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アルバイトに残業代は支払われる?割増されるケースを具体例で紹介

「アルバイトって残業代をもらえるの?」
「残業代はどのくらい割増されるのか知りたい」

アルバイトが残業代をもらえるのかや、残業をしたらどのくらい増額されるのかがわからないという方もいるのではないでしょうか?
アルバイトで働いている方も正社員と同様に残業代をもらえますし、残業する時間によっては割増されます。

この記事では、アルバイトが残業代をもらえる理由と、割増されるケースを紹介しています。
アルバイトで働いている方は参考にしてください。
最後まで読んでいただければ、自分の残業代が正しく支払われているか、計算できるようになります。

アルバイトは残業代をもらえる?

アルバイトは残業代をもらえる?

アルバイトでも、あらかじめ決められた時間を超えて働いた場合は残業代を請求できます。
決められた労働時間を超えて働いた場合、店長や社長などの雇用主は労働者に対して残業代を支払わなければならないと労働基準法で決められているからです。

労働基準法での労働者は、職業の種類を問わず賃金の支払いを受けている人が対象であるため、アルバイトも含まれます。
そのため、「正社員ではなくアルバイトだから」といった雇用形態が理由で引け目を感じる必要は一切ありません。

以下に、アルバイトが残業代を請求できるケースを紹介します。

  • 飲食店で時給1,000円で働いているアルバイトのAさん
    今日は9時から13時までの4時間働く予定だったが、お店が忙しく店長から1時間30分の労働時間の延長を依頼され働いた。

上記のように4時間働く予定だったのに、雇用主(今回は店長)から残業を言い渡された場合は残業代を請求できます。

アルバイト残業代の計算方法【ケース別】

アルバイトの残業代の計算方法を、ケース別に紹介していきます。

  • 法定労働時間内の場合
  • 法定労働時間を超えた場合
  • 1ヵ月の残業時間が60時間を超えた場合
  • 深夜に残業をした場合

順番に見ていきましょう。

法定労働時間内の場合

アルバイトの残業代は、法定労働時間を超えると割増加算されます。
法定労働時間は以下のとおりに定められています。

  • 1日に8時間、1週間に40時間

法定労働時間を超えるまでは、残業時間×時給で残業代を請求できます。
以下に一例を紹介します。

  • 飲食店で時給1,000円で働いているアルバイトのAさんは、以下のスケジュールで1週間働きました。
曜日 月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
本来の労働時間 4時間 4時間 4時間 4時間 4時間
残業時間 2時間 なし 1時間 1.5時間 なし

上記のスケジュールの労働時間は、最長1日6時間、1週間24.5時間であり、法定労働時間を超過していません。
そのため、請求できる残業時間は以下のとおりです。

残業時間4.5時間×時給1,000円=残業代4,500円

今回のケースでは、アルバイトAさんの残業代は4,500円です。

法定労働時間を超えた場合

1日8時間、1週間に40時間を超えた部分の残業時間については、25%以上50%以下の割合で割増加算した残業代を請求できます。
以下に一例を紹介します。

  • 飲食店で時給1,000円で働いているアルバイトのAさんは、以下のスケジュールで1週間働きました。
曜日 月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
本来の労働時間 8時間 8時間 7時間 6時間 8時間
残業時間 2時間 1時間 なし 1.5時間 1時間

上記のスケジュールの労働時間は、最長1日10時間、1週間42.5時間であり、法定労働時間を超過しています。
そのため、請求できる残業時間は以下のとおりです。

木曜日の残業時間は法定労働時間を超過していないため【残業時間×時給】で計算します。
残業時間1.5時間×時給1,000円=残業代1,500円

月・火・金曜日の残業時間は法定労働時間を超過しているため【残業時間×時給×割増率】で計算します。
残業時間4時間×時給1,000円×割増率1.25=残業代5,000円
(※割増率25%で計算)

