仕事探しをするなかで、正社員以外の働き方を視野に入れている方もいるでしょう。
直接雇用だと、正社員のほかには契約社員やパートという選択肢があります。
では、契約社員とパートにはどのような違いがあり、どのような人に適しているのでしょうか。
本記事では、契約社員とパートの違いや、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
勤務時間や仕事内容、給与などの特徴を知り、自分の理想の働き方を見つけるヒントにしてみてください。
目次
契約社員とパートの違いとは
契約社員とパートには、以下のような違いがあります。
雇用形態 | 契約社員 | パート |
勤務時間 | フルタイムのところが多い | 短時間勤務可能 |
契約期間の有無 | 有期雇用 | 特別な定めはない |
任せられる仕事内容 | 正社員と変わらない | 正社員のサポート業務など |
給与 | 会社による | 時給制 |
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
勤務時間
契約社員とパートの違いとして、まず挙げられるのは勤務時間です。
契約社員の所定労働時間は正社員と同等であるため、フルタイムのところが多いようです。
具体的な勤務時間は契約する会社によって異なるものの、7時間~8時間程度となるのが一般的です。
一方のパートは、パートタイム労働法により「同事業所の正社員よりも1週間の所定労働時間が短い労働者」と定義されていることから、1週間の勤務時間は短くなります。
労働時間の融通がききやすく、プライベートとの両立もしやすいでしょう。
契約期間の有無
契約社員は有期雇用の契約となり、労働基準法14条により最長3年が上限となっています。
高度な専門知識を要する職種と満60歳以上の労働者は例外(最長5年)です。
下限について定める法律はありません。
極端に短くても問題はないものの業務を円滑に進めるため、ある程度の長さを設定するのが一般的です。
あらかじめ契約期間を設定して、期間を満了した際には更新手続きや契約解除を行います。
2013年に無期転換ルールが施行されたことで、同一の使用者との間で有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより超無期雇用契約の締結も可能になりました。
一方、パートの場合は期間が設けられるケースもありますが、通常は無期雇用で契約されます。
ただし契約社員と同様に有期労働契約が更新されて通算5年を超えた場合は、無期転換ルールが適用されるため、パートから無期雇用の正社員になることも可能です。
契約社員の期間については下記でも詳しく解説しています。
任せられる仕事
契約社員とパートでは多くの場合、任せられる仕事の範囲にも違いがあります。
契約社員はパートと比較して基本的には仕事の責任が重く、業務範囲も広いです。
正社員ほどではないにせよ、任せられた仕事にはそれなりの成果が求められるでしょう。
対してパートは、社員をサポートするような業務が多い傾向にあります。
より専門的な仕事をしたい、責任のある立場で頑張りたいという場合は、契約社員のほうが向いているでしょう。
給与
契約社員とパートでは、給与にも差があります。
契約社員の場合は月給で設定されていることが多いため、正社員並みの給料をもらえるケースも珍しくありません。
一方、パートの場合は時給制となるため、働いた時間で給与が変化します。
働ける時間が少なかった月は収入が減るなど、安定性に欠けると感じる場合もあるでしょう。
契約社員とパートのメリット・デメリット
契約社員とパートにはここまで紹介したような違いがあるほか、それぞれにメリット・デメリットが存在します。
生活環境や本人のキャリア志向によって、メリット・デメリットのどちらを重視するのかは変わるため、まずは自分が優先したいことを明確にしましょう。
契約社員のメリット
契約社員は給与や社会保険などの面で、パートにはないメリットがあります。
- 給与を稼ぎやすい
- 社会保険に加入できる
- 重要な仕事を任せてもらえる
詳しく見ていきましょう。
給与を稼ぎやすい
契約社員はパートと比較すると、給与の面で良い待遇を受けやすい傾向にあります。
給与形態も月給制が多いため、フルタイムで働けば正社員並みの月給を稼ぐことも不可能ではありません。
職場によっては、契約社員から正社員登用もめざせます。
より多く稼ぎたい場合は、契約社員から経験を積むのもおすすめです。
社会保険に加入できる
契約社員はパートよりも給与が高く、労働時間も長くなります。
このため、社会保険への加入条件を満たせる可能性が高いでしょう。
社会保険に加入すると、保険料を会社と折半して健康保険が利用できるだけでなく、厚生年金保険への加入も可能です。
将来もらえる年金を増やすこともでき、老後の備えがしやすくなるでしょう。
