就職・転職活動では、一般的に書類選考を通過したあとに面接が待っています。
面接で「自己紹介をしてください」と言われた際に、何を話せば良いかわからずお悩みの方もいるでしょう。
また、自己紹介と自己PRを混同してしまい、本来は自己紹介で伝えるべきことを伝えきれない方もいるかもしれません。
本記事では、自己紹介の内容や面接官に好印象を与えるポイントを、実際の回答例付きで解説していきます。
また、間違いやすいポイントである自己紹介と自己PRの違いについても詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
自己紹介で話す内容は?
面接では主に以下の流れで自己紹介を行いましょう。
- あいさつ
- 名前
- 経歴・職歴
- 応募した背景
- 結びの言葉
あいさつ
自己紹介は、まずあいさつからです。
以下のように、面接の時間を設けてもらったことへの感謝を伝えましょう。
・「本日はお時間をいただきありがとうございます」
・「本日はお忙しいところお時間をいただき、誠にありがとうございます」
名前
あいさつをしたあとは自分の名前を述べましょう。
就職活動における面接の場合は、名前の前に学校名も併せて伝えると丁寧です。
・「〇〇です」
・「〇〇と申します」
・「〇〇大学の〇〇といいます」
経歴・職歴
自分の名前を伝えたあとは、これまでの経歴や職歴を簡潔に話しましょう。
経歴や職歴を伝える際のポイントとしては、志望動機と混同させないことです。
志望動機は「なぜあなたがここで働きたいか」を伝えるもので、経歴や職歴とは異なります。
自己紹介の場では、面接官はあなたがどのような人かを簡単に教えて欲しいと考えているため、志望動機までは伝えず、経歴や職歴の概略のみを伝えましょう。
「〇〇大学で〇〇学科を専攻して勉強しており、〇〇県の〇〇学科の大学生が集う意見交換会の運営にも携わらせていただいております」
「株式会社〇〇に新卒で入社してから4年間、させていただいており、主に〇〇のマーケティング戦略を担当しております」
「株式会社〇〇で3年間、その後株式会社△△で4年間、計7年間法人営業に従事しております。担当顧客は主に東証一部上場の大手企業でした。ITソリューションパッケージの提案を一貫して担当してまいりました」
どちらの例でも、あなたが何をしてきた人なのかを伝えることに留めていることがわかるでしょう。
応募した背景
経歴や職歴を伝えたあとは、応募した背景を話しましょう。
ここでは、志望動機のうち、「応募したきっかけ」部分と内容を重複させて伝えます。
面接官は「なぜこの人は弊社に応募してきたのだろうか」と疑問を持っています。
詳しい理由は志望理由のパートで後ほど答える機会があるとは思いますが、応募したきっかけや、共通点だけでも先に述べておくことで、後の志望理由の説明も行いやすくなることでしょう。
「〇〇を専攻し勉強するなかで海外における〇〇のあり方に興味を持ったのですが、貴社は海外での〇〇を専門に扱っておられるため、このたび応募させていただきました」
「私は〇〇分野でBtoBの営業を中心に行ってきましたが、日々法人顧客に向き合うなかで、自社の商材だけではお客様のニーズに応えきれないジレンマを感じておりました。〇〇分野で幅広い商材を扱っている貴社であれば、より多くの顧客の要望に応えられると感じ、応募させていただきました」
結びの言葉
自己紹介がすべて終わったことを知ってもらうために、最後は結びの言葉で終わりましょう。
・「どうぞよろしくお願いいたします」
・「本日はよろしくお願いいたします」
自己紹介の適切な時間は何分?
