50代で転職を考えても、現実は厳しいのではないかと考える方もいるでしょう。
たしかに年齢が上がるにつれて、求人数の少なさや採用率の低さなどの壁にぶつかるかもしれません。
しかし近年50代男性の転職率は上昇傾向にあり、コツを押さえて適切な対策を行えば、転職成功につながる可能性は十分あります。
本記事では、50代男性が直面する転職市場の実態や成功へ導くコツ、転職しやすい職種などをご紹介します。
目次
50代男性の転職市場の現実
50代男性を取り巻く転職状況や、完全失業率の実態を詳しくご紹介します。
実際の転職の現状と傾向を理解することで、成功への戦略を立てやすくなるでしょう。
50代男性の転職率は上昇傾向
令和2年~令和4年の50代男性の転職入職率(%)
50代前半 | 50代後半 | |
令和2年 | 4.2 | 5.0 |
令和3年 | 4.6 | 5.2 |
令和4年 | 5.1 | 5.7 |
出典:-令和2年雇用動向調査結果の概況-
-令和3年雇用動向調査結果の概況-
-令和4年雇用動向調査結果の概況-
過去3年間の厚生労働省のデータ(雇用動向調査結果の概況)を比較してみると、50代男性の転職率は上昇しています。
令和2年から令和4年にかけて、50代前半で0.9%、50代後半で0.7%の上昇率です。
これは企業が年齢を重要視せず、能力や適性を評価する流れがあることを示していると考えられます。
さらに、50代後半のほうが50代前半に比べて、転職率が高いことがわかります。
このことから、年齢が上がるにつれて、キャリアやライフスタイルの変化に対する意識が高まっていると考えられるでしょう。
他年代との転職率の比較
令和4年の50代男性の転職率は、他の年代と比較するとやや低い水準です。
年代別に見てみると、20代後半の転職率が高く、その後は低下しています。
つまり、転職市場では若年層のほうが比較的有利です。
また、50代前半の転職率は5.1%で、全年代で最も低くなっています。
しかし一概に否定的な状況ともいえず、知識や経験を活かしつつ適切な対策を講じることで、年齢を強みとして転職を成功させることも不可能ではないでしょう。
50代男性の無職の割合
総務省の労働力調査によれば、令和4年の50代男性の完全失業率は、50代労働者全体に対して約2%でした。
男女比率は、男性4:女性3という結果です。
令和4年の50代の失業者数は約34万人でした。
令和2年よりも失業者数が多いものの、前年に比べると約3万人減少しています。
このデータから、50代の失業者数は新型コロナの影響で増加したものの、コロナ禍の収束により回復の兆しがあるといえるでしょう。
したがって、50代の転職者数も今後はさらに増加すると考えられます。
50代男性が転職する際の注意点
50代男性が転職を検討する際には、以下の3つの注意点があります。
- 求人数が少ない
- 人件費の高さや年齢を理由に採用を見送られることがある
- 収入が減少する可能性がある
一般的に、50代に向けた求人は数が限られており、希望の求人を見つけるのは難しいことがあります。
したがって、希望条件に幅を持たせ、応募できる求人数を増やすことが重要です。
50代の方は、多くの場合、高い給与を希望する傾向です。
しかし、同じ給与水準を維持する場合には、高い能力が求められます。
企業の予算や求めるレベルとの差が生じると、内定に至らない可能性もあり、自身の市場価値を正しく理解しておく必要があります。
また転職にともなって、収入が減少する可能性も考慮しておくべきです。
前職よりも収入が下がる場合は、生活水準を見直す必要があるかもしれません。
50代男性が転職を成功させるコツ
50代男性の転職を成功させるためには、以下の5つのコツを押さえておきましょう。
- 転職の理由を明確にする
- 今の仕事を続けながら転職活動を行う
- 経験や年齢を活かせる仕事を選択する
- 柔軟さや謙虚さを持ち合わせておく
- 手段にはこだわらず応募する
成功のコツを把握し、効果的な対策を行いましょう。
転職の理由を明確にする
50代男性が転職をうまく進めるためには、転職する理由を明確にしておきましょう。
