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契約社員も有給休暇を取れる?時期や日数、取れない場合の対処法など

この記事の監修者
小島 章彦
小島 章彦
【資格】
・社会保険労務士
・行政書士

【プロフィール】
大学卒業後、某信用金庫にて営業と融資の窓口業務に関わる。現在は、某システム開発会社に勤務。会社員として働きながら、法律系WEBライターとして人事労務関係や社会保険関係のライティングを約5年行っている。

執筆実績: 「マネーの達人」というサイトで180以上の執筆を行っている。その他、社会保険労務士事務所、法律事務所のコラム等の執筆等多数。

正社員として働く労働者には、一定の条件を満たせば有給休暇が付与されます。
契約社員は正社員と違って雇用期間に定めがあることが特徴ですが、働き方は正社員に近いといえるでしょう。
では、契約社員も同様に有給休暇を取得できるのでしょうか。

本記事では、契約社員にも有給休暇はあるのか、その場合いつから何日取れるのかを解説します。
また、企業側から有給申請を断られたときの対処法も紹介しているため、トラブルへの備えとして参考にしてみてください。

契約社員でも有給休暇は取れる?

契約社員でも有給休暇は取れる?

契約社員でも、有給休暇は取得可能です。
契約社員に限らず、要件を満たす労働者には有給休暇が必ず与えられる旨が労働基準法で定められています。
この法律に基づき、厚生労働省は平成31年4月に策定した労働時間等見直しガイドラインでも、年次有給休暇を取得しやすい環境を整備するように、あらためて事業者に求めました。

ただし、有給休暇は一定の勤続期間が経っていなければ与えられません。
また、週の所定労働時間によっても有給休暇の日数は変わってきます。
契約社員として入社後すぐ、好きなように有給が使えるわけではないことを覚えておきましょう。

参考:労働時間等の設定の改善 |厚生労働省

契約社員が有給休暇を取れるのはいつから?

契約社員が有給休暇を取れるようになるのは、入社から勤続6ヵ月が経ったときです。
ただしその期間において一定以上出勤していない場合は、この限りではありません。

契約社員が有給休暇を取得できるタイミングと、必要な出勤日数を解説します。

入社から6ヵ月後

契約社員が有給休暇を取得できるのは、入社してから6ヵ月間継続して勤務した場合です。
裏を返せば、会社側は入社から6ヵ月以内の従業員に対して、有給を与える必要はないとされています。

6ヵ月間の継続勤務は、労働契約が存続している期間を指しており、1日でも仕事を休んだら有給が取れないというわけではありません。

全労働日の8割出勤

契約社員が有給休暇を取得するもう一つの条件は、その期間の全労働日の8割以上出勤していることです。
入社してから6ヵ月継続勤務したとしても、出勤日が入社後6ヵ月の内の8割に満たなければそのタイミングで有給休暇は取れません。

出勤日数が8割であれば良いため、基本的には遅刻や早退をした場合でも出勤日にカウントされます。
また、業務上の怪我や病気で休むケース、法律上の育児休業・介護休業で休んでいるケースは出勤と同じ扱いです。

出勤日数率は、「出勤した日数÷全労働日」で計算できます。
出勤日数が8割あるか不安な方は、自身で一度計算してみましょう。

契約社員の有給休暇の日数は?

契約社員の有給休暇の日数は?

出典:労働者の方へ | 年次有給休暇取得促進特設サイト

契約社員の有給日数は、週の所定労働時間と所定労働日数によって異なります。
正社員と契約社員のあいだに条件の差はなく、働き方が同じなら同じ日数の有給休暇がもらえる仕組みです。

例えば、入社してから6ヵ月経過後に8割以上出勤していた場合は、10日の有給休暇が確実に与えられます。
さらに継続勤務していけば、与えられる有給休暇の日数は増えていくでしょう。

契約社員に有給休暇はないと言われたときの対処法

契約社員であっても条件を満たせば有給休暇は与えられるものですが、会社によっては取得を断られる可能性があります。
有給休暇が取れないと言われた場合の対処法として、以下が考えられるでしょう。

