転職エージェントを利用するデメリットとメリットを詳しく解説

転職活動は自分一人の力で進めるほか、転職エージェントを利用するという選択肢もあります。
転職エージェントは転職のプロともいえる存在ですが、すべての人にとって必要なサービスとは限りません。
なかには「実態がわからず利用しにくい」「自分に合うのかわからない」と不安に感じる方もいるでしょう。

本記事では、転職エージェント利用のデメリットとメリットを、それぞれ7つ紹介します。
転職エージェントを使う必要がない人の特徴も解説しているため、参考にしてみてください。

転職エージェントを利用するデメリット

転職エージェントを利用する場合、第三者によって転職活動の進め方が左右されることを念頭に置く必要があります。
なかにはサポート期間が決まっている転職エージェントもいるため、転職活動にある程度のスピードが求められるでしょう。

また、キャリアアドバイザーの質が低かったり、性格の相性が悪かったりする可能性もゼロではありません。
まずは、転職エージェント利用にあたってのデメリットを7つ紹介します。

自分のペースで転職活動を進めづらい

転職エージェントを利用した場合、自分のペースで転職活動を進めづらくなることがあります。
転職エージェントは求職者を企業に紹介して収益を得るシステムになっており、早く内定を決めてもらうためにも、求人情報や応募を促す連絡をこまめにしてくるためです。
キャリアアドバイザーのなかには、売上やノルマのために求職者の意向をあまり考えず提案をしたり、頻繫に連絡したりする人も少なからずいるでしょう。

特に在職中に転職活動を進める方は、限られた時間のなかで転職活動を進める必要があります。
この場合、「アドバイザーからの連絡に都度対応している時間がもったいない」と感じるかもしれません。

求人の応募に時間がかかる

転職エージェントを利用すると、利用しない場合に比べて求人の応募に時間がかかる傾向にあります。
転職エージェントへ登録後、まずはキャリアアドバイザーと面談を行う必要があるためです。
キャリアアドバイザーは、個々の希望条件を面談で把握したうえで求人を紹介します。

そのぶん自分に適した求人が見つかりやすくなる一方で、自分自身で企業へ直接応募したり求人サイトから応募したりする場合と比べると、多少時間がかかるでしょう。
すでに退職していて早急に転職先を見つけたい方などは、応募前の面談が手間に感じる可能性があります。

サポート期間に制限がある転職エージェントもある

転職エージェントのなかには、サポート期間があらかじめ決まっている業者もいます。
転職活動に必要な期間は3ヵ月程度とされていることから、サポート期間を3〜6ヵ月程度と定めている転職エージェントも少なくありません。
「じっくり転職活動を進めたい」「急いで転職したいとは思わない」と考えている方は、サポート期間内に転職したいと思える企業と出会えない可能性もあるでしょう。

また、サポート期間が無制限であっても、求人になかなか応募できない状態で登録から3ヵ月を過ぎると、転職の意思が高くないと判断される場合があります。
求職活動の進み具合によっては、転職サイトの利用も検討しましょう。

紹介される求人に偏りがある

転職エージェントを利用すると、紹介される求人に偏りがある可能性もあります。
転職エージェントやキャリアアドバイザーによって、得意とする分野が異なることがその理由です。
例えば、大手企業への転職を望んでいるにも関わらず、地域密着型の中小企業の紹介を得意とする転職エージェントを利用すれば、思うような求人情報を得にくいでしょう。

求人に偏りがあると、本当に転職したい業界・業種での内定が遠のいてしまう場合があります。
対策として、自分が転職したい業界・職種、転職する目的を明確にしたうえで転職エージェント選びをすることです。

キャリアアドバイザーとの相性が合わないことがある

大手の転職エージェントを利用しても、キャリアアドバイザーとの相性が合わないこともあります。
転職エージェントの質に満足できるかは、担当者のスキルにも影響されるでしょう。
経験やスキルの低いキャリアアドバイザーが担当になると、転職活動をうまく進められないかもしれません。

スキルが高くても態度が威圧的だったり、あまり信用できなかったりなど、性格的に相性が悪いアドバイザーに当たる可能性もあります。
担当者との相性が悪いと感じたら、転職エージェントの問い合わせ窓口から担当者の変更を申し出ることが可能です。

