日本の非正規雇用の推移は？男女別や年齢別などの実態を解説

日本の非正規雇用は2022年の時点で2,101万人、被雇用者全体における割合は約4割となっています。
また、近年は新型コロナウイルスや高齢化社会など、さまざまな問題が雇用市場に変化をもたらしており、65歳以上の高齢者の非正規雇用者数も増加傾向です。
本記事では、非正規雇用の実態について、正規雇用の比率や男女別、年齢階級別、雇用形態別など、総務省が発表している労働力調査のデータをもとに解説していきます。

非正規雇用者数の推移

※総務省統計局の労働力調査を参考に作成
※2023年のデータは2023年1～3月までのもの
※割合とは、「正規の職員・従業員」と「非正規の職員・従業員」の合計に占める割合

非正規雇用の人数の推移

上のグラフを見てみると、非正規雇用の人数は増加傾向にありましたが、2019年をピークにいったん減少しました。
2022年には再び増加に転じています。
2020年以降の減少の要因としては、新型コロナウイルスにより雇用状況が悪化したことが考えられます。

なお、この傾向は非正規雇用者のみに見られており、正規雇用者の人数は反対に増加傾向を示しています。（正規雇用：2019年3,515万人→2020年3,556万人）
理由としては、新型コロナウイルスにより医療職などの正規雇用が増加したことが挙げられます。

非正規雇用の比率の推移

上のグラフから正規雇用と非正規雇用の割合の推移を見ていきましょう。
非正規雇用の割合を見てみると、ここ数年は37%前後で推移していることがわかります。
一方、正規雇用の比率を確認してみると63%前後の推移となっています。

非正規雇用者数の実態をグラフで解説

続いて、非正規雇用者数の現状について、男女別、年齢階級別、雇用形態別にそれぞれ見ていきましょう。

男女別

※総務省統計局の労働力調査を参考に作成
※2023年のデータは2023年1～3月までのもの
※割合とは、「正規の職員・従業員」と「非正規の職員・従業員」の合計に占める割合

男女別のデータを確認すると、非正規雇用で働く人は女性のほうが多いことがわかります。
非正規雇用者数は、2023年1～3月時点では、男性が675万人に対し、女性は1,437万人で、2倍以上の違いがありました。
また、被雇用者全体に対する非正規雇用の割合は、男性が22.5%、女性が53.7%という数値です。

年齢階級別

※令和2年　労働力調査年報をもとに作成

年齢階級別の非正規雇用者数で見てみると、「45～54歳」「55～64歳」「65歳以上」が大きな割合を占めていることがわかります。
正規雇用のデータを確認してみると、64歳以下のすべての年齢で正規雇用が非正規雇用を上回っていますが、65歳以上の正規雇用者数は125万人と急激に減少に転じ、反対に非正規雇用が405万人と上回っています。

また、2021年4月に施行された高年齢者雇用安定法の改正により、企業に65歳までの雇用確保が義務付けられました。
この改正を受け、60歳を迎えた社員を対象とした再雇用制度を導入する企業が増えたことから、非正規採用で働く60歳以上の人は今後も多くなることが考えられます。

雇用形態別

※総務省統計局の労働力調査を参考に作成
※2023年のデータは2023年1～3月までのもの

非正規雇用者はどのような雇用形態で働いているのでしょうか。
非正規雇用者の内訳を見てみると、半数以上がパート・アルバイトで、非正規雇用全体に占める割合もここ数年で大きな変化はないことがわかります。

また、非正規雇用の問題点としては、賃金の低さが挙げられます。
例えば同じ短時間労働者であっても、正規雇用と非正規雇用では平均賃金が変わってきます。
非正規雇用の問題については以下の記事を参照してください。

日本の非正規雇用の人口は増加傾向にある

非正規雇用の人数や男女差、年齢階級別、内訳などを解説してきました。
非正規雇用の人数は、新型コロナウイルスの感染拡大を経ていったん減少しましたが、2022年からは再び増加傾向にあります。

また、男女間では約2倍の人数差があり、女性の非正規雇用が多くなっています。
最近の傾向では、55歳以降の高齢の労働者の非正規雇用者が増加しており、今後高齢化社会が進むことで、この傾向がますます強まることが予想されます。