契約社員や派遣など、さまざまな雇用形態があるなかで、一般的に「安定した収入を得たいなら正社員が良い」といわれることがあります。
しかし、正社員とはどのように定義されていて、他の雇用形態とはどう違うのか具体的に説明できる人は少ないかもしれません。
本記事では、正社員とは何かを詳しく解説します。
職務内容や勤務地、勤務時間が限定されている限定正社員の働き方も、あわせて確認してみましょう。
目次
正社員とはどのような働き方?
正社員とは、以下の条件にすべて該当する社員のことです。
- 雇用期間の定めがない(無期労働契約)
- 1日8時間×週5日のフルタイム勤務である
- 企業に直接雇用されている
なお、法律上では正社員という呼称は使われておらず、パート・アルバイトや派遣社員などあらゆる雇用形態の方をまとめて「労働者」と呼んでいます。
なかでも正社員に区分される働き方には、どのようなメリット・デメリットがあるのか見てみましょう。
正社員のメリットは?
正社員のメリットには、以下の3つが挙げられます。
- 他の雇用形態より給与が高い
- 教育制度が充実している
- 福利厚生が手厚い
正社員の給与が高い理由として、正社員の多くは月収制で安定した収入が見込めるうえに、給与以外にボーナスや成果報酬が支給される場合があるためです。
また、正社員は教育制度や福利厚生も充実しているケースが多く見られます。
スキルを身につけてキャリアアップを狙ったり、住宅手当や社員寮などが利用できたりするでしょう。
正社員のデメリットは?
正社員のデメリットは、以下の2つが考えられます。
- 仕事の責任が重い
- 転勤や部署異動がある
正社員は責任のある仕事を任せてもらえる一方で、その責任を重く感じる可能性もあります。
役職に就くとなれば部署やチーム全体の責任を背負わなければならず、ときにはプレッシャーになるかもしれません。
さらに、正社員は転勤や部署異動を命じられるケースもあります。
基本的に転勤や部署異動は断れないため、ご家族と一緒に住んでいる方や長く住むつもりで家を買った人にとっては負担となりうるでしょう。
正社員と他の働き方の違いとは?
正社員以外の働き方として、以下の雇用形態が挙げられます。
- 契約社員
- 派遣社員
- パート・アルバイト
上記の働き方には、労働契約期間に定めがあったり労働時間が短かったりと、それぞれ特徴があります。
正社員との違いを比較して、自分に合った働き方を見つけましょう。
契約社員
正社員と契約社員の違いは、雇用期間に定めがあるか否かです。
正社員は労働契約期間がないため、自ら退職しない限りは定年まで働き続けられます。
一方の契約社員は、有期雇用契約を結び、あらかじめ決められた期間内だけ勤務するのが特徴です。
有期雇用契約は最長で3年まで結べるものの、実際は1年で更新されることが多い傾向にあります。
契約期間が満了した時点で契約を継続するのか、更新せず退社するのかはケースバイケースです。
派遣社員
正社員と派遣社員は、雇用主・雇用形態に違いがあります。
正社員は勤務する会社に直接雇用されており、雇用形態は無期雇用です。
対する派遣社員の雇用主は派遣元となる派遣会社で、雇用形態は有期雇用に該当します。
場合によっては、契約期間満了とともに雇止めとなることもあるでしょう。
また、正社員は会社の指示で職種や勤務地などが決まる一方、派遣社員は自分で仕事内容、待遇などの労働条件を選べるのが特徴です。
派遣社員は担当職務が契約で定められていることから、自分の得意分野を活かして働けます。
パート・アルバイト
パート・アルバイトは多くの場合、同じ事業所の正社員と比較して1週間の勤務日数や労働時間が短い労働者を指しています。
ただし、企業によってはフルタイムで働くこともあるため、労働時間の短さが必ずしもパート・アルバイトの条件になるわけではありません。
また、パート・アルバイトは正社員より仕事の責任範囲が狭い傾向にあり、比較的簡単な職務を任されやすいでしょう。
このことから、正社員は長期的な勤務を期待する無期雇用が一般的なのに対し、パート・アルバイトは有期雇用の場合も多くあります。
限定正社員とは?
限定正社員とは、担当職務・勤務地・勤務時間のいずれかが限定されている正社員です。
限定正社員の制度を導入している会社に入社すると、正社員としての待遇を受けながら自分の希望に合った働き方がしやすくなります。
職務限定正社員
職務限定正社員とは、担当する業務が限定されている正社員のことです。
具体的には、証券アナリストやデータサイエンティストなどの専門性の高い職務や、医師・教員などの資格が必要な職務が挙げられます。
正社員は多くの場合、任せられる仕事の範囲が広く「総合職」として雇用されるのが基本です。
一方の職務限定正社員は、企業が専門性の高い人材を育成したい場合や、特定の職務に適した人材を雇用したい場合に利用されます。
勤務地限定正社員
勤務地限定正社員とは、転勤範囲や勤務地が限定されており、転居をともなう転勤がない正社員です。
勤務地限定正社員の形態は、以下の3つに分けられます。
分類 | 限定の範囲 |
---|---|
地域限定型 | 関東地方や九州7県など特定のエリアに限定する |
地区限定型 | 採用時の居住地から通勤可能な地域に限定する |
事業場限定型 | 特定の事業所に限定する |
育児・介護などにより転勤や遠距離通勤が困難な方、または地元で就業したい方に適した働き方といえるでしょう。
契約後のトラブルを避けるためにも、就業規則や労働契約書などで勤務地について明示されているか確認することが大切です。
短時間正社員
短時間正社員とは、一般的な正社員と比較して1週間の労働時間が短い正社員であり、かつ下記のすべてに該当する労働者を指します。
- 無期労働契約を結んでいる
- 基本給と賞与、退職金などの算出方法が一般的な正社員と同等
短時間正社員は、育児や介護など私生活と仕事を両立したい方、定年後も同じ会社で勤務したい高齢者の方などに、活躍の機会を与える雇用形態です。
またパート・アルバイトとは異なり、給与形態はフルタイム勤務の正社員と同じであるため、プライベートを重視しながらも一定の収入が望めるでしょう。
正社員とは収入と雇用が安定した働き方
正社員とは、以下の条件をすべて満たす社員を意味します。
- 雇用期間の定めがない(無期労働契約)
- 1日8時間×週5日のフルタイム勤務である
- 会社に直接雇用されている
正社員は、契約社員や派遣社員、パート・アルバイトなどの働き方と比較すると収入が安定し、教育制度や福利厚生も充実しているのがメリットです。
一方で、責任のある仕事を任されたり、転勤や部署異動を命じられたりするため、負担を感じることがあるかもしれません。
特定の業務にだけ携わりたい、転勤は避けたいといった場合、自分の希望に合った働き方ができるよう、限定正社員の制度を導入している会社も選択肢に入れてみましょう。