就職活動をする際には、勤務時間や勤務地に制限があったり、すぐ入社できないなど、人によってさまざまな条件があります。
そうした事前に伝えておきたい条件を記入する場所が、履歴書の本人希望欄です。
本人希望欄に記入すべき内容と、記入してはいけない内容を紹介します。
また、パターン別の記入例も一緒に確認し、記入の参考にしてください。
目次
履歴書の本人希望欄の書き方・内容は?
そもそも、履歴書の本人希望欄とは何を記入する欄なのでしょうか。
条件がないケースの記載内容と合わせて解説します。
絶対条件としてとらえられる
本人希望欄は、働くうえで譲れない入社条件を記す欄です。
希望だからといって、「年収が○○万円以上だとうれしい」などの願望を書く欄ではありません。
採用担当者はそこに書いてある内容を、入社にあたっての絶対条件として判断します。
よって、内容次第では採用選考から漏れる可能性もあります。
軽い気持ちで記入すると採用される可能性を狭めてしまう恐れがあるため、就業にあたって現実的に影響が出るポイントだけを記入しましょう。
条件がなければ「貴社の規定に従います」と記入
目立った条件がない場合であっても、空欄にしたり、「ありません」や「特になし」と書いたりしてはいけません。
履歴書を見られた段階で、丁寧さに欠ける、マナーがなっていない、意欲がないなどとマイナスに判断される可能性があります。
絶対条件以外が特にないケースでは、「貴社の規定に従います」と記入することがマナーです。
履歴書の本人希望欄記載にふさわしい内容と例文
ここでは、本人記入欄に記入すべき条件を、例文を交えながら見ていきましょう。
希望職種・勤務地など選択項目
複数の職種や勤務地で同時に募集を出しており、応募者が選択できるケースがあります。
そういった求人に応募する場合、どの職種、どの勤務地への応募なのかがわかるよう、希望する選択肢を記入しましょう。
名称は略さず、募集要項にある表記で記入します。
また、特に希望がない場合はその旨を記してください。
- 例文:経理職を希望いたします
- 例文:勤務地は貴社の配属に従います
勤務時間など譲れない条件
家庭の事情などから勤務時間や勤務地について譲れない点がある場合、理由と具体的な条件を事前に伝えておきましょう。
ただし、一方的に要求するのではなく、内容に幅を持たせながら確認するかたちでお願いすることがポイントです。
- 例文:扶養の範囲内での勤務を希望いたします
扶養内で勤務したい旨は、勤務時間や日数に大きく関わります。
「年収103万円以内」と収入ベースで伝えることも可能です。 - 例文:子どもを習い事に送迎するため、毎週火曜日のみ17時退勤を希望いたします
時間・曜日に制限がある場合は「夕方まで」など曖昧にせず、具体的な時間と理由を記入します。 - 例文:父の介護があるため、勤務先を首都圏とさせていただければ幸いです
家庭の事情で転居をともなう配属が難しい場合も伝えておきましょう。
なお、勤務エリアに幅をもたせると、ある程度は融通できることを伝えられ、一方的な印象になることも避けられます。
連絡がとりにくい時間
在職しながらの転職活動の場合は、連絡がとりにくい時間があるでしょう。
企業側に何度も電話する手間をかけさせないために、電話対応ができる時間や、電話がとれない時間を書いておくと丁寧です。
時間は具体的に記載しておくことがポイントです。
例えば、「平日の15時以降であれば電話対応が可能です」など曜日と時間を具体的に記し、先方の営業時間内に設定するようにしましょう。
また、時間の確約ができない場合、下記の例文のように電話がつながりにくい旨を伝えます。
加えて、休憩中など特定のつながりやすい時間がわかれば、それも合わせて記入すると親切です。
- 例文:在職中で平日9時~18時はお電話に出られない場合があるため、折り返しご連絡をいたします
入社可能日
企業側には採用スケジュールがあるため、在職中ですでに退職日が決定している場合は退職日と入社可能日を、離職済みで即日入社できる場合はその旨を伝えましょう。
退職日が未定の場合、曖昧な状態で記入するとトラブルになる恐れがあります。
引継ぎや有給消化などを考慮して、内定後いつから入社可能か目安を示しましょう。
また、すでに離職している場合は「採用後は即日入社可能です」と記入しておくと、採用担当者がわかりやすくなります。
- 例文:○月○日退職予定のため、○月○日から入社可能です
- 例文:内定後3ヵ月以内に入社可能です
健康上の留意点
履歴書に健康状態欄がない場合、健康上の留意点は本人希望欄に記入します。
通院で休みをもらう可能性がある場合は、具体的な希望を簡潔に説明しましょう。
目的と曜日・時間・頻度などを記すと、企業側もイメージがしやすくなります。
なお、選考でマイナスにならないよう、業務に問題がない旨を説明することが大切です。
病名などプライバシーに関わる部分に触れる必要はありませんが、前置きをして業務可能かという不安を払拭しましょう。
- 例文:業務に支障はありませんが、持病による通院のため毎月第2月曜は16時に退勤させていただければ幸いです
履歴書の本人希望欄に記載NGな内容
絶対条件としてとらえられるため、記入してはいけない項目もあります。
記載NGな内容を確認していきましょう。
志望動機・自己PR
志望動機や自己PRは専用の項目だけに記載しましょう。
適切な欄に書ききれず本人希望欄にも記入すると、自己主張が強い、ルールやマナーを理解していないなどの悪いイメージを持たれる危険があります。
空欄を作りたくない、自分を最大限アピールしたいといった気持ちから記入すると、逆効果です。
自分を正しくアピールし好印象を持ってもらうためにも、ルールを守りましょう。
給与など待遇
給与や休暇といった待遇面は、面接など、あとで交渉する機会があります。
面接をしていない段階では、応募者と企業側はお互いのことをまったく知らない状態です。
その時点で待遇に関して言及すると、要求ばかりでわがままな印象を与える恐れがあります。
特に新卒の場合は、中途採用と比較して謙虚な姿勢が求められるため、わがままな印象を持たれると選考において悪影響です。
面接を重ねていくなかでお互いが「この会社であれば土日休みでなくても働けるかも」「この人なら年収を少し上げても入社してほしい」などと思うこともあるでしょう。
履歴書の時点では待遇について記入せず、面接をしながらすり合わせることが大切です。
「特にありません」または空白
空白や「特になし」は、基本的なマナーを守れていないとみなされ、マイナスイメージを与えてしまう恐れがあります。
また、空欄になっている場合、採用担当者からは記入漏れなのか条件がないのか判断がつきません。
条件がない場合はその旨を正しく伝えることがマナーです。
質問事項
質問がある場合は面接で行い、本人希望欄に記入する必要はありません。
なお、質問したい内容が求人票に載っていないかを、再度確認することが大切です。
確認しても載っていない場合、面接時に口頭で質問するか、どうしても事前に確認しておきたい場合は企業に問い合わせをしましょう。
本人希望欄の書き方を正しく理解して就職活動に臨もう
本人希望欄は「こうでないと働けない」という強い条件を記入する欄であり、記入の仕方によってはマイナスイメージを持たれてしまう危険性があります。
家庭の事情で勤務時間に制限があるケースや、通院で休みがほしいなどの事情がある場合は、本人希望欄で伝えておくことで、就業後のトラブルを防ぐことにもつながります。
また、連絡が取りやすい時間や入社可能日を記載しておくと、より丁寧な印象です。