公務員試験の選考は人物重視といわれているため、自己PRは重要なアピールポイントとなります。
この記事では、公務員試験で自己PRが重要な理由や、自己PRを書く手順を解説しています。
例文も紹介しているので、筆記試験の合格後に焦らないためにも、参考にしてみてください。
目次
公務員試験で自己PRが重要な理由
公務員試験で重要といわれている面接のなかでも、自己PRは採用に関わる項目です。
まずは、自己PRが重要な理由を理解しておきましょう。
人物重視で採用する自治体が増えている
公務員試験で自己PRが重要な理由は、人物重視で採用する自治体が増えているからです。
自治体によっては、年々減少している応募者を確保するため、筆記試験の負担を減らし人物重視の採用に切り替えているところがあります。
実際に、新方式とよばれるプレゼンテーション方式の面接を重視した採用方法を導入する自治体も増えています。
面接で公務員に適した人材か判断している
自己PRが重要なもうひとつの理由は、面接で公務員に適した人材かを判断しているからです。
公務員は行政サービスを平等に提供するのが目的のため、個性よりも協調性や勤勉さが求められる傾向があります。
応募者が公務員に適した資質を持っているかは、筆記試験だけでは判断できないため、面接で公務員に適した人材か判断しているのです。
面接のなかでも、志望動機は仕事への理解や意欲をアピールしますが、公務員に適した資質を持っているかをアピールするためには、自己PRが重要になります。
公務員試験・面接の自己PRポイント
ここでは、公務員試験の面接での自己PRのポイントを3つ紹介します。
自己PRの基本構成
自己PRには、基本構成があります。
基本構成に沿った自己PRを考えましょう。
- 結論(自分の強み)
- 具体例(具体的なエピソード)
- 結論(強みと今後の展望)
自己PRは内容だけでなく、人に伝える能力があるかも見られています。
わかりやすく伝えるために、まず結論から伝えましょう。
つぎに、結論を裏付ける具体例を提示し、説得力のある自己PRにします。
具体的なエピソードを入れることで、印象に残りやすくなる効果も期待できるでしょう。
最後に、もう一度結論を伝え、強みを職場でどのように活かすか、将来の展望も盛り込みましょう。
自治体や応募職種に合った自己PRが大切
自己PRの内容は、応募する自治体や職種にあったものにしましょう。
公務員試験は、国家公務員から地方公務員、一般職から特殊な職種まで、さまざまな職種があり、求められる人物像も異なります。
そのため、国家公務員は希望する省庁に関連したアピールポイントが必要ですが、市役所や自治体施設に勤務する地方公務員は、地域性に配慮したアピールポイントを考えなければいけません。
一般職は協調性や真面目さが必要ですが、専門職は専門知識や経験が求められるでしょう。
自己PRと志望動機に一貫性をもたせる
自己PRと志望動機の内容には、一貫性をもたせましょう。
自己PRと志望動機に一貫性がないと、信頼性に欠けます。
また、内容に一貫性がないと強みや意欲も伝わりにくく、物事を伝える能力という点でもマイナス評価とされる可能性があるでしょう。
自己PRや志望動機それぞれの内容だけでなく、全体的なまとまりを考え、説得力のある内容にすることが大切です。
公務員試験用の自己PRをまとめる手順
自己PRの例文を参考にすると書きやすいかもしれませんが、そのまま真似するだけでは魅力的な内容にはなりません。
経験豊富な採用担当者であれば、例文をそのまま真似た自己PRは見抜かれてしまうこともあります。
いきなり書こうとせず、ポイントをおさえた手順で内容を検討し、例文を参考に自分だけの自己PRを完成させましょう。
自己分析をする
公務員試験用の自己PRは、個性的すぎるものは避けたほうが良いですが、他の人との差別化はしたいところです。
自己分析は、自分らしい強みやテーマを決めるのに役立ちます。
簡単な自己分析の方法は、以下のとおりです。
- 印象に残っている出来事を挙げる
- 成功体験・失敗体験に分類する
- それぞれのエピソードを深掘りする
- 自己PRのネタになる共通要素を見つける
(長所や短所、好きや嫌い、得意や不得意など)
応募する省庁や自治体を研究する
応募先の求める人材にあった自己PRをするためにも、応募する省庁や自治体を研究しましょう。
自治体によっては、ホームページなどに「求める人材」を記載しているところもあります。
省庁の役割や、自治体の地域性、応募する職種に必要な能力など、いろいろな視点で応募先を分析してみましょう。
また、応募先を研究すれば、自分にあう職場か確認でき、志望動機の作成にも役立ちます。
自己PRを1分程度にまとめる
最後に、自己分析と応募先の研究した内容からテーマをしぼり、基本構成にしたがって自己PRをまとめます。
自己PRは、記入欄の8割以上、かつ面接を想定して1分程度で話せる内容にまとめておきましょう。
公務員試験は、一次試験合格後の面接前に、面接カードが配布されます。
一次試験合格後にあわてないためにも、筆記試験の対策と並行して、自己分析や応募先の研究をしておくと良いでしょう。
【テーマ別】公務員試験のための自己PR例文
ここでは、公務員試験のための自己PRの例文を、テーマ別に紹介します。
