現在の職場に不満がある、キャリアアップをめざしたいなど転職を考える動機は人それぞれですが、転職活動を進める手順はおおむね共通しています。
勢いのまま退職を決めてしまうと、転職先が見つかるまでに予想外に時間がかかる可能性もあります。
スムーズに転職活動を進めるには、いくつかの重要なステップを踏むことが大切です。
本記事で、転職活動の手順やステップごとにかかる期間を見ていきましょう。
転職活動に費用はいくらかかるのか、新卒1年目でも転職は可能なのかなど、気になる疑問も解説します。
目次
転職活動の手順と流れ
転職活動は、応募企業探しより先にまず事前準備から取りかかります。
そのあとに応募したい企業を決め、選考に進んで内定が決まるという流れです。
必要な手順を把握したうえで、計画的に転職活動を進めましょう。
1. 事前準備
転職活動をするにあたって、最初に事前準備をする必要があります。
- 転職後に実現したいことを明確にする
- 転職のスケジュールを設定する
- 自己分析を行う
- 情報収集をする
じっくり2週間~1ヵ月ほどかけて、これらの工程を行いましょう。
転職後に実現したいことを明確にする
まずは、転職の目的と理由を自分のなかで明確にしてみてください。
曖昧でやみくもな感情で決断すると、満足のいく転職はしにくくなります。
現在の仕事内容や職場に不満がある場合、解決方法はないのか探ってみることも大切です。
転職の目的や理由を考える際には、「年収を〇万円上げたい」「休日を増やしてプライベートを充実させたい」「特定のスキルを身につけたい」「人間関係を良くしたい」など明確な転職軸を定めましょう。
転職理由がいくつかある場合、譲れないものはどれかを考え優先順位をつけることで、応募先を探しやすくなります。
転職のスケジュールを設定する
いつまでに転職したいか、具体的な転職の時期を決めましょう。
そこから逆算をして転職活動のスケジュールを組みます。
状況によって詳細な期間は異なりますが、転職活動全体には3ヵ月~6ヵ月かかるのが一般的です。
退職手続きや有給消化期間、業務の引き継ぎなどの手順も忘れずに組み込むようにしましょう。
具体的なスケジュールを決めると、やるべきことが定まるため長期戦を避けやすく、集中を途切れさせずに転職活動へ取り組めます。
自己分析を行う
マッチ度の高い応募先を見極めるだけでなく、選考をスムーズに行うためにも自己分析は欠かせません。
転職しようと思った動機や企業にアピールできる自分の強み、経験、入社後の姿、理想のキャリアプランまでしっかりと棚卸ししておきましょう。
以下の記事では、転職する際の自己分析について詳しく紹介しています。
併せてご参照ください。
情報収集をする
自己分析ができたら、応募企業に関する情報収集を入念に行いましょう。
どのような人材が求められているのかといった企業研究はもちろんのこと、企業の将来性や同業他社との比較などの業界研究までできるとベストです。
情報収集の手段としては、企業のホームページや取材記事を読み込むほか、インターンシップ・説明会・社員座談会などへの参加が考えられます。
転職サイトや人材紹介会社、転職カウンセリングなどの活用も有効な手段です。
2. 応募
転職のための事前準備が整ったら、実際に求人に応募しましょう。
この段階で履歴書や職務経歴書の作成が必要となります。
応募から選考までにかかる期間は、1ヵ月~2ヵ月程度が目安です。
履歴書・職務経歴書の作成
履歴書や職務経歴書は、自分をアピールできる貴重な機会です。
この二つから、企業は応募者がどのような人材であるのかをある程度判断します。
履歴書は、プロフィールや志望動機のほか、取得している資格、スキルなどを記載する書類です。
一方、職務経歴書にはこれまでの職務内容や担当プロジェクト、成果などを記載します。
いずれも正しい書式で記入されているか、手書きの場合は字が雑ではないかなどが確認されるでしょう。
郵送や提出時のマナーにも注意してください。
求人へ応募する
履歴書と職務経歴書の作成が完了したら、実際に求人へ応募します。
応募方法としては、企業へ直接問い合わせる電話・メール応募やハローワークからの応募、転職サイトを利用した応募などがあります。
なお「一社応募して不採用なら次へ」という手順で進めると転職期間が長引いてしまう可能性があるため、複数社への同時応募がおすすめです。
面接をしてみて自分に合わないと感じたら辞退もできます。
ほかの企業と比較しやすくなるといったメリットもあるため、興味のある企業にはとりあえず応募してみましょう。
ただし、同じ日に面接の予定を入れてしまった、採用されたにも関わらず多忙でメールを見落としてしまったといったことがないよう、自分で管理できる範囲に留めます。
ハローワークでの転職活動を考えている方は、次の記事も併せてご参照ください。
3. 選考・面接
企業は書類選考と面接を通じて、応募者が自社の求めている人材とマッチしているかどうかを判断します。