希望している求人に応募できない場合もある

転職エージェントを利用することで、希望する求人に応募できない場合もあります。
転職エージェントでは担当のキャリアアドバイザー経由で応募の手続きを行うため、自由に求人情報を集められる転職サイトなどと比べると、選択肢が絞られるのが特徴です。
また、転職エージェントは企業に応募する前に社内選考を行います。

社内選考を行う理由として、転職エージェントは求職者の転職を支援すると同時に、企業に良い人材を探して紹介する役割も担っているからです。
したがって、気になる企業があったとしても、企業の求める基準より経歴・スキルなどが低い場合には応募できないケースもあります。

質の低い転職エージェントもある

厚生労働省の調査によると、令和4年時点で全国には29,856社もの転職エージェントが存在しています。
数多く存在する転職エージェントのなかには質の低い業者もいるため、注意が必要です。
転職エージェントを選ぶ際は、公式サイトでサポート体制を確認したり、利用者の口コミを見たりして慎重に比較しましょう。

また、質の良い転職エージェントを見つける一つの目安として、日本情報経済社会推進協会（JIPDEC）が認定している「プライバシーマーク」があります。
プライバシーマークは「個人情報を適切に取り扱っている」と認定された証明であるため、安心して利用できるでしょう。

転職エージェントを利用するメリット7つ

転職エージェントを利用すると、キャリアアドバイザーから自分の希望に合う転職先を紹介してもらえます。
そのなかには非公開求人と呼ばれるものもあり、給与や待遇面が良い場合も珍しくありません。
また応募にあたっては、キャリアアドバイザーが応募書類の添削を行うほか推薦状も書いてもらえるなど、企業に好印象を与えやすくなります。
ここからは、転職エージェント利用のメリットを7つ見ていきましょう。

自分に合った転職先を提案してもらえる

転職エージェントは面談を通じて求職者の要望や適性を把握したうえで、一人ひとりに合った転職先を紹介してくれます。
自分の希望条件を満たしているだけでなく、企業が求める人材の条件に自分が合致していることも重視してくれるため、効率的に転職活動を進めたい方におすすめです。

ときには、希望以上の条件がそろった魅力的な企業を紹介される場合もあります。
その場合、自分の市場価値は想定以上に高いといえるでしょう。
転職エージェントの利用によって、自分の市場価値を客観的に知ることも可能です。

履歴書・職務経歴書の添削をしてもらえる

転職エージェントを利用すると、キャリアアドバイザーから履歴書・職務経歴書の添削やアドバイスを受けられます。
「志望している企業は書類のどこに注目しているか」などを助言してもらえるため、アピール度が高い内容に仕上がり、選考通過を狙いやすくなるでしょう。

一人で応募書類を完成させるのは想像より難しく、過不足なく書いたつもりでもプロの視点では内容が不十分だったり、表現が適切でなかったりするケースがあります。
転職エージェントではキャリアアドバイザーが求職者の性格・経歴を把握し、どう伝えれば良いのか教えてくれるため、企業から見て魅力的な応募書類が作成可能です。

非公開求人を紹介してもらえる

非公開求人を紹介してもらえることも転職エージェントのメリットです。
企業のなかには転職エージェントにのみ求人を出すことがあり、転職サイトには公表されていない求人情報の閲覧・応募ができます。
非公開求人は「給与が高い」「ポジションアップできる」など、好条件が期待できるものも多いでしょう。

仮に非公開求人がなくても、自分自身の市場価値が高ければキャリアアドバイザーから企業へ直接営業してくれる場合もあります。
さらに、求人票を見ただけではわからない企業の成長性や業界の動向、書類・面接通過の難易度まで助言をもらうことも可能です。

企業の内情を知れる

転職エージェントに属するキャリアアドバイザーの多くは、人事担当者のみならず現場の担当者やトップともつながりがあります。
したがって、転職サイトや企業の公式サイトでは知りえない、社内のリアルな雰囲気や労働環境を応募前に教えてくれるでしょう。

転職エージェントを利用しなかった場合、こうした企業研究や業界研究は自分一人で行わなければなりません。
インターネットで閲覧できる情報がすべて正しいとは限らないうえに、自力で調べられる情報量には限りがあります。
給与面や残業の実態など、企業へ直接聞きにくい部分に関しても、転職エージェントを通じて事前に情報収集ができます。

