経験の業種への転職は、実際に検討し始めると、さまざまな疑問や不安が頭をよぎるものです。
求人の募集要項に「未経験可」と記載されてあっても、本当に応募しても良いのか、必須となるスキルはないのかなど、悩む人もいるでしょう。
未経験の業種にチャレンジする場合、転職しやすい業種を選んだり、転職活動前の準備を行ったりなど、ポイントを押さえた行動が大切です。
今回は、未経験業種への転職を成功させるためのポイントを、詳しく解説します。
目次
未経験業種への転職は可能
転職というと、「即戦力を期待されているのでは」と考える人もいますが、「未経験可」として募集している求人は意外に多く見られます。
業種によっては、未経験可の割合が高いケースもあり、企業と応募者のニーズが合致すれば、未経験業種でも転職は可能です。
ただし、未経験者可の募集だからといって、応募すれば採用されるわけではありません。
業種によっては、「経験者の応募者はほとんどいないだろう」と判断し、やむを得ず未経験者可として採用活動を行っている企業もあります。
一方、中途採用者にも新卒同様の社内教育を行う方針の企業では、自社のやり方や考え方を身につけてもらうため、あえて業界経験がない、まっさらな状態の求職者を優先して採用するケースもあります。
企業側がなぜ未経験可で募集しているのかを見極めることが、未経験業種への転職成功のカギです。
また、未経験の業種への転職には、ポータブルスキルが重要です。
ポータブルスキルとは、業種や職種を問わずに活かすことのできるスキルのことを指します。
具体的には、現状を把握する能力、課題を設定し解決する能力、コミュニケーション能力、マネジメント能力などです。
これまでの社会人経験で培ったスキルのなかで、応募先の業種に転用できるスキルは何かを考え、面接で伝えられるよう準備することも重要です。
未経験者でも転職しやすい・求人情報が比較的多い業種は?
未経験者でも転職しやすい業種には、次のような例が挙げられます。
- 接客・販売業
- 運送業
- 介護・福祉業
- IT業界
以下で詳しく解説します。
接客・販売業
接客業は、お店や施設へ訪れたお客様に、直接対応するのが主な仕事です。
具体的には、飲食店のホールスタッフや、販売店の店員・ホテルの受付業務などが接客業にあたります。
求められるスキルは、丁寧な対応や言葉使い、アクシデントが発生した際の判断能力などです。
これらのスキルを強みとして持っている方は、ぜひ応募書類や面接でアピールしてみてください。
運送業
運送業は、インターネット通販の拡大や、現役ドライバーの高齢化などにより、需要が高まっている業種です。
厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、2023年3月における自動車運転の職業の有効求人倍率は2.48倍でした。
同年度の全職業の有効求人倍率は1.31倍のため、ほかの業種よりもニーズが高い状況です。
トラックの大きさに合わせた運転免許は必要ですが、需要から考えると未経験者でも採用されやすいでしょう。
介護・福祉業
介護・福祉業も、未経験者が転職しやすい業種の1つです。
介護職員の不足は、高齢化が進むにつれ深刻さが増しており、2021年の有効求人倍率は介護サービスの職業で3.6倍、社会福祉の専門的職業は2.88倍でした。
どちらも需要が高まっているので、未経験者の転職でも採用される可能性は高いでしょう。
IT業界
IT業界は、専門的でむずかしそうなイメージがありますが、実際には未経験者でも積極的に採用しています。
その大きな理由が、業界全体の深刻な人材不足です。
とにかく手が足りない状態なので、研修体制を整えたうえで未経験者を受け入れている企業も少なくありません。
入社後は、基本的に会社が用意した研修プランを経て専門スキルを習得し、エンジニアとして業務に従事することになります。
エンジニアでなくても、パソコンの基本操作が出来てデータ入力経験があれば、サポート事務として働くことも可能です。
未経験者が行うべき転職準備リスト
未経験の業種への転職を希望する人は、事前に次の準備を行っておくと、採用の可能性が高まります。
- 転職の軸を考える
- 自己分析・実績の棚卸をする
- 業界・企業研究をする
- 面接対策をする
具体的にやるべきことを、以下で詳しく解説します。
転職の軸を考える
未経験の業種への転職であれば、その業種を志した理由を言語化したものが、転職の軸になるでしょう。
経験した業種のほうがチャレンジしやすいはずなのに、なぜあえて未経験の業種へ転職したいのか、その理由や熱意を伝えることが、転職成功の鍵になります。
転職の軸をはっきりさせるためには、その業種で働くメリットや、やってみたい仕事、キャリアプラン・理想とするライフワークバランスなどを具体的に書き出す方法がおすすめです。
自己分析・実績の棚卸しをする
自己分析や実績の棚卸しは、未経験の業種で自分がどのように役立つのかを、応募する企業へアピールするために必要です。
例えば、接客業から未経験の介護業界へ応募するとします。
2つの業界に共通して必要な能力は、ホスピタリティ(深い思いやり、優しさ)です。
現職で顧客にホスピタリティを発揮する能力を身につけたり、仕事で評価を得た経験があるなら、未経験の介護業界でもアピール出来ます。
自己分析・実績の棚卸しをして、未経験の業界でも役立つ能力があることをアピールしましょう。
業界・企業研究をする
応募する業界や企業の事前研究も、未経験の業種への転職では欠かせません。
研究の目的は、自分の能力ややりたいこととのマッチングです。
せっかく採用されても、自分の軸や能力、将来のキャリアプランと噛み合ってないと、長続きしない可能性があります。
事前の業界・企業研究で理解を深め、自分の能力と照らし合わせてマッチングさせれば、「この企業だからこそ働きたい」という熱意も伝えやすくなり、面接でも好印象を与えられるでしょう。
面接対策をする
事前準備で最後に行うのは、面接対策です。
話す内容や声の出し方を練習しておくと、転職への熱意も伝わりやすく採用担当者への好感度が上がり、未経験者でも採用されやすくなります。
本番で口ごもったり言葉につまらないよう、しっかり対策してから面接を受けましょう。
ビデオ撮影機能を活用して、自分が話している姿を録画し、見返すやり方も効果的です。
未経験でも即戦力で役立つスキルや、志望動機・働く意志を端的にハキハキと伝えられれば、高評価につながります。
また、転職を希望する理由について聞かれた場合、後ろ向きな理由より前向きな答えを述べたほうが、好印象を与えやすいでしょう。
未経験で転職するためには念入りに準備しよう
未経験の業種への転職では、採用されやすい業種を調べたり、応募する業界や企業を研究して知見を深めるなど、事前準備が大切です。
念入りな情報収集と、自分のスキルの棚卸しや自己分析を行えば、アピールポイントが明確になり、応募企業とのミスマッチを防ぐことにもつながるでしょう。
また、事前に志望動機やアピールポイントを伝える練習をしておくと、本番の面接でも迷いなく端的に話せるようになり、好印象を与えやすいです。
やるべきことを確認し、念入りな準備で未経験業種への転職を成功させましょう。
未経験の転職について、年代別のポイントを知りたい方は、こちらのページもご参照ください。