面接を受けるとき、これから先の展望を見極めるため、「将来の夢」を質問されることがあります。
面接でよくある質問なので、事前に将来の夢を考えたり、内容をまとめたりする方もいることでしょう。
面接で問われる将来の夢への回答は、就職活動にふさわしい内容が好まれます。
今回は、面接の場にふさわしい将来の夢の内容や、具体的な夢がない場合の対策を詳しく解説します。
目次
面接で将来の夢を聞く理由とは?
一見、就職の面接とは関係がないようにも感じられる将来の夢。
そもそも、なぜ面接で将来の夢を尋ねられるのか、疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
面接官が将来の夢を尋ねる理由は、次の2つです。
- 自社とマッチしているかを確認する
- 成長意欲があるかを確認する
以下で詳しく解説します。
自社とマッチしているか
面接官は、応募者に将来の夢を聞くことで、自社の企業とマッチしているかを確認しています。
具体的に確認しているのは、次のポイントです。
- 自社が展開している事業とのマッチング
- 自社で身につくキャリアとのマッチング
例えば、面接で「将来は地域に密着した介護の仕事をやりたい」と伝えたとします。
介護施設の面接なら、将来の夢と業務内容がマッチングしているので、面接官も受け入れやすいでしょう。
しかし、別分野で活躍する夢や「将来は副業をメインにしたい」といった内容を伝えられたら、自社の事業ともキャリアともミスマッチなので、採用も消極的になってしまいます。
面接で将来の夢を尋ねられたら、応募する企業の事業とリンクした内容にすることが大切です。
成長意欲があるか
面接では、将来の夢を質問して、成長意欲があるかどうかも確認しています。
例えば、将来の夢を聞かれて、「介護用具の開発をしたい」と答えたとします。
応募した企業が介護用品開発を予定しているなら、将来の夢とマッチしているので、「意欲的に取り組んでもらえる」と判断されることでしょう。
しかし、異分野の開発や販売のみに注力している企業などでは、業務内容と夢がマッチせず、応募先企業での成長への意欲が十分に伝わりません。
面接で将来の夢を聞かれたら、仕事への成長意欲も確認されていると考えましょう。
面接で将来の夢を答えるポイント
面接官は、応募者に将来の夢を質問して、自分の会社に合っているか、一緒に働きたいと思えるかを確認しています。
では、この質問への回答で好印象を持ってもらうために、気をつければ良いことは何でしょうか。
面接で将来の夢を答えるポイントを解説します。
具体的に答える
面接で将来の夢を質問されたら、面接官がイメージしやすいよう、できるだけ具体的に答えましょう。
例えば、「世の中の役に立ちたい」とあいまいに答えても、どのように役立ちたいのかがはっきりしません。
「障がい者の自立をサポートしたい」「介護をするご家族の悩みを軽くしたい」など、具体的な内容で答えることが大切です。
その企業だからこそ叶えられる理由を答える
将来の夢を答えるときは、応募した企業だからこそ叶えられる理由を伝えることも重要です。
例えば、介護用品の販売・レンタルを行う企業へ応募したのに、「将来は電動リフトを開発したいです」と答えても、業務内容とマッチしません。
「便利な介護用品をたくさんの人に紹介したい」と答えれば、応募した企業ともマッチし、仕事への貢献もアピールできます。
将来の夢は、応募する企業の業務内容とリンクさせた内容にしましょう。
結論・理由・方法で答える
将来の夢を尋ねられたとき、「将来の夢は〇〇です」で終わるケースが見られます。
決して間違いではないのですが、以下の順番で答えるとより効果的です。
- 結論(将来の夢)
- 理由(その夢を抱く理由)
- 方法(夢をどう叶えていくのか)
以下で詳しく解説します。
結論(将来の夢)
最初に伝えるのは結論です。
面接で熱心に伝えようとするあまり、前置きや長い説明をする方もいますが、話が長いと結論の印象が薄くなる可能性があります。
最初に結論を伝えれば、内容がぶれることもなく、面接官の印象も良くなるでしょう。
