就職活動の面接では、最近読んだ本について聞かれることがあります。
しかし、人によっては「どのように答えて良いかわからない」「最近本を読んでいない」と困ってしまう人もいるでしょう。
今回は、面接で最近読んだ本を聞かれた場合の回答方法について解説します。
回答のポイントや、答えるべきジャンルや例文についてみていきましょう。
目次
面接の「最近読んだ本」の質問で企業が知りたいこと
そもそも、なぜ企業は面接で最近読んだ本を質問するのでしょうか。
この質問から企業側がチェックしたいポイントについて解説します。
人柄・関心事項
面接官は就活生がどのような人間なのか、会社に馴染めるのかを面接を通じて判断します。
最近読んだ本について質問することで、どのような人物なのかを見極めようとしているのです。
大学で専攻している分野について熱心に探求しているのか、最新のトレンドをチェックしているのかなど、最近読んだ本についての回答は人柄や関心事項をあらわすポイントです。
こうした点を確認し、入社してから円滑に仕事を進められるかチェックしています。
向上心
面接の際には就活生が持っている現在の能力だけでなく、入社後にどれだけ向上心を持って取り組めるかをみられています。
そのため、読んだ本からどのようなことを学んだのか、また常になにかを学び吸収しようとしている人なのかという点は、面接官が確認している要素です。
例えば、志望する業界に関する本を読んでいれば「入社してからも自ら意欲的に学べる人材だ」と思われる可能性があるでしょう。
読書の習慣があり常に学ぶ意欲があるかをチェックすることで、面接官は入社後の仕事に対する態度をイメージしています。
知識量
仕事においてはその分野に関する知識だけでなく、幅広い知識を有していることが役立ちます。
そのため、業種や職種を問わず、知識量が多いことは面接における加点のポイントです。
普段から読書をして情報収集を積極的に行っている人は、知識量もそれに比例している傾向があります。
最近読んだ本を聞くことで、面接官が就活生の知識量を見極めようとしている質問です。
プレゼン力
最近読んだ本を聞かれた場合、書籍名を答えれば良いだけではありません。
内容やそこから得た学びをあわせて説明することが必要です。
その際、就活生は面接官に向けて論理的に説明することが求められます。
仕事においても、相手に論理的に説明する力は不可欠です。
面接官は説明された内容から、書籍の内容や学んだことをイメージできるかをチェックしており、プレゼン力が試されています。
読書習慣
読書習慣があり活字を読むことに慣れていることは、社会人として働くうえで重要です。
入社後は長文の資料に目をとおすこともあり、そうした場面で苦手意識なく取り組めるかを面接官は確認しています。
また、自発的に学ぶことができる人物であるという確認にもつながります。
読書習慣があり日常生活のなかで自ら新しい情報をキャッチしているか、面接官が確認している事項です。
面接で最近読んだ本について答えるポイント
最近読んだ本について答える際は、書籍名とあらすじだけを答えてはいけません。
答え方について文章構成などポイントを紹介します。
内容はPREP法を使って構成する
先述のとおり、最近読んだ本の質問ではプレゼン力がみられています。
また、自分はどのような人物なのか的確に説明するためには、文章構成に注意することが必要です。
そこで、回答する際はPREP法を用いて結論から簡潔に話すと、説得力のある説明ができます。
PREP法は以下の流れで話を進めていきます。
- P:point(結論)
- R:reason(理由)
- E:example(具体例)
- P:point(結論)
まずは、どの本を読んだのかを回答し、続いてなぜその本を読んだのかを伝えましょう。
そのあと、本の内容について具体的に説明し、最後に結論として本から得た学びや今後活かしていくことを述べます。
PREP法を用いて簡潔にわかりやすく説明することで、企業へのアピールにつながります。
業界に適した本を選択する
志望する業界と関連した内容の本を紹介することで、その業界に対する関心度の高さがアピールできます。