明らかな目標があれば、転職の軸をぶらさずに活動でき、ミスマッチを防ぐことができます。
前にも述べましたが、条件にこだわり過ぎると応募先が限られてしまいます。
転職先に求める希望条件を定め、優先すべき点と妥協点を設定しておきましょう。
例えば、雇用形態・休日数・給与・仕事内容・社風などから、重視すべき点を見つけておくことが大切です。
今の仕事を続けながら転職活動を行う
50代の転職活動では、現在の仕事を続けながら転職先を探しましょう。
転職活動が長期化すると、収入が途絶えて貯金が減っていく焦りから、妥協して再就職先を選び転職を繰り返してしまう可能性があります。
また、無職の時期が長いほど企業側の評価が下がることがあり、意欲が低下してさらに活動期間が長引いてしまうかもしれません。
今の仕事と並行して転職活動を行うことで、安定した収入を保ちながら、焦らず適切な再就職先を見つけることができるでしょう。
経験や年齢を活かせる仕事を選択する
過去の経験や年齢を活かした仕事を探すことも、50代男性の転職では重要です。
実績やスキルを最大限に発揮できる仕事に応募すれば、採用の可能性が高まります。
自身の能力を効果的にアピールするためには、スキルの棚卸しと自己分析が不可欠です。
今まで培った経験をどう活かすのかを、具体的に伝えられる準備をしておくべきでしょう。
さらに即戦力を示す実績や成果を整理し、企業が求める人物像とのすり合わせを行っておくことも大切です。
柔軟さや謙虚さを持ち合わせておく
50代の転職では、柔軟性と謙虚さが必要不可欠です。
年齢を重ねると、自信過剰になることがあるかもしれません。
しかし、50代の転職においては、年下の上司や同僚が多くなることもあります。
見下した態度や、他人の意見を無視する姿勢では、新しい職場に適応するのが難しいでしょう。
年下の上司や同僚とも良好なコミュニケーションを取り、謙虚な態度を示すことが、成功のカギとなります。
手段にはこだわらず応募する
手段にこだわり過ぎず幅広く応募することも、50代の転職の際にはおすすめです。
求人選びにこだわり過ぎると、貴重な機会を逃す可能性があります。
幅広い人脈を利用して転職先を紹介してもらったり、転職サイトやエージェントに複数登録したりすると、選択肢が広がるでしょう。
フリーペーパーやハローワークの求人も徹底的にチェックし、応募先の幅を広げることで、転職成功の確率が高まります。
50代男性が未経験でも転職しやすい仕事
50代男性が未経験でも転職しやすい仕事のうち、以下の5つをご紹介します。
- 介護職
- 警備員
- ドライバー
- 営業職
- 清掃業
それぞれの仕事の特徴を知り、自分に合う仕事を見つけましょう。
介護職
50代が未経験でも再就職しやすい仕事に、介護職が挙げられます。
高齢化社会において需要が高まっており、資格なしで始めやすい職種です。
50代のスタッフも多いため、職場へも適応しやすいでしょう。
介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修であれば、働きながらでも資格を取得できます。
実務経験を積むことで、介護福祉士やケアマネジャーなどにキャリアアップも可能です。
体力に自信がある方や、人との関わりを大切にしたい方におすすめです。
警備員
警備員は、50代でも未経験から始めやすい仕事として人気があります。
平均年齢が高いため、50代未経験でも採用される可能性が高いです。
主に施設の警備や工事現場の交通誘導などを担当します。
警備員としての資格は必須ではありませんが、資格を取得しておくと転職に有利になるケースもあります。
資格取得を検討する場合、サポート体制が整っている企業もあるため、求人を選ぶ際に確認しておくと良いでしょう。
ドライバー
トラックドライバーやタクシー運転手も、50代男性におすすめの職業です。
どちらも自分のペースで働きやすく、中高年の転職希望者に人気があります。
トラック業界は、インターネット販売の拡大にともない需要が高まっており、小型トラックは普通自動車免許のみでも運転できます。
