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契約社員でも休職はできる?休職までの流れや制度を解説

契約社員は、労働期間・業務内容・雇用条件などを雇用先と話し合い、合意のうえで契約し就業しています。
そのため、自身の病気・ケガやご家族の介護などにより労働が難しくなったとき、休職扱いしてもらえるか悩むケースも珍しくありません。

契約社員が休職できるかどうかは、雇用先の就業規則で判断されます。
休職を認められる条件と実際に休職するまでの流れを知って、いざというときに備えましょう。

本記事では、契約社員が休職するための条件や、利用できる休職の種類を詳しく解説します。

契約社員が休職できるかは会社による

契約社員が休職できるかは会社による

病気やケガなどで長期休暇が必要になった場合、契約社員であっても休職の必要性が出てくるかもしれません。
契約社員の働き方は、雇用先の就業規則に従う形となります。
このため契約社員が休職できるかどうかは、会社によっても異なるでしょう。

契約社員の休職について就業規則を確認する

契約社員の休職制度は、法的に設けなければならない決まりはありません。
したがって、契約社員の休職制度を就業規則で定めている企業もあれば、一切記載がない企業もあります。

契約期間中の契約社員は、雇用先の就業規則を守って行動するのが基本です。
休職を検討する場合は、まず現在の雇用先の就業規則を確認し、契約社員の休業制度が設けられていれば規則を守って申請しましょう。
ただし、契約社員の休職期間は上限があったり、復帰が難しい場合は退職を促されたりするケースもあるため注意が必要です。

雇用契約と就業規則で違う場合は労働者に有利な内容が適用される

雇用契約書と就業規則を見比べたとき、雇用契約書に「休職を認めない」と記載されていても、就業規則では契約社員の休職が認められている場合があります。
このケースでは、就業規則違反の労働契約と判断され、就業規則が優先されることを覚えておきましょう。

労働契約法第12条において、就業規則に反した労働条件は無効と定められており、雇用主は就業規則を遵守しなければなりません。
したがって、雇用契約書で休職が設けられていなくても就業規則をよく読み込み、就業規則で認められているようなら休職を願い出てみましょう。

契約社員の休職の種類|各社の就業規則による

契約社員の休職の種類|各社の就業規則による

契約社員に認められる休職の種類は雇用先によって異なりますが、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 私傷病休職
  • 事故欠勤休職
  • 起訴休職
  • 組合専従休職
  • 出向休職

各項目の詳細を以下で解説します。

私傷病休職

私傷病休職とは、業務中以外に負ったケガや病気が原因で休職することです。
業務中のケガや仕事で患った病気は、労働災害に含まれるため私傷病休職に当てはまりません。

契約社員の私傷病休職を認める企業は珍しくないものの、休職期間は企業によってまちまちです。
3〜6ヵ月程度がおよその目安ですが、企業によっては取得条件を設定しているケースもあるため、あらかじめ就業規則をチェックしておきましょう。

事故欠勤休職

事故欠勤休職とは、業務中に負った傷病以外で休職するケースです。
「事故」とあるものの、ここで指すのは通勤・業務中の事故によるケガや病気のことではありません。
事故欠勤休職は、何らかの犯罪容疑で勾留され、物理的に出勤できない状態を主に意味しています。

就業規則で定められた期間は休職できますが、勾留が長引き期間満了を迎えた場合、自動的に退職・解雇となる可能性があるでしょう。

起訴休職

起訴休職は、労働者が何かしらの罪を犯して起訴されたときに判決が確定するまで、あるいは一定期間を設けて休職する制度です。
従業員が起訴された場合、雇い主側にも悪影響がおよぶ可能性があるため、休む本人ではなく雇い主側が起訴休職にするか否かを判断します。

ただし、起訴休職扱いは雇い主側も少なからずリスクを負うことから、導入・運用に躊躇する企業もあるでしょう。

組合専従休職

組合専従休職とは、企業と雇用契約を結んだ状態で、労働組合の仕事を優先して行う人が利用する制度です。
組合専従者と呼ばれる職員が、雇用先の勤務時間内で組合業務をこなさなければならないときに、組合専従休職を申し入れます。

組合専従休職中の労働者への給与は、労働組合から支払われます。
雇用契約を結んだ企業からの給与については、労働組合法第7条3項で定められた「不当労働行為」に該当すると判断されるため支給されません。

出向休職

出向休職とは、労働者が企業の意向で他社へ出向き働く場合の制度です。
雇用先に所属したままですが、異なる勤務先で働くため雇用先では休職とみなされます。

出向休職は会社側の理由で取得するため、勤続期間や給与の扱いは労働者が不利益にならないようにしなければなりません。
ただし、出向休職中の給与支払い元が雇用先から出向先に変わる可能性もあるため、給与額や支払い日・社会保険料など、気になる点は出向先に尋ねておきましょう。

