就職活動を行う際に頻繁に聞かれる自己PRとガクチカですが、いざESを準備しようとすると同じような内容になってしまったり、何を書けば良いのかわからなかったりと悩んでしまうことも多いと思います。
採用担当者が自己PRとガクチカを通じて知りたいことは、それぞれ別のことです。
そういった点を意識してまとめることが面接官への上手なアピールにつながります。
今回の記事では、自己PRとガクチカの違いを説明していきます。
そのうえで、それぞれのアピール法を解説するので、これから就職活動を控えている人はぜひ参考にして面接の準備をしてください。
目次
自己PRとガクチカの違い
まずは、企業側が自己PRとガクチカをどのようなものととらえているかを確認しましょう。
自己PR
- 自分の長所をアピールし自身を企業に売り込むためのもの
- 自分を採用すると企業にどういったメリットがあるのかを具体的に伝える
ガクチカ
- 「学生時代に力を入れたこと」の略称
- 自身が今まで何に力を注いできたのか、またその経験を通して学んだことや価値観を企業にアピール
企業に自分自身をアピールする点ではどちらも同じです。
しかし、観点が異なるため、答え方やアピールの仕方などにも違いが生まれます。
両者の違いを具体的に見ていきましょう。
質問の意図が異なる
自己PRもガクチカも、どちらも採用の有無を決定するために聞かれるという点においては同じですが、企業側が知ろうとしていることは異なります。
質問の意図を正確に理解して、答える内容を分けておく必要があるでしょう。
【自己PR】会社への貢献度を知りたい
採用担当者が自己PRを求めるのは、会社への貢献可能性を知り、自社にとって採用するメリットのある人物かどうかを判断するためです。
自己PR内容から応募者の人物像や雰囲気、強みなどを把握し、「社風に合っている人間か?」「長く働いてくれそうか?」「一緒に働きたいか?」といった視点で採用を検討していきます。
【ガクチカ】論理的思考力や仕事に取り組む姿をイメージしたい
対して、採用担当者がガクチカを聞くのは、論理的思考力の有無や仕事に取り組む姿勢を見極めるためです。
面接官は学生時代に頑張ったエピソードを具体的に聞くことで、物事に対する姿勢や考え方、価値観を把握します。
さらに、今後自社で働くとなった際にどのように成長していけるのか、また困難に直面したときに乗り越えていけるのかを判断しようとします。
アピール内容が異なる
先述したとおり、自己PRとガクチカでは、質問の意図が異なるため、返答内容も質問の意図に沿ったものにしなければなりません。
それぞれどうアピールするのが良いのかを見ていきましょう。
【自己PR】自分を採用するメリットをアピールする
自己PRは自分自身を採用するメリットをアピールするものです。
自分自身の今までの実績や能力が、会社でどう活かせるのかを中心に説明していきましょう。
企業によって求める人物像は異なります。
応募者のアピール内容が企業側の求めるものと近いとき、企業側は関心を示します。
志望の企業がどういった人材を求めているのか、事前に把握しておくと良いでしょう。
【ガクチカ】価値観をアピールする
ガクチカでは、学生時代に頑張ったエピソードを紹介し、そこから何を学び、どういった価値観を身につけたかをアピールしましょう。
ただ単に頑張ったことをアピールするだけで終えてはいけません。
企業側が知りたいのは、頑張ったエピソードの内容よりも、一つひとつの課題をどう解決していったのかのプロセスです。
問題をどうとらえて、いかに処理したかを順序立てて説明しましょう。
ガクチカは、論理的思考力や課題解決能力と、入社後も成長する潜在的な能力をアピールする機会です。
伝え方が異なる
自己PRとガクチカでは、論法を変えて記載しましょう。
アピール内容に合わせ、それぞれのアピールが伝わるように記載します。
よく使われる形式に沿ったものが読みやすく、理解してもらいやすくなります。
【自己PR】PREP法
自己PRは、PREP法で記載しましょう。
自分の伝えたい結論を強調しつつ、わかりやすく説明できるからです。
PREP法は、結論を先に記載する方法で、以下の構成で成り立っています。
P(Point):結論
自己PRでは、まずPRしたい内容を冒頭に記載しましょう。
R(Reason):理由
結論に至る理由を記載します。
例えば、今回の自己PR内容が「仕事の正確さ」であれば、「私の職場では、一つのミスや間違いが重大な事故につながってしまうことがあります。」などと補足するのが良いでしょう。
これにより、PR内容の背景を簡単に伝えることができます。
E(Example):具体例
自己PRを発揮して成功した具体例を記載します。
P(Point):結論
最後にもう一度自己PRしたい内容を記載していきましょう。
最初に話したことを単に繰り返すのではなく、自分の長所が入社後にどのような形で活かせるのか具体的に提示して締め括ります。
