転職先が決まると、雇用先から健康診断書を求められることがあります。
内定後に健康診断を受けるのが一般的ですが、職種によっては内定前に健康診断を受け、結果をみて合否が決定されるケースもあります。
企業側は明確な目的を持って健康診断を求めるので、問題なく診断結果を提出する準備をしましょう。
転職で健康診断書を提出する理由や、必要な検査項目・提出のタイミングなどを詳しく解説します。
目次
転職時の健康診断書が求められる理由
転職時に健康診断書を求められるのは、法律にて義務付けられているためです。
労働安全衛生規則第43条の「雇入時の健康診断」では、常時使用の労働者を雇い入れる場合、健康診断を行うことを事業者に義務付けています。
検査は後述する11の項目で健康状態をチェックし、職場で働くにあたって問題が無いかを確認します。
転職時の健康診断を受ける時期・タイミング
転職における健康診断は、応募した企業によって受ける時期やタイミングが異なります。
いつ健康診断を受けるのかを知って、求められたらすぐ対応できるよう準備しましょう。
転職で健康診断を求められる時期・タイミングを、以下で解説します。
内定後に受けるのが一般的
転職における健康診断は、内定を受けてから入社までの期間に受けて、結果を提出するのが一般的です。
ただし、健康診断を受けてもすぐに結果が出るわけではないため、転職先から健康診断書の提出を求められるタイミングを考えて、早めに受診したほうが良いでしょう。
気になる場合は、いつ診断結果を提出するべきか、転職先の企業と相談してください。
内定前に受けることもある
転職希望先の業種によっては、内定前に健康診断を求められるケースもあります。
内定前の健康診断の主な目的は、適切な配属部署を見極めるためです。
例えば、トラックドライバーの希望者が健康診断を受けたところ、突然発作を起こす病気が見つかったとします。
就業中に重大な事故を起こす可能性があるため、トラックドライバーでは採用が難しいですが、別部署への配属は可能です。
内定前の健康診断は、企業側にも応募者にも大切な判断材料だと理解しましょう。
入社後に受けるケースも
転職の健康診断を、入社後に求める企業もあります。
タイミングは、入社直後から1ヵ月前後を目安に考えておくと良いでしょう。
入社後に健康診断を求められた場合、会社指定の医療機関で行うケースが一般的です。
事前に説明を受けられますが、指定医療機関までの行き方や費用負担の有無など、疑問点がある場合は質問しておきましょう。
前の会社の健康診断結果を提出できる場合もある
転職前に、前職の会社で直近に健康診断を受けている場合は、新たに検査せず前職の健康診断結果を提出するケースもあります。
診断書には有効期限があり、過去3ヵ月以内に受けた健康診断の診断書なら、転職先に提出しても問題ありません。
ただし、必要な検査項目が抜けていると情報に不足が生じるため、新たに健康診断を受けることを求められます。
転職の3ヵ月以内に健康診断を受けていても、提出前に問題ないかを確認したほうが良いでしょう。
転職で必要な健康診断の検査項目・内容
前述したとおり、転職時の健康診断は雇入れ企業側の義務であり、検査項目も労働安全衛生規則で定められています。
必要項目が1つでも検査されていないと、たとえ3ヵ月以内に前職で健康診断を受けていてもその結果を提出することはできません。
転職に必要な健康診断の検査項目と内容は、以下のとおりです。
検査項目 | 内容 |
---|---|
既往歴・業務歴の調査 | 服薬や喫煙習慣の有無の聞き取り |
自覚症状・他覚症状の有無の検査 | 自覚していたり、ご家族や医師から指摘された症状があるかの確認 |
身長・体重・腹囲・視力・聴力の検査 | 現在の身体能力の基礎検査 |
胸部X線検査 | 結核やその他症状の確認検査 |
血圧測定 | 血圧の確認検査 |
貧血検査 | 血色素量・赤血球数の検査 |
肝機能検査 | ・血清グルタミックオキサロアセチックトランスアミナーゼ(GOT) ・血清グルタミックピルビックトランスアミナーゼ(GPT) ・ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP) の検査 |
血中脂質検査 | ・低比重リポ蛋白コレステロール(LDLコレステロール) ・高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール) ・血清トリグリセライドの量 の検査 |
血糖検査 | 血中に糖が含まれているかの検査 |
尿検査 | 尿に糖・蛋白が含まれているかの検査 |
心電図検査 | 心臓の動きの確認 |
転職時の健康診断をどのような病院で受診するか悩んだら?
