転職活動を行うにあたって、契約社員への転職を検討している方もいるでしょう。
契約社員は、正社員と比べると、仕事とプライベートを両立しやすいなどのメリットがあります。
一方で、雇用の安定性や給与などの面で、リスクやデメリットが大きい働き方である点も理解しておきましょう。
本記事では、契約社員に転職するリスクや、事前に確認しておきたいことなどを紹介します。
目次
契約社員に転職するリスク
契約社員は、正社員とは異なるリスクが存在する働き方です。
ここでは、以下に挙げる5つのリスクを順番に解説します。
- 雇用が安定しない
- 社会的信用が低くなる
- 昇給・賞与は期待できない
- 5年ルールが制定されている
- 正社員へ転職するハードルが上がる
雇用が安定しない
契約社員は、契約期間が決められており、契約が更新されなければ仕事を失います。
また、契約期間には最長3年の上限がありますが、下限は規定されていない点にも注意が必要です。
契約期間が「2ヵ月」「3ヵ月」と短く、更新される見込みも薄い場合、働き始めてすぐに次の転職活動を始めなければならないでしょう。
社会的信用が低くなる
契約社員は、正社員と比べると社会的信頼が低くなる場合があります。
前述のとおり、契約社員は雇用が安定しないため、そのため、ローンを組んだり、クレジットカードを作ったりする際、将来的な支払いが本当に可能なのかを疑われ、審査に通らないケースが少なくありません。
昇給・賞与は期待できない
契約社員は、一般的に契約を更新するまで昇給がありません。
契約期間が上限の3年であれば、3年間は昇給がない状態で働くことになります。
成果を上げてもすぐに成果に反映されにくいため、モチベーションの維持が難しいケースもあるでしょう。
また、賞与についても期待はできません。
契約社員はボーナスが支給されないことも多く、支給される場合もごくわずかな金額であることがほとんどです。
その他、福利厚生や各種手当についても、正社員より限定されているケースが多いでしょう。
5年ルールが制定されている
「5年ルール(無期転換ルール)」とは、契約社員などの有期労働者が、契約の更新により同じ職場での契約期間が通算5年以上になる場合、労働者が希望すれば無期労働契約に転換できるルールのことです。
これは有期労働者が抱える雇用の不安を解消するためのルールですが、無期労働契約を避けるために、5年目の契約を更新しない企業も一定数存在します。
また、無期労働契約になったからといって、労働条件は原則として契約社員のときと同じままです。
正社員と同様になるわけではない点にも留意しておきましょう。
正社員へ転職するハードルが上がる
契約社員は、のちに正社員に転職することが難しい場合があります。
正社員の選考において、契約社員の職歴は高く評価されない傾向にあるためです。
また、契約社員から正社員になるハードルは、年齢を重ねるにつれて高くなっていくことも覚えておきましょう。
契約社員から正社員への転職を考えている方は、以下の記事も併せてご確認ください。
契約社員への転職に向いている人の特徴
契約社員にはリスクもありますが、メリットも存在します。
以下に当てはまる方は、契約社員の働き方のほうが向いている可能性もあります。
- さまざまな業界・職種に挑戦したい
- 専門的スキルを活かしたい
- プライベートとの両立を希望している
- 副業をしている
さまざまな業界・職種に挑戦したい
契約社員は雇用期間が短く、短期間で職場が変わるため、さまざまな業界や職種に挑戦することができます。
多様な業務を経験するうちに、自分に向いている仕事や、長く続けたい仕事が見つかる可能性もあるでしょう。
向いている仕事が見つかったら、その職種で正社員をめざしたり、5年ルールによる無期労働契約をめざしたりすることも可能です。
専門的スキルを活かしたい
契約社員は、契約時に決められた業務以外を担当することがほとんどありません。
一方、正社員はさまざまな業務を行う必要があり、時には苦手な仕事にも取り組む必要があります。
自分の強みを活かせる業務のみに集中し、専門性を高めたい場合は、契約社員の働き方が選択肢に入ってくるかもしれません。
プライベートとの両立を希望している
契約社員は、正社員と比較すると残業が少なく、ワークライフバランスが取りやすい点が特徴です。
家事や育児、介護などと両立したい場合は、契約社員がおすすめです。
また、契約社員には、転勤や異動はほとんどありません。
基本的には、自分が希望する地域や職場で働けます。
副業をしている
副業である程度の収入を得ている場合は、契約社員を選択しやすいでしょう。
契約社員は、正社員よりも可処分時間を多く持てるため、副業に充てる時間を確保しやすいです。
副業の収入が順調に増えていけば、契約満了後に更新せず、副業を本業にする選択肢も生まれます。
ただし、契約社員にも副業を禁止している会社もあるため、事前に確認しておきましょう。
契約社員に転職するときに確認したいこと
契約社員に転職するときは、以下の項目を確認しておきましょう。
- 今後のキャリアプラン
- 正社員登用制度の有無
- 労働条件
それぞれ解説します。
今後のキャリアプラン
長期的なキャリアプランを描いたうえで、目標に近づきそうな仕事を選びましょう。
目的がないまま契約社員になると、契約満了のたびに「次はどの企業に応募すれば良いのか」と思い悩む可能性があります。
また、転職の軸がなければキャリアに一貫性が生まれず、スキルも身につきません。
契約社員になることがゴールとならないよう、5~10年後のキャリアも考えておきましょう。
正社員登用制度の有無
契約社員として入社し、その会社で正社員をめざすならば、正社員登用制度があるか確認してください。
制度の有無だけでなく、内容や条件もしっかりとチェックしておきましょう。
制度が導入されていても、過去に実績がなければ正社員登用される可能性は低くなります。
事前に求人で確認しておき、気になる点は面接で直接聞いてみましょう。
労働条件
契約社員の労働条件は会社によって異なります。
業務内容はもちろん、正社員との待遇の差や福利厚生も見ておきましょう。
特に、更新に関する内容は、今後の雇用に関わるため慎重に確認すべき項目です。
詳しくは、内定獲得後に交付される労働条件通知書に掲載されているため、確認してください。
契約社員に転職した経験は履歴書に書く必要がある?
契約社員の職歴は、すべて記載しなければいけません。
偽って記載すると、内定が取り消される恐れがあります。
たしかに、契約社員の職歴は正社員の職歴と比べれば評価されない傾向にありますが、それでも職歴に空白期間がある場合のほうが大きなマイナスとなるため、必ずすべて記載するようにしましょう。
また、契約社員の期間は、会社名のあとに括弧書きで(契約社員)と書いてください。
記載を省略すると正社員での職歴だと誤認されるため、忘れずに記入しましょう。
契約社員への転職は慎重に検討しよう
契約社員は期間が定まっているため、雇用が安定しないリスクがともないます。
5年ルールが制定されているものの、すべての企業で適用されるとは限りません。
また、契約社員から再び正社員をめざすときに、ハードルが上がる可能性はあります。
最終的に正社員になりたいと考えている方は、慎重に検討しましょう。
ただし、プライベートの時間を確保できたり、自分で仕事を選びやすかったりする点はメリットです。
メリット・デメリットの両方を考慮したうえで判断してください。
また、行きあたりばったりの転職とならないよう、契約社員になる目的は明確にしておきましょう。