自分の状況にあった例文を参考にしてみてください。
新卒・社会人別の自己PR例文
新卒と社会人では、アピールできる内容が違います。
それぞれのアピール内容の違いを、具体的な例文をもとに紹介します。
新卒応募の場合
新卒応募の場合は、学生時代の活動で力を入れていたことや、学生時代のエピソードと自分の強みを関連付けた内容を盛り込むと良いでしょう。
私は高校でテニス部に3年間所属しており、選手としてレギュラーで試合に出場し続けていましたが、引退試合を前に怪我をしてしまいました。
悔しい気持ちはありましたが、私はすぐに気持ちを切り替え、マネージャーとしてチームの勝利に全力を注ぎました。
具体的には、誰よりも先に体育館に行き練習の準備をし、顧問との連絡や試合会場までの移動方法の確認など、率先して選手がプレーに集中できるためのサポートを考えて行動しました。
引退試合は負けてしまいましたが、引退時に同級生や後輩から感謝の言葉をもらい、人をサポートする喜びを知りました。この経験から得た相手のことを考える力と、人の役に立つ喜びを○○市役所の業務で発揮し、地域住民の生活を支えたいと思っています。
社会人応募の場合
社会人応募の場合は、社会人の経験をどのようにアピールするかがポイントになります。
応募先の業務にあった能力を盛り込み、率先力のある人材としてアピールしましょう。
私が働いていた企業では、外回りが多い営業担当の代わりに、営業事務がお客様の対応をすることがありました。
また、月末の繁忙期にはミスがないように多くの事務処理をこなさなければなりませんでした。
前職の経験を通して、私はお客様とスムーズにやり取りするコミュニケーション能力と、ミスなく効率的に事務処理をする能力を身につけてきました。市役所の窓口には、さまざまな手続きで来られる方が多いと思います。
そのため、前職で身につけたコミュニケーション能力と事務処理能力を活かし、地域住民の方々に貢献したいと考えています。
アピールポイント別の自己PR例文
ここでは、公務員として求められる能力別の例文と、その能力が求められる理由を解説します。
協調性
民間企業は利益を追求するのが目的ですが、公務員は社会全体の利益が目的です。
そのため、円滑に業務をすすめるためには、個人プレーではなく協調性のある職員が求められます。
大学在籍中は、学生アルバイトの多い飲食店でアルバイトリーダーとして勤務していました。
アルバイト先で働くスタッフは、同世代が多いこともあり人間関係でトラブルが起きることがありました。
私は、お客様に満足していただけるサービスを提供するためには、お店が一丸となりサービスの質をあげる必要があると考え、まず、各セクションにサブリーダーを配置しました。
さらに、お互いの仕事への理解やコミュニケーションを深めるために、月に1回のミーティングと半年に1回の食事会を企画・実行しました。
その結果、人間関係のトラブルは減り、各セクションの助け合いが生まれ、結果的にお客様ファーストのサービスが提供できるようになりました。
この経験から得た協調性を活かして、〇〇市役所で配属先の方と協力し業務に励みたいと考えています。
責任感
国民の生活を支える公務員の仕事には、使命感や責任感が必要です。
責任感をアピールする場合は、「依頼されたことをやり遂げた」と、当たり前のことをアピールするのではなく、責任感を持ち主体的に行動したエピソードを挙げましょう。
私は前職で、経理部門に勤務していました。
内勤で働いていると、社内の雑用や職場環境の整備など、やるべき仕事以外にも「会社をより良くするためにできること」が目につくようになりました。
そこで、私は会社内部を支える一員として、自主的に職場の掃除や物品整理、保管が必要な書類の整理などを行いました。
そのおかげで、他部署のスタッフからも信頼が得られ、積極的に連携が取れるようになり、本来の経理業務もスムーズに進めることができました。
与えられた仕事だけをするのではなく、責任感をもち主体的に行動できる能力を市役所の窓口業務にも活かしていきたいと考えています。
問題解決力
短所や失敗は、誰にでもあります。
短所や失敗はマイナスととらえられますが、それらを乗り越える力は、問題解決力として評価されます。
しかし、分析力と問題解決力で、継続が苦手な性格を克服してきました。
具体的には、苦手な読書を習慣化し継続しています。
私は読書について「興味がある本を読むのは早いが、1冊読み終えると次の本を読みだすまで時間がかかる」と自己分析し、毎日5分だけ時間を決めて読書する方法を取り入れました。
その結果、5分で読むのをやめるので、先を読みたい欲求を維持でき、毎日5分間の読書を継続しています。
私の客観的に物事を分析し問題を解決する力は、公平さが必要な行政の仕事において発揮できる能力だと考えます。
公務員試験の自己PRは事前に準備しておこう
人物重視の公務員試験において、面接対策は重要です。
なかでも自己PRは、適性や意欲をアピールできるチャンスです。
この記事を参考に、応募先の役割に沿った自己PRを考えてみてください。
また、事前に自己PRを準備しておけば、一次試験合格後に慌てることなく面接に挑めるでしょう。
なお、自己PRに関する内容は、次の記事でも解説しています。