転職活動を行うとき、前職の退職から長い空白期間があると、転職活動に悪い影響があるのではと不安を感じる人もいるでしょう。
何かしらの原因で働けない理由があったとしても、企業側の判断基準がわからないため、ブランクをどのように説明するべきか悩むケースも見られます。
転職活動までの空白期間は、企業側が懸念するポイントに該当していなければ、不利になるとは限りません。
今回は、転職活動までの空白期間が与える影響と、企業側の評価をマイナスにしない説明方法を詳しく解説します。
目次
転職活動に空白期間は不利?
転職活動までの空白期間は、正当な理由があれば不利になるとは限りません。
企業側が懸念するポイントに該当しないなら問題視されにくく、空白期間の長さでも判断は変わります。
以下で詳しく解説します。
企業が懸念するポイント
転職までに空白期間があるとき、応募する企業が懸念する問題点は、次のような項目です。
- 仕事に対してモチベーションが低いのではないか
- 人物像に何か問題があるのではないか
- 仕事の勘が鈍っていないか
- 計画性がないのではないか
それぞれの項目を、以下で詳しく解説します。
仕事に対してモチベーションが低いのではないか
企業側の視点でみると、空白期間は働く意欲を持って行動していない期間ともとらえられます。
転職者のなかには仕事が途切れないよう計画的に転職活動をする人もいますから、長く空白期間があると、仕事へのモチベーションが低いのではないかと思われることもあるのです。
企業側は入社後意欲的に働いてくれる人を求めていますから、空白期間があると労働に対する姿勢を疑問視されることもあるでしょう。
空白期間がある人は、仕事への姿勢とモチベーションを疑われる可能性を理解し、納得してもらえる理由を伝えることが大切です。
人物像に何か問題があるのではないか
空白期間がある転職者は、個人の性格や行動などの人物像に問題があるのでは、と疑われる可能性があります。
例えば、転職者の履歴書に、優れたスキルや経験が記載されていたとします。
企業側は、優れたスキルや経験は他社でも十分通用するものととらえるので、空白期間があると「スキルや経験があっても、性格・行動に問題があるため採用されなかったのでは?」と疑いかねません。
そもそも、「空白期間がある人=再就職先が決まりにくい人」と思われるケースはよくあるので、空白期間がある転職者は、マイナスイメージを持たれやすいと理解しておきましょう。
仕事の勘が鈍っていないか
企業のなかには、空白期間がある転職者に対し、仕事の勘の鈍りやスキルの低下を懸念するところもあります。
例えば、有用性の高いスキルがあったとしても、ブランクがあると勘を取り戻すための期間が必要となり、即戦力が欲しい企業にはネックになるでしょう。
また、最先端の知識や技術が必要な職種では、空白期間がある転職者のスキルは古いと判断される可能性もあるので注意が必要です。
計画性がないのではないか
企業側は、転職者の空白期間から、計画性のなさを感じることもあります。
転職者が転職活動する場合、次の作業を行うのが一般的です。
- スキルやキャリアを棚卸しする
- 求人情報を集める
- 応募する
- 内定をもらって入社準備を行う
これらの作業が完了する目安は、約3ヵ月です。
つまり、3ヵ月前後なら「転職に必要な期間」と受け取ってもらいやすいですが、長引くと計画性がない人物と判断されかねません。
応募する企業にもよりますが、計画性はポータブルスキルの一つなので、長い空白期間は計画性のなさを疑われると理解しましょう。
転職までの空白期間がどれくらいなら問題ない?
転職に必要な期間と認めてもらいやすいのは3ヵ月ですが、実際には空白期間の長さは人それぞれです。
では、空白期間はどのくらいなら問題がないのか、長さ別に詳しくご紹介しましょう。
1ヵ月〜半年
転職活動の開始から終了までの平均的な期間は、約3ヵ月〜半年です。
キャリアの棚卸しから求人情報集めまでで半月〜1ヵ月、あとは企業への応募と面接を繰り返すため、実際に転職先が決定するまでの期間には個人差が出ます。
最初の1ヵ月を準備期間とし、実際に応募して内定をもらうまでが半年以内であれば、平均的な転職活動期間と判断されます。
1ヵ月〜半年の空白期間は、転職の際にも不利にならない期間と考えて良いでしょう。
半年〜1年
空白期間が半年〜1年に差しかかると、転職活動にも影響が出始めます。
スキルや経験を持たない新卒者に対し、転職者はある程度のスキルと経験を持っているものです。
半年の転職活動で内定をもらえていない転職者は、人物像やスキル・経験そのものに問題があるのではと思われてしまうでしょう。
実際に面接を受けさせてもらえれば空白期間が長い理由を直接説明できますが、人気の求人募集は書類選考の段階で落とされる可能性もあります。
最先端の知識や技術が必要な職種では、半年以上のブランクが問題視されることもあるので要注意です。
2年以上
2年以上の空白期間がある転職者は、応募企業が納得できるような、特別な理由がない限りかなり厳しい状況になるでしょう。
書類選考で落とされる確率も上がり、面接を受けてもブランクや知識・情報の古さを心配される可能性があります。
もちろん、2年以上空白期間がある転職者すべてに該当するわけではありません。
しかし、ブランクが長い労働者の雇用は、仕事の勘を取り戻す期間が必要で企業側に負担がかかるため、転職活動は難航しやすいと考えておきましょう。
転職前の空白期間が必ずしもマイナス評価にならないケース
転職前の空白期間は、基本的に長くなるほど転職活動は厳しくなります。
しかし、空白期間の理由が次のケースに該当する場合、評価が下がるとは限りません。
- 留学や資格取得のため
- 病気療養や出産・育児のため
