志望動機を書く際に、「企業理念に共感したと書くべき?」「どのような構成だと企業理念に共感したことが伝わる?」など、悩む方は多いでしょう。
志望動機で企業理念への共感を伝えるのは大切です。
しかし、共感を伝えるポイントを押さえた書き方は難しく、採用担当者に適切に伝わらず、良い印象を与えない場合もあります。
そこで本記事では、志望動機で企業理念への共感を伝えるポイントを紹介します。
失敗を招くケースや、例文も紹介するので、最後までご覧ください。
目次
志望動機に企業理念・経営理念への共感を取り入れるポイント
志望動機に企業理念・経営理念への共感を取り入れるポイントは、3つです。
- 他の就職希望者との差別化を図る
- 自身の価値観と合致することを伝える
- 企業研究は徹底的に
多くの企業で掲げられている、企業理念や経営理念。
志望動機に何を書けば良いのか悩み、安易な気持ちで企業理念への共感を書く方もいるでしょう。
しかし、書き方によっては逆効果となる可能性があります。
他の就職希望者との差別化を図る
企業理念への共感を伝えるために必要なポイントの一つが、他の就職希望者との差別化です。
「理念への共感」は使われる頻度が高いワードであり、多くの就職希望者が使用します。
しかし、他の就職希望者と内容が一緒になってしまっては、良い印象を与えられません。
特に転職を希望する方にとっては、新卒者との差別化を図らなければ、良い印象を与えられないでしょう。
差別化を図れる具体的な方法は、以下の2つです。
- 共感する内容を具体的に伝える
- 実体験を取り入れる
これらの方法について具体的に解説します。
共感する内容を具体的に伝える
まずは、共感した事実を具体的に伝えることが大切です。
企業理念はパンフレットやホームページにも記載されているため、誰もが使いやすい志望動機です。
だからこそ、どこに、なぜ共感したのかを詳細に伝えなければなりません。
「企業理念に惹かれた」との想いを、いかに伝えるかが大切です。
具体的でなければ「どこからか引用したのかな」「いい加減な気持ちで書いたのかな」と、採用担当者にマイナスなイメージを与えることもあるでしょう。
実体験を取り入れる
実体験したエピソードを取り入れることも大切です。
他の就職希望者との差別化を図れるだけでなく、企業理念に共感している事実が伝わりやすくなります。
過去の体験や経験を通じて得たものを絡め、詳細に説明できれば、より高い評価を得られるでしょう。
実体験がなければ具体性に欠け、評価を得づらいため、企業理念への共感を内容に取り入れることを再考する必要もあるかもしれません。
自身の価値観と合致することを伝える
企業理念と自分自身の価値観との合致を伝えるのも大切です。
以下の2つの効果が得られるでしょう。
- より良い印象を与えられる
- 仲間としてやっていける印象を与えられる
自分自身がしたいことや考えていることと、志望する企業の理念がリンクしていることを伝えると、企業にマッチする人材であるという印象を与えるうえでより効果的です。
より良い印象を与えられる
企業理念が自身の価値観と重なるところを伝えると「自分と同じ考えである」と思われ、良い印象を与えられます。
採用の場面では印象が大切であり、面接の合否を決定する要因の一つであるため、好印象を与えられることは大きなメリットです。
逆に、志望者の価値観と企業理念にズレが生じている場合は「自社に合わない価値観だな」「自己分析が不十分」といった印象を与え、マイナスの評価となります。
仲間としてやっていける印象を与えられる
企業理念と志望者の考え方が一致していると、今後仲間になった際にうまくやっていけるという印象を与えられます。
新卒と中途採用、いずれの場合でも「どのような人物なのか」「会社にどのように貢献してくれるのか」などが重要視されます。
価値観が異なり同じ方向を向いていなければ、入社後壁にぶつかったり、我慢を強いられたりなど、良い関係性を築けません。
価値観が合致していることを伝えられれば、会社と同じ方向を向いているアピールにもなるでしょう。
企業研究は徹底的に
企業研究は徹底的にしなければなりません。
企業を研究すると、以下の2点において効果的です。
- 企業理念に共感した根拠を述べられる
- 入社後のミスマッチを防げる
企業理念の言葉をただ暗記するだけでは不十分です。
なぜその企業理念となったのか、何をめざしているのかなどを詳細かつ的確に把握しなければなりません。
