医療・介護業界で働いたことがある人に仕事のホンネを伺うインタビュー企画。第4回目の今回は、薬剤師の仕事とアイドルグループ「イケてるハーツ」でのアイドル活動を両立している藤咲雫さんにお話を伺いました。”現役薬剤師 兼 アイドル”の藤咲さんに、お給料事情や大切にしている価値観について聞いてみました。
前回のまとめ
薬剤師であるご両親のすすめもあり、高校生のときに薬剤師をめざすことを決心した藤咲さん。新卒では、調剤薬局で正社員として週5日働いていましたが、アイドルデビューをキッカケに別の調剤薬局へ転職し、現在は週3日ほどのパート・アルバイトとして働いているようです。藤咲さんが考える薬剤師の働き方の魅力では、「雇用の安定性」と「待遇面(時給の高さ)」を挙げてくださいました。
医療従事者の働き方を見つけるインタビューVol.7|薬剤師として働く方のホンネ【前編】
お給料には満足している?
ーー藤咲さんは現在調剤薬局でパート・アルバイトとして働いていますが、お給料には満足していますか?
満足しています。現在の職場は、患者さんの人数がそこまで多くなく、業務量は落ち着いているほうだと思います。お給料と業務内容に乖離を感じることもありません。
お給料と業務内容の乖離は職場によって変わると思うので、職場環境に恵まれている部分もあると感じます。転職前の職場では、小児科からの患者さんが多かったのですが、動き回ってしまうお子さんの対応をしたり、粉薬を混ぜたり、分包したり……と、ほかの診療科よりも忙しなく働いていた印象があります。
ーーやはり調剤薬局によって業務量に差が生じる場合があるんですね。
そうですね。忙しさや業務量は調剤薬局によって変わると思います。
藤咲さんが考える薬剤師のキャリアパス
ーー業務内容やお給料事情などについておおむね満足されている印象ですが、薬剤師として、これからのキャリアパスについてはどのように考えていますか?
私は漢方薬に興味があるので、5年以内に「漢方薬・生薬認定薬剤師」の資格を取得したいと考えています。
ーーなぜ「漢方薬」なのでしょうか?
私は以前からセルフメディケーションの分野に関心があって、特にサプリメントに興味がありました。世界的に未然に体調不調を防いだり、健康的な生活を送ろうという意識は年々増していると思います。これから日本でも、セルフメディケーションのニーズは増していくと考えています。
病院に行かなくても、漢方薬はドラッグストアで購入できますよね。その手軽さもあり、いつの間にか漢方薬に興味を持っていました。
ーー将来的には「漢方薬のよさを広めていきたい」といった思いもあるのでしょうか?
そうですね。購入自体は手軽にできますが、効能効果まで詳しく理解できている方は多くない印象です。専門知識を身につけ、そのような方に指導を行い漢方薬のよさを広めていきたいと考えています。また、漢方薬に強みを持つ調剤薬局を開業したいという考えもあります。両親が開業した経験を持っているので、自身で調剤薬局を経営することに関心があります。
ーー開業の考えがあるとは驚きました。薬剤師のキャリアパスとして、興味分野の専門性を高める方が多いのでしょうか?
はい。興味分野の専門性を高め、それぞれ認定薬剤師の資格取得をめざす薬剤師は多いと思います。
藤咲さんが大切にしている価値観について
ーー調剤薬局で働いていて、多くの患者さんと接する機会があると思います。働くうえで大切にしている価値観はありますか?
可能な限り、患者さんの立場になって物事を考えるようにしています。専門知識を使い指導するときには、いわゆる「上から目線」のようにならないよう意識しています。イメージとしては、患者さんのパートナー・相談相手のような存在です。
ーーつながり・コミュニケーションを大切にしている藤咲さんらしい価値観だと感じます。
ありがとうございます。家族を心配するように、患者さんの体調を伺っています。
ーーどのようにして「患者さんの立場になって物事を考える」という価値観は生まれたのでしょうか?
調剤薬局で働きはじめたときは、とにかく業務に必死で患者さんのことを気遣えず、デリケートな部分についても単刀直入に質問していました。ですが、一度患者さんから注意を受け、とても反省しました。そのとき、”薬剤師として”ではなく、”人として”相手の気持ちにまずは寄り添っていかないといけないと気付きました。
薬剤師をめざしている方にメッセージ
ーー最後に、薬剤師をめざしている方にメッセージをいただきたいです。
薬剤師になりたいという夢を追いかけている方、いま就職(転職)活動をしている方、大変なことや悩みがそれぞれにあり、途中で心が折れそうになってしまうこともあると思います。ですが、薬剤師には「活躍できる場所が豊富にある」ということを忘れないでほしいです。調剤薬局、病院、ドラッグストア、知識を活かし、製薬企業で働くこともできます。視野を広くすることで、道は開けると思います。いまが「正念場」だと思って、無理のない範囲で頑張ってください。
ーー活躍できる場所が豊富にあり、視野を広げることで道は開けるというお話を聞くと、勇気が湧いてきます。お話いただきありがとうございました。
前・後編ともに患者さんとの関係性を大切にしながら働いていることが伝わってくるお話でした。最後のメッセージでは、薬剤師の「活躍の幅」に焦点をあて、これからキャリアを歩もうと考えている方に向け、一歩踏み出す際の後押しとなる考えを聞くことができました。
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