勤めている会社を円満に退社するためには、退職意向を誰に、いつ、どう伝えるのかが重要です。
この記事では、直属の上司や同僚に退社を伝える際のポイントや注意点、具体的な伝え方を解説します。
現在の勤め先を円満に退職したいと思っている方は、参考にしてみてください。
目次
退職の伝え方のポイント
退職の伝え方で大事な点は、退職の意向は必ず直属の上司に伝えることです。
先に他の人に伝えると上司は気分を損ねてしまい、円満退社が難しくなるかもしれません。
まずは、直属の上司に退職の1〜3ヵ月前にアポイントを取り、退職の意向を伝えましょう。
時期
退職を伝える時期は、就業規則によって異なりますが、退職日の1〜3ヵ月前が一般的です。
まずは直属の上司に退職の意向を伝えてから、人事部や同僚、取引先などに伝えるタイミングを相談するのが良いでしょう。
上司に伝える時期
退職の意思表示を直属の上司に伝える時期は、退職予定日の1〜3ヵ月前が一般的ですが、伝える前に会社の就業規則を確認しておきましょう。
上司に伝える際には、メールで済ませたり、いきなりその場で話しはじめたりすることのないよう、事前にアポイントの取得をおすすめします。
アポイントにより時間をしっかりとってもらうことで、退職理由を丁寧に伝えられ、お互い納得した退職につながります。
上司に伝える時期は、迷惑をかけたり、引き止めに合ったりしないように、繁忙期を避けたほうが良いでしょう。
同僚に伝える時期
同僚に伝える時期は、退職日が正式に決定してからにしましょう。
また、同僚らに伝えるタイミングや伝える方法は、直属の上司に相談することをおすすめします。
上司によっては、「退職後の新体制を準備してからチーム全体に共有したい」ということもあるからです。
退職を伝える時期が人事異動のタイミングやプロジェクトが終了した直後であれば、後任への引き継ぎが円滑に進む可能性が高く、良いタイミングといえます。
いずれにしても、自分で同僚に伝える時期を決めるのではなく、直属の上司の判断を仰いだほうが無難です。
退職の切り出し方
退職の意志を伝える際には、環境を整えることも重要です。
直属の上司と2人でしっかり話ができる場所や時間を選択しましょう。
上司のスケジュールを確認し、相談がある旨を伝えて時間を確保します。
上司のアポイントを取る際には退職のことには触れず、「ご相談したいことがあるので30分ほどお時間をいただけませんでしょうか」と伝えることが無難です。
退職の話題は、相手の表情がわかる対面で話したほうが、よりスムーズになります。
上司に退職を伝える際には、時間をいただいたことへの感謝と結論を先に伝えましょう。
具体的には、「お時間ありがとうございます。実は、退職させていただきたいと考えています」と切り出します。
伝える内容
上司とのアポイントをセッティングしたら、伝える内容を抜け漏れないように整理しておきましょう。
伝えるべき内容は、以下のとおりです。
- 退職する意志
- 希望退職日
- ポジティブな退職理由
- 転職の予定と入社予定日
- 自分が関わる業務の状況
以下の内容は、特に伝える必要はありません。
- 会社に対する不満
- ネガティブな退職理由
- 具体的な転職先
- 退職後の予定
上司に伝えるべき最も大事なことは、「退職の意志があること」です。
その後の対話で、退職理由や希望退職日、業務の引き継ぎについてなど、相談しながら伝えていきましょう。
退職理由の伝え方の具体例
ポジティブな退職理由を伝えることで、上司に応援されたり味方についてもらったりできれば、スムーズな退職につながります。
逆に、職場への不満などネガティブな退職理由を伝えると、「不満な要素は改善する」などと引き留めにあってしまい、退職が思うように進まないこともあります。
スムーズな退職を実現するためには、伝え方が重要です。
特に以下の点には注意しましょう。
- 退職は個人的な理由であること
- 退職理由が前向きであること
- 上司に相談するスタイルで行う
- 会社への不平不満は避ける
- 一方的な退職日を伝えることは控える
とはいえ、現職に対して不満があり退職するケースも多いものです。
以下に現職への不満をポジティブに言い換えた、退職理由の具体的例を紹介します。
退職理由の例1:やりがいがない
「仕事におもしろさを感じない」「自社商品やサービスが好きではない」「社会に貢献しているかわからない」など、仕事にやりがいがないケースです。
潜在意識