ただし、社会保険は条件を満たしていればパートでも加入できるため、収入や労働時間によっては大きなメリットになりえないケースもあります。
重要な業務を任せてもらえる
契約社員はパートとは違い、責任のある業務を任せてもらいやすいのが特徴です。
特に美容師やプログラマなど専門的な知識が必要になる職種は、正社員と同等のスキルが求められるケースもあり活躍の場が広いでしょう。
責任のある仕事を経験することでより自分のスキルに磨きがかかり、キャリアの幅を広げていくことも可能です。
契約社員のデメリット
契約社員にはメリットが多い一方で、以下のようなデメリットもあります。
会社によってはそのまま正社員登用ともなるため、仕事の比重は大きくなりがちです。
- 時間の融通がききにくい
- 責任が重い
詳しく解説します。
時間の融通がききにくい
契約社員は、時間の融通がききにくい点がデメリットです。
パートに比べて出勤日数が多く、思うように休みをとれないこともあるかもしれません。
職場によっては業務量も正社員と同等に近く、残業が発生する可能性もあります。
時間の自由がきく環境でプライベートを重視しながら働きたい方よりは、仕事に重きを置きたい方に向いているといえます。
責任が重い
契約社員はパートと比較して、仕事にともなう責任が重い傾向にあります。
社員の補助的な業務が主となるパートに比べると、契約社員は幅広い業務を任されることになるでしょう。
業務範囲が広く責任ある仕事はやりがいがある一方で、気軽に働きたい人にとっては負担になってしまう可能性があります。
パートのメリット
パートは、働き方に柔軟性を求める方に大きなメリットがあります。
- シフトを柔軟に組みやすい
- 扶養内で働きやすい
- 副業・ダブルワークが可能
具体的に見ていきましょう。
シフトを柔軟に組みやすい
パートは、シフトを柔軟に組みやすい点がメリットです。
企業にとってパートは必要不可欠な人材であるため、シフトの融通をききやすくしていることもあります。
私用や子育てを優先したいときはシフトを変えてもらえるなど、プライベートと仕事の両立もしやすいでしょう。
扶養内で働きやすい
パートの場合、扶養内で働けるよう調整しやすいこともメリットです。
配偶者控除であれば年間103万円以内(年間の合計所得金額が48万円以下)、配偶者特別控除なら年間の合計所得金額が48万円超133万円以下になるように労働時間や収入の調整が必要です。
パートの場合は、柔軟に労働時間を調節しやすく給与も時給制であるため、扶養の範囲内で働きやすいでしょう。
副業・ダブルワークが可能
パートでは、副業やダブルワークが認められるケースもあります。
普段はパートで最低限の収入を稼ぎ、空いている時間で趣味のハンドメイド作品を販売するなど、新たな挑戦も可能です。
空き時間をスキルアップに活かせるほか、気分転換になる点もメリットといえます。
自分に合ったさまざまなキャリアを、自由に磨いていくこともできるでしょう。
パートのデメリット
契約社員同様、パートで働くことにもいくつかのデメリットがあります。
- 収入が安定しない
- 社会保険の加入条件を満たせない
詳しく見ていきましょう。
収入が安定しない
パートは契約社員と比較すると、収入が安定しにくいのがデメリットです。
時間給である以上、勤務先の都合で勤務時間が減れば必然的に月給も下がってしまいます。
コロナ禍など突発的な社会現象が起きた場合は、事業縮小などによって収入が一気に落ちてしまうケースもあるでしょう。
また、契約社員とは違いボーナスが支給されることは稀です。
よって、そもそもの年収が契約社員よりも少なくなりやすいことを念頭に置いておかなければなりません。
時間と体力に余裕があれば、副業・ダブルワークも検討してみてください。
社会保険の加入条件を満たせない
パートは社会保険の加入条件を満たしにくい点もデメリットです。
社会保険に加入するには、一定以上の労働時間と収入が必要になります。
短時間勤務がメインとなるパートは、社会保険に入れないかもしれません。
社会保険に加入すると厚生年金が受け取れたり、会社側と保険料が折半になったりと利点も多くあります。
とはいえ現在は社会保険への加入条件が緩和され、パートであっても多くの人が加入しやすくなりました。
気になる方は条件を再度確認し、シフトを増やせないか交渉してみるのも良いでしょう。
正社員と契約社員とパートの違いを知って自身に合う働き方を選ぼう
働き方を考える際は、正社員を始めとしたさまざまな選択肢に目を向けることが大切です。
契約社員やパートなどのメリット・デメリットも理解して、自分に合う働き方を選びましょう。
正社員は採用のハードルが高い分、腰を据えて働きやすい環境ですが、すべての人に向いているとは限りません。
自由度の高い雇用形態のほうが結果的に長く働けるケースもあるので、ライフワークバランスを考えたうえで検討してみてください。