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契約社員の契約期間は最長3年?|契約満了後の働き方も紹介

この記事の監修者
西岡 秀泰
【資格】
社会保険労務士

【プロフィール】
同志社大学法学部卒業後、生命保険会社に25年勤務しFPとして保険販売を行う。2017年4月に西岡社会保険労務士事務所を開設し、労働保険・社会保険を中心に労務全般について企業サポート。日本年金機構にて年金相談員を兼務。

契約社員として働くにあたって覚えておきたいのが、契約期間が最長3年であることです。
労働基準法14条では、有期雇用の契約期間は最長3年と定められています。
3年以内の契約満了を迎えた契約社員は、新たに契約を更新したり転職活動したりするなど、自分に最適な働き方を選択する必要があります。

本記事では、契約社員の契約期間と契約満了後の働き方について解説します。
契約満了後の契約社員の選択肢を知り、自分に合った働き方を見つけてみてください。

契約社員の契約期間は最長3年

契約社員の契約期間は最長3年

契約社員の契約期間は無期または有期となりますが、有期雇用の契約期間は最長3年です。
ただし、職種などによってはこのルールが適用されないケースもあります。

契約社員の契約期間は3年までと定められている

有期契約社員の契約期間に関して、労働基準法第14条1項で「3年を超える契約をしてはならない」と定めています。
医師や薬剤師など専門知識・技術が必要な特定の職業や、満60歳を超える人は5年まで契約可能ですが、基本は3年以内の期間でしか契約できません。
つまり、特定の職業以外の契約社員は3年以内の期間で契約を締結する必要があります。

契約社員の契約期間が最長3年の理由

契約社員の契約期間が最長3年となっている主な理由は、以下の2つです。

  • 労働者の無期雇用化を促すため
  • 労働者を長期間拘束しないため

労働者の雇用を安定させるには、有期雇用より無期雇用が適しています。
無期雇用なら短期間で契約が終了する心配がないため安心して働けるからです。

契約期間を比較的短い期間に設定することにより、労働力を確保するために企業が無期雇用の労働者を増やすことが期待できます。

また、契約期間が長いと労働者は長期間その契約に拘束されることになります。
結果として、契約期間中は無期雇用への転職ができません。

労働者の職業選択の機会を確保するためにも、有期契約期間は一定の範囲内に抑える必要があります。

契約期間最長3年のルールが適用されない人

契約社員のなかでも、以下の条件のいずれかに当てはまる人は3年を超える期間で有期雇用契約を締結できます。

  • 医師や弁護士、システムエンジニアなど専門的な知識や技術を有する人
  • 最初から無期雇用契約で働いている人
  • 期限が定まっている仕事に従事している人(工事・プロジェクトなど)
  • 満60歳以上を過ぎている人
  • 1ヵ月の労働日数が10日以下、1週間の労働日数が正社員の半分以下の人
  • 産前産後休暇、育児休暇、介護休暇で休む従業員の代理で働いている人

無期雇用契約や満60歳以上の人、期間の決まったプロジェクトなどに参加している契約社員は、労働基準法第14条の規定により契約期間最長3年のルールの対象外です。
労働日数が限られている人や産休・育休・介護休の代理で働いている人も、このルールから外れるため注意しましょう。

契約社員の契約満了後の働き方

契約期間が満了すると、契約社員は以下の選択が必要です。
契約満了後に慌てないよう、事前に満了後の働き方を検討しましょう。

  • 同じ条件で契約を更新する
  • 通算雇用期間が5年を超えれば無期雇用の契約社員に転換する
  • 正社員登用制度があれば正社員をめざす
  • 自ら契約更新を断って転職する
  • 企業から雇い止めにあう

それぞれ詳しく解説します。

同じ条件で契約を更新する

契約満了後、引き続き同じような労働条件で契約更新するケースです。
現状の働き方に満足しており、ライフスタイルにも特に変化がないのであれば、同じ条件で契約更新しても良いでしょう。

契約更新を希望する場合、事前に雇用主の意向を確認しておきましょう。
雇用主・契約社員双方が同意すれば新たに労働契約を締結します。
労働条件に変更を求める場合は面談で話し合い、変更点を反映した労働契約を交わします。

通算雇用期間が5年を超えれば無期雇用に転換する

契約を更新しながら同じ雇用主に5年を超えて雇用された人は、無期雇用への転換が可能です。この定めを、「無期転換ルール」または「5年ルール」と呼びます。

1回以上契約更新し、通算して5年を超えて勤めた実績があれば、労働契約法第18条により無期雇用への転換を申し入れられます。
正社員にこだわっておらず、より安定した働き方を求めているのであれば、無期雇用への転換を検討しましょう。

正社員登用制度があれば正社員をめざす

勤務先に契約社員から正社員に登用する制度があるのであれば、契約満了のタイミングで、契約社員から正社員をめざすのも一つの選択肢です。
雇用主のなかには、契約社員の能力を契約期間中に見極め、有能なら正社員で雇いたいと考えているケースもあります。
契約期間中に働きぶりを認められれば、正社員への転換も可能です。
ただし、正社員登用制度の有無は企業によるため、事前に勤務先の人事制度などをよく確認しておきましょう。

