失業保険一時金は、職を失った際の経済的なサポートとなる給付制度です。
特定の季節に短期間働く方に向けた手当であり、フルタイムで働く方を対象とした失業手当とは受給の条件や期間が違うため、申請の際には注意しましょう。
本記事では、失業保険一時金の概要や受給までの流れ、申請に必要な書類などを解説します。
失業時の経済的な支えを確保するために、失業保険一時金を正しく理解しておきましょう。
目次
失業保険一時金とは
失業保険一時金とは、短期雇用特例被保険者として働いていた方が無職になったときにサポートする給付金です。
正式には特例一時金と呼ばれます。
失業保険とは、失業中の方が不自由のない生活を過ごしながらも就職活動ができるように支援するための制度です。
このうち基本手当は、フルタイムで働く一般の被保険者が失業した際に支払われます。
一方、特例一時金は一般被保険者には支払われず、特定の季節労働者にあてた給付金であることが特徴です。
失業保険一時金の受給条件
失業保険一時金の受給条件は以下のとおりです。
- 失業状態であること
- 雇用保険の被保険者 ではないこと
- 離職前の1年間に11日以上働いていた月が通算6ヵ月以上あること
失業状態とは、就職に積極的ではあるものの就職しておらず、かつ健康面や生活面などが良好で、いつでも就労できる状態のことです。
なお、離職日が2020年8月1日以降の場合は、賃金の支払いの基礎となる時間が80時間以上の月を1ヵ月として計算することがあります。
上記の条件に該当していても、自営業の準備段階であったり家業や家事に専念したりする場合、失業保険一時金は支給されません。
条件に当てはまるかどうかはハローワークで確認しましょう。
失業保険一時金の申請に必要なもの
失業保険一時金の申請時は以下のものを持参し、お住まいの地域を管轄するハローワークで手続きを行います。
- 離職票
- マイナンバーカード
- 証明写真 1枚
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
マイナンバーカードがない場合、個人番号確認書類と身元確認書類を用意する必要があります。
個人番号確認書類および身元確認書類の詳細は、以下のとおりです。
個人番号確認書類(右記のうち1種類) | 通知カード、個人番号記載の住民票 |
身元確認書類 | ①次のうち1種類 運転免許証、運転経歴証明書、身分証明書・資格証明書(官公署発行) ② ①がない場合、次のうち2種類 公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書 など |
離職票は退職後10日ほどで届きます。
持ち物に不足があると手続きできない可能性もあるため、事前に確認しておきましょう。
ハローワークで失業保険一時金が支給されるまでの流れ
失業保険一時金を受け取るにあたって、ハローワークでの申請から受給までの流れは、次のとおりです。
- ハローワークに必要書類を提出し、求職の申し込みを行う
- 7日間待期
- 認定日にハローワークへ行く
- 失業状態をハローワークが確認する
- 失業保険一時金が受給される
特例一時金の受給期間は、離職日の翌日から6ヵ月と定められています。
申請が遅れると、本来受け取れるはずだった40日分の支給額がもらえなくなる場合があるため、早めの手続きが大切です。
待期期間は通常7日間ですが、退職理由が自己都合の場合は給付制限があります。
その場合、一時金が受給できるのは待期後、さらに2ヵ月が経過してからです。
なお、重大な過失を理由に解雇された場合の給付制限は3ヵ月です。
失業保険一時金に関するよくある質問と解答
失業一時金の支給対象とならないのは、どのような方なのでしょうか。
また、一時金がどれくらいの金額もらえるのか気になる方も多いでしょう。
失業保険一時金に関するよくある質問をまとめました。
一時金の支給対象外となる人は?
下記に当てはまる方の場合、失業一時金を受け取れない場合があります。
- 家事や学業に専念する
- 自営業の開始予定である、あるいは準備段階である
- すでに就職先が決まっている
- 雇用保険の被保険者にならない程度の短時間の就労を希望している など
失業保険一時金の支給は、働きたいにも関わらず働けない方を対象としているため、それに該当しない場合は手当が支給されないことを念頭に置いておきましょう。
失業保険一時金はいつからもらえる?
一時金の支給時期は、ハローワークに離職票を提出し求職を申し込んだ日から7日間の待期期間を経たあとです。
ただし前述のとおり、自己都合で退職した場合や自己の過失が原因で解雇となった場合には、給付制限により7日間以上の待期が必要になります。
詳しい支給時期に関しては、以下の記事をご参照ください。
失業保険一時金はいくらもらえる?
失業保険一時金の支給額は、基本手当の日額40日分に相当する額です。
受給期限は離職日の翌日から6ヵ月と決まっており、求職の申し込みが遅れると40日分の支給を受けられなくなる場合があります。
離職票が手元に届き次第、早めにハローワークで手続きを行いましょう。
65歳以上で退職しても失業保険一時金は受け取れる?
65歳以上で退職する際も同様に、離職票を持参してハローワークに行き求職の手続きをしてください。
ハローワークで失業状態と認定されれば、高年齢求職者給付金が受け取れます。
高年齢求職者給付金とは、失業の状態にある65歳以上の高年齢被保険者に対して支払われる給付金です。
65歳以上の方を対象とした失業保険一時金の詳細は、以下をご覧ください。
失業保険一時金を受け取るためには条件や流れをよく理解しておこう
失業保険一時金は、短期雇用特例被保険者が失業したときに支払われる手当です。
ハローワークでの手続きや支給までの流れは一般的な失業保険と同様ですが、受給の条件や期間に異なる部分があるため、しっかり確認しておく必要があります。
ハローワークでの手続きが遅れると、40日分の支給が受け取れなくなってしまう場合があるため、必要書類がそろい次第申し込みを行いましょう。