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正社員と契約社員の違いは?メリット・デメリットもあわせて解説

この記事の監修者
山本 務
【資格】
特定社会保険労務士/AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/第一種衛生管理者
やまもと社会保険労務士事務所 代表

【プロフィール】
企業の情報システム、ならびに人事部門で28年の実務経験あり。クラウドソフトなどを推進している「システムのわかる社会保険労務士」です。
労働相談、人事労務管理、就業規則作成、給与計算が得意です。労働相談は、労働局での総合労働相談員の経験を生かした対応ができます。各種手続きは電子申請対応ですので全国対応可能です。 また、各種サイトでの人事労務関係記事の執筆や監修も行っています。

就職や転職を考えたとき、正社員と契約社員どちらの雇用形態が自分に合っているのか、疑問を持つ方もいるでしょう。
正社員と契約社員ではさまざまな点が異なり、自分にとってどちらのほうが働きやすいのかを検討するには、良い部分だけではなく注意点も理解しておくことが大切です。

本記事では、正社員と契約社員の違いについて、近年改正された法律による変化も含めて解説します。
正社員と契約社員それぞれのメリット・デメリットにも触れているため、働き方を見つめ直す際の参考にしてみてください。

正社員と契約社員の違いは?

正社員と契約社員の違いは?

正社員と契約社員には、大きく以下の3点で違いがあります。

  • 契約期間
  • 福利厚生
  • 退職金

それぞれ詳しく見てみましょう。

契約期間

正社員は無期雇用、契約社員は有期雇用である点が大きな違いです。
正社員は契約期間がなく、定年まで働くことを前提に採用されます。
それに対して契約社員は契約期間を設けたうえで採用され、有期労働契約を結んでの雇用となることが特徴です。

ただし無期転換ルールの規定により、契約社員でも5年間継続して勤務した場合は、本人からの申し込みにより無期雇用に変更することが可能になります。

契約社員の特徴についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

福利厚生

契約社員の場合、正社員に設けられている福利厚生が適用されない場合もあります。
厚生年金や雇用保険といった社会保険は、労働時間・雇用期間などの条件を満たせば契約社員であっても加入しなければなりません。

ただし、会社が独自に規定している福利厚生に関しては、正社員のほうが充実しているケースもあります。
例えば住宅手当や交通費、扶養手当は正社員しか対象にならない場合や、契約社員は会社の提携施設の利用が限定的になることも多いため、規定を確認しましょう。

退職金

契約社員は基本的に有期雇用で契約期間が決まっており、退職金制度を設けられていないケースが一般的です。

退職金の有無や金額に関しては、企業ごとが独自にルールを決められます。
そのため正社員だけに支給している企業や、契約社員に対しては少額支給する企業もあるため、就業規則の確認が必要です。

契約社員のボーナスに関しては、以下の記事をご参照ください。

法改正による正社員と契約社員の労働環境変化

近年は、正社員と契約社員の待遇格差を改善するための施策が講じられており、労働環境も変化しています。
ここからは「同一労働同一賃金」「無期転換ルール」について、法改正の内容とポイントをチェックしてみましょう。

同一労働同一賃金

同一労働同一賃金とは、会社内において生じる正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇格差の解消をめざす制度です。
2020年4月「パートタイム・有期雇用労働法」の施行によって各種ガイドラインが定められ、中小企業では1年後の2021年から適用となりました。

給与・賞与・福利厚生・教育訓練・各種手当など、非正規雇用に対する待遇の合理化をめざし、正社員との不合理な賃金格差の緩和を求めた施策となっています。
「正社員と同じ仕事をしているのに、収入や待遇で不合理さを感じる」といった場合、労働者は企業に対して合理的な説明を求めることが可能です。

無期転換ルール

無期転換ルールとは、有期雇用労働者が同一の企業で5年を超えて勤務した場合、無期労働契約に変更したいと申し込めば転換できる制度です。
正社員と契約社員の違いは契約期間の有無と上述しましたが、無期転換ルールによって有期契約でなくなることも可能となりました。

無期転換ルール自体は、2013年4月「改正労働契約法」により規定されています。
そして5年を迎えた2018年4月から、契約社員といった有期労働契約者に対して無期に転換できる権利が発生しました。

正社員と契約社員のメリット

正社員と契約社員のメリット

雇用形態を選ぶにあたっては、正社員と契約社員のメリットを知り、どちらのほうが自分にとって多く利益をもたらすか検討することが大切です。
正社員と契約社員それぞれのメリットを紹介します。