自ら契約更新を断って転職する

契約満了のタイミングで自分から更新を断り、転職することもできます。
契約日から1年以内の退職は、契約不履行と判断され損保賠償請求の対象にもなる可能性があるため、該当する場合は契約満了を待って転職したほうが良いでしょう。

更新しない場合は、早めに勤務先へ伝えましょう。勤務先の都合もあるため、辞めるときにトラブルにならないように気をつけましょう。

企業から雇い止めにあう

契約期間満了で企業が契約を更新しない(雇い止め)場合、雇用契約は終了します。
ただし、企業が雇い止めするには次の条件を満たさなければなりません。

  • 反復更新など実質的に無期契約と変わらないといえる場合などは更新しない理由が正当である
  • 3回以上契約が更新されている場合や1年を超えて継続勤務している人については、契約満了日の30日以上前に雇い止めの告知をする

上記の条件をみたさない場合、雇い止めが無効になる可能性もあります。
契約更新しない理由がはっきりしない、もしくは、あらかじめ伝えられていなかった場合は面談の機会を設けてもらい、きちんと話し合いましょう。

契約期間の上限設定や5年ルールは労働者を守ってくれる

有期雇用の労働者に適用される契約期間の上限設定や5年ルール(または無期転換ルール)は、契約社員を守るためにも必要なものです。
安心して働けるよう、各ルールの特徴を把握しておきましょう。

契約期間の上限設定のメリット

メリットは、契約期間の上限がはっきりしているため、契約満了後の見通しが立てやすい点です。
例えば、同じ会社で3年を目処に働き、その職場が自分に合っているなら契約更新をして、無機雇用契約社員への転換や正社員をめざせます。
もし、現職場に不満があったとしても、契約期間の上限は3年なので、契約満了時期を見据えた転職活動もしやすいでしょう。

契約期間の上限設定のデメリット

デメリットは、雇い止めの可能性がある点です。
契約更新して長期間仕事を続けたくても、契約満了で更新されなければできません。
企業が雇い止めをしにくくなったり、雇用期間が長期化して5年ルールが適用されたりすることを回避するために、企業が契約社員の雇い止めを行うこともあります。

5年ルールで無期雇用に転換するメリット

5年ルールの条件に当てはまる契約社員は、無期雇用へ転換可能です。
無期雇用の場合は定年まで契約が満了することがないため、雇い止めの不安が軽減され安心して働けます。
また、無期雇用への転換によって、仕事への意欲が高まり、自身のキャリア形成も長期的な視点で取り組めるでしょう。

5年ルールで無期雇用に転換するデメリット

5年ルールで無期雇用へ転換した場合のデメリットとして懸念されるのは、転換後の待遇・雇用形態への不満です。
無期雇用は、あくまで契約期間に定めがないだけなので、雇用形態は契約社員のままとなる可能性があります。
その場合、有期契約時の労働条件・待遇がそのまま引き継がれることも多いため、正社員同様の福利厚生は望めないかもしれません。
また、正社員になれるかどうかも勤め先によって異なります。

契約期間が3年の場合の無期労働契約のタイミング

3年ごとに更新している契約社員の場合、無期労働契約への転換を申し入れるタイミングは、1回目の契約満了日を迎えたあと更新し、更新後2年を超えたときです。
無期転換には、1回以上の更新と通算5年を超える雇用実績が必要となるため、条件を満たしたかを確認してから申し入れるようにしましょう。

契約社員の契約期間に関するよくある質問

3年契約の契約社員として働いていると、契約満了後に失業手当はもらえるのか、期間満了を待たずに途中退社できるのかなど疑問を抱くこともあるでしょう。
ここからは、契約社員として働くなかで気になる質問に回答します。

3年の期間満了で退職したら失業手当はもらえますか

3年契約の契約社員の場合、通常退職日(契約満了日)から逆算して過去2年間のうち12ヵ月以上は雇用保険に加入しているので失業手当を受給できます。
また、期間満了のタイミング(契約更新を希望したが雇い止めとなった場合)であれば自己都合退職であっても給付制限はありません。
なお、解雇されたり会社が倒産したりなど会社都合で退職した場合なども、給付制限期間はありません。
7日間の待期期間が終われば失業手当を受給可能です。

契約期間が3年の場合でも途中退職はできますか

契約社員が契約満了を待たずに退職することは、基本的に認められません。
ただし、民法第628条および労働基準法附則第137条により、以下の条件のどちらか一方に当てはまる人は契約途中でも退職できます。

  • やむを得ない事情がある人(民法第628条)
  • 契約締結した日から1年を経過した人(労働基準法附則第137条)

契約途中の退職が認められる事情とは、契約社員本人が働けないほどの傷病を負った、ご家族の介護が必要になった、契約先でのハラスメントがあったなどです。

契約期間など雇用に関するルールを確認してライフプランやキャリアプランを考えよう

契約社員の契約期間は最長3年間です。
契約期間の上限を設定することにより、企業が労働者を長期間拘束することを防ぐとともに、企業に無期雇用を促し労働者の雇用の安定を図っています。

契約満了後は、契約を更新して仕事を続けるか転職するか選択が必要です。また、雇用期間が5年を超えれば無期雇用へ転換する、正社員登用をめざすといった選択肢もあります。

契約が満了する前に雇用に関する法律や勤務先のルールを確認して、契約満了後の働き方を考えてみましょう。

執筆者について

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