「忍耐力」は就活の自己PRでよく使われる言葉ですが、一部で「ネガティブな印象を与えるのでは?」と頭を悩ませている方もいるのではないでしょうか。
本記事は、就活中の学生に向けて、「忍耐力が企業に与える印象」「自己PRで忍耐力を伝えるときのポイント」「忍耐力を言い換えるコツ」を紹介します。
本記事を読めば自己PRで忍耐力を効果的に伝える方法がわかります。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
自己PRで忍耐力が企業に与える印象
「忍耐力がある」と聞いて悪い印象を持つ企業は多くありません。
忍耐力には「辛いことに耐え忍ぶ力」「辛抱する力」などの意味があります。
社会人として仕事を行ううえで、忍耐力を必要とする場面は多く、上手に自己PRすれば好印象につながるでしょう。
ただ、伝え方によって「耐えるだけで自分の意見をいえない人」と、ネガティブにとらえられるケースもあります。
良い印象を与えるためには、「継続しながら改善できたか」や、「能動的に行動できたか」を伝えるのが大切です。
また、「企業が求めている人材」に合わせた的確な自己PRも必要です。
企業はどのような忍耐力を求めているのか
では、企業はどのような「忍耐力がある人材」を求めているのでしょうか。
企業が求める主な忍耐力は下記のとおりです。
- 地味な仕事もコツコツ取り組める
- 失敗から学び改善できる
- 目標達成に向け困難を乗り越えられる
仕事は小さな作業の連続で成り立っており、成果を出すために、コツコツ取り組める人材が望まれます。
例えば営業職が契約を取るためには、リサーチ、資料作成、アポイント取得など、日々の小さな作業の積み上げが必要です。
逆にいえば、大きな成果は、日々の地道な作業を繰り返さなければ得られません。
また、初めての仕事では失敗はつきものでしょう。
重要なのは失敗から学んで改善できるかどうかです。
失敗にはネガティブな印象を持ちやすいですが、成功へのプロセスととらえて我慢強く受け止め、ポジティブに変換すると成長につながります。
企業側も最初から失敗しない完璧な人材がいるとは考えていないでしょう。
また、困難に直面した場合も同様で、逃げずに前に進める人材が望まれています。
自己PRで忍耐力を伝えるときのポイント
では、具体的に「忍耐力」をどのように伝えれば良いのか解説していきます。
- 「結論」「理由」「具体例」「再結論」の順でプレゼンする
- 受け身の印象を与えないように注意する
- 相手を落とす伝え方はしない
- 忍耐力を言い換えて伝える
- 具体的な経験をアピールする
それぞれ見ていきましょう。
ポイント1.「結論」「理由」「具体例」「再結論」の順でプレゼンする
自己PRは「結論」「理由」「具体例」「再結論」の順でプレゼンしましょう。
この手法は「PREP法」と呼ばれており、話に説得力を持たせて、短時間で自分の意見を伝えるのに効果的とされています。
PREP法のメリットは下記のとおりです。
- 説得力が出る
- 短時間で意見が伝わる
- 文章をスムーズに制作できる
結論、理由、具体例、再結論で構成されていれば、聞き手は話を整理しながら聞きやすく納得を得やすいです。
また、結論を最初に持ってくるため、冒頭からダイレクトに話の主軸が相手に伝わり、「結局、何が言いたいのかわからない」といったケースがなくなります。
PREP法をクセづけておくと、文章作成や、上司への連絡、相談にも役立ちます。
ぜひこの機会に身につけておきましょう。
ポイント2.受け身の印象を与えないように注意する
前述したとおり、「忍耐力」は「自分の意見をいえない人」といった受け身の印象を与えるケースがあります。
あくまでも「自分から率先して行動した」ことを意識して伝えることが大切です。
「仕方なくやった」「指示されて行った」など、受け身の印象を与えないように注意しましょう。
ポイント3.相手を落とす伝え方はしない
忍耐力を伝える際には「厳しい環境に耐えて結果を出した」「やりたくないことをやり通して成果が出た」などのエピソードを用いることが考えられます。
この場合、「周囲を下げて自分を上げる伝え方」にならないように注意しましょう。
「監督が理不尽だったが、それでも私は努力して〜」「友人に恵まれなかったが、それでもやり通して〜」などと伝えると「感謝ができない人」「自分の成果しか考えられない人」と、悪い印象につながるケースがあります。
また、「周囲が◯◯だから仕方なくやった」「環境が悪かったが〜」などの表現は、悪口として伝わるので印象がよくありません。
自分の意思で率先して行ったと伝えるように、細部の表現にも注意しましょう。
ポイント4.忍耐力を言い換えて伝える
前述した通り、「忍耐力」の言葉をそのまま伝えると、相手にネガティブな印象を与えるケースがあります。