自己紹介で伝えるべきポイントは先述したとおりですが、何分程度話すのが良いとされているのでしょうか。
自己紹介の目安は1分程度
面接での自己紹介は、1分程度に収めましょう。
「できるだけ詳細に伝えたほうが良いのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、自己紹介で2分、3分と長く話すと、いつまで自己紹介が続くのだろうと面接官が不安になり、「要点をまとめられない人」といったマイナス評価につながる可能性もあります。
特に時間に指定がなかった場合は、1分程度で収めるよう心がけましょう。
時間を指定された際のポイント
自己紹介は、「30秒で自己紹介してください」「2分で自己紹介してください」のように時間を指定されるケースもあります。
それぞれの時間に応じた自己紹介のポイントを押さえておきましょう。
1分目安の場合
「1分で自己紹介してください」と言われた場合は、上記で紹介した5項目を例文にある程度のボリュームで話すと良いでしょう。
1分で人が話す内容は文字数でいうと300字程度が適切と言われているため、300字程度の自己紹介の文章を作成するのがおすすめです。
30秒目安の場合
30秒と指定された場合は、上記5項目から「志望した背景」を除いた「あいさつ」「名前」「経歴・職歴」「結びの言葉」について簡単に紹介すると良いでしょう。
「志望した背景」は、志望理由で後ほど詳しく説明する機会があるため、30秒のなかで話さなくても大丈夫です。
2分目安の場合
2分と指定された場合は、上記5項目の「経歴・職歴」と「志望した背景」について少し詳しく伝えると良いでしょう。
自身が取り組んできたなかで、特に頑張ったポイントなどを、応募した企業の業務内容や、求める人物像と絡めながら説明できればベストです。
事前に自己紹介の文言を考える際は、2分程度まで話せるよう準備しておくと、いざというときも安心でしょう。
面接官に良い印象を与える話し方のポイント
自己紹介では、話す内容とともに話し方も面接官は目を光らせて確認しています。
そこで、この章では面接官に良い印象を与える話し方のポイントを2つご紹介します。
- 大きくはっきりとした声
- 相手の目を見る
大きくはっきりとした声
大きくはっきりとした声で話すことで、自信があるように見せることができます。
明確に伝えることで内容に説得力が増し、面接官に伝わりやすくなります。
また、面接で緊張して早口になりやすい方は、ゆっくり過ぎるくらいのスピードで話すことを意識するのがおすすめです。
先ほどお伝えしたとおり、1分間に300文字程度で話すのが適切と言われているため、家で練習する際は時間を計りながら、話すテンポの感覚を養っておくと良いでしょう。
相手の目を見る
自己紹介や自己PRをする場合、考えたり思い出したりしながら話すため視線がブレやすくなりがちです。
事前に考えた文章をそのままなぞるように話すと、内容を思い出そうとして目が泳ぎがちになる方もいるでしょう。
目を泳がせながら話す人は、「嘘をついている」印象を持たれやすいものです。
事前に文章を考えておくことはもちろん大事ですが、それを必死に思い出そうとすると、視線を無意識に逸らしてしまいがちです。
考えを巡らせるときも、できるだけ視線は逸らさず、真っ直ぐ前を見て自信を持って話すことを心がけましょう。
なお、相手の目を見ることに抵抗がある方は、眉間の辺り(目と目の間)を見るのがおすすめです。
相手からは目を見られていると感じてもらえます。
面接で好印象を与える自己紹介の例文
自己紹介がスムーズにできると心にゆとりができ、続く質問に対しても的確に回答できるようになるでしょう。
面接官に好印象を与える自己紹介の例文をパターンに分けて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
新卒の場合
本日はお時間をいただきありがとうございます。
〇〇大学の〇〇と申します。
私は〇〇大学で〇〇学科を専攻して勉強しており、〇〇県の〇〇学科の大学生が集う意見交換会の運営にも携わらせていただいております。
〇〇を専攻し勉強するなかで、海外における〇〇のあり方に興味を持ちました。
貴社は、海外での〇〇を専門に扱っておられると知ったため、このたび応募させていただきました。
本日はよろしくお願いいたします。
大学で学んだこと、取り組んでいたこと、この企業へ応募するきっかけなどを、簡潔にまとめています。
学生時代の取り組みを伝える際は、応募先の事業に関連したものにすると良いでしょう。
なお、新卒の場合、面接官は、話す内容はもちろん、話す姿勢もよく見ています。
しっかりと「話すこと・聞くこと」ができそうかを確認しているので、先ほど紹介したとおり、相手の目を見てハキハキと話し、良い印象を与えましょう。
転職の場合
本日はお忙しいところお時間をいただき、誠にありがとうございます。
〇〇と申します。
私は〇〇大学を卒業後、〇〇クリニックに新卒で入社し、そこで医療事務として4年間働いていました。
〇〇クリニックでは、主に〇〇や〇〇などの業務に携わっていました。
今後は、前職で培った知識や経験を活かしつつ、自身の視野をさらに広げられる環境に身を置いて成長したいと考え、総合病院である貴院に応募させていただきました。
本日はよろしくお願いいたします。
ポイントとしては、転職を希望している理由を簡潔にうまく伝えることにあります。
後ほど面接官に深堀りしてほしい点を事前に話すことで、面接官に上記の点についての質問を振ってもらえるでしょう。