以下は業界別におすすめするジャンルの一例です。
- 金融業界:投資や経済に関する本
- マスコミ・広告業界:メディアや社会問題に関連する本
- 医療業界:医療や命に関連する本
ただし、必ずしも業界にマッチした本を紹介しなければならないわけではありません。
興味のある内容の本で、自分らしさを伝えることが大切です。
そのため、自分の興味がある内容と業界の分野を照らし合わせながら、本を選択しましょう。
自分の意見を述べる
内容や感想だけでなく、読んで学んだことや自分の意見を伝えることが重要です。
意見を述べることで、自分がどのように考える人間なのかを伝えられます。
そして、その伝えた内容をもとに面接官は就活生の人柄などを判断できるため、自分の意見もあわせて述べましょう。
また、自分の意見を伝える際には、今後どのように活かしていくかを組み込むこともポイントです。
読書から得たことを自分の生活に落とし込んで説明することで、学習意欲や向上心をアピールすることにつながります。
面接での最近読んだ本へのNG回答
人によっては最近本を読んでおらず、回答に困ってしまう人もいるでしょう。
そういった場合、特に注意すべきNG回答について紹介します。
「本を読みません」と答える
最近読んだ本がなかったとしても、本を読まないと断言することは避けましょう。
読書習慣がないといった事実だけでなく、学習意欲のない人、話題や知識に乏しい人などと面接官にマイナスの印象を与えてしまいます。
先述のとおり、面接官は最近読んだ本の質問で、人柄や向上心など就活生に関するさまざまなポイントをチェックしています。
しかし、「本を読みません」と断言してしまうと、まったく確認できなくなってしまうため、読んだ本について回答し自分らしさをアピールしましょう。
読んでいない本を答える
最近読んだ本についてだけでなく、面接では嘘をいってはいけません。
自分を良くみせようと、読んでいない本を紹介することは厳禁です。
読んでいない本を回答してしまうことで、内容について質問された際に答えられない、面接官が同じ本を読んでいて話題についていけないなど、嘘を突き通すことは難しいでしょう。
嘘がばれてしまうと信頼がなくなってしまい、面接は失敗となってしまいます。
無理をして業界に適した本や話題のビジネス書などを答えず、嘘のない誠実な回答をしましょう。
マンガ・ライトノベルのジャンルを答える
趣味として読んでいる本について答えることは、面接官の意図に沿わない可能性があります。
そのため、マンガやライトノベルを回答することは避けましょう。
しかし、志望する業界について勉強するために読んだなど、具体的な理由を伝えることができれば小説などでも問題ありません。
その際は、PREP法を用いながらなぜその本を読んだのか説明することも必要です。
最近読んだ本の回答としておすすめのジャンル
最近読んだ本を答える際は、本選びも重要なポイントです。
おすすめのジャンルと、ジャンルごとに面接官からどのような印象を持たれるか解説します。
自己啓発書
自己啓発書は能力の向上や成功に向けた手段を解く内容であり、新しいことに挑戦する意欲のある、向上心の高い人物であると面接官に思ってもらえる傾向にあります。
業界に関する内容であれば業界の知識をつけられるほか、その業界に対して高い関心を示していることをアピールすることも可能です。
また、面接を受ける企業の創業者や経営者が執筆している本を読む場合、企業研究にもつながります。
常に成長し続けようと考えている向上心を示すとともに、業界や企業を知る機会にもなるため有効です。
ビジネス書
経済・経営・マーケティングなどビジネスに関する幅広い内容の本があり、仕事のやり方や心構えなどが書かれているジャンルです。
そのため、仕事に対して前向きで働くことに興味を持っていることを、面接官に伝えられます。
ビジネス書にはさまざまな種類があるため、自分にあったものを選ぶことが大切です。
営業職希望であれば営業や対人スキルに関する本を選択するなど、自分が志望する業界や職種に合ったものを選ぶことで、より関心度の高さをアピールできます。
小説
小説はビジネスと関連を持たせにくい印象があるかもしれません。