タクシー運転手の場合は、普通第二種免許が必要です。
企業によっては、免許取得の費用を補助する制度を採用しているところもあり、事前の確認をおすすめします。
営業職
他の業種と比べて未経験可の求人が多い職業に、営業職があります。
取引先や顧客に商品やサービスを提案し、売り上げに導くことが主な業務です。
営業職には、コミュニケーション能力や対応力・交渉力など、さまざまなスキルが求められます。
50代男性なら、これまで培った人生経験や社会人としてのスキルが活かしやすく、活躍できる可能性は高いでしょう。
成果が報酬や評価に反映されやすいため、やりがいを感じながら働けるケースが多いです。
清掃業
清掃業も、無資格や未経験でも50代男性が始めやすい仕事です。
オフィスや学校、病院などの施設の清掃を担当します。
スタッフの年齢層が高いことや、体力の負担が少ないことが特徴です。
また清掃作業は普段の生活で身についた習慣が活かせるため、覚えることも比較的少ないといえることから、年配の転職希望者に人気があります。
一人でもくもくと作業したい方や、適度に身体を動かして健康を維持したい方に向いているでしょう。
50代男性の転職に関するよくある質問と回答
企業は50代男性に何を求めるのでしょうか。
50代がマイペースに行えるのはどういった仕事なのか、気になる方もいるでしょう。
50代男性の転職に関する質問をまとめました。
50代労働者の月収は?
令和4年 50代労働者の月収
男性 | 女性 | |||
正社員 | 正社員以外 | 正社員 | 正社員以外 | |
50~54歳 | 42.1万円 | 24.1万円 | 30.7万円 | 20万円 |
55~59歳 | 43万円 | 24.7万円 | 31万円 | 19.9万円 |
厚生労働省の調査によれば、50代男性の収入は、正社員と正社員以外のいずれも女性よりも高い傾向にあります。
特に正社員の場合、男性は女性の約1.4倍の月収です。
また男性と女性の両方で、正社員は正社員以外よりも高収入を得ています。
年齢に注目すると、50代後半の労働者のほうが、50代前半よりも収入が多いです。
以上のことから、50代労働者の収入には、性別・年齢・雇用形態などによって差が生じているといえます。
企業が50代男性に求めることは?
企業が50代男性に求めることは、以下のとおりです。
- 豊富な経験とスキル
- マネジメント能力
- コミュニケーション能力
企業は50代男性に対して即戦力としての期待が高いため、経験やスキルが重要視されます。
また経験から得た豊かなコミュニケーション能力を活かして、部下の育成や指導などのリーダーシップを発揮できる人材も求められます。
これらの要素を自分の強みとしてアピールできるように、具体的な実績や経験を整理しておくことが大切です。
50代男性がマイペースに行える仕事は?
マイペースに働きたい50代男性におすすめの仕事は、次のとおりです。
- 軽作業
- マンションやオフィスビルの管理人
- 在宅ワーク
上記のような仕事はいずれも単独での作業が多く、体力の負担が比較的少ない点や、特別なスキルが求められない点が特徴です。
ライン作業や検品などの軽作業は、単純作業が苦にならない人に適しています。
在宅ワークには多様な仕事があり、データ入力やライティングなどが特に人気です。
パソコンとインターネット環境があれば始められ、通勤の必要がないのが魅力でしょう。
50代男性が転職するなら年齢を強みにとらえて活動を
50代男性が転職活動を進める際には、求人条件にこだわり過ぎず、自分のスキルや経験を最大限に活かせる仕事を見つけることが重要です。
50代に差しかかると、自己の経歴に自信を持ち、プライドを高く持つ方が多いかもしれません。
しかし、柔軟さと謙虚さを忘れないことが大切です。
年齢や役職に関係なく、どのような相手とも良好な関係を築くように心がけてください。
50代になるまでには、多くの人と関わることで、さまざまな能力が磨かれていきます。
年齢を重ねたからこそ培ったスキルと過去の実績をうまく伝え、即戦力であることをアピールすることが、転職成功のカギとなるでしょう。