企業との条件・日程調整を代わりに行ってくれる

転職エージェントは、企業との条件のすり合わせや面接の日程調整などを、求職者の代わりに行ってくれます。
特に働きながら転職活動を進める場合は、忙しい日々のなかで企業とこまめにやりとりをしなくてはならず、その手間と時間が負担になるかもしれません。

転職エージェントを活用すれば、面談で自分の希望や条件を伝えることでキャリアアドバイザーがマッチする求人を厳選して紹介し、面接などの日程調整まで行ってくれます。
企業とのやりとりの代行やスケジュール管理、応募先に合わせた面接指導をしてくれるため、仕事をしながらでも段取り良く転職活動を進められるでしょう。

企業に推薦してくれる

転職エージェント経由で企業に応募すると、キャリアアドバイザーが履歴書・職務経歴書と一緒に推薦状を提出してくれます。
推薦状にはキャリアアドバイザーから見た求職者の長所が記載されており、履歴書と職務経歴書では伝えきれない人柄や経験などの情報が添えられています。

推薦状があることで自分をより効果的にアピールでき、企業から「この応募者と面接してみたい」と思ってもらえる可能性が高まるでしょう。
また、キャリアアドバイザーに推薦状を見せてもらえれば、これまで気付かなかった自分の強みを発見できるかもしれません。

今の職場を円満退職しやすい

転職エージェントを利用していると、キャリアアドバイザーから退職に関するアドバイスを受けられます。
仕事を続けながら転職活動をしていると、退職の準備をどう進めるか悩む方も多いでしょう。
入社日と退職日がなかなか決まらなかったり、上司から引き止めに遭ったりなどのトラブルが発生する場合もあります。

転職エージェントは、現在勤めている会社を円満退職し、転職先へ入社するまでサポートしてくれるため、困りごとがあれば遠慮せずに相談しましょう。
転職エージェントでの退職代行はしていないものの、諸事情で入社日を延期したい場合などは、求職者に代わって転職先と交渉してくれます。

転職エージェントを使う必要がない人の特徴

メリットとデメリットの両面をふまえて利用を検討した場合、以下の2つに該当する方は転職エージェントの必要性を感じないかもしれません。

• 自分のペースで転職活動を進めたい人
• 行きたい企業が絞れている人

これらの特徴に当てはまる方におすすめな転職方法もあわせて紹介します。

自分のペースで転職活動を進めたい人

現職やプライベートと両立しつつ自分のペースで転職活動をしたい人や、多くの企業をじっくり比較検討したい人は、転職エージェントを無理に利用しなくても良いでしょう。
転職エージェントは常に多数の求職者や企業を相手にしているため、求人の紹介・応募のサポートにもある程度のスピードを求めざるを得ません。

「自分の好きなように転職活動を進めたい」と考えている場合には、転職サイトの利用がおすすめです。
転職サイトでは豊富な求人情報を確認でき、気になる企業があれば思い立ったタイミングで応募できます。

行きたい企業が絞れている人

すでに転職したい企業が絞れている方は、転職エージェントの必要性はあまり高くないでしょう。
転職エージェントは相談者の経歴・スキルを見て企業を紹介します。
したがって、求職者側が強く希望している企業があったとしても、転職エージェントが適合しないと判断したら紹介してもらえない可能性があります。

転職したい企業が明確であれば、その企業へ直接応募するのが堅実です。
転職サイトに希望の求人がある場合は、サイトを通して応募しても問題ありません。

転職エージェントを使うかどうかは自分次第

転職エージェントの利用は、デメリットとメリットの両方を理解したうえで判断しましょう。
転職エージェントは頼れる存在ではあるものの、第三者が介入するぶん自分のペースで転職活動を進めづらかったり、希望の求人に応募できなかったりするデメリットがあります。

一方で、キャリアアドバイザーが自分に合う転職先を提案してくれるほか、履歴書・職務経歴書の添削をしてもらえるため、採用率がアップするのは大きなメリットです。
「できるだけ早く転職したい」「一人で転職活動を進められるか不安」という方は、転職エージェントの利用もご検討ください。