未超過と超過分の残業代を合計すると、以下のとおりです。
1,500円+5,000円=6,500円

今回のケースでは、アルバイトAさんの残業代は6,500円となります。

1ヵ月の残業時間が60時間を超えた場合

1ヵ月の残業時間が60時間を超えた場合は、超えた部分に対して50%以上の割増加算した残業代を請求できます。
以下は一例です。

  • 飲食店で時給1,000円で働いているアルバイトのAさんの1ヵ月の残業時間は、以下のとおりです。
    下表の残業時間は法定労働時間を超過し、深夜に行われていない残業です。
1週目の残業時間 15時間
2週目の残業時間 20時間
3週目の残業時間 18時間
4週目の残業時間 15時間

1ヵ月の残業時間の合計は以下のとおりです。
15+20+18+15=68時間

法定労働時間を超過した残業で、60時間までの残業代の計算は【時給×残業時間×割増率1.25】で計算します。
時給1,000円×残業60時間×割増率1.25=75,000円

残業60時間を超過した8時間分には割増率1.5をかけて計算します。
時給1,000円×残業8時間×割増率1.5=12,000円

75,000円+12,000円=87,000円

今回のケースでは、アルバイトAさんの残業代は87,000円です。

深夜に残業をした場合

22:00~5:00までの間に残業を行った場合は、深夜割増率25%以上を加算して残業代を請求可能です。
深夜割増賃金率は、以下の労働時間に加算できます。

  • 法定労働時間内の労働時間
  • 法定労働時間を超えた残業時間
  • 1ヵ月の残業時間が60時間を超えた残業時間

以下に一例を紹介します。

  • 飲食店で時給1,000円で働いているアルバイトのAさんは、以下のスケジュールで1週間働きました。
曜日 月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
本来の労働時間 7時間 8時間 7時間 6時間 8時間
残業時間 2時間 1時間 なし 1.5時間 1時間
残業時間のうち、深夜に勤務した時間 1時間 0.5時間 なし 1.5時間 1時間

この残業時間を割増賃金別に分けると、以下のようになります。

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
残業時間 2 1 0 1.5 1
内訳 法定時間内残業 1
法定時間外残業 0.5
深夜 1.5
法定時間外残業・深夜 1 0.5 1

月曜日の総残業時間のうち、1時間は法定時間内(8時間以内)のため手当はありません。
木曜日の残業は法定時間内(8時間以内)の残業となるため時間外とならず、深夜手当(25%以上加算)のみの割増になります。

以上をもとに、残業代は以下のように計算できます。

  • 【法定時間内残業】※割増なし
    時給1,000円×1時間×割増率1.00=1,000円
  • 【法定時間外残業】※割増率25%以上
    時給1,000円×0.5時間×割増率1.25=625円
  • 【深夜手当】※割増率25%以上
    時給1,000円×1.5時間×割増率1.25=1,875円
  • 【法定時間外残業・深夜手当】※割増率50%以上
    時給1,000円×2.5時間×割増率1.50=3,750円

合計:1,000円+625円+1,875円+3,750円=7,250円

今回のケースでは、アルバイトAさんの残業代は7,250円となります。
残業時間は合わせて5.5時間のため、手当がない場合(5,500円)と比べると1,750円の加算があります。

アルバイト先から残業代が出ないときはどうする?

アルバイト先から残業代が出ないときは、以下の手順で対処してください。

  • ステップ1.自分が残業した記録を集める
  • ステップ2.アルバイト先に残業代を請求する
  • ステップ3.労働基準監督署に相談する
  • ステップ4.弁護士に相談する

順番に説明します。

ステップ1.自分が残業した記録を集める

残業代分が振り込まれていないことに気付いたときは、いきなりアルバイト先に請求するのではなく、自分が間違いなく残業をした証拠を集めます。
証拠がないのに請求しても、「本当に残業をしたの?」と言われてしまうかもしれません。

