officeたまこぶ 代表
・国家資格キャリアコンサルタント
・2級キャリアコンサルティング技能士
・産業カウンセラー
【プロフィール】
大学卒業後、地方新聞社のスポーツ記者などを経て、キャリアコンサルタントに転身。
公共機関や都内私立大学で学生や既卒者の就職支援に当たった後、フリーランスとして独立。現在は、「その人のありのままを受け止める」を大切に、複数の大学で学生のキャリア支援に従事。また、氷河期世代や高校生向けの講座へ講師として登壇、ライティングと幅広い活動を展開している。
新聞記者経験で積み上げた文章力が強み。エントリーシートや履歴書、職務経歴書など応募書類の作成のサポートを得意としている。
面接で「10年後のキャリアプラン」を問われることがあります。
この質問に適切に答えることは、採用に近づくためのキーポイントです。
キャリアプランの作成方法や職種別の回答例を参考に、自分なりの答えを準備しておきましょう。
将来のビジョンを明確に伝えることで、採用担当者に好印象を与えられるはずです。
目次
面接で「10年後のキャリアプラン」を聞く理由
面接で「10年後のキャリアプラン」の質問をされる理由は何でしょうか。
企業が応募者の将来設計に関心を持つ背景には、大きく3つの理由があります。
深い自己分析を行っているか把握するため
企業が「10年後のキャリアプラン」を聞く理由の1つは、応募者が深い自己分析を行っているかどうかを把握するためです。
自分の強みや価値観、将来の目標をしっかりと理解している人は、それらをキャリアにどう活かしていくのか順序立てて考え、説得力のある回答ができます。
例えば、自分の強みや経験をどのような環境で発揮できるのか、不足しているスキルや知識はどう習得していくのかなど、具体的な内容を盛り込むことができるでしょう。
応募者が入念な自己分析による冷静な判断で自社を志望しているのかどうかに加え、計画性や仕事に対する真剣さを持っているかどうかなども、この質問を通して評価されます。
企業とのマッチ度を見極めるため
「10年後のキャリアプラン」の質問は、応募者と企業のマッチ度を図るためにも問われます。
応募者のやりたいことと企業でできることに共通点があるかを判断し、長期的に働く意思があるかどうかを見極めるためです。
自社で10年後も働くイメージができている人は、会社にふさわしい人材と見なされやすくなります。
一方で、マッチ度が低い場合は、採用に至ったとしても早期離職につながる可能性があるでしょう。
早期離職されることを避けたいため、企業は応募者とどのぐらいマッチしているかを慎重に見極めようとしているのです。
長期的な成長意欲を確認するため
「10年後のキャリアプラン」の質問を通して、応募者の長期的な成長意欲も確認しています。
自分の将来について真剣に考えている人材は、新しいスキルや知識の習得に意欲的で、入社後も熱意を持って働いてくれると期待されます。
組織全体の発展に貢献する可能性が高いと認識され、企業からも好印象を持たれやすくなるでしょう。
応募者の成長意欲の高さは、企業の発展にも直結する重要な要素といえます。
10年後のキャリアプランを作成する3つのステップ
「10年後のキャリアプラン」は、実際にどのように作成すれば良いのでしょうか。
ここでは、プランを考える際の3つのステップを紹介します。
1.自己分析を行いスキル・経験を棚卸しする
10年後のキャリアプランを作成する第一歩は、自己分析を行うことです。
自分の経験を洗い出し、スキルや強み、弱点を明確にしておけば、将来の方向性を決める際に役立ちます。
まずは、過去の成功体験やチャレンジしたこと、直面した課題、スキルのレベルなどを振り返ります。
どのような姿勢で取り組んだのか、行動の成果はどうだったのかまで、エピソードベースで具体的に書き出しておきます。
次に、それらを通して得られた知識や実績、失敗から学んだことなどを分析し、自分の強みや課題を整理しましょう。
2.短期・中期の目標を設定する
自己分析が終わったら、10年後の目標達成に向けて、短期（3年後）と中期（5年後）の目標を立てましょう。
短期・中期の目標は、10年後の目標より比較的早く達成可能であるため、行動計画が立てやすく、モチベーションも維持しやすくなります。
また、短期・中期の目標が10年後の目標に向けての道しるべにもなります。
進捗を確認する材料になるため、必要に応じて軌道修正を図りながら、目標達成に向けて歩みを進められているかを把握できるのです。
例えば、10年後に看護師の管理職をめざす場合の目標設定の例には、以下のようなものがあります。
- 短期的な目標：チームの一員として円滑に業務を遂行し、患者さんへ丁寧なケアを提供する
- 中期的な目標：新人や看護学生の教育。セミナーや研修へ積極的に参加し、看護の質の向上に活かす
3.目標と企業のビジョンを結びつける
最後に、自分の目標と応募先企業のビジョンの共通点を探し、それらを関連付けます。
この作業を的確に行うためには、入念な企業研究が欠かせません。
企業が求める人材像や力を入れている事業、経営理念などは、企業のホームページや経営層のインタビュー記事などで確認できる場合があります。
徹底的に企業研究を行うことで、自分がその企業でどのような価値を提供できるのかが、徐々に明確になってくるでしょう。