出産・育児・介護休業|法律で定められている

出産・育児・介護休業|法律で定められている

出産・育児・介護のための休職は、法律で定められており、契約社員でも取得可能です。
なかでも妊娠・出産を申し出た労働者に対しては、会社側が休業を取得するかどうか確認することが義務付けられています。

産前・産後休業

労働基準法第65条では、産前・産後の女性労働者に関して次のように定めています。

  • 出産予定日まで6週間以内の女性、または多胎妊娠で出産予定日まで14週間以内の女性が休業を申し込んだ場合、労働させてはいけない
  • 雇用主は、産後8週間以内の女性を労働させてはいけない

上記の内容は、契約社員を含むすべての労働者に当てはまるため、契約社員でも休業可能です。
ただし、産前・産後休業中に契約満了を迎え、次の更新が確定していない契約社員は取得できない場合もあるため、事前に雇用先と話し合ってみてください。

育児休業と介護休業

出産後、子どもが1歳6ヵ月を迎える日までに雇用契約が終了しない(労働期間の満了日を迎えない)と確定している契約社員は、育児休業を取得できます。
また、ご家族を介護するための介護休業も、通算93日を3回までに分けて取得可能です。

ただし、介護休業を取得できるのは、介護開始日(開始予定日)を起点に93日〜6ヵ月以内の期間中、満了日を迎えない契約社員のみに限られます。

産後パパ育休

産後パパ育休は、端的にいえば男性の育児休業です。
契約社員だけではなくパート・アルバイトなどで働く男性も取得可能で、出産日から数えて8週間(2ヵ月)以内に28日間の産後パパ育休を、2回に分けて取得できます。

ただし、出産日を1日目と数えて8週間目の翌日から、6ヵ月に到達する期間内に契約満了を迎え、更新予定がない人は取得できません。
また、遅くても2週間前までに申請しなければならず、雇用主との労使協定によっては申請を拒否されるケースもあるため注意しましょう。

契約社員の休職について就業規則の確認ポイント

契約社員の休職について就業規則の確認ポイント

契約社員が休職する場合、気になるのが休職中の給与や社会保険の扱いです。
基本は就業規則に従って行われるため、事前によく確認しましょう。
詳細を以下で解説します。

休職の条件・期間や契約社員に適用されるかどうか

契約社員の休職の有無や取得条件・休職可能期間は、雇用先によって異なります。
休職期間を就業期間の長さで定めたり、休職期間の上限を決めていたりなど、各企業で対応はまちまちです。

そもそも契約社員の休職が就業規則で認められていなければ、申請しても却下される可能性があります。
希望のタイミングで安心して休職をするためにも、まずは就業規則を把握し、契約社員でも取得可能か、可能ならいつまで休めるのかなど必要な情報を集めましょう。

休職中の賃金の有無や社会保険についても確認する

休職中の契約社員は、基本的に給与の支払いがありません。
ただし、企業によっては「〇ヵ月以内の休職なら満額支給、それ以上の期間休職するなら〇%減額」など、細かなルールを定めているケースもあります。
就業規則で詳細をチェックし、疑問点は事前に尋ねておきましょう。

また、休職中に給与支払いがない場合、月々の社会保険料を天引きできません。
納付方法について就業規則に記載がなければ、雇用先に問い合わせてみてください。

契約社員が病気休暇を取得する流れ

契約社員が病気休暇を取得するときの休職から復職までの大まかな流れは、次のとおりです。

  1. 医療機関からの診断書を会社に提出
  2. 会社の規定に合わせて休職手続きをする
  3. 傷病手当の申請をする
  4. 休職に入り保険料を支払いつつ療養
  5. 医師の判断のもと復職

以下で詳しく解説します。

医療機関からの診断書を会社に提出

病気で休職を希望する場合、まず医療機関で受診して診断書を書いてもらい、会社へ提出しましょう。
診断書の提出を就業規則で定めている企業も多く、症状が深刻であれば、治療の効果を待たずに診断書を出してもらえる可能性があります。

診断書があると症状の詳細を客観的に提示できるほか、会社の理解も得やすくなるため、就業規則で義務付けられていなくても提出したほうがスムーズでしょう。

会社の規定に合わせて休職手続きをする

診断書を提出し許可が得られたら、会社の規定に沿って休職手続きを行います。
会社で休職手続き用の書類を用意しているケースも多いため、書式に従って必要事項を記入し提出してください。

一般的に、休職手続きを行うのは会社の人事部や労務部です。
書類の書き方や提出方法など、わからないことがあったらこれらの部署へ相談し、不手際がないよう手続きを進めましょう。

傷病手当の申請も可能

傷病手当とは、社会保険に加入している人が業務中以外の病気やケガで休職したときに支払われる給付金です。
受給要件を満たしていれば、契約社員を含む有期労働者も申請できます。

