自己分析とは自分のスキルや性格・経験などを客観的に見つめ、掘り下げていく作業で、履歴書・面接でのアピールポイントを明確にするため、入念にやっておきたい事前準備です。
「新卒のときにやったことがあるから大丈夫」と考える人もいますが、転職では採用する側の意図を考慮しなければなりません。
転職での自己分析の方法はさまざまですが、ポイントを知っておくと作業もスムーズです。
今回は、転職における自己分析のやり方やコツを詳しく解説します。
目次
転職で自己分析が必要な理由
転職時の自己分析の目的は、自分が望む仕事内容や働き方の明確な判断基準を作ることです。
自分のなかにはっきりした判断基準があると、面接で採用後の具体的なビジョンを伝えられ、転職したあとにミスマッチが起こる可能性を軽減できます。
例えば、現在のスキルを転職後どのように活かしたいかをはっきりさせておくことで、採用担当者にも自己アピールでき、ほかの応募者よりも強く印象を残すことにつながります。
反対に、判断基準を作ってからあらためて考えたとき、本当にこの企業に応募して良いのか、そもそも転職するべきなのかを振り返るきっかけにもなります。
自己分析で明確にした判断基準は、「こうなりたい」と希望する将来の姿へつながっているのです。
転職後に後悔しないためにも、自己分析で自分の過去・現在・未来を見つめ直すことが大切です。
転職時の自己分析のやり方
転職時の自己分析の方法はさまざまですが、一定の流れを作って順序良く作業を進めると、スムーズに自己分析できます。
具体的なやり方を、以下で詳しく解説します。
転職用の自己分析シートを作成
自己分析をしたいと考えたとき、思いつくままに書き出すよりも、転職用の自己分析シートを作成して進めたほうが効果的です。
次に紹介する方法で、まずは自己分析シートを作成してみましょう。
①キャリアの棚卸し
キャリアとは、簡単にいうとこれまで積みあげてきた社会人経験のことです。
社会人経験が数年以上ある人と、第二新卒と呼ばれる経験年数が浅い人とでは、キャリアの棚卸しの内容が異なります。
社会人経験が数年ある人は、次の項目を書き出してみましょう。
- 過去の職歴
- 経験してきた業務内容
- 身につけているスキル(資格・技術など)
- 過去の仕事で印象に残っていること(海外出張・社内での取り組みなど)
- 過去の実績(売上数・研究成果・表彰された経験など)
経験年数がある社会人は、棚卸しの項目を細かく分けて書き出すと、アピールポイントが見えてきます。
できるだけ詳細に書き出して、キャリアを客観的に見る準備をしましょう。
社会人の経験年数が浅い人は、仕事以外の分野で特筆すべき内容を書き出します。
具体的には、次のような項目です。
- 深い知識があり周囲の人と長く続けられる話題
(スポーツ・ゲームなどの趣味や投資など) - 誰かを助けたり指導できたりする特技
(パソコン技術・外国語の通訳・介護士資格など) - 話題性がある経験
(自転車で日本一周旅行した・開発した介護補助器具が商品化されたなど) - 過去に周囲からほめられたことがある人間性
(真面目・几帳面・おだやか・積極性があるなど) - 現在の人脈
(社会的に注目されたり、憧れられたりする立場の人との人脈)
書き出された内容は、すべて現在のあなたが経験してきたことです。
各項目の内容を掘り下げ、キャリアを探す手がかりにしましょう。
②強みの洗い出し
自分のキャリアを書き出したら、次は強みの洗い出しをします。
社会人の強みとは、仕事で役立てられる知識や経験などのキャリアのことを指します。
社会人の経験年数が浅くても、応募する企業で役立てられるキャリアがあるなら、立派な強みです。
例えば、外資系企業へ応募するなら、海外出張や長期留学の経験は強みといえます。
介護業界への転職を考えているなら、介護系の経験・資格・実績がある人は注目される人材です。
つまり、キャリアから見えてきた強みが、転職活動におけるアピールポイントになります。
書き出したキャリアを熟考し、強みといえるアピールポイントを見つけましょう。
転職の面接や履歴書用に分析結果を整理