- 自社の商品やサービスが世の中のために役に立っている実感のある仕事に就きたい
- 社会に貢献していることが楽しい仕事である
例文
貴重なお時間をいただきありがとうございます。
上司や先輩、同僚に助けてもらいながら、ここまで成長ができ、大変感謝しております。
この先さらに成長するために、以前から興味を持っていた〇〇業界にチャレンジしたいと思い、退職を決意しました。
退職理由の例2:キャリアアップを望めない
「会社の業績不振」「将来が不安」「古い企業体質」など、自分のキャリアアップを望めないケースです。
潜在意識
- 成長産業で仕事をしたい
- 安定した企業で、腰を据えて働きたい
- 自分のアイデアを活かしてくれる会社で働きたい
例文
貴重なお時間をいただきありがとうございます。
今後の将来を考えたときに、この会社で培った知識や経験を活かして、より専門性の高い業種に就きスキルアップをしたいと考えました。
ここまで社会人として成長できたのは会社のおかげですが、自分自身の成長のために退社を決断しました。
退職理由の例3:評価に不満
「評価に不満」「給料が安い」「ボーナスが少ない」など、評価や賃金に対して不満がある場合です。
潜在意識
- 自分の仕事や成果に対して正当に評価をしてほしい
- もっと稼ぎたい
- バリバリと働きたい
例文
貴重なお時間をいただきありがとうございます。
今日は相談と報告があります。
これまで自分なりに会社へ貢献できるよう成果も出してきたと考えています。
しかし、給料やボーナスへの反映が感じられず、自分の成長を実感できませんでした。
これからさらに成長するためにも、もっと厳しい環境で仕事をすることを決め、退社を決意しました。
退職を伝える際に気をつけること
退職を伝える際に気をつけることは、会社や後任者、得意先に迷惑をかけないことです。
退職までの期間で、退職願の提出や後任者への引き継ぎを行い、有給休暇を消化するためにも、余裕を持ったスケジュールで動くことが必要となります。
後任への引き継ぎをしっかり行う
退職の意志を伝え退職日が決まったら、後任へ引き継ぎを行います。
引き継ぎのうえで重要なことは、スケジュール立案です。
退職日の1ヵ月前からスケジュールを立てることで、社内だけでなく取引先への挨拶を含めた、スムーズな引き継ぎができます。
後任者が決まっていない場合は、仕事内容や引き継ぎ事項をファイルやデータにまとめておくようにしましょう。
会社や後任者、得意先に迷惑をかけないためにも、計画を立てて確実に引き継ぎを進めてください。
有給休暇の残日数を確認
有給休暇の残日数を正確に把握するために、転職活動スタートや退職を決意したタイミングで、会社に確認しておきましょう。
有給休暇は残さず消化したいところですが、引き継ぎ不足だと休暇中や退職後も後任者から連絡が入る可能性があります。
また、有給休暇を優先して転職先の入社日を遅らせると、転職先の人事部や上司からの心証が悪くなることもあるため、注意が必要です。
有給休暇を消化するためにも、早めに残日数を確認し、計画を立てて動きましょう。
退職願提出のタイミングに注意する
退職願提出のタイミングには注意が必要です。
多くの会社では、退職日の1ヵ月前までの提出となっていますが、会社により異なるケースもあるため、就業規則で確認しましょう。
いきなり退職願を提出するのではなく、前述のとおり直属の上司に報告してからになります。
つまり、就業規則での退職願提出のタイミングから逆算して、上司へ報告する日を決めなければなりません。
引き継ぎや有給休暇取得のためにも、余裕を持ったスケジュールが必要です。
内定通知書が届いてから伝える
退職を伝えるタイミングは、転職先から内定通知書が届いてからにしましょう。
転職予定の企業から口頭で内定が伝えられたタイミングでは、社内稟議がおりていないケースも稀にあるため、内定取り消しの可能性が残っているからです。
転職予定の企業から内定通知書が届き、正式に内定を受諾してから会社に伝えます。
退職の伝え方・切り出し方には十分な配慮を
次の会社へスムーズに就職するためにも、円満退社は重要です。
円満に退社するためには、直属の上司に退職の意向を伝え、就業規則どおりに退職願を提出しなければなりません。
上司への切り出し方や伝え方には配慮が必要ですが、実行するために大切なことは綿密なスケジュール管理です。
まずは就業規則の退職願の提出期限を確認し、退職までのスケジュールを立案しましょう。