正社員のメリット

正社員として働くメリットは以下の3つです。

  • 社会的信頼を得やすい
  • 出世・キャリアアップが望める
  • 収入が安定している

詳しく見てみましょう。

社会的信用を得やすい

正社員は雇用や収入が安定しているぶん、社会的な信用につながります。
正社員は契約期間が無期であり、長期的に安定した雇用が約束されているほか、契約社員に比べて収入も高いケースが一般的です。

ローンやクレジットカードの審査では収入・雇用状況がチェックされますが、このとき社会的信用が重要なポイントとなります。
正社員は長期的に働き続けられる見込みがあり、収入も安定していることから信用を得やすく、審査通過もスムーズになるでしょう。

出世・キャリアアップが望める

会社から手厚い教育を受けられ、出世・キャリアアップがしやすいことも正社員のメリットです。
正社員は長期的な雇用が前提であり、企業側としては長く働いて会社に貢献する人材となることを期待しています。
そのため非正規雇用に比べて研修や教育制度が充実しており、働きながらスキルを身につけられるでしょう。

また、転職する際も正社員での経歴は評価ポイントです。
正社員としてスキルを磨いてきたことがアピールできるため、即戦力を求める中途採用では強みとなります。

収入が安定している

正社員は安定した収入が見込めるほか、賞与や昇給・昇進があることもメリットです。
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、雇用形態別賃金は正社員・正職員328,000円に対して、それ以外の雇用形態は221,300円でした。
このことから、正社員は非正規雇用に比べて収入が安定しているとわかるでしょう。

また、正社員は昇給・昇進があり、年齢に応じて収入がアップする傾向にあります。
さらにボーナス支給や成果に応じて、インセンティブが支払われるケースも珍しくありません。
安定した月収にプラスして支給がある点も、正社員の魅力です。

契約社員のメリット

一方、契約社員のメリットとしては以下が挙げられます。

  • 特定のスキルを活かせる
  • プライベートを優先できる

それぞれ見ていきましょう。

特定のスキルを活かせる

契約社員は仕事の範囲が限定的であり、特定のスキルや経験を活かしやすいといえます。

正社員は転勤や異動の可能性もありますが、契約社員の場合は業務内容が契約によって決定されており、幅広い業務を担うことは稀でしょう。
そのため自分が得意としている分野に関わりながら、専門性を活かして働けます。

プライベートを優先できる

契約社員は、契約内容の範囲であれば自分の働きやすさを尊重してもらえます。
最初に契約を結ぶ段階で自分の希望する勤務条件を伝えることで、時短勤務や週3日のみ出勤などの調整が可能です。

子どもの迎えがあるため残業はしない、家庭の都合で転勤はできないなど、プライベートを優先できる自由度の高さが魅力といえるでしょう。

契約社員のメリットに関しては、以下の記事もご参照ください。

正社員と契約社員のデメリット

正社員と契約社員のいずれも、メリットがあると同時にデメリットも存在します。
働き始めてからミスマッチで悩むことがないよう、両者のデメリットも確認してみましょう。

正社員のデメリット

正社員で働くうえでの主なデメリットには、次の3つが挙げられます。

  • 異動・転勤がある
  • 副業が難しい
  • 残業・休日出勤の可能性がある

収入や雇用が安定している一方、働く場所や自由に使える時間に制限が設けられる可能性があることを、心に留めておきましょう。

異動・転勤がある

正社員は、異動・転勤によって生活環境や人間関係が変化する可能性があります。
異動や転勤の辞令を受けたとき、正社員は特別な事情がない限りそれに従わなければなりません。
現在の仕事内容や職場環境が気に入っていたとしても、応じるのが基本です。

家庭を優先するために転勤したくない、環境変化に弱いため働く場所を変えることに不安があるという方にとって、異動・転勤がある点は正社員のデメリットとなるでしょう。

副業が難しい

正社員の副業は社内規定で禁止されている場合があるほか、時間的・精神的な問題でも困難に感じる可能性があります。
本業の収入だけでは不安がある、スキルアップしたいなど、さまざまな理由で副業を希望する方もいるでしょう。
ただし、会社の規則で正社員の副業は禁止されているケースも少なくありません。

