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試用期間でも社会保険に加入できる?対象となる条件など解説

この記事の監修者
西岡 秀泰
【資格】
社会保険労務士

【プロフィール】
同志社大学法学部卒業後、生命保険会社に25年勤務しFPとして保険販売を行う。2017年4月に西岡社会保険労務士事務所を開設し、労働保険・社会保険を中心に労務全般について企業サポート。日本年金機構にて年金相談員を兼務。

試用期間とは、企業が新規雇用を検討する社員の適性や能力を見極めるために設ける期間のことです。
この期間も通常と同様に労働契約を結んでいるため、一般的な社員と同じように扱われます。
それでは、試用期間中も社会保険に加入することができるのでしょうか。
本記事では、試用期間における社会保険の加入条件や、よくある疑問点について解説します。

試用期間でも社会保険に加入できる?

試用期間でも社会保険に加入できる?

結論からいうと、試用期間中であっても社会保険への加入は必要です。

社会保険とは、健康保険や厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険(※)などを指します。
これらは国や地方自治体などが管理・運営する保険制度で、病気やケガ、失業、老後の生活などに備えるためのものです。

※雇用保険と労災保険は「労働保険」または「広義の社会保険」と呼ばれることもあります。

試用期間中の労働者は、たとえ本採用されるかどうかわからない状況でも、正式な労働契約を結んでいる以上、一般の社員と同様に社会保険に加入する必要があるのです。

試用期間の社会保険への加入対象

では、具体的にはどのような場合に試用期間中でも社会保険への加入が必要になるのでしょうか。
ここでは、加入対象となる職場の要件と個人の要件について見ていきましょう。

加入対象となる職場の要件

必ずしもすべての企業が社会保険に加入しなければならないわけではありません。
ただし、社会保険の加入が強制される「強制適用事業所」と呼ばれる企業の場合は、試用期間中の社員も含め、例外なく社会保険への加入が義務付けられます。

具体的には、以下のような職場が強制適用事業所に該当します。

  • 株式会社などの法人事業所
  • 常時5人以上の従業員が在籍する個人事業主(一部業種を除く)

宗教法人や飲食店、農林水産業などは「非適用業種」と呼ばれ、原則として社会保険の適用外となります。
個人事業主のもとで働いている人は、社会保険の対象にならない可能性もあります。

加入対象となる個人の要件

次に、社会保険の加入対象となる個人の要件について説明します。

正社員は原則として加入の対象で、試用期間中も例外ではありません。
パートタイマーやアルバイトとして働く場合、正社員とは異なる基準が設けられています。
パートタイマーの場合、以下の条件を満たせば社会保険への加入が必要です。

  • 1ヵ月の勤務日数と勤務時間が、正社員の4分の3以上であること

また、常時51人以上の被保険者が在籍している企業の場合は、以下のすべての労働条件を満たせば、前述の条件を満たしていなくても社会保険の加入対象となります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上であること
  • 1ヵ月の賃金が8.8万円以上であること
  • 雇用期間が2ヵ月を超える見込みがあること
  • 学生でないこと

また、労災保険については雇用形態に関わらず、アルバイトやパートも含めたすべての労働者が加入対象となります。
雇用保険については、労災保険の加入者のうち、週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある人が対象です。

試用期間の社会保険が対象外となるケース

基本的に、雇用されている以上は社会保険への加入が必要ですが、例外もあります。
以下のようなケースでは、社会保険の適用外となるので注意が必要です。

  • 日々雇い入れられる場合
  • 2ヵ月以内の期間を定めて雇用される場合
  • 所在地が一定しない事業所に雇用される場合
  • 季節的業務に従事する場合
  • 臨時的な事業の事業所で雇用される場合
  • 国民健康保険組合の事業所で臨時的に雇用される場合
  • 後期高齢者医療制度の被保険者が臨時的に雇用される場合

なお、社会保険の種類によっても適用条件が異なるケースがあります。
不明な点があれば、社内の人事担当者に確認するようにしましょう。

試用期間中の社会保険に関するよくある疑問

最後に、試用期間中の社会保険に関するよくある疑問について、Q&A形式で解説します。
社会保険の扱いで不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

試用期間中に社会保険に入れてもらえない場合は?

社会保険に加入できないのは、前述の条件に該当しない場合のみです。
原則として、試用期間中でも社会保険に加入するのが一般的だといえます。
もし適用条件を満たしているにも関わらず、社会保険に加入できない場合は、最寄りの年金事務所に相談しましょう。

また、雇用契約時には労働条件通知書を作成してもらい、トラブルに備えることも大切です。
人事部から案内がない場合、必ず書面で労働条件を確認しておくようにしてください。

試用期間中の社会保険はいつから加入する?

社会保険への加入義務は、原則として雇用開始日から発生します。
正社員としての採用であっても、試用期間からの採用であっても、雇用契約を結んだ日から5日以内に、会社側が加入手続きを行う必要があるのです。

社会保険への加入は、試用期間だからといって先延ばしにできないことを覚えておきましょう。

試用期間中はアルバイト扱いといわれたが社会保険は入れる?

試用期間中はアルバイト扱いになると言われたとしても、前述の適用条件を満たしていれば、社会保険への加入が必要です。

パート・アルバイトなどの短時間労働者の場合、企業規模や所定労働時間などによって社会保険の対象になるケースとならないケースがあるため、雇用契約時に確認するようにしましょう。
曖昧なままでは、社会保険の適用関係でトラブルになる恐れもあります。

試用期間でも社会保険は条件を満たせば加入が必須

試用期間は、企業が新入社員の適性を判断するための期間ですが、労働者としての権利や義務に変わりはありません。
そのため、試用期間であっても、適用条件を満たしていれば、社会保険への加入が義務付けられているのです。

社会保険は、病気やケガ、老後など、さまざまなリスクに備えるために欠かせない制度です。
労働条件通知書をしっかりと確認し、自分の権利を守ることを心がけましょう。

執筆者について

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