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医療従事者の働き方を見つけるインタビューVol.10|看護師として働く方のホンネ【後編】

お話を伺った人
櫻木ねこ

櫻木ねこさん

東京都在住。看護師6年目。現在は内視鏡室で勤務しながら、コンセプトカフェのキャストやアイドル活動に注力中。自身の活動と看護師の両立を行うため、ICU、ER、外来、保育園、デイサービス、保健所など、さまざまな働き方に挑戦した経験を持つ。
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医療・介護業界で働いたことがある人に仕事のホンネを伺うインタビュー企画。第5回目の今回は、看護師の仕事とアイドルグループ「燎-kagari-」でのアイドル活動を両立している櫻木ねこさんにお話を伺いました。”現役看護師 兼 アイドル”の櫻木さんに、現在に至るまでの働き方に対する考え・お給料事情について聞いてみました。

前回のまとめ
高校時代、弾き語り・バンド活動に没頭していた櫻木さん。前編では、看護師をめざしたキッカケや新卒時代の苦労話をお聞きすることができました。「腎盂腎炎」という病気を患い、自身の勤務していた職場に入院することになった櫻木さんは、ベッドの上で今後の働き方について見直すべきであると感じたそうです。果たして、櫻木さんはどのような職場を次に選んだのでしょうか。

医療従事者の働き方を見つけるインタビューVol.9|看護師として働く方のホンネ【前編】

「働き方を見直すべきだ」と感じたキッカケ

ーーICUでの新卒時代は、お手洗いにいく時間の確保すら難しかったと……。以降は、どのような働き方へとシフトチェンジしていったのですか?

そうですね。当時は自分を”削っている”ような感覚がありました。「お手洗いにも行けないほど忙しい働き方を将来的に続けられるのだろうか」と、この入院をきっかけに見直すことができたんです。
看護師として、忙しなく過ぎていく日々に、突然自分と向き合う時間が生まれ、「バンド活動をやりたい」という私自身の原点に立ち返ることができたんです。その後、勤めていた職場を退職し、バンド活動と、関心のあったメイド喫茶のキャストにチャレンジしました。

ーー入院をきっかけに、退職しようという考えが生まれたのですね。

はい。その後「好きなことで稼ぐぞ」という気持ちで、バンド活動に打ち込んでいましたが、それだけでは生活を維持することが難しく、単発派遣の看護師の仕事で生活を支えました。単発の仕事では、保育園・介護施設・総合病院・クリニック・学校行事に同行するツアーナース・コールセンターなど、さまざまなサービス形態で働きました。

現在勤務中の内視鏡室に至るまで

ーーさまざまな施設・業務形態から内視鏡室を選んだきっかけを教えてください。

現在、私が働いている職場は、”健診”を目的とした内視鏡室なので、緊急度・重要度の高い患者さんが少なく、基本的に業務量に波がありません。新卒時代の経験から、好きな活動を両立させていくには、業務内容と量を見極め、負担の少ない職場を選択することが必須であると考え、現在の職場を選びました。

ーー好きな活動に打ち込みやすい職場を見極めた結果、現在の職場になったわけですね。

現在置かれている環境で両立するために試行錯誤するより「両立するために、どのような職場を選べば良いのか」という考え方をしたほうが、活動を両立させるという意味では目標達成しやすいと思います。

ーー両立のなかで、看護師・アイドルの二足の草鞋を履くことによるメリットは感じられましたか?

基本的に、何か二つを同時にこなすようなマルチタスクが好きなんですよね。メリットではないですけど、二足の草鞋を履くこと自体が好きなんです(笑)それぞれ、頭のなかで使っている場所が違うイメージがあります。

ーー看護師の仕事と音楽やアイドル活動では、使う場所にどのような違いがあるのでしょうか?

特にICUのような緊急度の高い看護師の仕事では、瞬間的な集中力を求められるのに対し、音楽・アイドルのような芸能関係の活動では、ファンのつながり、ライブ演出など中長期的な集中力が求められていると感じます。それぞれ、頭のなかで使う場所・使い方が違うので、偏りがなくバランスをとりながら楽しむことができています。

お給料事情について

ーー看護師の仕事は体力的・精神的に負担が多く、業務内容に対してお給料が少なく感じるという声も時折耳にします。櫻木さんはお給料についてどのように感じられていますか?

ICUで働いていた新卒時代は、業務内容は大変でしたがICU手当があり、お給料には満足していました。むしろ、お給料を減らしていいから業務の負担を減らしてほしいとさえ感じていました(笑)

ーーその他にもさまざまな施設(介護施設・クリニック・発熱外来等)で勤務されていますが、ICU以降の仕事に対してはどう感じていましたか?

任される業務・習得すべきスキルに対して、お給料が少なく感じることはありましたね。これは私だけではなく、同じ職場の方からもよく耳にしました。特に、世間的にコロナ禍に差しかかったときには、知識がないので自宅に持ち帰って勉強する必要がありました。仕事をするうえで必要となる高度な知識が多く、常にアップデートしなければならないので、そういった点ではお給料を少なく感じることがありました。

ーーありがとうございます。金額に対して満足できる職場でも業務量が多すぎると感じたり、常に知識をアップデートする必要があったりと、特別”お給料が高い”と感じることはないということですね。

看護師をめざしている方に向けたメッセージ

ーー最後に、看護師をめざしている方にメッセージをいただきたいです。

看護学生向けのメッセージなのですが、まずはしっかりと看護師免許取得までやり抜くことが大切だということを伝えたいです。私の仲の良い友人に、4年制大学の看護学部に通ったけど、国家試験に合格することができずに、以降の国家試験を受けなかった人がいます。「せっかく4年間頑張ったのに……」とすごくもったいないような感じがしました。先輩が教えてくれた「お金と知識は荷物にならない」という大好きな言葉があります。

ーー良い言葉ですね。必ずどこかで役に立つときがくると思います。

はい。インタビュー中にもあったように、自分が実現したいライフスタイルに合うような柔軟な働き方が可能になります。看護師は他職種に比べて流動性が高く、フレキシブルに職場を選択している方が多いと思います。無責任に聞こえるかもしれませんが、免許を取得するまで頑張って、どうしても嫌なら他職種や他の施設に転職するということも選択しやすい職種だと感じています。

ーー本日はありがとうございました!

新卒時代の激務がたたっての入院をきっかけに自身の働き方を見直した櫻木さん。看護師の仕事をしながら、どのように好きなことを両立させていったか詳しくお聞きすることができました。最後に、看護学生に向けて櫻木さんの考える看護師免許取得の優位性についてお話いただきました。看護師として一度チャレンジしてみて、もし自分に合わなかったら転職をしてみても良いのではという、櫻木さんの働き方に対する考え方は、少しだけ肩の荷が下りたような感じがします。

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