失業保険は労働者が失業した際に、経済的に安定して次の職を探せるように支給されるものです。
しかし、派遣社員として働いている場合は、「自分でももらえるの?」と不安になることもあるでしょう。
この記事では、失業保険を派遣社員でももらえるのかどうかについて解説します。
派遣社員が失業保険を受け取れる条件や期間も解説しているので、参考にしてください。
目次
失業保険を派遣社員がもらう条件
失業保険は、たとえ派遣社員であっても、条件を満たしたうえでハローワークで手続きすれば受け取ることが可能です。
ここでは、失業保険を派遣社員でもらうための条件を紹介します。
離職前の一定期間雇用保険に入っている
いわゆる雇用保険の基本手当に該当する失業保険を受け取るためには、離職前2年間に被保険者期間が12ヵ月以上あることが必要です。
つまり、派遣会社を1年で辞めることになっても、入社以降ずっと雇用保険に加入してた場合は失業保険を受け取れます。
ただし、会社都合での退職の場合や契約社員などが労働契約の更新がされずに退職に至った場合などでは、離職前1年間で通算して6ヵ月以上と必要な被保険者期間が短縮されます。
自分が派遣社員を退職しようとする際は、雇用保険に加入しているかどうかと、加入期間をまずは確認しましょう。
基本的に以下の条件を満たしている場合は雇用保険に加入しているので、派遣社員であっても失業保険を受け取れます。
- 1ヵ月以上働く見込みがある
- 週の所定労働時間が20時間以上
雇用保険に加入して一定期間働いている場合は、たとえ派遣社員であっても次の仕事が見つかるまでの一定期間、失業保険を受け取りながら仕事を探せます。
働く意思があるのに働けない
失業保険を受け取るためには、雇用保険の加入に加えて、働く意思があることも重要です。
具体的には以下の条件をすべて満たし、自身が就職先を探せる状態であると証明する必要があります。
・積極的に就職しようとする意思があること。
・いつでも就職できる能力(健康状態・環境など)があること。
・積極的に仕事を探しているにもかかわらず、現在職業に就いていないこと。
出典:Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~|厚生労働省
つまり病気やケガ、妊娠や出産などですぐに働けない場合や、そもそも働く意思がない場合は、失業保険を受け取ることができません。
失業保険を派遣社員が受け取れる日数は?
派遣社員が受け取れる失業保険の日数は、被保険者であった期間によって変動します。
具体的には下表を参考にしてください。
被保険者期間 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
給付日数 | 90日 | 90日 | 90日 | 120日 | 150日 |
参考:基本手当の所定給付日数|ハローワークインターネットサービス
勤務期間が10年未満の場合は給付日数が90日なので、約3ヵ月間失業保険を受け取れます。
また倒産や解雇などの会社都合退職や、やむを得ない事由での退職の場合は下表のようにより給付日数が増える可能性があります。
被保険者期間 | ||||||
1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 | ||
年齢 | 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | – |
30歳以上35歳未満 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | ||
35歳以上45歳未満 | 150日 | 240日 | 270日 | |||
45歳以上60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | ||
60歳以上65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
参考:基本手当の所定給付日数|ハローワークインターネットサービス
一般的な自己都合退職の場合は、日割りされた給料の一部が約3ヵ月分支給されると考えておきましょう。
具体的な1ヵ月の支給額がいくらになるかは、自己都合であっても会社都合であっても、元の給料をもとに計算されるので変わりはありません。
失業保険を派遣社員がすぐ受け取ることは可能?
退職後に失業保険をすぐに受け取りたい派遣社員もいるでしょう。
ここでは、派遣会社を退職して申請したあと、失業保険をすぐに受け取れるかどうかを解説します。
自己都合の場合は給付制限あり
自己都合退職の場合は給付制限が設けられており、一定期間は失業保険を受け取れません。
具体的には、受給手続き日から7日経過した日の翌日から2ヵ月は受給できず、受け取りまでに時間がかかります。
しかし、自己都合退職であっても、特定理由離職者の場合は給付制限なしで受け取ることが可能です。
特定理由離職者とは、以下のような理由で自己都合退職した人を指します。
- 身体や心の不調による退職
- 妊娠や出産、家族を介護するための退職
- 結婚による住所変更で退職
- 事業主の名による転勤や家族との別居を回避するための退職
- 鉄道など通勤のための交通機関の廃止
- 子どもの保育所利用などにより通勤が困難な場合
上記ケースでは自己都合退職であっても、給付制限なしですぐに失業保険を受け取れます。
会社都合の場合はすぐに受け取れる
自己都合による退職ではなく、会社都合による退職の場合は、給付制限なくすぐに失業保険を受け取れます。
解雇や倒産などによって派遣会社を退職する場合は、すぐ失業保険を受け取れるので安心です。
派遣社員の場合は、通常の解雇や倒産に加えて、以下の条件でも会社都合となります。
(8) 期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者
(9) 期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(上記(8)に該当する場合を除く。)
出典:特定受給資格者の範囲|ハローワークインターネットサービス
また、解雇や倒産以外の退職事由でも場合によっては特定受給資格者となり、給付制限なく受け取れることもあります。
具体的には、以下のようなケースでの退職が特定受給資格者に該当します。
- 労働条件と実際の勤務状況が違った場合
- 一定期間賃金の未払いが続いた場合
- 賃金が支払われていた分の85%未満まで低下する場合
- 長時間労働が常態化していたため退職する場合
- 職種の配置転換後に引き継ぎなどがされないため退職した場合
- ハラスメントで退職した場合
- 契約更新条項に「契約の更新をする場合がある」など、契約更新の明示はあるが確約まではない場合
派遣社員の場合は、契約条件に契約更新を明記されているが、実際に更新されなかったケースでも会社都合と同等の扱いを受けられます。
さらに上記以外にも事業者側から退職を推奨されたり、事業者側の事情で3ヵ月以上の休業が続いた場合も会社都合での退職となり、すぐに失業手当を受け取ることが可能です。
失業保険は派遣社員でも条件を満たせば受け取れる
失業保険は派遣社員であっても、条件を満たせば受け取れます。
派遣会社を退職する際には、雇用保険への加入状況や期間を確認しましょう。
また退職事由によっては、待期期間を待たずとも失業保険を受け取れるので、合わせて確認しておくことが大切です。