・キャリアコンサルタント
・外国人雇用管理士®
【プロフィール】
2度のアメリカ留学経験をはさみ、20年以上外資系IT企業を渡り歩きグローバルプロジェクトに従事したのち、2016年にキャリアコンサルタントとして活動を開始。現在は中小企業の従業員のキャリア、メンタルヘルス、テレワークに関する課題解決支援、外国人留学生の就職支援、個人向けキャリアセミナーなどを中心に活動中。
自己分析というと、学生が就職活動で行うイメージが強いかもしれません。
しかし、社会人になってからこそ自己分析は重要な意味を持ちます。
これまでの経験や実績を振り返ることで、より具体的な将来設計が可能になるからです。
本記事では、大人の自己分析のメリットや、その具体的な方法について、詳しく解説していきます。
目次
大人が自己分析を行うメリット
社会人経験を積んだ大人にとって、自己分析には大きな意味があります。
実務経験があるからこそ、自分の得意分野や苦手分野がより具体的に見えてきますし、これまでのキャリアを客観的に振り返ることもできます。
また、学生時代とは異なり、理想と現実のギャップも把握できているため、より現実的な将来設計が可能となるのです。
以下では、大人が自己分析を行うメリットを、さらに詳しく見ていきましょう。
自分軸で物事を考えられるようになる
自己分析を行うことで、自分にとって何が大切なのかという価値観が明確になってきます。
例えば、仕事の面では「やりがい重視なのか、それとも収入重視なのか」「プライベート重視なのか、キャリア重視なのか」、これからをどう生きたいか、この先の人生をどのようなライフスタイルで過ごしたいのか、何を大切にしたいのかといった問いに対する判断基準が定まることで、転職や昇進など、人生の重要な岐路での意思決定がスムーズになるでしょう。
なりたい自分のめざし方がわかる
自己分析を通じて将来の理想像が具体化されることで、そこに至るまでにどのような選択肢があるのかを考えることができます。また、それまで気付かなかった自分の価値観や新しい視点にも気付きやすくなります。
例えば、「5年後にはマネジメント職として部下を持ちたい」という目標が定まれば、そのために必要なスキルや経験が明確になり、具体的な行動計画を立てやすくなるでしょう。
また、目標を周囲に共有することで、同じ志を持つ仲間との出会いも生まれやすくなります。
逆に、「この先の人生は、仕事とは異なる趣味の時間を充実させて人生をより豊かなものにしたい」という目標ができたら、仕事での時間の使い方にも工夫や生産性に注意を向けるようになるかもしれません。
このように、自己分析は単なる自己理解にとどまらず、具体的なキャリアプランに加えてライフキャリアのロードマップ策定にも役立つツールとなるのです。
強みを活かせる
自己分析によって自分の強みが明確になることで、その強みを活かせる場面を積極的に作り出せるようになります。
例えば、以前は興味が無かったがこれまでの仕事の経験から「細かい作業が得意」という強みがあることに気付き、品質管理や経理などの正確性が求められる業務への異動を志願したり、さらにその強みを磨くために資格取得をめざしたりすることができるでしょう。
反対に苦手分野が明確になることで、それをカバーする方法を考えたり、得意な同僚に協力を依頼したりといった対策も立てやすくなります。
このように、自分の特性を理解し活かすことで、仕事の成果や個人的な趣味などの時間における充実感も高まっていくのです。
自己分析のやり方は大人と学生で違う？
基本的な自己分析の手法自体は、大人も学生も大きな違いはありません。
しかし、社会人の場合は実務経験があるため、より具体的な分析が可能です。
学生時代は漠然としていた「やりたいこと」も、実際の仕事経験を通じて「得意なこと」「市場価値のあるスキル」として具体化できます。
また、年齢や家庭環境などによる制約も考慮したうえでの分析になるため、より現実的な将来設計が必要となるでしょう。
大人の自己分析のやり方
社会人が自己分析を行う際は、これまでの経験を振り返りながら、じっくりと時間をかけて進めていくことが重要です。
ここでは、具体的な実践方法をご紹介します。
自己分析ノートの作成
自己分析ノートは、自分についての考えや気付きを整理するための重要なツールです。
このノートには、「理想の働き方」「現在の興味関心」「理想の仕事とプライベートのバランス」など、さまざまな観点から自分の考えを書き留めていきましょう。
特に以下の項目については、しっかりと時間をかけて考えることをおすすめします。
- どんな生き方がしたいか
- 現在興味があることは何か
- 働くこととそれ以外の興味関心がそれぞれ充実した状態はどのようなバランスか
日々の気付きや考えを記録していくことで、自分の価値観やめざすべき方向性が徐々に見えてくるでしょう。
なお、市販の自己分析ノートを活用するのも効果的な方法の一つです。
自己分析ツールの活用
効率的に自己分析を進めるために、専門的なツールを活用するのも有効な方法です。
近年では、さまざまな企業が無料・有料の自己分析ツールを提供しています。
特に大手人材会社が提供するツールは、実際の転職市場を踏まえた分析が可能で、より実用的な結果を得ることが可能です。
また、心理分析に基づくツールを利用することで、自分では気付かなかった特性や傾向を発見できることもあります。
大人が自己分析を行う際のポイント・注意点
社会人ならではの課題として、これまでのキャリアや周囲の期待にとらわれすぎてしまう傾向があります。
ここでは、効果的な自己分析を行うための重要なポイントをご紹介します。
取り繕わずに本音を書く
自己分析では、「こうあるべき」という固定観念にとらわれず、素直な気持ちを書き出すことが重要です。
例えば、「今の役職を捨てるのはもったいない」「年齢的にもう転職は難しい」といった思い込みはいったん脇に置いて、「もし何でもできるとしたら？」と仮定して、本当にやりたいことやめざしたい方向性を探っていきましょう。
一回で完璧をめざさない
自己分析は、一度行えば終わりというものではありません。
折に触れて、繰り返し実践してみることをおすすめします。
人は経験を重ねるごとに価値観や興味が変化していくものです。
定期的に自己分析を見直し、アップデートしていくことで、より良いキャリア選択につながっていきます。
大人でも自己分析を行って人生の目的を明確にしよう
社会人になってからの自己分析では、これまでの経験を振り返りながら、より多面的に本来の自分と向き合い自己認識を深めることで、将来設計に役立てることができます。
自己分析ノートの作成や専門ツールの活用など、さまざまな方法を組み合わせ、自分に合った分析方法をじっくり見つけていくことをおすすめします。
定期的に自己分析を行い、その時々の自分の価値観や目標を見直すことで、より充実したキャリアを築いていくことができるでしょう。
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