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パートタイムの給与計算方法|ポイントや具体例をわかりやすく解説

この記事の監修者
山本 務
【資格】
特定社会保険労務士/AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/第一種衛生管理者
やまもと社会保険労務士事務所 代表

【プロフィール】
企業の情報システム、ならびに人事部門で28年の実務経験あり。クラウドソフトなどを推進している「システムのわかる社会保険労務士」です。
労働相談、人事労務管理、就業規則作成、給与計算が得意です。労働相談は、労働局での総合労働相談員の経験を生かした対応ができます。各種手続きは電子申請対応ですので全国対応可能です。 また、各種サイトでの人事労務関係記事の執筆や監修も行っています。

パートタイムの給与は、時給だけでなく手当も考慮して計算する必要があります。
手当には、時間外労働や深夜労働で発生する割増賃金や、家族扶養手当、住宅手当などがあります。
ただし、割増賃金を計算するにあたっては、法定労働時間や重複適用の有無なども把握しておかなければなりません。

本記事では、パートタイムの給与計算方法を具体例とともに解説します。
ケース別での残業代の扱いについても紹介しているため、パートタイムで働いている方は参考にしてみてください。

パートタイムの給与を計算する方法

パートタイムの給与を計算する方法

パートタイムの給与を計算する方法は、以下の2種類があります。

  • 電卓などを使って自分で計算する
  • アプリやサイトを利用する

どちらも特別な知識は必要ないため、自分に合ったやり方を選びましょう。

電卓などを使って自分で計算する

パートタイムの給与計算は、電卓などを使用して自分でも計算できます。
自分で計算する場合の数式は「支給額(基本給・手当など)-控除額(社会保険料・税金など)」です。
なお、支給額は「労働時間×時給+各種手当」で計算します。

労働時間を求めるためには、タイムカードや勤務表が必要になるでしょう。
勤務時間を集計したら、手当が発生する時間に割増賃金をかければ支給額を導き出せます。
割増賃金の種類とかける数値は、以下のとおりです。

  • 時間外労働:通常勤務×1.25(月60時間超の場合、その超えた時間は通常勤務×1.5)
  • 休日出勤:通常勤務×1.35
  • 深夜労働:通常出勤×1.25

また、休日出勤と深夜労働、および深夜労働と時間外労働は重複適用されます。
重複適用された場合は、休日出勤と深夜勤務が通常出勤×1.6となり、深夜労働と時間外労働は通常出勤×1.5です。

自分で計算する場合には、ケースに応じた数式を使用しましょう。

アプリやサイトを利用する

必要項目を入力するだけで給与を計算できるアプリやサイトもあります。
例えば「シフトボード」は、パートタイムで働く個人向けの給与計算アプリです。
交通費や深夜の時給まで詳細に設定できるため、自力での計算が複雑になってしまうケースにも役立つでしょう。

また、「ハローワーク情報サイト~ハロワのいろは〜」は、勤務時刻や休憩時間、時給が上がる時間帯を入力することで給与計算が可能です。
こうしたアプリやサイトを利用すれば、手軽に給与を計算できます。

パートタイム給与を計算する際のポイント

パートタイム給与を計算する際のポイント

パートタイムの給与計算で気をつけたいポイントは、以下の2点です。

  • 割増賃金が発生するケースをチェック
  • 重複適用の有無

それぞれどのような点に注意すべきか解説します。

割増賃金が発生するケースをチェック

パートタイムの給与は、労働時間と基本給だけでは計算できません。
なぜなら、割増賃金を考慮しなければ正確な支給額を求められないためです。

割増賃金は、雇用主が労働者に法定時間外労働をさせたときに発生します。
割増賃金の種類には、時間外労働・休日労働・深夜労働があります。

どのようなときに割増賃金が発生するのか、詳しく見てみましょう。

法定労働時間を超えている

労働基準法では法定労働時間が定められており、1日8時間・1週間40時間が原則として労働時間の上限です。
よって、1日8時間以上の勤務だけでなく、1週間の勤務時間が40時間を超えた場合にも割増賃金が発生します。

週40時間以上の割増賃金を計算する際には、1日8時間以上の勤務と法定休日労働を除外して計算しましょう。
1日8時間以上の勤務と法定休日労働は、週40時間以上の割増賃金と重複しないためです。