自分が残業をした記録を集めてから、アルバイト先に問い合わせましょう。
以下に紹介する物品が残業した証拠になるので、参考にして集めてください。

  • タイムカードのコピーや写真
  • 勤務表やシフト表
  • 業務日誌のコピー
  • 毎日の勤務時間のメモ

残業した時間分すべて集められれば、漏れなく残業代を請求できます。

ステップ2.アルバイト先に残業代を請求する

残業の記録が集まったら、アルバイト先の雇用責任者である店長や社長に残業代の請求を行います。
自分が働いている支店や支社の責任者が言い逃れをして支払わない場合は、本社や本店に直接電話して相談しましょう。

残業代の未払いが支店や支社の責任者の独断で行われていた場合、本社や本店が把握しておらず、迅速な対応をしてくれる可能性があります。

ステップ3.労働基準監督署に相談する

アルバイト先に連絡しても残業代が支払われない場合は、労働基準監督署に相談してください。
労働基準監督署は厚生労働省の機関で、労働基準法に違反していないかを調査します。

残業代の未払いは労働基準法に違反する行為なので、労働基準監督署に相談すれば対応してくれる可能性があります。
ただし、証拠が不十分だったり人手不足で即座に対応してくれなかったりするので、必ず対応してくれる保証はありません。

また、労働基準監督署の是正勧告は法的な拘束力がないため、調査があっても会社が対応しなければ残業代の支払いはされません。

ステップ4.弁護士に相談する

弁護士に相談すると、以下の3つのパターンでアルバイト先の会社とのやりとりをします。

  1. 交渉
  2. 労働審判
  3. 裁判

弁護士に相談すると即裁判になると思っている方もいるかもしれませんが、そうではありません。
まずは弁護士と会社での話し合いが行われます。
話し合いで残業代の支払いが行われれば解決ですが、交渉決裂の場合は労働審判に移行します。

労働審判は、申立人(労働者)と相手方(アルバイト先の会社)と裁判官の三者での話し合いです。
最大3回行われ、労働者本人は1回目は必ず出席しなければなりません。

労働審判でも解決しなかった場合は、裁判に進みます。
裁判まで発展すると弁護士費用も増え時間もかかるため、請求する残業代以上の費用がかかり、結果として損をするかもしれません。

アルバイトの残業代に関するよくある質問

アルバイトの残業代に関するよくある質問を紹介します。

  • アルバイトの残業代は何分単位で請求できますか?
  • アルバイトの残業時間に上限はありますか?

アルバイトの残業代は何分単位で請求できますか?

アルバイトの残業代は1分単位で請求できます。
理由は労働基準法の第二十四条に「賃金は全額を支払わなければならない」と明記してあるからです。

そのため、15分区切りや30分区切りで残業時間を切り捨てる制度は、労働基準法に違反しています。
残業した時間は1分単位ですべて請求しましょう。

アルバイトの残業時間に上限はありますか?

時間外労働の上限規制は2019年に改正され、すべての労働者が対象です。
アルバイトも労働者に含まれるため、アルバイトの残業時間の上限も以下と決められています。

  • 月45時間
  • 年360時間

原則上記を超えてはいけないと定められており、超える場合は特別な事情が必要です。
事情があり、上記の残業時間を超える場合でも、以下を守る必要があります。

  • 時間外労働が年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
  • 時間外労働と休日労働の合計が、2~6ヵ月平均すべてで1ヵ月あたり80時間以内
  • 時間外労働が月45時間を超えられるのは年6ヵ月が限度

上記を守らなかった会社には、罰則として以下が科される可能性があります。

  • 6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金

特別な事情がない場合は、残業時間の上限は月45時間・年360時間と覚えておきましょう。

アルバイトの残業代は1分単位で請求できる

アルバイトでも残業時間をつけられ、残業代はもらえます。
労働基準法では、雇用主はすべての労働者に対して賃金を支払うように定められています。
正社員も派遣社員もアルバイトも労働者です。

アルバイトとして働いている方も、1分単位で残業代を請求しましょう。
残業代を請求する際は、自分が間違いなく残業した記録を集めることを忘れないようにしてください。
記録がないと、弁護士に相談したとしても残業代をもらえない可能性があります。
残業代が支払われていないと気付いたときは、まずは残業の記録を集めることから始めましょう。

執筆者について

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