正規雇用は増えている?割合の推移は?
正規の職員・従業員は3,568万人と前年同時期と同水準ですが、非正規の職員・従業員は前年より39万人増加しています。
この非正規雇用の増加は5期連続です。
労働者全体での非正規雇用の割合は上記で示したとおり37.2%であり、これも3期連続の増加を示しています。
非正規雇用が年々増えている理由は?
「自分の都合のよい時間に働きたいから」という理由で、非正規雇用を選ぶ方が増えています。
労働力調査(詳 細 集 計)の「非正規の職員・従業員についた主な理由」の調査では、2023年1~3月期にこの理由を回答した方は692万人(33.9%)と、前年同期に比べ36万人増加しています。
また、他の理由の同年前期からの増減は以下のとおりです。
- 「家計の補助・学費等を得たいから」367万人(18.0%):33万人の減少
- 「家事・育児・介護等と両立しやすいから」225万人(11.0%):18万人増加
- 「正規の職員・従業員の仕事がないから」が211万人(10.3%):8万人増加
家計の補助や学費を得るために非正規雇用を選ぶ方は年々減少傾向にありますが、自分の都合のよい時間に働くために選択する人は上昇しています。
日本の非正規雇用の内訳
非正規雇用の内訳では、サービス業の仕事が最も多いです。
職種の割合や、非正規雇用を選ぶ男女別の理由、正社員を希望する人の割合などを解説します。
サービス業が最も高い
厚生労働省による平成15年就業形態の多様化に関する総合実態調査では、非正規雇用の割合が最も多い業種は、非正規雇用全体のうち66.6%を占めるサービス業です。
次いで多いのが56.6%の生産工程・労務の仕事、保安の仕事の56.1%です。
また、契約社員のうち72%が専門的・技術的な仕事、嘱託職員のうち26.3%が事務的な仕事、派遣労働者のうち65.9%が事務的な仕事をしています。
また、上記のように非正規雇用とひと口にいっても、派遣社員や契約社員、パート・アルバイトや業務委託など、雇用形態にも多くの種類があります。
非正規雇用は働き方を選びやすく、自分の生活スタイルに合った働き方を見つけることができるといえるでしょう。
非正規雇用を選ぶ理由は男女で大きく異なる
非正規の職員・従業員についた主な理由 | 男女計 | 男 | 女 | |||
実数 | 割合 | 実数 | 割合 | 実数 | 割合 | |
自分の都合のよい時間に働きたいから | 692万人 | 33.9% | 198万人 | 30.8% | 494万人 | 35.3% |
家計の補助・学費等を得たいから | 367万人 | 18.0% | 75万人 | 11.7% | 292万人 | 20.9% |
家事・育児・介護等と両立しやすいから | 225万人 | 11.0% | 5万人 | 0.8% | 220万人 | 15.7% |
通勤時間が短いから | 112万人 | 5.5% | 31万人 | 4.8% | 81万人 | 5.8% |
専門的な技能等をいかせるから | 162万人 | 7.9% | 81万人 | 12.6% | 101万人 | 7.2% |
正規の職員・従業員の仕事がないから | 211万人 | 10.3% | 110万人 | 17.1% | 131万人 | 9.4% |
その他 | 273万人 | 13.4% | 142万人 | 22.1% | 131万人 | 9.4% |
総務省統計局労働力調査(詳細集計)によると、非正規雇用を選択した主な理由に「自分の都合のよい時間に働きたいから」と答えた方が全体の33.9%(692万人)を占めています。
次いで「家計の補助・学費等を得たいから」とした方が18.0%(367万人)、「家事・育児・介護等と両立しやすいから」とした方が11.0%(225万人)です。
男女別でみると、男女ともに第1位は「自分の都合のよい時間に働きたいから」でしたが、第2位からは女性は「家計の補助・学費等を得たいから」、男性は「正規の職員・従業員の仕事がないから」と性別で差があります。
正規雇用を希望する非正規雇用の比率は?
厚生労働省の令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査によると、正社員として働ける機会がなかったために、正社員以外で働いていると答えた方は12.8%で、前回の調査(平成26年)の18.2%より5.4%減少しています。
今後も現在の会社や他の会社で働きたいとする方は85.6%いました。
そのうち、正社員に変わりたいと思っていると答えた方は、26.7%です。
また、現在の就業形態を続けたいと答えた方は64.9%いることから、あえて非正規雇用を選択している人もいると考えられます。
非正規雇用の割合を踏まえたうえで自分に合う働き方を考えよう
自分の都合が良い時間に仕事をするために非正規雇用を選択している人も多い現状があります。
非正規雇用全体ではサービス業が多いですが、就業形態別にみるとそれぞれ就業している職種の割合は異なります。
社会人の非正規雇用の割合を踏まえたうえで、自分の生活スタイルに合った働き方を選びましょう。