10年後のキャリアプランを考える際のポイント・注意点
「10年後のキャリアプラン」を考える際には、いくつかのポイントや注意点があります。
ここでは、3つの重要な点を解説します。
キャリアプランに具体性を持たせて説得力を高める
10年後のキャリアプランを考える際は、具体性を持たせることが大切です。
「10年後は会社に貢献していたい」「良いポジションにいたい」など、抽象的な表現は避けましょう。
代わりに、5W1H（いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように）を意識して考えます。
例えば、特定分野の認定看護師として将来働きたい場合、「いつ」までに資格を取得して「どこで」経験を積み、「どのように」目標達成に努めるのかを明確にします。
具体的な内容を盛り込むことで、自身の目標達成の手助けとなるだけでなく、採用面接の際にも好印象を与えられるでしょう。
説得力のあるプランを示すことが、採用への近道となるのです。
高すぎる目標設定は避ける
目標設定は、現実的であることが重要です。
高すぎる目標を提示すると、企業研究が不十分であるとみなされたり、応募先とのマッチ度が低いと判断されたりする可能性があります。
自身の現在地から無理なく達成できる範囲の目標を定め、具体例を交えて伝えることで、採用側は応募者の働くイメージをより具体的に持つことができます。
現実的な目標設定は、応募者の志望度の高さや仕事への意欲を示すことにもつながるでしょう。
転職・起業を思わせるキャリアプランは控える
「10年後のキャリアプラン」を考える際は、転職や起業を思わせる表現は控えましょう。
採用担当者に早期離職の不安を与え、応募先で働く意思が低いと判断される恐れがあります。
例えば、「この業界での経験を活かして将来は次のステップに進みたい」「自由な働き方を追求したい」などの発言は避けるべきです。
志望先での成長と貢献を前提としたプランを考え、長く働く意思があることを伝えることが大切です。
【職種別】「10年後のキャリアプラン」の例文
ここからは、職種別の「10年後のキャリアプラン」の例文を紹介します。
自分の職種に合った内容を参考に、説得力のある回答を準備しましょう。
営業系
営業系職種の場合、以下の例文のように、キャリアプランのなかに具体的な数値目標を盛り込むと良いでしょう。
「10年後には営業のマネージャーとして、チーム全体の売上を前年比20%増加させることをめざします。
まずは、御社の商品知識を誰よりも深め、目の前の業績目標を確実に達成するのが目標です。
ゆくゆくは新規顧客の獲得や若手社員の育成にも携わりたいと考えています」
事務系
事務系のキャリアプランでは、業務に役立つ具体的なスキルの習得をめざしつつ、仕事に丁寧で正確に向き合う姿勢も伝えましょう。
「10年後は、経理部のリーダーとなり、業務効率化を推進して御社の利益率向上に貢献したいです。
入社後は基本的な仕事内容を習得しつつ、何度も見直しをして物事に取り組む自分の強みを活かし、ミスのないスムーズな業務遂行をめざします。
さらに、5年以内に簿記2級と1級の資格を取得して専門的な知識を深め、御社に貢献できればと思います」
医療・介護系
医療・介護系のキャリアプランでは、利用者目線を忘れず業務に取り組む姿勢を盛り込みましょう。
また、応募先の施設の特徴やサービス内容と自身のキャリアプランを一致させることも重要です。
「10年後には、地域密着型介護施設の管理職として、質の高い介護サービスの提供をめざします。
入職後は介護職員として、入所者の身体的・精神的なサポートを丁寧に行うことを最優先したいです。
ケアの技術向上を図りながら、入所者のご家族にも寄り添える深い知識を習得するために、介護福祉士の資格取得も目標としています」
10年後のキャリアプランが浮かばないときの対処法
「10年後のキャリアプラン」が思い浮かばないときは、主に以下の2つの対処法があります。
- 理想的なOB・OGを見つける
- 就活・転職エージェントに相談する
理想的な人物を参考にしてキャリアプランを立てるのは、一つの有効な方法です。
出身大学などのOB・OGや尊敬する企業の経営者など、目標とする人物のキャリアを調べてみましょう。
直接会って話を聞ける場合は、アドバイスをもらうのも良いでしょう。
また、就活・転職エージェントに登録して、プロのアドバイスを受けるのもおすすめです。
専門知識を持った第三者の客観的な意見は、自分では気付けなかった点を発見するきっかけになります。
視野を広げることで、新たな可能性に気付くことができるはずです。
自分なりの「10年後のキャリアプラン」を見つけよう
「10年後のキャリアプラン」は、応募者の自己分析の深さや成長意欲、企業とのマッチ度を確認するために問われます。
説得力のある回答をするためには、自分の強みや弱みを明確にして具体的な目標を掲げ、企業の求める人物像や方針と結びつけることが大切です。
また、非現実的な目標設定や転職・起業を連想させる回答は避けるよう注意しましょう。
本記事で紹介した作成ステップやポイント、職種別の例文を参考に、自分なりの答えを準備して採用への一歩につなげてください。
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