有給休暇の取得に理由は必要？おすすめの理由を6つ紹介

あなたは「有給休暇を消化したいけど、どのような理由を書けば良いかわからない」と悩んでいませんか。
会社によっては、詳細に理由を記入しなければ有給休暇申請が認められない場合もあるでしょう。

今回は、有給休暇取得の際に理由を聞かれる理由や、答える必要の有無、よくある有給取得の理由などを紹介します。

有給休暇の取得に理由は必要ない

有給休暇を取得する際、理由を説明する必要はありません。
労働基準法39条1項では、「労働者に対して有給休暇を与えなければならない」と定められており、有給休暇の理由に関する規定は設けられていないからです。

有給休暇の理由は「私用のため」で良い

有給休暇の届出を提出する際には、理由を書く欄に「私用のため」と記入して構いません。
先述したとおり、法律上は会社に有給休暇を取得する理由を伝える必要がないからです。

有給休暇は、労働者が仕事を休んでリフレッシュするために設けられた休日であり、労働者の権利です。
会社は、労働者から有給休暇の申請があった際には、理由の内容に関わらず認めなければなりません。

労働基準法の条件を満たせば理由なく有給休暇を使える

労働者は、労働基準法39条に定められた条件を満たしていれば、理由なく有給休暇を使えます。
有給休暇を使える条件は、以下の2つです。

1. 雇入れの日（入社日）から6ヵ月継続して勤務している
2. 全労働日の8割以上出勤している

労働者に有給休暇を取らせないのは法律違反

有給休暇を合理的な理由なく取得を拒否する行為は、労働基準法39条違反です。
違反した場合は、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

一方で、会社には時季変更権があり、社員が有給休暇を取得する時季を変更できるケースがあります。
時季変更権が認められるケースは、以下のとおりです。

• 有給休暇を取得する予定の労働者にしかできない、かつ期日が迫っている業務がある
• 繫忙期・決算期などにより、休暇を取られると業務に支障が出る
• 代替人員の確保が難しい

有給休暇の時季を変更した場合は、別日に有給休暇を定めなければなりません。
有給休暇が取れない場合の対策については、以下のページをご参照ください。

有給休暇の理由を聞くのは違法？

法律上、有給休暇を取得する際に理由を説明する必要はありません。
しかし、上司によっては有給休暇取得の理由を聞いてくる場合があります。

ここでは、上司が有給休暇の理由を聞くのは違法なのか、ハラスメントに該当するのかを解説します。

上司が有給休暇の理由を聞くこと自体は違法ではない

上司が有給休暇の理由を聞く行為自体は、違法ではありません。
ただし、以下のケースは違法行為にあたります。

1. 有給休暇の理由を述べないと取得できない
2. 「趣味や遊びの場合は取得できない」など理由によって取得を拒否する

上記のケースが違法になる理由は、先述したように、労働者が有給休暇を取得する際に理由は必要ないからです。

しつこく理由を聞いてくる場合はパワハラになる可能性もあり

上司がしつこく理由を聞いてくる場合は、パワーハラスメントに該当する可能性があります。
ハラスメントの度合いによっては、損害賠償を請求できるケースもあります。
以下の理由の聞き方は、ハラスメントにあたるかもしれません。

• 有休の理由を詳細に聞かれる
• 理由を言わなければ取得が不可能である
• 理由によっては有給休暇を取得できない

有給休暇申請でよくある理由

本来、有給休暇を取得する際に、理由を説明する必要はありません。
ところが、会社によっては有給休暇届に理由を詳しく記載したり、直属の上司に理由を申告しなければならない場合もあります。

会社に理由を尋ねられたときに、理解されやすい有給休暇の理由を紹介します。

住居の修理・点検

住居の修理や点検は、有給休暇の申請によくある理由の一つです。
住宅設備の故障は生活に支障をきたすので、できる限り早く直す必要があるからです。

特に新居に引越ししたばかりの頃は、立ち会わなければならない工事もあるので、有給休暇を使用してもおかしくないでしょう。

エアコン・水道・トイレ・鍵の修理・点検

エアコン・水道・トイレ・鍵の修理・点検は、当日に有給休暇を申請しても理解が得られる可能性が高いでしょう。
特に水回りの修理は、ただちに修理しなければ生活に支障が出るため、平日であっても修理する必要があります。

会社から詳細を聞かれたとしても、「土日は予約が取りづらい」「工事の順番がいつ来るかわからず、有給休暇を使って対応するしかない」と伝えれば、納得してもらえるかもしれません。

インターネット回線・ガスの開通

インターネット回線・ガスの開通は立ち会いが必要なので、有給休暇の申請理由として理解されやすいでしょう。
特に新居に引越したばかりの頃は、インターネットやガス以外にもテレビ回線や浴槽の点検など、立ち会いが必須の工事が入りやすいです。

エアコン・水道・トイレ・鍵と同様に「土日は予約が取りづらく、時間を取るのが難しい」と説明すれば、有給休暇を取得する理由になるでしょう。

お金や車に関する事由

お金や車に関する事由も、有給休暇を取得する理由として理解を得やすいでしょう。
役所や銀行などは、平日の昼間しか受付していないためです。

特に通勤や仕事で車を使う人は、運転免許の取得や更新・車検は必須なので、有給休暇を取得しなければ業務にも支障が出てしまいます。

役所・銀行での手続き

ローン申請や印鑑証明、子育て関連、転居、納税など、役所や銀行で行う書類手続きは、有給休暇の理由として上司に認められやすいでしょう。
先述したとおり、役所・銀行は平日の昼間にしか受付していないためです。

