
休職中に転職活動をしても大丈夫なのでしょうか。
法律的な問題はないのか、会社にバレたらどうなるのかなど、不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、休職中の転職活動について、その違法性や避けたほうが良い理由、休職中の転職活動がバレる原因、休職中に転職活動を行う際のポイントなどを詳しく解説します。
休職中に転職活動を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
目次
休職中の転職活動は違法?
休職中の転職活動は違法なのでしょうか。
法律的な問題はないのか、会社の就業規則で転職活動が認められていない場合もあるのかなど、気になる点を詳しく解説します。
法律的な問題はない
日本の憲法では就業の自由が認められているため、休職中に転職活動を行うことを制限する法律はありません。
しかし、休職は復職するために取得するものだという考え方に則ると、リスクが大きいため、できれば休職中ではないときに転職活動を行うほうがデメリットが少ないでしょう。
法律的には問題がないとはいえ、会社側から良く思われない可能性があることを理解しておくことが大切です。
会社によっては就業規則にて転職活動を認めない場合もある
会社によっては、契約期間中の転職活動を就業規則で禁止している場合があります。
そのような規則がある場合に転職活動を行ってしまうと、処分の対象になってしまう危険性があるので注意が必要です。
転職活動を行う前に、就業規則を確認しておくことをおすすめします。
ただし、就業規則に転職活動の禁止について記載がない場合でも、会社側から良く思われない可能性があることを念頭に置いておきましょう。
また、就業規則の内容が労働基準法などに違反する可能性もありますので、就業規則が必ずしも正しいとはいえない点も考慮して動くことが望ましいです。
休職中の転職活動は避けたほうが良い理由
休職中は復職することが前提となっており、その間に転職活動を行うことにはデメリットがあります。
ここでは、休職中の転職活動を避けたほうが良い理由を詳しく解説します。
病気や怪我が悪化する可能性がある
病気やケガによる休職中に転職活動の負荷がかかってしまうと、ケガや病気が治癒せず、必要以上に仕事から離れる期間を延長せざるを得なくなる可能性があります。
転職活動はストレスがかかるものなので、まずは自身の健康を第一に考え、容体が落ち着いてから行うことをおすすめします。
病気やケガの回復を最優先にし、無理のないタイミングで転職活動を行うことが大切です。
会社を辞めにくくなる可能性がある
休職中に転職活動をしていたことが会社にバレてしまうと、良い印象を持たれず、円満に退職することが難しくなる可能性があります。
会社にとっては、休職中のスタッフが別の就職先を探していたり、選考を受けていたりすることは好ましくありません。
そのため、いざ退職を申し出た際に、「休職中に転職活動をしていたよね?」と言われ、スムーズに退職できなくなるリスクがあるのです。
選考で不利になる可能性がある
転職志望先での選考の際に、実は休職中であることを明かすと、休職している理由によっては選考で不利になるかもしれません。
即戦力として働けないのではないかと思われたり、「うちに就職してもまた休んで転職活動するのでは」と不信感を持たれたりする可能性があるのです。
休職中の転職活動は、休職している理由によっては選考で不利に働く可能性が高いといえるでしょう。
後述しますが、休職中であることを隠して転職活動しても、いずれ判明してしまうリスクがあります。
正直に休職中であることを伝えるか、転職活動は休職明けまで待つか、よく検討することが必要です。
納得のいかない転職になる可能性がある
休職中は時間的制約があるため、焦って転職活動を行ったり、じっくり悩む時間を確保できなかったりすることで、就職先を慎重に選べない可能性があります。
その結果、就職してから「やっぱり合わないな」と感じるなど、納得のいかない転職になってしまいかねません。
納得のいく転職をするためには、心に余裕を持って就職先を選ぶことが大切です。
休職中の転職活動がバレる原因
休職中の転職活動は、バレないように慎重に行う必要がありますが、どのような原因でバレてしまうのでしょうか。
ここでは、休職中の転職活動がバレる主な原因を詳しく解説します。
SNSでの発信・会社の人間との会話
SNSで転職活動中であることを発信してしまうと、休職中の転職活動が会社にバレてしまう可能性があります。
現代では企業がSNSのアカウントを持っていることも多く、従業員の発信した情報をキャッチできる環境にあるためです。
