再就職手当は、失業してから早期に転職先を見つけた方に対して支給されるお祝い金です。
しかし、いざ働き出してから「就労条件が面接時に聞いていたものと違った」「業務内容が合わなかった」などの理由で、すぐに再び離職を検討する方もいるでしょう。
このような場合、すでに受け取った再就職手当は返金する必要があるのでしょうか。
本記事では、再就職手当をもらってすぐに退職するときの注意点や把握しておくべきリスクについて解説します。
目次
再就職手当をもらってすぐに退職しても大丈夫?
再就職手当をもらってからすぐに離職する場合でも、返金の必要はありません。
再就職手当の受け取り後、仮に1週間で辞めたとしても、さらに退職理由が会社都合・自己都合のいずれであっても同様です。
ただし、離職するにあたっては以下のような注意点があります。
- 支給決定日より前に離職した場合は受給できない
- 1年未満で退職する場合は事情を説明できるようにしておく
- 再度失業保険を受け取れない可能性がある
順に詳しく解説します。
支給決定日より前に離職した場合は受給できない
再就職手当の支給決定日より前に再度離職した場合は、再就職手当を受け取れません。
支給決定日は、ハローワークに再就職の申請をしてから1~2ヵ月後となるのが一般的です。
ただし、支給決定日より前に離職したことで再就職手当をもらえなかったとしても、それほど大きな損にはならないでしょう。
再就職手当を受け取らなかった場合、再度離職したあとの雇用保険の基本手当(失業保険)をそのぶんもらえる可能性があるためです。
1年未満で退職する場合は事情を説明できるようにしておく
再就職手当を受給するための要件には「1年を超える勤務が確実であること」という項目があります。
そのため、再就職手当を受給してすぐに離職してしまうと、不正受給が疑われる可能性があるでしょう。
とはいえ、入社の時点では1年以上勤めるつもりでいても、急な体調不良や家庭の事情などのやむを得ない事情があり、離職するケースもあります。
そういった場合、退職理由を尋ねられたときに説明できるよう準備していれば問題ありません。
再度失業保険を受け取れない可能性がある
また、再就職手当を受け取っている方は、受給した再就職手当分(金額を日数に換算)が所定給付日数から差し引かれる点に注意しましょう。
再就職手当の受給額は、所定給付日数の残り日数によって、以下の計算式から導き出すことが可能です。
所定給付日数の支給残日数×基本手当日額×70%=受給額
【再就職時点で失業手当の残り給付日数が1/3以上】
所定給付日数の支給残日数×基本手当日額×60%=受給額
例えば会社都合で退職し、180日の所定給付日数で失業保険を受給していた人が、2/3以上の120日を残して再就職したとしましょう。
基本手当日額の上限は、60歳未満の方で6,290円、60~64歳までの方で5,085円です。
この場合、残った所定給与日数120日と基本手当日額に70%をかけた金額を、再就職手当として受給できます。
その後、再度離職し、失業保険の受給を再開する際には、先に算出した再就職手当のうち、すでに受け取っているぶんを差し引いて、失業保険の所定給与日数が決定されるということです。
よって、失業保険を満額受け取ることはできません。
再就職手当をもらってすぐに会社を辞めた場合は失業保険の確認を
転職活動を無事に終え、長く勤務する予定で再就職手当をもらっても、新しい職場での人間関係や業務内容などが合わず早期の退職に至る方もいるでしょう。
このとき、再就職手当をもらってすぐに会社を辞めたとしても、不正受給でなければ返金の必要はありません。
また、再就職手当をもらったあとに離職した場合でも失業保険をもらえる可能性があるため、ハローワークで確認してみましょう。