法定休日に出勤した

休日出勤手当は、休日に出勤したからといって必ず付与されるわけではありません。
しかし、出勤した休日が法定休日だった場合には、休日出勤手当が発生します。

法定休日とは、労働基準法で定められている「雇用主が労働者に必ず与えるべき休日」です。
法定休日の最低ラインは週休1日、もしくは4週を通して4日以上となっています。

一方で、出勤した休日が所定休日だった場合には、休日出勤手当は発生しません。
所定休日とは、法定休日以外の休日です。
所定休日は法定休日とは異なり、法律ではなく企業の判断で決められています。
ただし、所定休日に出勤したことで週40時間を超える場合には時間外労働手当が付与されるので、計算時は気をつけましょう。

深夜労働をしている

深夜労働にあたるのは、22時〜翌朝5時の労働です。
労働基準法では、労働者の健康を守るために、深夜労働をさせた雇用主に対して割増賃金の支払いを義務付けています。
深夜労働の割増率は、25%です。

しかし、深夜労働は誰にでもできるわけではなく、満18歳に満たない未成年者(ただし、例外あり)や妊婦の方は労働基準法にて制限が設けられています。
また、深夜労働は他の割増賃金と重複適用されるため、正確に計算するには深夜労働以外の割増賃金を把握しておくことも大切です。

法定休日と時間外労働は重複適用されない

法定休日に時間外労働をしても、重複適用はされません。
いずれも法定休日と法定時間労働が基準になりますが、休日と時間外労働は別物として扱われるためです。
例えば、休日に9時間の労働を行ったとしても、休日出勤の割増のみが適用されます。

深夜手当は他の手当と重複適用される

深夜手当は、他の手当と重複適用されます。
例えば、法定休日に深夜労働した場合の割増手当は、法定休日割の増賃金率35%以上と深夜割増賃金率の25%以上を合計した60%以上です。
時給1,000円の労働者が法定休日に深夜労働をすれば、割増が重複している時間帯は時間単価が1,600円となります。

深夜手当は他の手当と重複適用される

出典:時間外、休日及び深夜の割増賃金(第37条)事業場外労働のみなし労働時間制(第38条の2) | 愛媛労働局

【ケース別】パートタイムの残業代の具体例

【ケース別】パートタイムの残業代の具体例

ここからは、ケース別にパートタイムの残業代の具体例を紹介します。
割増賃金がどのように付与されるのか、確認しながら見てみてください。

9時から13時までの4時間勤務で16時まで労働した

9時~13時の4時間勤務で16時まで労働した場合、割増賃金は発生しません。
なぜなら所定労働時間を超えていても、法定労働時間を超えていないためです。

所定労働時間とは、就業規則や雇用契約書で取り決められている労働時間です。
そして所定労働時間は法定労働時間と違い、労働基準法による取り決めではありません。
割増賃金が発生するのは、労働基準法で定められた法定労働時間を超えるときであり、よってこのケースでは割増賃金が発生しません。

しかし、週40時間以上または1日8時間以上だと法定時間外の労働にあたるため、割増賃金が発生します。
普段の勤務時間に加えてさらに残業した場合には、法定時間を超えるかどうかで計算しましょう。

18時から22時までの勤務で23時まで労働した

18時~22時の勤務で23時まで労働した場合は、22時~23時の勤務に対して深夜手当が付与されなければなりません。
上記でも触れたとおり、深夜手当は通常賃金よりも25%以上の割増となります。

1日8時間未満の勤務でも割増賃金が発生する理由は、深夜手当が労働時間ではなく労働した時間帯に付与されるためです。
労働時間が22時〜翌朝5時のあいだに該当する場合、割増賃金をふまえて計算しましょう。

パートタイムの給与は割増残業代を含めて計算しよう

パートタイムの給与を計算する際は、割増賃金が発生するケースを把握しておく必要があります。
割増賃金が発生するのは、以下のケースです。

  • 法定労働時間を超えている
  • 法定休日に出勤した
  • 深夜労働をした

割増賃金に関して気をつけたいポイントは、重複適用の有無です。
法定休日と時間外労働は重複しませんが、深夜手当は他の手当と重複します。
割増残業代を含めて正確に計算するようにしましょう。

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