忍耐力の表現を用いて自己PRするのが難しい場合は、別の言い回しで伝えるのも効果的でしょう。
忍耐力の言い換えは下記のとおりです。
- 意志が強い
- 継続力がある
- ストレス耐性がある
- 最後までやりとおす力がある
- 目標達成のために物事に取り組める
- 辛抱強い/がまん強い/ねばり強い
エピソードによって、別の適切な言葉に言い換えて伝えるのでも良いでしょう。
ポイント5.具体的な経験をアピールする
自己PRに説得力を持たせるために、具体的な経験の紹介は必須です。
忍耐力をアピールするエピソードを探す際のポイントは下記のとおりです。
- 自分の経験を書き出す
- 忍耐力を発揮できた理由を自己分析
- 希望の企業でどう活かせるかを考える
自分の経験を書き出す
まずは、自分が「忍耐力を発揮できた」と思う場面を徹底的に書き出します。
- 大変だったこと
- 結果を出したこと
- 長期的に続けたもの
- 力を入れて取り組んだこと
どのエピソードにするかは、「仕事で活かせるか」で判断します。
自己PRの材料になるので、少しでも書くか迷ったものは、すべて書き出しましょう。
年表にしてまとめるのも効果的です。
忍耐力を発揮できた理由を自己分析
効果的に忍耐力を自己PRするには、「仕事で活かせること」を伝えなければなりません。
そのためには「忍耐力を発揮できる再現性」が必要です。
どのような状況で忍耐力が発揮できたのか明確にできるよう、自己分析を行います。
先ほど書き出したエピソードを例に挙げて、「当時の状況」「気持ち」「目標」「きっかけ」「継続できた理由」を書き出していくと良いでしょう。
希望の企業でどう活かせるかを考える
自己分析に沿って、就職希望先の企業で、どのように忍耐力が活かせるかを言語化します。
これには希望の業種、職種がどのような仕事を行うのか事前にリサーチが必要です。
先ほどのいくつかのエピソードを分析して、マッチした内容を本番に持っていきましょう。
【場面別】忍耐力をアピールする自己PRの例文
では、参考にできるように具体的に例文を見ていきましょう。
わかりやすいように、場面ごとに分けて解説します。
- 勉強
- アルバイト
- サークル
- 大学入試
- インターン
- 資格取得
- 部活動
それぞれ見ていきましょう。
自己PRで使える忍耐力1:勉強
結果が出るまで、粘り強くものごとに取り組めると自負しています。
この力は大学在学中の勉強で培われました。
大学入学後の授業は想像よりレベルが高く、特に〇〇は苦手分野で、初めての受講で挫折感を味わいました。
しかし、そのまま放ってはおけず、徹底的に勉強すると決意しました。
毎日、朝5時に起床し、授業内容の復習やテキストの問題に取り組み、さらには補習や個別指導も受けるなどの努力をしました。
この生活は現在まで3年間続いています。
結果、最初は理解できなかった内容も徐々に理解できるようになり、成績も上昇しました。
この経験から、私は忍耐力が何事でも必要であると実感しました。
忍耐力と、継続の重要性を感じさせる例です。
実際の成功体験をふまえており、勤勉な人柄を感じさせます。
自己PRで使える忍耐力2:アルバイト
これは、居酒屋のアルバイトで身についた力です。
当時のアルバイト先は店長の指導が厳しく、新人は働き始めてから1ヵ月も経たず退職することも多くありました。
私も最初は店長の厳しい指導に恐怖を感じながら仕事をしていましたが、3ヵ月勤めた頃、母から「なぜ怖いと感じるか」を書き出すように勧められました。
実施したところ、店長の発言は的確で、店のためのものだと気付きました。
結果、私は叱られるのが怖くなくなり、仕事も楽しいと感じるようになりました。
最終的に、3年間勤めて後輩を指導する立場になっています。
私は、人の言葉や発言の意図を理解するのが得意です。
一見、理解できない発言も、相手の立場や意図を考えることで、意味が明らかになることがあります。
このことは、困難な状況も、前向きな姿勢で、継続的に取り組めば乗り越えられると学ばせてくれました。
対人関係での困難な状況を乗り越えた例です。
こういった対人トラブルは仕事では少なからず起こります。
前向きにとらえて、具体的な乗り越え方を学んだ良い例でしょう。
自己PRで使える忍耐力3:サークル
これは、大学時代に演劇サークルでの公演活動で養いました。
私は、大学の演劇サークルに入部してから、1年以上活動を続けました。
演劇の稽古は、長時間にわたり体を動かしたり、セリフを暗記したりすることが必要です。
特に、舞台上でのパフォーマンスは、完璧にこなす必要があり、常にプレッシャーに晒されます。
最初は、舞台上での演技に自信がなく、稽古に参加しない時期がありましたが、周りの先輩や後輩たちの熱意や励ましの言葉を受け、徐々に自信を持つようになりました。