また、同僚や後輩など気心の知れている間柄の人との何気ない会話から、上司に伝わってしまうこともあり得ます。
SNSでの発信や同僚との会話は、いつどこで誰が見ているかがわからないリスクがあるため、特に注意が必要です。
源泉徴収票・住民税の納税額
源泉徴収票や住民税の納税額から、休職中の転職活動が会社にバレてしまう可能性があります。
源泉徴収票には、その年の給与総額や所得税などが記載されており、その額が極端に少ないと、転職後に転職先企業に休職を疑われるリスクがあるのです。
また、住民税は前年度の所得金額によって次年度の納税額が決まることから、毎月の納税額が極端に少ない場合も転職後にバレる可能性があります。
個人で確定申告などをしていない場合は特に、源泉徴収票や住民税の納税額には注意が必要です。
傷病手当金の受給歴照会
傷病手当金は、病気やけがのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給される手当のことです。
この傷病手当金の受給歴から、前職で休職していたことが転職先企業にバレてしまう可能性があります。
傷病手当金は、前職において受給している場合、新しい職場へ再就職したあとに再発した際に通算して1年6ヵ月分(540日分)まではその休業について受給できます。
つまり、休職理由となった傷病が再発したことを理由に休業し、傷病手当金の受給申請を行う際に、前職で休職していたことが知られてしまうリスクがあるのです。
傷病手当金の受給歴には十分注意しましょう。
休職中に転職活動を行う際のポイント
休職中に転職活動を行うメリットもありますが、デメリットも大きいため、慎重に検討する必要があります。
ここでは、休職中に転職活動を行う際のポイントを詳しく解説します。
就業規則を確認する
休職中の転職活動を行う際は、現在の勤め先と応募先双方の就業規則を確認することが大切です。
まずは現在の勤め先の就業規則を確認し、転職活動が規則違反にならないかどうかをチェックしましょう。
また、応募先においては「今すぐ雇用できる人を探しているのか」「就業規則に休職中の応募は禁止されているのか」などを明確にするとともに、転職活動について就業規則などでどのように規定されているのかを、面接などの際に確認することが重要です。
就業規則をしっかりと確認することで、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
休職理由を明確にする
応募先に休職中であることを伝える際は、休職理由を明確にし、次の仕事に大きな影響がないことを丁寧に説明することが大切です。
嘘をつくのではなく、休職に至った経緯をきちんと説明し、次の仕事にしっかりと取り組む意欲を伝えるようにしましょう。
休職理由を明確にすることで、応募先に悪い印象を与えずに済むはずです。
ただし、応募先によっては休職中の応募を好まない場合もあるため、注意が必要です。
他者に転職活動中であることを言わない
休職中の転職活動は、他者に安易に相談したり、SNSで発信したりしないように徹底することが大切です。
他者に伝えることで、上司まで知れ渡ってしまい、今後の転職活動がしづらくなったり、円満退社が難しくなったりする可能性があるためです。
転職活動中であることは、会社とはまったく関係性がない第三者で、転職活動に関わっている人(転職エージェントなど)などに伝えるようにしましょう。
SNSはどこで誰が見ているかわからないため、発信を控えるなどの配慮も必要です。
自身の健康を最優先にする
体調不良で長期療養中の場合など、休職中の転職活動では自身の健康を最優先にすることが大切です。
体調が悪いなかで、ストレスを受け続けることは良くありません。
休職中は、ゆっくりと休養を取って体調を整えながら、無理のない範囲で転職活動を行うことをおすすめします。
体調と相談しながら、少しずつ転職活動を進めていくことが賢明です。
自身の健康あっての転職活動だということを忘れないようにしましょう。
休職中の転職活動はデメリットを理解したうえで検討しよう
休職中の転職活動は法律的には問題ありませんが、会社によっては就業規則で禁止されている場合があるため注意しましょう。
また、病気や怪我が悪化する、会社を辞めにくくなる、選考で不利になる、納得のいかない転職になるなど、デメリットをふまえてよく検討する必要があります。
一方で、就業規則の確認、休職理由の明確化、他者への情報漏洩防止、自身の健康管理など、ポイントを押さえることで、休職中でもうまく転職活動を進められる可能性はあります。
休職中の転職活動は一概に良いとはいえませんが、デメリットをしっかりと理解したうえで、慎重に検討してみてはいかがでしょうか。