派遣社員として働く際、社会保険に加入できるのかどうかは気になるポイントです。
あるいは扶養内で働きたい、社会保険の加入を避けたいと考える方も多いかもしれません。
社会保険の加入可否は、雇用期間や勤務時間などいくつかの条件によって決まるため、派遣社員として働き始める前に把握しておくのがベターです。
本記事では、派遣社員が社会保険に入るための加入条件などを解説しています。
雇用が短期間の場合や複数の派遣会社に登録している場合など、ケース別での社会保険の扱いにも触れているため、参考にしてみてください。
目次
派遣社員の社会保険の加入条件とは?
社会保険は、健康保険・厚生年金保険・介護保険・労災保険・雇用保険の5種類を含む保険制度です。
一定の条件に該当する場合は加入が義務づけられているため、派遣社員も要件を満たせば対象となります。
それぞれの加入条件は以下のとおりです。
保険の種類 | 加入条件 |
労災保険 | すべての労働者が対象 |
雇用保険 | ・31日以上継続して働くこと ・1週間の所定労働時間が20時間以上 ・昼間学生ではない |
健康保険 | ・契約期間が2ヵ月を超える ・週の所定労働時間が正社員の4分の3以上 週の所定労働時間が30時間未満の場合、下記の項目を満たしていること ・週の所定労働時間が20時間以上 |
厚生年金保険 | |
介護保険 (40歳~64歳までの医療保険加入者) |
一般的に正社員の4分の3である週に30時間・月に15日をこえて働くのであれば加入できるでしょう。
なお、健康保険・厚生年金保険・介護保険の要件にある「従業員数101人以上の事業所」については、2024年10月から「51人以上」へと条件が緩和されます。
派遣社員の社会保険は誰が払う?
派遣社員の社会保険料は、派遣元が負担します。
そのため社会保険が完備されているかどうかは、派遣先ではなく派遣会社の福利厚生を確認してみてください。
社会保険加入に関する手続きも、派遣会社が進めてくれます。
別の派遣会社へ移るときは、前の派遣元から退職時に必要な書類を受け取りましょう。
派遣社員の社会保険加入は義務?
社会保険が適用される事業所で働き、週20時間以上の所定労働時間で労働契約を締結している場合は加入の義務が生じます。
そのため、勤務形態を問わず社会保険に加入しなければいけません。
社会保険に加入すると保障が手厚くなるメリットはあります。
また、勤務時間が増えることで給与の手取り額が増える可能性がありますが、扶養の範囲内で抑えようとする場合は手取り額の減少も考えられます。
【ケース別】派遣社員は社会保険に入れる?
ここからは次のケース別に、派遣社員が社会保険に加入できるかを解説します。
- 雇用期間が2ヵ月以内
- 所定労働時間が1週間で20時間未満
- 複数の派遣先で勤務している
それぞれ詳しく見ていきましょう。
雇用期間が2ヵ月以内
短期雇用で、最初から雇用期間が2ヵ月以内と決まっている場合は、社会保険に加入できません。
ただし新たに契約を更新して2ヵ月以上働くときは、更新の同意をした日から加入する必要があります。
また雇用期間が2ヵ月以内でも、雇用契約書などで更新される旨が明記されている際は、雇用期間の当初から加入対象です。
結果的に雇用期間が2ヵ月以内であっても社会保険に加入しなければいけない点に注意しましょう。
所定労働時間が1週間で20時間未満
例えば週3~4日のみ働くケースなど、所定労働時間が20時間未満の場合は社会保険の加入対象ではありません。
ただし、継続的に時間外労働が発生し、その結果として労働時間が20時間を常態的に超える場合は、社会保険の加入が義務付けられることがあります。
複数の派遣先で勤務している
複数の派遣に登録している方は、社会保険の扱いが少し特殊になります。
- 複数社合わせても週の労働時間が20時間以内
- 1社のみ加入要件に該当する
- 複数社で加入要件を満たす
ダブルワークをしている方は、注意点と併せてチェックしてください。
複数社合わせても週の労働時間が20時間以内
週の労働時間が20時間を超えない場合は、社会保険に加入できません。
例えば1社で週に10時間、もう1社で週に8時間働くケースなどが該当します。
扶養に入らない場合は、代わりに自分自身で国民年金や国民健康保険への加入が必要です。
なお雇用保険にも加入できないため、退職時に失業保険を受け取れないことを覚えておくと良いでしょう。
1社のみ加入要件に該当する
ダブルワークをしていて、2社のうち1社のみ社会保険の加入条件に該当するときは、条件を満たす派遣会社で加入する必要があります。
加入手続きや支払う金額、受け取れる保険料などは、1社で働いているケースと同様です。
要件を満たさない派遣会社において加入義務はありません。
複数社で加入要件を満たす
もし複数の派遣会社で条件を満たす場合、該当するすべての派遣会社で社会保険に加入しなければなりません。
その事実が発生した10日以内に、年金事務所へ書類の提出が必要です。
主たる事業所を選択して、その所在地を所轄する年金事務所へ「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出しましょう。
それぞれの会社の給与を合算して標準報酬月額が決定されます。
なお「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」は郵送や窓口持ち込みのほか、電子申請も可能です。
条件を満たせば派遣社員も社会保険に入れる
雇用形態に関係なく、派遣社員でも条件に当てはまれば社会保険に加入できます。
派遣会社が保険料を負担するため、社会保険が完備されているかは派遣元の福利厚生を確認しましょう。
複数の派遣会社に登録している場合は、1社でも加入要件に当てはまれば加入する必要があります。
社会保険の加入は義務のため、条件に合致する場合に拒否はできません。
扶養の範囲内で働きたい方などは、条件を確認のうえで勤務日数・時間を調整してみてください。