また、演劇の稽古や、数多くの公演に出演し、舞台上での成長を感じられました。演劇サークルに所属していた経験は、忍耐力や継続力を養えた貴重な経験です。
サークルを通して、忍耐力を養った経験です。
具体的な活動例を出し、どれくらいの期間に、どのような作業や練習をしてきたか、失敗から学んでどのような工夫をしたかを盛り込むと、さらに良い内容になるでしょう。
自己PRで使える忍耐力4:大学入試
この能力は大学受験で身についたものです。
大学進学を決める際に、私の偏差値は40でした。
当時は海外で語学を学びたいという思いがあり、留学制度のある偏差値60の大学を志望しました。
そこから、弱点である分野を自己分析し、「どの分野を」「いつまでに」「どれくらい伸ばすか」を計画して、勉強をはじめました。
思うように成績が伸びない時期は計画を見直し、修正しながら取り組むこととしました。
結果として大学にも合格できました。
長期的な計画でも、コツコツ取り組めば結果が出るとわかったできごとです。
御社でも、長期的な視点で仕事に取り組み、成果につなげていきたいと思います。
長期的な計画をコツコツ遂行して成功した例です。
進行状況に応じて、計画を柔軟に修正して取り組んだ事実もアピールしています。
自己PRで使える忍耐力5:インターン
この忍耐力は、幼少期から取り組んでいた武道で培われました。
私は、インターンシップで、営業職を選び取り組んできました。
営業職を選んだ理由は、対人で「ヒアリング力」や、「コミュニケーション能力」「行動力」「課題発見能力」など、さまざまなスキルが養われると考えたからです。
営業職では、困難な場面でも数字をあげる必要があります。
実際にただ我慢して、同じ作業を続けるだけではなく、「状況を好転させるにはどうすれば良いのか」を考えながら行動し、成果を出してきました。
このような結果を出せたのも、忍耐力が基礎にあったからだと考えます。
御社に入社した際も、忍耐力を発揮しながら貢献したいと思います。
インターンで、忍耐力から成果を出した例です。
具体的な数字や、失敗例を学び、改善策があればさらに良いアピールになるでしょう。
自己PRで使える忍耐力6:資格取得
これは、大学時代に資格を取得した経験から身につきました。
大学時代に私はファイナンシャルプランナーを取得するために、日々勉強していました。
資格取得のためには計画が欠かせません。
いつまでに取得するかを決めて、勉強量を逆算しました。
当時は生活費を稼ぐためアルバイトをしており、忙しかったのを覚えています。
夕方からはアルバイトがあるため、朝4時半に起床し、3時間勉強すると決めて1年間毎日継続しました。
その結果、2級試験に見事合格できました。
このできごとから、物事を成功させるには継続力と適切な計画が必要だと学びました。
御社でも、継続力と計画管理能力を活かし、目標達成に向けて着実に業務に取り組んで参ります。
資格取得にあたり、「継続力」「自己管理」「計画遂行能力」をアピールした例です。
「コツコツと決めたことをこなせる人物」の印象を受けます。
自己PRで使える忍耐力7:部活動
これは高校のサッカー部で、レギュラーになる過程で養われました。
当時所属していたサッカー部は県でも上位常連校で、新入部員で未経験者は私と友人の二人だけで、初日の実力テストで恥をかいてしまったのを今でも覚えています。
その日から、友人と二人で人よりも多く練習すると決め、朝は30分、夜は1時間遅く練習すると決めました。
特にシュート練習はこだわり、1日100本を課して取り組み続けました。
動画でフォームを確認しながら、友人と二人で研究しつつ取り組みました。
その結果、3年生でレギュラーに選ばれて公式大会に出場し、フリーキックからゴールを決めることができました。
結果は負けてしまいましたが、ゴールの瞬間に友人と抱き合って喜んだのは今でも忘れられません。
この結果が残せたのは、継続した努力と、工夫しながら練習に取り組めたためだと思っています。
働く際も継続はもちろんですが、工夫しながら改善に取り組んでまいります。
継続した努力が成果を出した例です。
他者と共同して計画を進めており、協調性もアピールできています。
成功した際の情景も目に浮かび、好印象を与えるでしょう。
忍耐力の強さを適切に伝えて自己PRで好印象をもってもらおう
本記事は、「忍耐力」を自己PRとして伝えるためのポイントや、具体的な例文を紹介しました。
自己PRで忍耐力をアピールすることは、企業に対して基本的に悪い印象を与えることはないでしょう。
しかし、伝え方を間違えると「自分の意見をいえない」「改善のための提案ができない」など、ネガティブに伝わるケースもあります。
企業がどのような忍耐力がある人材を求めているかを理解して、マッチする表現で自己PRを行いましょう。