また、企業では将来のビジョンを掲げているところもあります。
ビジョンにもどのように共感しているのか、ビジョン達成のためにどのように貢献していくのかを伝えることで、採用担当者に良い印象を与えられるでしょう。
企業理念に共感した根拠を述べられる
企業の研究を徹底的に行うことで、企業理念に共感した根拠を述べられます。
理念とされる文言だけではなく、会社の沿革や歴史なども調べ上げることが研究する際のポイントです。
根拠もなく「御社の企業理念である〇〇に共感しました」と述べるだけでは、十分ではありません。
単に「御社の企業理念を調べてきました」と伝えているだけなのです。
採用担当者に伝えたいのは、企業への熱い思いや自分自身の経験、価値観などです。
自身の特徴や思いと重なる部分を伝えることで、説得力のある志望動機となります。
入社後のミスマッチを防げる
入社後のミスマッチは、徹底的な企業研究によって防げます。
仕事内容や方針、スタッフの雰囲気、今後どのようなサービスを展開するのかなどを知る機会にもなるためです。
また、企業が求めている人材と、就職希望者のスキルにズレが生じにくくなるでしょう。
企業の特徴を的確にとらえ、入社後にギャップを感じない企業を選択することが大切です。
志望動機の「企業理念に共感」で失敗を招きやすいケース
ここでは、失敗を招きやすいケースについて紹介します。
- 安易に「共感」の言葉を使っている
- 企業理念を正しく理解していない
- 他の企業からの使いまわしで内容が薄い
以上の3つのケースではなぜ失敗を招いてしまうのか、それぞれ具体的に解説します。
安易に「共感」の言葉を使っている
失敗を招くケースの1つ目は、安易に「共感」の言葉を使っているケースです。
安易であることが採用担当者に伝わると、マイナスのイメージを与えてしまう可能性があります。
企業理念は、就職希望者であれば誰もが志望動機に使える言葉です。
採用担当者は、ただ単に共感したことを知りたいのではなく、なぜ共感したのか、具体的にどの部分に共感したのか、どのように貢献できるのかを聞きたいのです。
共感した理由が抽象的では、評価されない可能性があります。
企業理念を正しく理解していない
2つ目は、企業理念を正しく理解していないケースです。
企業から以下のように判断される可能性があります。
- 企業への関心が薄いと判断される
- 価値観が一致しないと判断される
一般的に、企業理念は難しい言葉で書いてある場合が多いです。
一読するだけでは理解できないこともあるでしょう。
作られた当時の企業や創業者の想い、背景を知らなければ、理解が不十分になる可能性があります。
企業理念への共感のためには、企業が提供しているサービスや特徴などの調査も大切です。
調査をしたうえで企業理念を知ると、より正しく、深く理解できます。
企業によっては説明会やインターンシップなどを開催している場合もあるため、自身の理解が正しいのかを実際に確認しましょう。
他の企業からの使いまわしで内容が薄い
3つ目は、他の企業からの使いまわしで内容が薄いケースです。
志望動機は、企業理念の部分だけを志望先に合わせて変えれば、使い回しが可能です。
しかし、使い回すと志望動機の内容が薄くなってしまいます。
また、多くの就職希望者を見てきている採用担当者には、使い回しである事実がばれる可能性もあるでしょう。
使い回しとわかると、企業から以下のように判断される可能性があります。
- 志望度が低いと判断される
- 「この企業でなければならない」という熱意を感じない
入社への熱意が伝わらなければ、採用につながりません。
志望動機は他の企業からの使い回しはせずに、独自のものを検討しましょう。
【例文】志望動機の「企業理念に共感」が伝わりやすい書き方
企業理念への共感が伝わりやすい志望動機の書き方について、以下の4つのケースに分けて例文を紹介します。
志望動機を書く際の参考にしてください。
- 医療関係のケース
- 飲食業界のケース
- アパレル業界のケース
- 医療機器メーカーのケース
例文1:医療関係のケース
私は、将来社会貢献ができる仕事をしたいとの思いから、貴社の「患者さんの想いに寄り添った医療を提供する」という企業理念に惹かれました。
私は子どもの頃にケガをして入院した経験があります。
初めての入院であり「毎日注射されるのかな?」「痛いことされるのかな?」「いつになったら家に帰れるのかな?」と、不安な毎日を過ごしていました。