- 家族の介護のため
以下で詳しく解説します。
留学や資格取得
留学や資格取得など、スキルアップ・キャリアアップのために長期の空白期間ができた場合は、転職活動でもマイナス評価になりません。
例えば、現在病院の調理室で働いている人が、管理栄養士の資格取得をめざすとします。
管理栄養士の学校は昼間部しかなく、通信教育では学べないため、養成課程がある学校に一定期間通わなければなりません。
さらに、卒業した学校の種類に合わせた実務経験も必要となるため、資格取得まで数年かかり、キャリアの空白期間は長くなります。
しかし、国家資格である管理栄養士資格取得はキャリアアップにつながるため、空白期間が長くても転職活動で不利になりません。
留学や資格取得など、前向きな理由で空白期間が長引くケースは、企業にも納得してもらいやすい傾向があります。
身につけたスキルやキャリア、経験したことをどのような転職先で活かすかなど、具体的な内容を企業へ提示するとさらに良いでしょう。
病気療養や出産・育児
病気療養や出産・育児を理由とした空白期間も、転職活動で不利になりにくい理由の一つです。
病気や怪我は、本人がどれだけ気をつけていても罹患・負傷する可能性があります。
出産・育児も、本人だけの都合ではどうすることもできないので、企業側から問題視されることは少ないでしょう。
ただし、病気療養での空白期間は、仕事への影響や症状・通院頻度を問われる可能性があるため、正直に現在の状況を伝えたうえで、働く意欲を示す必要があります。
出産・育児での空白期間は、残業・出張が可能かどうかなど、働き方のすり合わせが求められるでしょう。
家族の介護
家族の介護も、空白期間が長くても企業に理解してもらいやすい理由です。
しかし、企業側は採用にあたり、現在働く状況が整っているかを懸念するため、働ける現状と働く意欲を示す姿勢が大切です。
例えば、家族が施設へ入居し介護の心配がなくなったのなら、その現状を伝えて問題なく働けると伝えましょう。
デイサービス利用で働ける時間が決まっているなら、勤務できる時間帯を正直に申し出てください。
現状を伝えたうえで働く意欲を示せば、介護と仕事の両立がしやすく、空白期間もマイナス評価にならないでしょう。
転職の際に空白期間を説明する際のポイント
転職活動をするとき、長い空白期間がある人は、次のポイントを押さえた説明が大切です。
- 空白期間ができた理由を伝える
- 空白期間に得たものを伝える
- 空白期間中のアルバイトの経験もアピールする
- 空白期間中に何もしなかった場合は意欲を伝える
以下で詳しく解説します。
空白期間ができた理由を伝える
転職活動への影響が懸念される長さの空白期間がある人は、理由を正直に伝えましょう。
例えば、病気療養や出産・育児・介護は、やむをえない理由です。
本人にはどうすることもできない理由には、企業側も理解を示しやすい傾向があります。
理由を伝えたうえで、仕事へのモチベーションを伝え職務能力に問題がないことを説明すれば、応募した企業に働く意欲を認めてもらえるでしょう。
職務能力を伝えるときは、できるだけ具体性・オリジナリティがある説明をしてください。
空白期間に得たものを伝える
空白期間の説明では、期間中に得たものを伝えることも重要です。
資格や学んだことはもちろんですが、空白期間中に感じたことや経験談も得たものとして伝えると良いでしょう。
例えば、出産・子育てで空白期間ができた人は、新しい命を守る大変さや、芽生えた責任感を伝えられます。
病気療養で空白期間ができた人は、健康の大切さやありがたさを実感したことでしょう。
自分が得たことを伝え、意味のある空白期間だったことをアピールしてください。
空白期間中のアルバイトの経験もアピールする
空白期間中にパート・アルバイトで働いた人は、仕事での経験をアピールしましょう。
企業側は、雇用形態に関係なく働く意欲がある人を重要視します。
職務能力面がプラス評価されるので、応募企業で活かせる経験や身につけたスキルも伝えてください。
具体的な経験談をオリジナリティのある表現で記載すれば、空白期間中のパート・アルバイトが、充実した経験だったと示せるでしょう。
空白期間中に何もしなかった場合は意欲を伝える
空白期間中に、転職活動以外のことをしておらず、単純に転職活動が長引いてしまった人は、働く意欲を伝える点に重きを置きましょう。
書類選考では空白期間がない人や短い人が優先されやすく、アピールできる経験がないと印象に残りにくいのが現状です。
単純に時間だけが過ぎたと伝えると、企業側の印象も良くないでしょう。
空白期間中に何もしなかった人は、応募企業で役立つ資格やスキルの勉強をしていた、と答えるのが無難です。
実際にやっておくと、入社後も比較的スムーズに仕事に取り組めます。
退職後のリフレッシュ期間を長く置いたため空白期間が長引いた人は、「今就職したいと思ったきっかけ」を中心に働く意欲を伝えてください。
例えば、「リフレッシュ期間中に趣味を通じて御社の商品に出会い、ぜひ多くの人に使ってもらいたいと考え応募しました」など、具体的でオリジナリティのある表現で、前向きに働く意欲を示すと良いでしょう。
転職の空白期間もプラス評価になるようアピールしよう
転職活動の平均期間は3ヵ月〜半年で、それ以上の長さになると空白期間と判断されます。「空白期間=働く意欲を持って行動していない期間」と受け取られるため、退職後の空白期間は短いほうが転職には有利です。
しかし、スキルアップ・キャリアアップや、自分ではどうしようもない理由での空白期間は、伝え方次第でプラス評価を受けることも可能です。
空白期間があっても印象が悪くならないよう、空白期間中の経験から得たことや感じたことを前向きに伝え、働く意欲をアピールしましょう。