「年末調整の扶養親族って誰のことなのかわからない」
「扶養親族って親と子どもだけなの?」
年末調整の用紙には、扶養親族を記入する欄があります。
扶養親族がいれば扶養控除を受けられ、所得税の納税額を減らすことができます。
今回は、扶養親族の範囲や条件について解説します。
扶養親族に関するよくある質問と、その回答についても見ていきましょう。
目次
扶養親族とは誰のこと?認められる範囲について
扶養親族とは、配偶者以外の親族のうち、納税者に扶養されている人のことです。
扶養親族がいる人は、所得税を納税する際に、一定の控除を受けることができます。
ここでは、扶養親族として認められる範囲や具体例、さらには親族以外が認められるケースについて詳しく見ていきましょう。
扶養親族として認められる親族の範囲
扶養親族として認められる親族の範囲は、6親等以内の血族と、配偶者をのぞく3親等以内の姻族です。
血族は、自分の親兄弟、いとこ、子どもや孫、祖父曽祖父などが該当します。
姻族は、配偶者の親兄弟、祖父母、曾祖父母、叔父叔母、甥姪です。
上図に6親等以内の血族と3親等以内の姻族を、わかりやすくまとめていますので参考にしてください。
扶養親族として認められる条件
扶養親族として認められるには、血族・姻族であったとしても、以下の条件をすべて満たしていなければなりません。
- 納税者と同一の生計で暮らしている
- 1年間の合計所得が48万円以下、ただし給与のみの場合は給与収入が103万円以下
- 青色、白色申告者の事業専従者として給与の支払いを受けていない
上記3点をクリアしていれば扶養親族として認められ、扶養控除を受けられます。
扶養親族として認められる親族以外の例
以下のケースでは、血族・姻族以外でも、扶養親族として認められます。
- 都道府県知事から養育を委託された児童(里子)
- 市町村長から養護を委託された老人
子どもの年齢によっては控除対象扶養親族にならない
先に紹介した血族に自分の子どもも含まれるため、子どもは扶養親族として認められます。
しかし、控除対象の扶養親族として認められるのは、16歳以上と規定されています。
そのため、15歳以下の子どもは、扶養親族として認められますが、扶養控除の対象にはなりません。
平成22年までは15歳以下も扶養控除の対象でしたが、児童手当の増額にともない15歳以下は控除対象外となりました。
15歳以下の子どもは扶養控除の対象にはなりませんが、家庭によっては納税者の住民税が非課税になる可能性があるため、年末調整時には忘れずに記載しましょう。
扶養親族に関するよくある質問を紹介
ここでは、扶養親族についてのよくある質問と、それに対する回答を紹介します。
- 学生の子どもが一人暮らしでも扶養親族として申請できる?
- 再婚した相手に子どもがいる場合は血族?姻族?
- 両親が別居していても扶養親族として申請できる?
- 兄弟・姉妹で親を扶養している場合は扶養している全員が扶養控除申請可能?
- 年末調整後に子どもが生まれたときはどうしたら良いの?
- 扶養親族が亡くなった年の扶養控除は受けられないの?
学生の子どもが一人暮らしをしている場合は扶養親族として申請できる?
子どもが一人暮らしをしていても、学費や家賃などの生活費を送金していれば、扶養親族として申請可能です。
仕送りを証明する書類の提出は必要ありませんが、仕送りの事実を確認される場合もあるので、念のため送金した履歴がわかるものを準備しておきましょう。
現金の手渡しは証明ができないため、振り込みなど送金の記録が残る方法がおすすめです。
再婚した相手に子どもがいる場合は血族?姻族?
再婚した相手に子どもがいる場合は、一親等の姻族として扶養家族に含まれます。
また、16歳以上であれば扶養控除の対象になります。
なお、子どもがアルバイトをしている場合は、1年間にアルバイトで稼いだ金額が103万円を超えると、扶養親族の対象から除外されてしまうので注意してください。
別居している両親も扶養親族として申請できる?
両親と別居している場合も、その生活費を納税者本人が負担していれば、扶養親族として申請できます。
申請時に証明書の提出義務はありませんが、確認される場合もあるため、送金記録や振込証明書はいつでも提出できる状態にしておきましょう。
送金記録や振込証明が残らない現金手渡しは、扶養控除から外される可能性があるので控えたほうが無難です。
兄弟・姉妹で親を扶養している場合は扶養している全員が扶養控除申請可能?
兄弟で親の生活を支援していて、どちらも扶養控除の条件をクリアしている場合でも、どちらか一人しか申請できません。
兄弟どちらも控除申請した場合は、早く手続きが完了したほうが扶養控除を受けられます。
これは、所得税法施行令第219条に定められています。
年末調整後に子どもが生まれたときはどうしたら良いの?
年末調整後に子どもが生まれた際は、会社に年末調整の再調整をしてもらいましょう。
扶養親族の対象となるのは12月31日時点での状況になるため、12月31日までに子どもが生まれた場合は、その年の扶養親族として申請できます。
所得税の扶養控除は対象になりませんが、家庭によっては住民税が非課税になる可能性があります。
会社に年末調整を断られた場合は、自分で確定申告を行えば扶養親族として追加可能です。
扶養親族が亡くなった年の扶養控除は受けられないの?
扶養親族が年の途中で亡くなってしまった場合でも、その年の年末調整で扶養控除を受けられます。
その判定に係る者がその当時既に死亡している場合は、当該死亡の時の現況による
出典:所得税法第85条3項
つまり、亡くなった時点で扶養控除の条件を満たしていれば、その年の年末調整で扶養控除が受けられるのです。
扶養親族の申請漏れがないよう年末調整を行おう
扶養親族とは、配偶者以外の親族のうち、納税者本人に扶養されている人のことです。
扶養親族がいる場合、納税者本人は所得税を納める際に、控除を受けられます。
自分の状況を確認し、扶養親族として申請できる人を見落とさないようにしましょう。