そのなかで、担当してくれた看護師さんが「毎日頑張ってるね」「不安だよね」などと毎日笑顔で優しく話しかけ、一緒に治療に臨んでくれました。
看護師さんだけでなく、先生や検査をする方、受付の方もみんな優しく接してくれたおかげで、不安が和らいだことが印象に残っています。
このときの体験から、私も患者さんに寄り添った医療関係者になりたいと考え、貴社を希望しました。
子どもの頃の思い出がきっかけで、企業理念に惹かれたと伝えていることがポイントです。
具体的なエピソードがあるため、他の就職希望者と差別化を図れ、採用担当者に良い印象を与えられるでしょう。
例文2:飲食業界のケース
私は、貴社の企業理念の一つである「お客さまファースト」に強く共感したため、入社を希望しました。
なぜなら、私がレストランでアルバイトをしていたときに、お客様のためを思い行動したことにより、私自身も良い体験をしたためです。
あるとき、「高校合格おめでとう」とお祝いをしているご家族がいました。
私は自分が学生のときに合格祝いをしてもらったときのうれしい気持ちを思い出し、上司に相談してサプライズでお祝いのプレートを用意しました。
ご家族はとても喜んでくれ、そのあと何回も来店をしてくれるようになったのです。
このときのご家族が本当に楽しそうに会話している光景を、今でもよく覚えています。
お客様を思った行動がリピーターを得るきっかけにもなり、楽しい食事が1日を素敵な日にするのだと感じました。
今後、貴社に入社した際にも「お客さまファースト」を実践し、売上アップにつなげるだけではなく、気配りをしてお客様に素敵な1日を提供できるように努力していきたいと考えています。
このケースでも過去の実体験をもとに、企業理念への共感が伝えられています。
単に企業理念への感想を述べるにとどまる内容ではありません。
自身の経験を踏まえて、企業に還元できることをアピールするのも有効です。
例文3:アパレル業界のケース
私は貴社の企業理念である「ファッションで常識や社会を変える」に感銘を受け、貴社を志望しました。
貴社は店舗を各地域に展開し、「お金がかかる」「着飾るのは難しい」といったファッションの常識を覆しています。
また、ファッションを通して人々の生活を豊かにする商品を開発しています。
私は友人の勧めで貴社のワンピースを購入して以来、ファッションへの認識が大きく変わりました。
一つの商品が人々の心を満たし、生活を満たしていくのを実感したのです。
貴社に入社した際には、ファッションに興味があるもののよくわからないでいる方や一歩踏み出せずにいる方に寄り添い、常識を変え生活を満たせるように関わっていきたいと考えています。
企業理念と自身の価値観の一致を伝えています。
入社したあとにどのように取り組んでいくのかをイメージしやすいため、良い印象を与えられるでしょう。
例文4:医療機器メーカーのケース
私は「社会に新しい常識を」という企業理念に共感したため、貴社を希望しました。
新型コロナウイルスによる感染症の影響で、リモートでの授業が行われるようになるなど、これまでの生活様式は一変しました。
しかし、現在では新しい生活様式は浸透し、違和感を覚えなくなりつつあります。
その変化のなかで、ワクチンや生命維持装置など多くの薬剤や医療機器が、患者さんの命を救ってきました。
私は貴社のインターンに参加し、最先端の医療機器の開発や、医療現場のニーズを把握したうえでの改善などを体験したことで、これまでの社会にはなかったものを開発し、導入していくやりがいを感じました。
ここ数年で、社会の常識はきっかけにより一変することを実感しました。
私は医療機器の開発などを通して社会に新しい常識を提供している貴社に入社し、人々の常識の最先端をいく業務に携わりたいと考えています。
企業理念に共感した根拠が述べられており、入社後のミスマッチを感じさせない、説得力のある志望動機になっています。
企業理念への共感がしっかり伝わる志望動機を考えよう
志望動機で企業理念への「共感」を伝えることは大切です。
採用担当者に良い印象を与えるためには、他の就職希望者との差別化を図り、企業の理念が自身の価値観と合致していることを伝えなければなりません。
なぜ共感したのか、どこに共感したのかなど、実体験をもとに説明すると良いでしょう。
本記事では4つのケースに合わせた例文も紹介しているため、志望動機で悩んでいる方はぜひ参考にしてください。