また、就業規則では副業が可能だったとしても、残業や休日出勤がある、本業がハードワークのため精神的・肉体的に難しいなど、副業に割く余裕がないことも考えられます。

残業・休日出勤の可能性がある

正社員で働く場合、残業や休日出勤によってプライベートを優先しにくくなるかもしれません。
決められた時間だけ働く契約の非正規雇用に比べて、正社員は残業や休日出勤をする可能性があります。

特に繁忙期や緊急性の高い業務の対応はほとんど正社員が行うため、より拘束時間が長くなるでしょう。

契約社員のデメリット

契約社員として働くにあたってデメリットとなり得るのは、以下の3つです。

  • 出世・キャリアアップが難しい
  • 収入が低い
  • 長期的な雇用の保証がない

それぞれ確認してみましょう。

出世・キャリアアップが難しい

契約社員は特定の業務に専念できるメリットがあると同時に、責任のある業務は任されにくいことがデメリットです。
責任のある業務に携わる機会がないと、結果的に昇給・昇進にもつながりにくくなります。

契約社員は、キャリアアップが難しくなる可能性もあると理解しておきましょう。

収入が低い

契約社員は給与、賞与が正社員より少ないケースが一般的です。
前述の厚生労働省による「令和4年賃金構造基本統計調査」でも、正社員に比べて非正規雇用の収入は低くなっています。

さらに、正社員の給与は年齢に応じてアップしているのに対して、非正規雇用の場合はあまり変動がありません。
賞与や退職金が適用されない職場もあるため、月収以外の点においても正社員より収入は低くなるでしょう。

長期的な雇用の保証がない

契約社員の場合、契約期間満了のタイミングで契約が必ずしも更新されるとは限りません。
契約更新をするかどうかは、個人の勤務態度や成果だけでなく、企業の業績によっても判断が左右されます。

無期雇用である正社員に比べて、契約社員は企業側が更新しないと決定したその段階で契約終了となるため、リストラの対象になりやすいことが特徴です。
このため、雇用が安定しない点はデメリットといえるでしょう。

正社員と契約社員どちらが良い?

正社員と契約社員どちらが良い?

働くうえで何を優先したいかによって、正社員・契約社員どちらが向いているかは異なります。
どちらの雇用形態を選ぶべきか考える際には、自分にとって譲れないポイントを明らかにしておきましょう。

プライベートを優先したい人は契約社員

育児や介護、趣味など私生活と両立して働きたい方には契約社員が適しています。
企業側の合意が得られれば、正社員に比べて勤務時間を短くする、残業をなしにするなど契約内容の変更が可能です。
また、契約社員は勤務地を限定すれば転勤になることもありません。

家庭の事情を優先したい、生活環境を変えずに自分のペースでゆとりを持って仕事をしたいといった方も、契約社員であれば負担なく働けるでしょう。

さまざまな職場で経験を積みたい人は契約社員

契約期間満了のタイミングで転職しやすいことが契約社員の特徴です。
契約社員は雇用期間が定められているため、更新せずにほかの職場へ移る選択も取りやすいといえます。
加えて、一つの職場で人間関係や環境に縛られる不安も軽減できるでしょう。

複数の職場を経験して幅広い経験を積みたい、新しい仕事にどんどん挑戦していきたい、さまざまな職場環境を経験したい人には契約社員が適しています。

出世や責任のある仕事を希望する人は正社員

責任のある仕事にやりがいを感じ、出世意欲のある人には正社員が向いています。
特定の業務をこなしていく契約社員に対して、正社員はプロジェクトを任されたり会社の根幹に関わる業務を任されたりと、責任の重い仕事を担えることが特徴です。

大きなプロジェクトを任され、成功すれば昇給・昇進につながり、出世も期待できます。
そのため重大な仕事も責任感を持って成し遂げ、キャリアを重ねていきたいと考える人には正社員が適しているといえるでしょう。

契約社員から正社員になる方法に関しては、以下の記事をご参照ください。

正社員と契約社員の違いを理解して自分に合った働き方を選ぼう

正社員と契約社員の主な違いは、契約期間・福利厚生・退職金の3点です。
正社員は無期契約で安定した雇用と収入が保証されますが、転勤・異動もありプライベートを優先できない恐れがあります。
対する契約社員は、基本的に有期雇用で収入も正社員に比べて低くなりやすいものの、ライフワークバランスを重視して働けることが魅力です。

近年は法改正によって有期雇用の働き方も変化しています。
記事で紹介した両者の特徴を比較のうえで、理想が叶う働き方を選んでみてください。

執筆者について

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