しかし、登場人物から学んだことや、ストーリーから得た教訓を伝えることで、自分の人間性をアピールしながら仕事の内容につなげることも可能です。
小説には文学作品だけでなく、推理小説やミステリー小説、歴史小説もあります。
例えば、歴史小説は教養の高さを示すとともに、人としての生き方について得た教訓を話すことができます。
小説を通じて深まった人生観や人間性をわかりやすく面接官に伝えましょう。
エッセイ
エッセイは作者自身の経験や考えを自由に書き記したものであり、自分の経験と結びつけ、そこから意見や人間性を示しやすいことが特徴です。
また、実体験とリンクさせるだけでなく、エッセイから得た学びや新しい考えを、今後の生活や仕事に結びつけて話すことも方法の一つです。
例えば、元スポーツ選手が著したエッセイを紹介し、自分の部活動やサークルでの経験とリンクさせて話すことで、自分の経験や人間性と本から得た学びを同時に伝えられます。
流行っている本
流行の本も最近読んだ本の回答でおすすめのジャンルです。
流行っている本や話題の本を選ぶことで、流行に敏感で情報感度が高い印象を持ってもらえるでしょう。
最新の話題を積極的に取り入れることで、関心事項や向上心のアピールにつながります。
流行に敏感なことを示したい場合、SNSや書店で話題になっている本や、ベストセラー本、書店の新刊コーナーなどをチェックしてみましょう。
【例文】最近読んだ本に対する答え方
最後に、答え方についてビジネス書とエッセイの例文を紹介します。
先述の回答ポイントなどを参考にしながらチェックしてください。
例文①ビジネス書
【例文】
最近読んだ本は○○さんの『○○○』というビジネス書です。
プレゼンテーションの方法について書かれており、希望している営業職の参考にしたいと思い読み始めました。
相手に伝えることだけでなく、相手を動かすことの必要性についても書かれています。
書籍には話し方の例が複数挙げられており、今までのサークル活動を思い返すと、自分の指示がうまく通った場合とそうでない場合では、伝え方に差があったと感じました。
この本で得たプレゼンテーションの方法を、今はアルバイトで実践しており、今後は仕事でも活かしていきたいと考えます。
【解説】
自分の希望職種に適した分野の本を紹介している点がポイントです。
業界や職種に合致した内容の本を選択することで、志望度の高さや向上心を示せます。
また、学んだことをすでに実践しているといった点で積極性をアピールでき、今後の仕事でも活かせると面接官にイメージしてもらえるでしょう。
例文②エッセイ
【例文】
最近読んだ本は、元プロ野球選手の○○さんが書いたエッセイ『○○○』です。
私も小学校3年生から野球をやっており、○○さんは憧れの選手だったことから、この本を手に取りました。
野球を通して感じた喜びや悩みについて書かれており、特にスランプに陥った際、それを受け入れることで乗り越えていった話は印象に残っています。
高校の野球部で仲間の成長スピードについていけない時期があり、そのときを思い返しながら、できていた点と改善すべきだった点について再度考える機会になりました。
社会人として働き始めると辛いことも多くあると思いますが、自分の弱さを受け入れ、壁を乗り越えていきたいと考えます。
【解説】
自分の経験と作者の経験をリンクさせ、学んだ点を示しています。
また、今後の社会人生活で活かしていきたいと伝えることで、学んだことを取り入れられる人間性をアピールできるでしょう。
例文①も同様ですが、文章はPREP法を用いてわかりやすく構成することがポイントです。
面接で最近読んだ本を聞かれたら自分を効果的にアピールしよう
面接官は最近読んだ本について質問することで、就活生の人間性や向上心などをチェックしようとしています。
そのため、自分がなにを伝えたいのか考えて回答することが大切です。
話をする際は、PREP法を用いて結論から簡潔に話をまとめましょう。
自分の考えや学びを組み込み、今後活かしていきたいことについても話をすると、面接官にわかりやすくアピールできます。
選ぶジャンルや本、話す内容など、自分を効果的にアピールできる内容で面接官に伝えましょう。