まず書類選考の内容を採用担当者が判断し、合格の場合は面接に進むことが可能です。
面接では、質問に対する受け答えからコミュニケーション能力や自己アピール能力が確認されています。
企業のニーズを叶える人材であることをアピールできるか否かが、面接を突破する鍵となるでしょう。
場合によっては、応募職種に対する適性度を測るテストが実施されます。
適性検査の内容は言語能力や記憶力、数学力、判断力などを測定する項目などです。
4. 内定・退職・入社
選考や面接が終了して内定をもらったら、その企業に入社するかどうかを決めなくてはなりません。
また、現職の退職手続きが完了していない場合は、退職手続きや転職先の企業への入社準備が必要となります。
内定から入社までには1ヵ月~3ヵ月程度を見ておきましょう。
内定承諾
内定の連絡が来たら、承諾するかどうかを自分の答えを出しましょう。
事前準備の段階で考えた転職軸や目標が実現できる職場なのか、冷静に検討します。
また内定を承諾する前に、給料面などの契約条件や福利厚生なども見直してみてください。
内定を承諾すれば企業と雇用契約を結ぶことになるため、高収入などの条件だけで判断するのではなく、自分にとって長く働きやすい環境を選ぶことが大切です。
退職の手続き
内定をもらった時点でまだ現職に在籍している場合、退職手続きを進めましょう。
退職を申し出るタイミングとして、民法上では退職日の2週間前までに申告が必要とされています。
しかし、業務の引き継ぎなどの期間を考慮すると、退職希望日の2〜3ヵ月前の申告が慌ただしくならずおすすめです。
退職日が決まったら業務の引き継ぎを行い、最後まで円滑なコミュニケーションを忘れないようにしましょう。
人間関係のわだかまりを残さないよう、上司や同僚、後輩などお世話になった方々にはできるだけ対面で挨拶を行うのがベターです。
入社準備
転職先の企業と、具体的な入社日の調整を行いましょう。
企業によっては「採用後すぐに入社してほしい」「〇月から入社してほしい」といった条件を提示される場合があります。
希望の入社時期がある方は選考や面接の段階で確認し、あらかじめ転職先の担当者へ伝えておいてください。
入社時に必要な雇用保険被保険者証や年金手帳、源泉徴収票などの書類も早めに準備しておきましょう。
転職の手順に関してよくある質問
ここからは上記の転職の手順をふまえたうえで、よくある疑問を3つご紹介します。
転職活動に集中できるよう、不安を解消したうえで行動に移しましょう。
転職にかかる費用は?
転職にかかる費用の内訳としては、次のようなものが挙げられます。
- 履歴書や職務経歴書の購入費用
- スーツや靴の購入費用
- 面接会場へ向かう際にかかる交通費 など
スーツや靴を購入する必要がない場合や面接会場が近い場合には、これらの費用を抑えられます。
また、転職活動が長期化するほど費用は高く、すぐに決まれば低コストで済むため、かかる費用は一人ひとり異なるでしょう。
少なくとも、10万円以内に収まるケースがほとんどです。
なお、退職後に転職活動を始める場合、国民健康保険や国民年金など各種保険への加入義務が発生するため注意しましょう。
収入が一時的になくなるため、家賃や光熱費の負担を重く感じるかもしれません。
転職先は入社まで何ヵ月待ってくれる?
内定をもらったあと転職先の企業が入社まで待ってくれる期間は、一般的に2ヵ月~3ヵ月程度です。
ほかに有力な採用候補がいない場合や、応募者が特別なスキル・経験を持っている場合は3ヵ月以上待ってくれるケースもあるかもしれません。
しかし、3ヵ月経てば企業の採用ニーズも変化するため、待ってもらうことを前提にするのは避けたほうが良いでしょう。
多くの場合、面接時にいつから働けるかを尋ねられます。
現職の退職日が転職先の入社日に間に合わないと、内定を辞退せざるを得ないケースにもなりかねません。
就業規則を確認のうえで、退職日と入社日の計画を立ててください。
新卒1年目でも転職は可能?
新卒1年目でも転職はできます。
第二新卒を積極的に採用している企業も珍しくないため、経験が浅いことに引け目を感じる必要はないでしょう。
中途採用として即戦力を期待している企業では、選考が不利になる可能性もありますが、入社への熱意や誠実さ、ポテンシャルを伝えることでカバーが可能です。
何より現在の職場の労働環境が悪い、セクハラ・パワハラがあるという場合、無理に働き続けるより転職を検討したほうが自分のためかもしれません。
手順を把握して転職をスムーズに成功させよう
転職活動を成功させるためには、転職時期の目安を決めたうえで逆算してスケジュールを組み、計画的に行動することが大切です。
自己分析や情報収集などの手順に時間を割くのは面倒にも感じますが、これらの入念な準備が転職をスムーズに進めるキーポイントになります。
転職活動が長期化すると費用面で苦労する可能性もあるため、スケジュール管理が不安な方は、自分がすべきことを時系列でリストアップしてみてはいかがでしょうか。