転職時の健康診断を求められたとき、企業や時期・タイミングによっては、個人で病院を探して健康診断を受けなければなりません。
自分で病院選びをする際のポイントを、以下で解説します。
雇入時の健康診断を受けられる病院
入社にともなう健康診断は、雇入時の健康診断と呼ばれ、検査項目が法律で決まっています。
したがって、病院探しをするときは雇入時の健康診断を行っているかを確認し、対応している病院で検査しましょう。
どうしても迷うときは、転職先の会社から指定された病院や、会社近くの医療機関で受けると良いでしょう。
費用や結果が出るまでの期間が良心的な病院
健康診断を受ける病院選びでは、検査費用や結果が出るまでの期間もチェックポイントです。
個人で受ける健康診断の費用は保険適用外の自己負担なので、良心的な金額の病院を探しましょう。
検査費用の目安は、約1万円です。
診断書はだいたい1週間あれば発行してもらえますが、医療機関によって日数が変わるため、提出期限に間に合うか、事前によく確認してください。
転職時の健康診断に関するよくある質問
転職時の健康診断では、次のような疑問を持つ人がよく見られます。
- 健康診断の結果が転職先の提出締め切りに間に合わない場合は?
- 健康診断で再検査の場合は転職先に伝えるべきですか?
- 健康診断では問題なくても転職先に既往歴を伝えますか?
- 転職時に必要な健康診断は人間ドックでも代用できますか?
各質問への回答を、以下で解説します。
健康診断の結果が転職先の提出締め切りに間に合わない場合は?
提出締め切り日までに健康診断の検査書類の発行が間に合わないときは、わかった時点で早めに転職先へ連絡しましょう。
間に合わないことへのおわびと今後の対応を相談し、転職先からの指示に従ってください。
締め切りに間に合わないことで転職先への印象が悪くなることに不安を覚える人は、結果が出るまでの期間が短い病院を探して検査を受けましょう。
健康診断で再検査の場合は転職先に伝えるべきですか?
健康診断で再検査の結果が出たら、転職先には正直にその旨を伝えましょう。
そもそも、健康診断は業務を安全に行うためのものなので、診断結果で嘘を伝えてしまうと、転職先に迷惑をかけてしまいます。
再検査が必要との結果が出ても、放置せずに通院・治療を続ければ問題ないことがほとんどです。
転職先に産業医や保健師が在住しているなら、検査結果をもとに相談しても良いでしょう。
健康診断では問題なくても転職先に既往歴を伝えますか?
転職先から健康状態の告知を求められた場合、義務ではないものの正直に伝えたほうが良いでしょう。
例えば、持病があり定期的な通院が必要なら、あらかじめ伝えておいたほうが企業側も対応しやすくなります。
健康状態の確認は、あくまで「自社の業務を安全に遂行できるか」の判断材料にすぎません。
健康診断で問題なしといわれても、既往歴で不安がある人は、正確な情報を転職先に伝えましょう。
転職時に必要な健康診断は人間ドックでも代用できますか?
転職の健康診断で気をつけなければならないのは、必要検査項目の抜けです。
人間ドックで雇入れ時健康診断の検査項目をすべて満たしているなら、人間ドックの検査結果を代用できます。
ただし、人間ドックは労働安全衛生規則で定められた内容より検査項目が多いため、検査費用の負担については会社と話し合わなければなりません。
転職を節目に健康診断を受けて働く準備しよう
転職時の健康診断は、雇入れ企業側の義務です。
転職後、自社で安全に長く働いてもらえるよう事前に健康状態を確認し、結果をもとに採用者に適した部署への配属を検討します。
もし、健康診断で再検査・要治療の結果が出ても、会社へ正直に連絡すれば問題ないことが多く、働きながらの通院・治療も可能です。
雇入時の健康診断を実施可能な医療機関を探し、検査結果が出るまでの日数を確認して、提出期限に間に合うよう健康診断を受けましょう。