本日はお時間をいただき、誠にありがとうございます。
〇〇です。
私は〇〇の飲食店で、店長を4年間勤めていました。
このたび、貴社に応募させていただいた背景としましては、飲食店で〇〇といったスキルを身につけ、〇〇・〇〇といったお客様への接客経験を積むなかで医療・介護業界に興味が出始めたためです。
本日はよろしくお願いいたします。
志望している企業、または業界を志望した背景をうまく伝えることで、相手が聞きやすい自己紹介となるでしょう。
フリーターからの転職の場合
本日は貴重なお時間をいただきありがとうございます。
〇〇です。現在〇〇歳です。
〇〇年に〇〇を卒業したあと〇〇株式会社に入社しましたが、学生の頃から興味を持っていた〇〇について勉強したいと考えるようになり、2年で退職いたしました。
退職後は、〇〇の勉強をしつつ、〇〇で〇年間アルバイトをしていました。
アルバイトでは、自分のやりたいことに活かせる仕事が良いと思い、キッチン業務に携わっていました。
現在はアルバイトをしながら就職活動中で、私が勉強してまいりました〇〇に関連した事業を展開していらっしゃる貴社に強い興味を持ち応募させていただきました。
どうぞよろしくお願いいたします。
フリーターの場合は、あいさつ→名前→年齢の流れで自分の基礎情報を最初に伝えましょう。
そのあとに最終学歴を話し、卒業したあとに何を経験したかを話すと伝わりやすくなります。
また、フリーターの期間にどんな職種でどのように働いていたのかを伝えましょう。
志望した背景を伝えることが難しい場合は、無理に伝える必要はないので「〇〇で貴社を見つけ応募させていただきました」とだけ述べて、結びの言葉でしめることがおすすめです。
高卒の場合
本日はお時間をいただきありがとうございます。
〇〇といいます。
〇〇高校〇〇科に所属しており、〇〇部の副部長を努めております。
小さいときからモノを作ることが好きで、趣味はプラモデルの作成です。
モノ作りができる企業で働きたいと考えており、製造業である貴社に応募させていただきました。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
高卒の場合には、学業だけでなく部活で取り組んだことを伝えると良いでしょう。
特に、県大会や全国大会に出場した、部長や副部長を務めていた、といった経験はプラス評価に働く可能性があります。
自己紹介でのNGポイント
面接で自己紹介をする際のNGポイントは以下の3つです。
- 短すぎる・長すぎる
- 応募した企業と関係ない自己紹介になっている
- 自己PRをしてしまう
自己紹介が短すぎる・長すぎる
先述したとおり、自己紹介の適切な長さは1分程度です。
短すぎると自己評価がきちんとできていないといった印象を受け、長すぎると要点をまとめられないという印象になり、どちらもマイナス評価です。
時間が指定されない限りは、1分程度を目安に自己紹介文をまとめましょう。
応募した企業と関係ない自己紹介になっている
自分がどんな人物かを伝えることは大事ですが、それが応募した企業とまったく関係ない内容ばかりだと意味がありません。
例えば、趣味の話がメインになってしまう、などです。
趣味のことをいくら詳細に伝えても、それが業務と紐づかなければあまり意味がなく、面接官には響きません。
趣味について話す場合は一言に留めるか、業務に絡めるなどの工夫をしましょう。
あくまでも、自分がどういった人物かを簡潔に伝えられるよう意識することが大事です。
また、自分のこれまでの仕事内容や勉強内容と、応募先企業の募集内容がまったく異なる「異業種・異職種転職」の場合は、なるべく共通点を見出して伝えるようにしましょう。
自己PRをしてしまう
自己紹介を求められているにも関わらず、自己PRをして自分の強みを話し出してしまうと、面接官からは質問に対する適切な受け答えができていないと判断を下されるおそれがあります。
自己紹介と自己PRの違いに関しては次の章で詳しく解説しています。
自己紹介と自己PRの違い
面接では自己紹介と自己PRという似た言葉がありますが、面接官の求めているものはまったく異なります。
回答の仕方を間違えないよう、それぞれの目的を整理しておきましょう。
自己紹介の目的
自己紹介の目的は、自分の経歴や人柄を伝えることです。
面接官は自己紹介で、応募者の話し方や人柄などを見ています。
自己紹介は面接の最初に行うことでもあり、あなたの第一印象がそこで決定されるケースが多いため、話し方には十分注意して明るくハキハキと話すと良いでしょう。
自己PRの目的
自己PRの目的は、自分の強み(長所)を伝えることです。
面接官は自己PRで、その応募者を採用したときにどういったメリットがあるのかを見ています。
そのため、自己PRではこれまでの経験や実績を話し、自分が志望している企業でどのような貢献ができるのかを伝えることが重要です。
自分の強みを話すのは自己紹介ではなく自己PR、と切り分けをしっかりと行い、質問通りの回答ができるように心がけましょう。
面接で好印象を与えられる自己紹介を意識しよう
面接の最初に行う自己紹介は、第一印象を左右するポイントです。
本番ではリラックスして面接官に自分の魅力を届け、面接官に好印象を与えられる自己紹介を意識しましょう。
また、自己紹介がうまくいけばそのあとの質問にも心の余裕を持って回答することができます。
きっちりとポイントを押さえて練習しておきましょう。