派遣社員としてこれから働こうとしている方は、契約期間がどのように決まるかをご存じですか。
また、派遣社員として働いている方で、契約期間について困ったりわからなかったりすることはありませんか。
派遣社員は契約期間が決まった働き方であるため、契約期間の延長や終了、変更など、ルールの理解が不可欠です。
本記事を読めば、派遣社員の契約期間に関わる規則や制度が理解できます。
最後まで読んで、契約期間に関する基本的な知識を身につけて、派遣社員として安心して働きましょう。
目次
派遣社員の契約期間はいつまで?
派遣社員の契約期間は、法律で範囲が決められています。
派遣社員として働く方の安定した雇用を守るための規定です。
本項を読めば、派遣社員が自身の契約期間を知り、どのくらいの期間同じように働けるのかを理解する重要性がわかるでしょう。
派遣雇用の最長期間
派遣社員は、人材派遣会社と雇用契約を結び、派遣先である企業で働きます。
派遣社員は人材派遣会社と、決められた期間、派遣先企業で働く旨を契約します。
実際に働く派遣先企業との雇用関係はなく、派遣会社と雇用関係にある状態です。
厚生労働省の定めるところでは、派遣社員が同一の派遣先企業、かつ同一の部署で勤務する派遣契約期間の最長は3年間です。
派遣期間の満了後に向けて、派遣会社は派遣社員に新たな派遣先を提供するなど、社員の雇用が安定するための措置をとってくれるでしょう。
3年を超えて勤務継続を希望する場合、直接雇用を申し入れるという選択肢もあります。
派遣雇用の最長期間が3年であることをより詳細に知りたい方は、次の記事もぜひ参考にしてください。
派遣雇用の最短期間
派遣雇用期間は、最短でも31日を越えなければいけないと法律で定められています。
日雇派遣を原則禁止し、雇用を安定化するための施策です。
31日間という期間は、派遣社員側は勤務環境を、派遣先企業側は派遣社員の勤務状況を、それぞれ判断する期間として設定されています。
派遣社員の契約期間終了前の手続き
派遣社員として働くにあたって、契約期間が終了する前に契約を更新するのか、終了を企業から申し入れるのか、あるいは自分から申し入れるのかなど、手続きに戸惑うこともあるでしょう。
本章では、これら3通りの選択で、それぞれ必要な手続きを解説します。
派遣契約期間を更新する
派遣社員の契約期間更新は、派遣社員が継続して働く意思を持っており、なおかつ派遣先企業が派遣社員の勤務継続を希望していることが条件です。
契約期間の更新は、双方の合意に基づいて契約満期日の約1ヵ月前までに決めておく必要があります。
具体的には、次のような手順で確認します。
- 派遣元が派遣先に、契約更新の希望の有無を確認する
- 派遣元が派遣社員に契約更新の意思を確認する(契約満了日の遅くとも30日前)
- 契約更新について派遣先と派遣元で合意し、派遣社員にも更新の意思が確認できたら、派遣元が派遣社員へ更新を知らせる
また、3年を超えて派遣契約期間の更新を希望する場合、無期雇用への転換を申請する選択肢があります。
詳細を知りたい方は、下記のリンクをぜひ参考にしてください。
派遣契約期間を終了する
派遣契約期間を更新せず、満期で終了することを派遣先企業側が希望する場合、1ヵ月以上前に派遣会社に通知する必要があります。
少なくとも30日前には、派遣会社から派遣社員に、満期をもって契約が終了することを告知しなければならないためです。
契約期間の満期で終了することを契約満了といいます。
30日前に契約満了の通知を受けていれば、派遣社員はこの期間に次の職場を探すことも可能です。
満了日の30日前までに告知できない場合は、派遣先企業は派遣社員の賃金相当分の賠償金を派遣会社に支払う義務があります。また、期間の途中で契約が解除される場合は、勤務態度が悪いなど派遣社員側に問題があることが多く、より深刻な状況といえるでしょう。
派遣契約の更新を拒否する
派遣社員が契約更新を断る意向があれば、遅くとも契約期間が終了する1ヵ月前までに、派遣会社に伝える必要があります。
派遣先企業には、派遣会社から連絡するのが一般的です。
派遣先企業としては後任の確保や引継ぎが必要となるため、余裕をもって伝えることが求められます。
派遣会社としては、その社員に対して将来的に同じような理由で辞めてしまうのではないかと懸念が生まれる可能性があるため、正当な理由があればきちんと伝えたほうが良いでしょう。
ただし、契約更新を希望しない理由が賃金や待遇などの条件であれば、辞める前に派遣会社を通して相談する方法もあります。
派遣契約期間に関するよくある質問
ここまで、派遣社員の契約期間に関する規則や手続きを解説してきました。
本項では、派遣契約期間に関して多いトラブルや、よくある質問を解説します。
よく理解し、安心して派遣社員として働きましょう。
派遣契約期間中にやめられる?
派遣社員は、契約期間が限定された有期雇用契約のため、原則として契約期間途中での退職はできません。
しかし、「やむを得ない事由」がある場合、例外的に契約期間中でも退職可能と民法第628条で定められています。
やむを得ない事由に当てはまるケースの一例は、次のとおりです。
- 派遣社員本人が心身の障害、疾病を抱えている
- 両親や子どもの病気の介護などの必要がある
- 業務が法令に違反している
- 契約以外の仕事をさせられている
やむを得ない事情がある場合でも、可能な限り早く伝えることが望ましいです。
退職希望日の30日前には、派遣会社へ伝えるようにしましょう。
ただし、契約途中で退職を申し出ることは、派遣会社に将来的にも同様のケースを繰り返すのではないかと懸念を抱かせる可能性があります。
できるだけ契約満了で退職するようにしましょう。
なお、契約期間中に退職しても、違約金を支払う必要はありません。
労働契約を結ぶ際、退職時に違約金を支払う契約をすることは法律で禁じられています。
ただし、情報漏洩など、派遣先の会社に損害を与えることをしたときは、損害賠償や違約金を請求される場合があります。
就業規則や法律は守りましょう。
契約終了になったら失業保険を受けとれる?
契約終了となった場合、次の仕事が見つかるまでの期間に、失業保険を受け取れる場合があります。
いわゆる失業保険は、正式には雇用保険の基本手当であり、仕事を失った方が安心して次の仕事を探すため、環境を整えるための支援です。
受給の条件は以下のとおりです。
- 雇用保険に加入している
- 本人にすぐにでも働く意思と能力があるが働けていない
- 離職日以前の2年間に被保険者期間が12ヵ月以上ある
雇用保険は、31日以上の雇用の見込みがあり、1週間の所定労働時間が20時間以上であれば加入しているケースが多いでしょう。
離職日より前の2年間に雇用保険の加入期間が合計で1年以上あれば、どのような理由で失業しても失業保険を受給できます。
派遣社員の契約期間を正しく理解して安心して働こう
本記事では、派遣社員の契約期間について、規則と手続き、トラブルやよくある質問に関して解説しました。
派遣社員は契約期間が決まっているため、長期の雇用状態がどうなるか、契約終了を希望した場合に辞められるかなど不安がある方もいるでしょう。
本記事を読んで、派遣社員の契約期間の規則を正しく理解し、安心して派遣社員として働きましょう。