強みの洗い出しが終わったら、面接・履歴書用の文章の下地を作って、分析結果を整理しましょう。
例えば、介護用品の製造実績がある人が、分析結果を整理するとします。
介護用品製造実績のキャリアがあり、介護用品に詳しいことが強みなので、分析結果をまとめると次のような下地の文章ができます。
介護用品の製造業で数年働いていた。
仕事柄さまざまな介護用品を目にする機会があり、実際に使用している人の使い心地や感想が気になり始めた。
介護が必要な親族に使ってもらったところ、自分では良いと思っていた介護用品でも、人によっては物足りないと感じていることがわかった。
使用した人の意見を反映させて、より良い介護用品を開発できた。
分析結果の整理は、具体性を交えて書くのが重要です。
できるだけ詳細に書き出し、面接や履歴書の志望動機の下地にしましょう。
転職時の自己分析がわからないときはツールを活用
自己分析が難しく、やり方を見てもうまくいかない・わからないときは、オンラインで利用できる自己分析ツールを活用しましょう。
例えば、厚生労働省が提供している自己分析ワークシートは、書き出すべき項目が細かく仕分けされているので、各項目を埋めていくだけで自己分析の下地ができます。
自己分析で、自分の人間性をもっと掘り下げて知りたい人は、エニアグラムの90問回答式チェックや、ストレングスファインダーがおすすめです。
一部有料コンテンツもありますが、無料コンテンツでも詳しく自己分析できます。
オンラインで利用できるツールを活用して、自己分析の手助けにしてみましょう。
転職時の自己分析のポイントとコツ
自己分析は、過去の自分の経験や人間性を掘り下げる作業ですが、転職に向けて詳しい情報を整理するためのもので、自分らしさを追求するわけではありません。
根本的な考えを間違うと、欲しい情報がまとめられなくなります。
まずは次のポイントを押さえ、的確な自己分析ができるよう作業しましょう。
- いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように、の5W1Hを意識する
- 短所をマイナスと考えず長所へ変換する
- ありきたりな表現を避け自分の言葉になおす
- 具体的な例を交える
- 仕事以外の特技や技能も棚卸しする
自己分析では、将来的な展望も考えることが大切です。
現職を辞して転職するので、後ろ向きな理由での転職よりも、「将来的に〇〇したいと思ったから」と前向きな理由のほうが、面接での印象も良くなります。
ポイントを押さえつつ、前向きな表現を意識して自己分析と整理をしてみましょう。
転職で役に立つ自己分析のまとめ方
自己分析は、履歴書や面接において次の項目に役立ちます。
- 転職理由
- 志望動機
- 自己PR
ただし、各項目ごとに伝えるべきポイントが異なるので、自己分析の結果を見ながら適切な内容をまとめましょう。
例えば、転職理由や志望動機で重要なのは、仕事に対するやる気です。
自己分析した内容から、経験・成果・スキルなど、応募する企業で役立つ情報を取り入れて文章をまとめます。
自己PRでは、強みのなかでも特にポータブルスキルを重視しましょう。
ポータブルスキルとは、各業界・職種で通用するスキルのことです。
例えば、コミュニケーション能力・スケジューリング能力・マネージメント能力など、人との関わりで必要な能力が該当します。
自己分析を行うと、仕事面でも人間性の面でも強みやアピールポイントが見えてきます。
自己分析の結果は、採用担当者にどのようなことをアピールしたいのかを考慮して、内容別にまとめましょう。
自己分析は転職活動を成功させるための重要なステップ
自己分析を行うと、将来的にどのような働き方や仕事をしたいのかなど、これまで言葉にできなかった判断基準が明確になります。
判断基準は、転職後のミスマッチを避けるうえでも大切なので、自己分析シートを利用して詳細に書き出しましょう。
また、転職を成功させるためには、自己分析を複数回行うのがおすすめです。
回数を重ねるごとに、判断基準のブレも軽減しますので、より明確な自己分析結果を活用して転職活動を成功させましょう。