派遣社員が退職するときは、在籍している派遣会社と派遣先の企業の状況を見極め、十分に配慮して辞めなければなりません。
特に、契約期間を残したまま退職すると、派遣会社の信用を落としかねず、派遣先にも迷惑がかかります。
派遣社員を退職する際は、相談するタイミングや手順を良く知り、円満退職できるように準備しましょう。
今回は、派遣社員が辞めるときの手順や、気をつけるべき注意点を詳しく解説します。
目次
派遣社員を辞める時のタイミング
派遣社員が契約期間の途中で辞めるのは、基本的なルールで考えると厳しいでしょう。
派遣社員は有期雇用契約であるため、辞めるタイミングによって対応を変え、できるだけ迷惑がかからないよう心がける必要があります。
派遣社員が仕事を辞めるタイミングとやるべきことを、以下で解説します。
契約満了時に辞める
派遣社員が退職する場合、契約期間満了のタイミングで辞めるのが最適です。
派遣会社は、派遣先と仕事内容・雇用期間を詳細に話し合い、派遣社員に納得してもらったうえで契約しています。
契約満了のタイミングであれば契約違反に当たらないため、円満退職できるでしょう。
ただし、派遣先から雇用期間の延長を申し込まれるケースもあるため、契約満了日の1ヵ月前までに、在籍している派遣会社へ辞める意思を伝えてください。
契約期間の途中で辞める
契約期間の途中で辞める場合、派遣会社が後任の派遣社員を探せるよう、遅くても退職希望日の1ヵ月前に退職を申し入れましょう。
繁忙期や長期休暇後など慌ただしい時期を避けると、落ち着いて辞める理由も伝えられ、比較的スムーズに手続きできます。
ただし、派遣会社に「やむをえない事情」と判断してもらわなければならないため、退職理由をしっかりと考える必要があります。
補足:即日辞めるのは難しい
最初にお伝えしたとおり、突然の退職は契約違反になりかねないため、即日辞めることはかなり厳しいことです。
ただし、次のような理由で退職したい場合、派遣社員でも即日辞められるケースはあります。
- 契約内容に含まれない仕事を強要される
- 派遣先でひどいハラスメントを受けている
- ご家族が倒れ介護しなければならない
- 病気・ケガが原因で継続が難しい
- 賃金の不払いや労働時間の延長など、明らかな契約違反がある
上記のような理由なら、即日退職も可能です。
ただし、後任探しのためにもできるだけ早く派遣会社へ相談し、納得してもらえるよう正直に理由を伝えてください。
派遣社員を辞めるときの手順
派遣社員を辞めるときは次のポイントを押さえ、手順を踏んだ対応が大切です。
- 契約期間と有給休暇の残日数の確認
- 退職希望日の1ヵ月前に契約会社へ相談
- 失業手当受給の可否を確認
- 各種保険の切り替え
- 業務整理や後任への引き継ぎ
- 派遣会社や派遣先への挨拶
以下で詳しく解説します。
有給休暇の残日数や契約期間を確認する
派遣社員が退職を検討するときは、まず有給休暇の残日数と、残りの契約日数を確認しましょう。
有給休暇の残日数がわかっていないと、消化するためにいつ退職するべきか、いつまでに相談するべきかタイミングがわかりません。
ただし、有給休暇が残っていても、有休消化を認めない会社もあります。
また、更新可能な契約の場合、契約期間が延びているかもしれません。
退職を申し出る前に、有給休暇の残日数・残りの契約期間を確認して、退職するタイミングを計りましょう。
派遣会社に1ヵ月前には相談する
派遣会社へ退職の意思を伝えるときは1ヵ月前、できればもう少し早く相談してください。
派遣会社へ相談すると、現在抱えている不満や不安が解消され、退職しなくて済む可能性があります。
また、派遣会社への相談は、退職希望日の1ヵ月以上前に、直接会って話すと良いでしょう。
顔を見て話せば、言葉にできない気持ちや誠意も伝わります。
対面が難しい場合はメール・電話でも良いですが、できるだけ直接話せるよう、事前に派遣会社へ面談のアポイントを取りましょう。