まずは結論を述べて、面接官の興味を引きつけてください。
理由(その夢を抱く理由)
結論の次に伝えるのが、将来の夢を抱いた理由です。
最初に結論を聞いた面接官は、「なぜその夢を持ったのか」と興味を持つことでしょう。
面接官の興味に応える核心部分を説明すると、話が深まり説得力が生まれます。
理由を話すときに大切なのが、できるだけ具体的なエピソードを入れることです。
面接官が納得できる理由を伝えて、思いの強さをあらわしましょう。
方法(夢をどう叶えていくのか)
最後に伝えるのが、将来の夢を叶えるための方法です。
先述したように、面接で尋ねられる将来の夢では、成長意欲も確認されます。
つまり、将来の夢を持っていても、叶えるための方法を伝えなければ、意欲や実行力が伝わりません。
夢を叶えるための具体的な方法を話すことで、あなたの計画性や実行力が示せます。
応募する企業の仕事内容や経営方針とリンクさせて、実現させたい強い気持ちとアイデアがあることをアピールしましょう。
【例文】面接で将来の夢を聞かれた際の回答
面接で将来の夢を聞かれたときは、ポイントを踏まえて回答することが重要です。
しかし、実際に回答するとなると、なかなか言葉が出てこない方もいることでしょう。
面接で将来の夢を質問されたときの回答例文を、業界別にご紹介します。
医療業界の例文
私の将来の夢は、地域の人に信頼される薬剤師になることです。
私の将来の夢は、地域の人に信頼される薬剤師になることです。
地域包括ケアが推進され、調剤薬局に求められる役割が大きく変わってきました。
患者さんとの距離が近くなり、薬の正しい使用方法を指導したり、健康相談を受けたりなど、薬剤師の知識を活かせる場も増えています。
しかし、どれだけ専門知識があっても、患者さんとの信頼関係が築けなければ、服薬指導やアドバイスを受けてもらえません。
話し方講座などを受けてコミュニケーション能力を高め、地域の人に信頼される薬剤師をめざしたいと考えています。
介護業界の例文
私の将来の夢は、介護で悩むご家族の気持ちが少しでも軽くなるよう、適切なアドバイスができるケアマネジャーになることです。
私の将来の夢は、介護で悩むご家族の気持ちが少しでも軽くなるよう、適切なアドバイスができるケアマネジャーになることです。
私が小学生の頃、母が祖母の介護で悩んでいることがありました。
当時は現在ほどサポート体制が整っておらず、母はかなり苦労して体を壊したこともあります。
現在は便利な介護用品も増え、昔に比べたら負担も軽減しているでしょう。
しかし、介護に関する悩みや心身の負担は、今も昔も変わらないと思います。
私は、これから実際に介護のプロとして経験を積み、ケアマネジャーになって介護に悩むご家族を支えたいです。
接客・販売業の例文
私の将来の夢は、お客様に親しまれる販売員になることです。
私の将来の夢は、お客様に親しまれる販売員になることです。
普段利用しているスーパーに、いつも笑顔で対応してくれる店員さんがいます。
体の不自由なお客様や、小さな子どもを連れて大変そうなお客様に寄り添い、買い物のお手伝いをしてくれる姿に憧れています。
どのようなお客様にも笑顔で対応するためには、コミュニケーションスキルが欠かせません。
会話やマナー講座も積極的に受けて、いつもお客様に喜んでいただけるサービスを提供したいです。
製造業の例文
私の夢は、災害で役立つ発信器を製造することです。
私の夢は、災害で役立つ発信器を製造することです。
過去に大きな災害で被害を受けたことがあるのですが、停電で携帯電話も使えず、なかなか救援が来ないことがありました。
万が一のとき、子どもでも簡単にSOSが出せる発信器があれば良いのにと思ったのが、夢を持つきっかけです。
高校でも電子機器やロボット制作に取り組み、現在も母校で仲間と勉強を続けています。
これからも勉強を続け、一般家庭に災害用発信器を普及させたいです。
不動産業界の例文
私の夢は、地域コミュニティを考えた都市開発に携わることです。
私の夢は、地域コミュニティを考えた都市開発に携わることです。