【ガクチカ】 STAR法
ガクチカは、STAR法で記載しましょう。
今までの困難な経験や頑張ったことのなかで、課題解決のために取った行動や考えを整理して伝えるようなケースによく使われる形式だからです。
面接官に論理的思考力や考え方、価値観をアピールできます。
STAR法は以下のように構成します。
S(Situation):概要や状況
学生時代に頑張ったことをまず記載しましょう。
T(Target&Task):課題や目標
なぜそれに取り組もうと考えたのか理由を記載するとともに、頑張った経験のなかで何を課題にし、どういった目標を立てて取り組んだのかを具体的に記載していきましょう。
A(Action):行動
上述の課題に対し、取った行動や処置を記載します。
ただ実行したことを説明するのではなく、実行に至る自身の考えや創意工夫した点も含め、自分自身の価値観や考え方がわかるようにするとより効果的です。
R(Result):結果
行動を起こした結果を記載しましょう。
数字で具体的に示すことができる場合は、積極的に客観的な指標を使って説得力を高めていきましょう。
また、結果とともにそこから学んだこと、その経験をどう入社後に活かすかという抱負も添えると一層充実したものになります。
自己PRとガクチカは違いを意識して書くほうが望ましい
先述したように、自己PRとガクチカでは異なるので、それぞれ別のエピソードを用意して、違いを意識しつつ記載するのが望ましいでしょう。
しかし、ESを準備している人のなかには、どうしても複数のエピソードが思い浮かばない人もいるかもしれません。
エピソードによっては、一つのエピソードで自己PRとガクチカの両方に使える場合もあります。
ここでは、自己PRとガクチカのエピソードが同じでも構わない場合と好ましくない場合に分けて説明します。
自己PRとガクチカが同じで良いケース
自己PR用とガクチカ用に異なる角度で切り取れる場合は、同じエピソードを使用しても特に問題はありません。
アルバイトのエピソードを使用した自己PRとガクチカの例文を見てみましょう。
私には、相手の立場を考えて受け入れる多様性があります。
私は仕事をしていくなかで、一つのことに対しても人によって考えは異なるため、まずはさまざまな人の意見に耳を傾けることが大切だと考えています。
学生時代は、新生活サポートを大学生向けに行うアルバイトに打ち込み、家具・家電部門リーダーとして、活動していました。
そこで特に力を入れたことが新人の育成です。
最初は、異なる価値観を受け入れ、いかにモチベーションを高く維持させるかを課題にしていました。
その後、一人ひとりの長所を見つけ活かすことが必要だと考え、業務後の振り返りなどで積極的にコミュニケーションを取るようにしました。
結果、一人ひとりの信頼を得ることができるようになったと思っています。
私としても、働いている人の状況を正確に把握できるようになりました。
この経験を踏まえ、私は貴社に入社したあとも、さまざまな立場の人と綿密にコミュニケーションを取り、相手の立場を理解して仕事をしていきたいと考えています。
私が学生時代に頑張ったことは、新生活サポートを大学生向けに行うアルバイトです。
私は家具・家電部門リーダーとして、5,400万円の売り上げ目標を掲げて働いていました。
やがて仕事のマニュアルが曖昧なため、新人アルバイトがなかなか仕事を覚えられず、教える側も迷ってしまうことが多いことに気付きました。
これは克服しなければならない課題だと思い、試みたのが新人アルバイト研修と営業マニュアル改定です。
残念ながら、年度の売り上げは伸びず、目標の5,400万円には届きませんでした。
しかし、私たちの経験を次のリーダーに引き継いだ結果、次年度には100万円ほど売り上げが上昇したと聞いています。
この経験から、私は課題解決能力を身につけました。
貴社に入社した際もこの経験を踏まえ、これからの仕事のなかで困難な状況になったときも冷静に今の状況を振り返り、出てきた課題に対して適切にアプローチしていきたいと考えております。
自己PRとガクチカが同じだと良くないケース
一方で、自己PRとガクチカがエピソードだけでなく、アピール内容も同じ内容になってしまうことは避けましょう。
伝え方を変えようとしてもアピール内容が同じでは、採用担当者も「また同じ内容か」と感じてしまいます。
どちらも自分のことを会社にアピールできる機会となるので、この機会を存分に発揮していきましょう。
自己PRとガクチカの違いを意識してアピールしよう
自己PRとガクチカの違いを意識して記載することは、内定を勝ち取るための重要なポイントです。
上手にわかりやすく自分自身の魅力をアピールしていきましょう。
話題がいくつも思いつかないときは、企業の情報収集をしてみたり、友人やご家族などと今までの経験を話したりしながら、エピソードを探していくことも有効でしょう。