転職先未定の場合は失業手当を受給可能か確認する
転職先が決まらないまま退職するときは、失業手当が受給できるか確認しましょう。
週20時間の労働で31日以上の継続雇用見込みなら、派遣社員でも失業保険に加入できます。
失業手当を受け取れるのは、退職日を起点に過去2年間で、12ヵ月以上雇用保険に入っている人です。
また、次の仕事が見つからず求職活動中であることも受け取り条件なので、事前に詳細を確認しましょう。
社会保険や年金の切り替えを行う
派遣社員を辞めるときは、社会保険や年金の切り替えも行いましょう。
ただし、辞めたあとの状況によって、手続きの方法が異なります。
転職先が決まっている場合、自分で切り替え手続きをする必要はありません。
必要書類を揃えて転職先へ提出すれば、手続きはすべて会社側が行います。
離職期間がある場合は、社会保険を国民年金・国民健康保険に切り替えるか、ご家族の扶養に入りましょう。
国民年金・国民健康保険への手続きは、居住区域にある市区町村役場の窓口で行います。
ご家族の扶養へ入る場合は、ご家族の勤め先へ問い合わせ、必要書類を揃えて提出してください。
健康保険は、一定条件を満たせば現在の社会保険を継続できるので、自分の状況に合わせた切り替えを行いましょう。
業務整理や後任へ引き継ぎを行う
業務整理や後任への引き継ぎも、派遣社員が退職するときの大切な仕事です。
退職前に後任者が決まった場合は、担当していた仕事の内容や進め方、注意点を丁寧に説明して引き継ぎましょう。
後任者が決まっていない場合は資料をまとめ、誰が読んでもわかるマニュアルを作成してください。
特に、知っておいたほうが良いコツや気をつけるべき変更点など、重要ポイントは省かず記載しましょう。
職場や派遣会社に退職の挨拶をする
最終出勤日には、派遣先の職場や派遣会社に退職の挨拶をします。
できれば直接顔を合わせ、お世話になったお礼を丁寧に述べましょう。
もし機会がもらえるようなら、朝礼や終礼で挨拶をします。
仕事の都合でどうしても会えないときは、メールや電話で挨拶しても問題ありません。
対面で挨拶できなかったことを詫びてから、お礼と感謝の気持ちを伝えてください。
派遣社員を辞めるときに注意すべきポイント
派遣社員を辞めるときは、次の点に注意します。
- 契約満了で退職する場合は退職届を出さない
- 退職は派遣先に直接伝えず派遣会社を通す
詳しい内容を、以下で解説します。
契約満了時の退職届の提出は不要
契約満了のタイミングで退職するときは、退職届を出さなくても問題ありません。
派遣社員は雇用期間があらかじめ定まっているため、契約満了時に更新がなければ自動的に退職となります。
したがって、派遣社員が契約満了で退職する場合、退職届は不要です。
契約期間中に退職する場合は、派遣社員でも退職願・退職届を提出しなければなりません。
提出するべきかどうか悩む場合は、派遣先に相談して指示を仰ぎましょう。
派遣先の企業には自分から伝えない
派遣社員が退職するときは、退職の意思を派遣先に直接伝えないようにしましょう。
職場は派遣先でも、契約しているのは派遣会社です。
派遣会社から許可が出ていないうちに退職の意思を伝えてしまうと、双方に迷惑をかける可能性があります。
まず在籍している派遣会社へ退職の意思を伝え、派遣会社から許可が出たら派遣先の職場へ伝えましょう。
派遣社員を辞めるときは派遣会社と相談して円滑に
派遣社員が辞めるときは、派遣会社や派遣先の状況を考慮して相談することが大切です。
繁忙期や長期休暇明けを避け、退職希望日の1ヵ月以上前に派遣会社へ相談すると、後任者を探しやすくスムーズに話が進みます。
雇用期間の途中退職は原則できませんが、病気やけが、派遣先の契約違反など、納得を得られる事情があれば契約満了前でも退職可能です。
ただし、派遣会社に相談することで、問題が解決して働き続けられる可能性もあるので、退職の意思を伝える前に派遣会社へ相談しましょう。