  • なぜ有給休暇が取れないのか確認する
  • 労働基準監督署に相談する
  • 転職も視野に入れる

それぞれ詳しく解説します。

なぜ有給休暇が取れないのか確認する

有給取得を断られた場合、なぜ取れないのか上司などに理由を確認してみましょう。
契約社員も正社員と同じように有給休暇付与の義務があることを、会社側が知らない可能性もあります。

「社内に契約社員の有給取得制度はない」「他の人も有給休暇を取っていない」などは、正当な理由になりません。
有給休暇の付与は義務とされていることを伝えて、再度交渉してみてください。

また、繁忙期で人手が必要、同部署に同じスケジュールで有給を取る人がいるなど、致し方ない理由がある可能性も想定されます。
その場合は希望日を調整し、再度申請しましょう。

労働基準監督署に相談する

会社へ直談判しても有給休暇が取れないときには、労働基準監督署への相談も検討してみてください。
労働基準監督署は全国に設置されており、労働問題に関する助言や指導をしてくれます。
面談・電話どちらも無料で、プライバシー保護に配慮して話を聞いてもらえるため、安心して相談が可能です。

社内に頼れる人がいない場合や、ブラック企業気質で自力での解決が難しいときには、第三者の力を借りてみましょう。

転職も視野に入れる

有給休暇の取得が見込めない場合、転職を視野に入れるのも一つの方法です。
繁忙期などスケジュールの都合に関係なく有給休暇を断る企業は、そもそも労働基準法に反しています。
今後、有給休暇以外のことでもトラブルになる可能性があるでしょう。

有給休暇が取れないことで思うように休めず、体調を崩す恐れもあります。
退職前に有給休暇を有効活用し、労働環境の良い企業への転職に向けて動いても良いかもしれません。

契約社員が有給休暇を取る際のポイント

有給休暇を取得する日は、基本的に労働者の自由とされています。
とはいえ、会社の業務や人間関係に支障をきたさないためにも、最低限の配慮は必要です。
今後も安心して働くために、適切なタイミングで有給休暇の申請をしましょう。

仕事が忙しいタイミングはなるべく避ける

有給休暇の取得日は、繁忙期などの業務が忙しいタイミングをできる限り避けましょう。
企業は従業員の有給取得を断れませんが、一方で時季変更権という権利を持っています。
業務量が多く忙しい時期など、従業員に有給を取らせることで事業が正常に運営できなくなる場合に限り、取得のタイミングを他の時季に変更できる権利です。

つまり繁忙期の有給取得は難しい可能性もあるため、できる限り業務が落ち着いているタイミングで申請をするのが望ましいといえます。
どうしても有給休暇を取りたい日と繁忙期がかぶっている場合は、事情を説明するようにしましょう。

申請を早めに済ませておく

有給休暇を取る日が決まったら、早めに申請を済ませておきます。
有給休暇のあいだは、社内にそのぶんの欠員が出るということです。
急に休みを取ると他の従業員も準備が追いつかず、対応が遅れてしまったり、社内でトラブルが発生したりするかもしれません。

また、直前になって申請した場合、すでに他の人が同日に有給休暇を取っている可能性もあります。
確実に休みたい日があるときには、予定が決まった時点で申請を済ませておきましょう。

有給休暇に向けて業務をこなしておく

有給休暇の取得が決まったら、当日に向けて計画的に業務をこなしておくのがベストです。
場合によっては普段より作業ペースを上げないと、あとから有給取得分の遅れが出て苦労する恐れもあるでしょう。

自分だけでなく、他の人に迷惑をかけないためにも、業務は計画的に進めておきます。
代わりに業務を進めてくれる従業員へ向けてメモをまとめたり、取引先へ先んじて代理者の連絡先を共有したりしておけば、直前になって焦ることもありません。
フォローしてくれた代理人には、後日あらためてお礼を伝えておきましょう。

契約社員も有給休暇は取得可能

契約社員でも、条件を満たすことで有給休暇は必ず取得できます。
ただし、働き始めてすぐに有給休暇が与えられるわけではなく、入社後6ヵ月が経っていてその期間の全労働日のうち8割以上出勤した状態でなければならないことを覚えておきましょう。

それと同時に、有給の取り方やタイミングにも配慮しなければなりません。
有給休暇を取る日は自由とされていますが、社内の人間関係を円滑に保つためにも、より良いタイミングで取得できるよう心がけましょう。

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