「退職証明書ってなに?」
「退職証明書はどこで手に入るのか知りたい」
退職証明書について、上記のような疑問を抱いたことのある人もいるでしょう。
退職証明書は退職した会社が発行する書類で、転職活動のなかで提出を求められることがあります。
この記事では、退職証明書の概要や必要なタイミング、記載されている内容について解説しています。
目次
退職証明書とはどのような書類?
退職証明書は会社が作成する書類で、「この人は間違いなく当社を退職している」と証明するものです。
離職票とは違い、公的な文書ではありません。
転職先の会社から提出を求められ、初めてその存在を知る人も少なくないでしょう。
また、転職しても提出を求められないケースもあります。
転職経験がない人や、提出を求められたことのない人にとっては、名前を聞く機会も少ない書類です。
提出を求められた場合は、以前働いていた会社に急遽連絡するケースも多いです。
退職証明書はどこでもらえる?
退職証明書は以前働いていた会社に請求し、作成してもらいます。
会社が必ず渡さなければならない書類ではなく、申請があった際に渡す書類なので、退職者が申請しなければもらえません。
注意点は以下の2つです。
- 請求する前に記載内容を決めておく
- 作成してもらえるのは退職してから2年以内
のちほど解説しますが、退職証明書の記載内容は退職者が決められます。
請求手続きをスムーズに進めるため、記載内容は事前に決めておきましょう。
書類を作成してもらえるのは、退職してから2年以内です。
退職後すぐに転職せず、2年以上経過してから転職活動をする場合は、退職証明書が作成できないことを転職先に伝えておきましょう。
退職証明書はいつ必要?
退職証明書は、以下のタイミングで必要です。
- 転職先の会社から提出を要請されたとき
- 国民健康保険の手続きのとき
退職証明書を何に使うのかは、こちらの記事でも詳しく説明しています。
転職先の会社から提出を要請されたとき
転職先の会社から退職証明書の提出を要請される場合があります。
採用試験における履歴書や職務経歴書、面接の内容に間違いがないかを確認するためです。
会社は、採用試験の段階では、転職者本人が提出した書類と本人の発言を信じるしかありません。
実際に入社してから面接での受け答えや、履歴書職務経歴書の内容が嘘だとわかっても、取り返しがつかないのです。
入社するタイミングでの退職証明書の提出は、自分の身の潔白を証明するためでもあります。
国民健康保険の手続きのとき
退職後、国民健康保険に加入する際には、退職日のわかる書類を提出する必要があります。
退職日のわかる書類としては、健康保険資格喪失証明書が一般的ですが、自治体によっては離職票や退職証明書でも手続きが可能です。
以下に一例を挙げます。
- 江戸川区:扶養しているご家族がいなければ退職証明書で手続き可能
- 福岡市:健康保険等資格喪失証明書でなければ手続きできない
- 名古屋市:退職後の手続きは退職証明書で可能
国民健康保険の手続きをする際は、自分が住んでいる自治体のホームページを確認して書類の準備をしてください。
退職証明書の記載事項
退職証明書に記載する内容は、労働基準法第22条で以下の5項目が規定されています。
- 使用期間
- 業務の種類
- 地位
- 賃金
- 退職理由
上記の項目以外にも退職者が望めば項目を追加可能ですし、上記のうち指定した項目を除外できます。
例えば使用期間中の遅刻が一度もないことや、営業部で最高売上を出した実績など、アピールできる項目があれば、事実の裏付けができるので追記すると良いでしょう。
ただし、会社側が勝手に項目を変更することはできません。
労働基準法では、退職証明書の内容の記載内容は、退職者に決定権があるとしています。
退職証明書に関するよくある質問
退職証明書に関するよくある質問と、その回答を紹介します。
- 退職証明書の代わりになるものはありますか?
- 退職証明書がもらえない場合の対処法は?
- 退職証明書はいつもらえますか?
- 退職証明書で失業保険の申請はできますか?
順番に紹介していきます。
退職証明書の代わりになるものはありますか?
退職証明書の代わりになる書類は、離職票です。
退職した日が記載されているため、国民健康保険の加入手続きに使用できます。
離職票はハローワークが作成する公的な文書です。
会社がハローワークに作成を依頼し、会社経由で退職者に届きます。
離職票に記載されている内容は、以下のとおりです。
- 被保険者番号
- 資格取得年月日
- 退職年月日
- 退職理由
- 資格喪失原因
- 氏名
- 事業所名
- 個人番号
離職票が請求できるのは、離職した翌々日から10日以内です。
「翌々日から10日以内」の期日は、退職した会社からハローワークへ提出できる期限なので、書類の準備などを含めると1週間程度と考えておくと良いでしょう。
退職時に離職票が必要か不明な場合は、ひとまず申請しておくことをおすすめします。
期限が過ぎたあとに必要とわかっても、請求ができないからです。
退職証明書がもらえない場合の対処法は?
退職した会社に退職証明書を作成してもらえないときは、以下の2点の対処法があります。
- 退職証明書の作成は法律で定められていると伝える
- 管轄の労働基準監督署へ相談する
退職証明書の作成は労働基準法第22条で定められており、会社が作成しない場合は罰則が適用されます。
上記の内容を伝えれば、多くの場合は作成してくれるでしょう。
それでも拒否された場合は、管轄の労働基準監督署へ相談してください。
管轄の労働基準監督署の場所がわからない場合は厚生労働省のホームページを確認してみましょう。
退職証明書がもらえない場合の対処法は、こちらでも詳しく解説しています。
退職証明書はいつもらえますか?
労働基準法には、退職証明書の作成は「遅滞なく」としか書かれていないため、具体的な日数はわかりません。
会社によっては即日作成してくれるかもしれませんし、1週間かかるかもしれません。
企業は、退職者からの申請がなければ退職証明書を発行する義務はないため、必要な場合は退職者が早めに会社に申請する必要があります。
また、退職証明書は退職を証明する書類なので、基本的には退職時に請求しますが、解雇で退職する場合に限り在職中に請求ができます。
できるだけ早く退職証明書を手に入れたい方は、忘れずに会社へ申請しておきましょう。
退職証明書で失業保険の申請はできますか?
失業保険は離職票で申請するため、退職証明書ではできません。
退職証明書は公的な書類ではないからです。
退職証明書の作成元は会社ですが、離職票は公的機関のハローワークが作成元となります。
失業保険の申請が必要な方は、退職時に離職票の申請手続きを忘れないようにしましょう。
退職証明書は必要なときに退職した会社へ請求しよう
退職証明書は以前働いていた会社に請求し、作成してもらいます。
退職時に必ず受け取れる書類ではないので、必要になった際に退職者自ら申請する必要があります。
用途は以下の2つです。
- 転職先の会社から提出を求められたとき
- 国民健康保険の手続きのとき
退職証明書がいつ受け取れるかは、会社の担当者次第なのではっきりとはわかりません。
早く欲しい場合は、担当者に事情を説明し、可能な限り急いでもらいましょう。