運転免許の取得や更新・車検

運転免許の取得や更新・車検など車に関する事由も、有給休暇の申請理由として通りやすいです。

特に通勤や仕事で車を運転する人は、免許を更新しなければなりません。
運転免許の取得や更新は、土日は混雑している場合が多いので、有給休暇を申請し、平日に更新すると良いでしょう。

また、車検は平日のみ手続きをおこなう業者もあるので、有給休暇を申請する理由に丁度良いです。
車検で有給休暇を取得する場合、あらかじめ日程を押さえましょう。

ご家族に関する用事

ご家族や親戚に関する用事も、有給休暇を取得する理由にふさわしいでしょう。
特に法事や子どもの学校行事は、事前に日時が決まっている場合が多く、予定変更されにくいため、会社からも理解が得られる可能性があります。

法事

法事は日程が決まっている場合が多いため、事前に有給休暇を申請しやすいでしょう。

四十九日や一周忌、三周忌などは決まった日時に開催されます。
遠い親戚の家に集まる際は、朝早くから家を出たり、一泊したりするケースも考えられるので、有給休暇を取得しなければならないこともあるでしょう。

法事は慶弔休暇の対象になる場合もありますが、通夜や葬儀と違い日程調整が可能なため、有給休暇を優先して使うよう言われやすいです。

なお、慶弔休暇は法定外休暇であり、企業が独自にルールを決められる休暇のため、法事に慶弔休暇を使えないこと自体は違法ではありません。

子どもの学校行事

あなたに子どもがいる場合、学校行事を理由に有給休暇を使っても良いでしょう。
特にPTA活動や授業参観は平日が多く、日程があらかじめ決まっているので、有給休暇を取得しても違和感はありません。
特に子どもがいる上司であれば、PTA活動の大変さをわかってもらえる可能性があります。

また、入学式や卒業式は子どもの成長を感じられる一大イベントです。
早めに有給休暇を申請し、余裕を持って出席できるようにしましょう。

下記では、有給休暇の理由を説明する際の例文を紹介しています。

有給休暇で休む理由を会社から聞かれやすいケース

有給休暇の取得理由には、会社から詳細を聞かれやすいものも存在します。
特に業務量の調整が必要か確認したいケースや、虚偽の報告を疑われているケースの場合、詳細を聞かれやすいでしょう。
ここでは、会社から事情を聞かれやすい理由の具体例を紹介します。

病気・介護

あなた自身やご家族の病気・介護を有給休暇の理由にするのは、本来は問題ありません。
しかし、何度も続くと事情を聞かれる可能性があります。

会社は、従業員の体調や家庭の事情を考慮し、業務を管理する義務があるからです。
病気や介護で有給休暇を取り続けた場合、配慮が必要かを確認する目的で詳細を聞かれるでしょう。

体調不良で病院に行く

体調不良にともなう通院の場合、有給取得の理由として繰り返し使うと、会社から詳しく話を聞かれる可能性があります。

会社は、社内に体調が優れない社員がいる場合、業務に支障が出ないか考慮する必要があるためです。

あなたに持病がある場合は、直属の上司に相談してください。
あなたに持病がなければ、肌荒れや虫歯の治療など、比較的軽い症状を伝えると必要以上に深入りされずに済むでしょう。

子どもや親の介護

自分の体調不良のみならず、子どもや親の介護に関しても詳細を聞かれやすいです。
介護を理由にすると、介護休暇などの長期休業が必要なのか確認されるでしょう。
話が勝手に進んで、業務量が少ない部署への配置転換や、異動の必要性を問われるおそれもあります。

会社や上司に誤解を与えないようにするためには、「病院に連れて行く」「預けられる場所がなく、自分が看病しなければならない」などの理由を伝えましょう。

冠婚葬祭

冠婚葬祭は人生のなかで重要なイベントが多いですが、頻繁には起こりにくいものです。
結婚式や葬式・告別式は、結婚休暇や慶弔休暇を導入している会社もあるので、詳細を聞かれる可能性があります。

なお、場合によっては書類の提出を求められることもあるので、虚偽の冠婚葬祭を有給休暇の理由にするのはおすすめしません。

結婚式

結婚式は土日に開催される場合が多く、平日に有給休暇を取ると事情を聞かれる可能性があります。
式場が遠方であったり、前日の準備に参加したりする場合は理解が得られやすいでしょう。

結婚式の招待状は2〜3ヵ月前に送られてくる場合が多いため、先に口頭で報告し、日程が近づいてきたら有給休暇届を提出しましょう。

葬式・告別式

葬式・告別式は慶弔休暇に関係するケースがあるため、詳細を聞かれやすいです。
訃報の連絡をする際には、以下の内容を伝える必要があります。

• 亡くなった人との関係
• 通夜・葬儀の日時と場所
• 慶弔休暇、または有給休暇の日数
• 緊急連絡先の電話番号・メールアドレス

休暇が明けたら、葬式・告別式の開催が確認できる書類の持参を求められる場合があるため、虚偽の報告は避けましょう。

有給休暇はどのような理由でも休める

有給休暇はどのような理由でも取得できます。
労働基準法では、有給休暇の取得の理由に関する規定はありません。
書類に有給休暇の理由を書く際は「私用のため」と記入すれば十分です。

有給休暇の理由を聞く行為自体は違法ではありません。
しかし、しつこい場合はパワハラに該当する可能性があります。

法律上、有給休暇の理由を詳細に説明する必要はありませんが、もしも聞かれた場合は、住居の修理・点検、お金や車に関する事由、ご家族に関する用事などであれば、理解を得やすいでしょう。

また、病気・介護、結婚式や葬式・告別式などを理由に挙げた場合、業務上の配慮や、慶弔休暇との兼ね合いから理由を聞かれやすくなります。