私が子どもの頃は近所付き合いも頻繁で、地域コミュニティの助け合いが行われていました。
現在は独立した家庭が多く、気軽に助け合う機会がなかなかありません。
例えば、近所の人が気軽に集まれる建物を中心にして区画整理をすると、コミュニケーションも生まれやすくなると考えられます。
積極的にフィールドワークを行い、身につけた知識を仕事に活かしたいです。
面接で将来の夢を聞かれた際のNGな回答
面接で尋ねられるケースがよくある将来の夢。
ポイントを押さえて答えることも大切ですが、NGな回答例を知っておくと、より的確に話せます。
将来の夢を話すとき、どのような回答がNGなのかを解説します。
プライベートな内容
面接で将来の夢を聞かれたとき、プライベートな内容を答えるのはNGです。
例えば、次のような回答は避けたほうが良いでしょう。
- 今お付き合いしている人と早く結婚したい
- ペットを飼いたい
- 海外旅行したい
微笑ましい夢であっても、ビジネスシーンには合いません。
面接は働きたい意志をアピールする場なので、仕事にからめた夢を回答しましょう。
退職を連想させる内容
退職を連想させる内容も、面接ではふさわしくありません。
NG回答の具体例は次のとおりです。
- いつか独立したい
- 〇〇に移住したい
- 〇歳までに実家へ帰りたい
企業は、社員に長く働いてもらえるよう、コストをかけて教育します。
退職を匂わせるような発言をすると、「この人はすぐに辞めるだろう」と判断されかねません。
将来の夢を伝えるときは、退職を連想させる回答を避けましょう。
将来の夢がない場合の面接対策
面接のとき、「将来の夢はありません」と答えるのは、あまり良い回答ではありません。
しかし、どうしても夢を思いつかず、なかなか回答を準備できない方もいます。
将来の夢がない人は、以下の方法を試してみましょう。
自己分析を行う
自己分析は、自分の経験や好み・趣味を掘り下げて、得意なことや興味があることを見つけていく作業です。
自分の好みや得意なことが見つかると、仕事と関連した将来の夢を描きやすくなります。
例えば、パソコンや機械工作が好きで、ロボット作成に興味があるとします。
進学した学校の制作発表会で、実際にロボット作成を行った経験があると、ある程度のノウハウや知識が身についていることでしょう。
もし、身につけたノウハウが応募先の企業で活かせるなら、将来の夢を具体的に描けます。
自己分析は、いわば自分の経験の棚卸し作業。
自分で意識していなくても、実際に分析していくと特技が見つかったり、「これをやってみたい」と夢が生まれたりします。
ただし、思いつくままにただ書き出すだけでは、せっかくの自己分析もうまくまとまりません。
次の流れにしたがって自己分析を進め、将来の夢につながるヒントを見つけましょう。
↓(自分の好きなこと・得意なことを書き出す)
↓(書き出した項目から今後も続けたい内容をピックアップする)
↓(続けることでどういった結果が得られるか考える)
↓(得られる結果が企業でどう役立つかを考える)
↓(今後はどのようにしたいかを考える)
応募する企業の情報を集め、詳しく研究して将来の夢を見つけるのも良い方法です。
企業のホームページやパンフレットには、経営理念や展開しているサービスなど、仕事に関する情報が記載されています。
集めた情報と、あなたの好きなこと・得意なことを照らし合わせると、将来やりたいことが見えてくることでしょう。
企業研究を行って、将来の夢を形にしてみてください。
面接で将来の夢を答える際は企業側の意図も意識しよう
面接でよく尋ねられる将来の夢には、経営理念や業務内容とのマッチング、長く働いてもらえるかなどを確認したいという、企業側の意図が込められています。
意図をしっかり理解しておかないと、プライベートな夢や応募する企業に関連がない夢など、NG回答をしてしまうこともあるでしょう。
自分のやりたいことや得意なことを、応募企業の仕事内容にからめれば、理想的な回答ができます。
具体的な夢がない方は、自己分析や企業研究を行って、面接にふさわしい将来の夢をまとめてみましょう。