休職を検討していて、以下の条件に当てはまる人は、傷病手当の申請も忘れずに行いましょう。

  • 業務以外の理由でケガや病気を負った
  • ケガや病気で働けないと判断された
  • 連続して4日以上休職している
  • 給与・その他の報酬を受けられない

休職に入り保険料を支払いつつ療養

休職中は給与支払いがないケースがほとんどですが、社会保険料や住民税の支払いはしなければなりません。
社会保険料を特別徴収(天引き)で納付している方であれば、自己負担金を会社へ納めて一括納付してもらったり普通徴収へ切り替えたりなど、支払い方法はさまざまです。

休職前に会社とよく相談し、社会保険料や住民税の支払い方法を決めておきましょう。

医師の判断のもと復職

休職期間中に療養し回復の兆しが見えたら、医師の診断を受けて復職できるか否かの判断を仰ぎます。
医師から復職できると言われたら意見書や診断書を書いてもらい、会社へ提出して復職日を相談しましょう。

会社に産業医がいる場合は、診断書をもとに復職しても良いか判断してもらいます。
休職した本人の感覚・考えだけで復職を決めるのではなく、専門医や上司の意見も聞いて、復職後に安心して働ける体制を整えることが大切です。

休職期間満了後に復職できない場合は?

休職期間満了後に復職できない場合は?

休職期間が終わっても復帰の目途を立てられない場合、退職も視野に入れる必要があるでしょう。
休職後の復職が難しいとき、契約社員に起こりうる事態を以下で解説します。

退職勧奨を受け退職を考える

退職勧奨とは、労働者に退職の選択肢を示し、判断を委ねる行為です。
退職を勧めるだけで、強制的に退職させるわけではないため、雇用主の違反行為ではありません。

上司と面談して退職勧奨を受け、契約社員がそれに合意した場合は、契約期間中でも退職可能です。
退職するか否かは最終的に契約社員が判断しますが、復職が難しい場合は退職を勧められる可能性があると理解しておきましょう。

休職期間満了と同時に自然退職

就業規則や雇用契約書に「休職期間を終えても復帰が難しい場合は契約終了」と記載されていた場合は、休職期間満了と同時に自然退職する可能性もあります。
自然退職は自動退職とも呼ばれ、就業規則や雇用契約書に記載がある会社であれば、自動的に退職になるケースも珍しくありません。

ただし、自然退職の制度を採用するかどうかは会社が任意で決定します。
復帰できそうにない場合、自然退職扱いになるかどうか、就業規則や雇用契約書を確認しましょう。

契約期間満了時に雇止めを受ける

契約が更新されない雇止めは、合理的な理由や必要性がなければ会社側にリスクのある行為です。
しかし、休職期間を過ぎても復職の目途が立たない場合、就労不可能と判断され雇止めを受けるかもしれません。

契約更新してもらえる形が理想的かもしれませんが、契約社員として休職し、長らく復帰が難しい場合は雇止めを受ける可能性もあることを理解しておきましょう。

契約社員の休職に関するよくある質問

契約社員の休職に関するよくある質問

契約社員が休職を申し出たとき、欠勤扱いとされてしまい疑問を抱くケースがあります。
また、休職が原因でいつクビになるのか不安を抱える方もいるかもしれません。

ここでは、契約社員が休職するときによくある疑問とその回答を紹介します。

休職ではなく欠勤扱いになるのは問題ないのですか

休職も欠勤も、会社側から見れば次の2点で共通しています。

  • 就労していない
  • 無給

したがって、休職が欠勤扱いになっても基本的には問題ありません。
ただし、会社を休む理由がプライベートでの傷病だった場合、条件を満たして入れば傷病手当の受給対象となります。
傷病手当を受給するなら、欠勤ではなく休職扱いにしてもらいましょう。

契約社員でうつ病により休職しましたがクビになるまで何ヵ月ですか

うつ病で休職した場合、2〜3ヵ月療養するのが一般的です。
また、うつ病の原因が会社内の業務にあるのであれば、労働基準法19条に定められた解雇制限により、休職期間後の30日間は契約社員を解雇できません。
したがって、うつ病で休職した場合、約4ヵ月は解雇されないと考えて良いでしょう。

ただし、休職期間は会社によって異なるほか、就業規則に自然退職の記載があると、4ヵ月を待たずに解雇される可能性もあります。
2〜3ヵ月の療養+30日の期間はあくまで目安と考え、就業規則や雇用契約書の記載を確認しましょう

契約社員の休職については雇用契約・就業規則をよく確認しよう

契約社員の休職は、会社ごとの就業規則に従って申請しなければなりません。
雇用契約で休職が認められていなくても、就業規則で契約社員の休職が認められている場合、就業規則が優先されるため休職が可能です。

また、産前産後休業・育児休業・介護休業・産後パパ休業については法律で定められており、契約社員も取得できます。
まずは雇用契約・就業規則を確認し、規定に沿って申請・手続きを行いましょう。

執筆者について

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